PUNGENS(プンゲンス)、刺々しい裏切り~『恋仲』第4話
こないださぁ 葵
あかりちゃんとの事 もう終わったって言ってたでしょ
ああ それがどうかした?
終わったって思ってても 一緒にいるとやっぱり
もう一度って 思ったりしない?
・・・・・・しないよ♪
私は さっきからずっと思ってるよ
・・・エッ?
やっぱり 葵といると楽しいなぁって。。♡
☆ ☆ ☆
やっぱ、いいね♪ フジ月9の代表作の一つ、『ビーチボーイズ』へのオマー
ジュ(敬意を込めた模倣)。またそれか! 夏の海と青春が輝いてた。友情、
バカ騒ぎ、負けず嫌い、そして、恋愛。。あのロケ地も、あかりの父親・寛利
(小林薫)がバスで向かった千葉・館山も、ビーチボーイズの主たるロケ地
の近く、房総半島の南西なのだ。
いや、もちろん、脚本家・桑村さや香&協力・LiLyのコンビもいい♪ 初回
1ケタからのバッシングにも負けず、第3話まで視聴率右上がり。4話も
10.8%で2ケタ持続。おめでとう! 今どき、若者狙いの恋愛ドラマで、お
まけに逆風続きのフジテレビでこの数字。実に素晴らしい☆
流れのつなぎ方が自然で巧みだし、時々、ハッとさせられる台詞もあるの
だ。第2話の瑠衣子(市川由衣)の妖しい言葉、「いいよ、少しくらい ♡」み
たいに。ウチの2話レビューにはいまだに、このセリフで検索アクセスが入っ
て来るほど(笑) 多分、リピートしてる視聴者が全国で数千人いるだろう
・・・と他人事のように書いとこう♪
☆ ☆ ☆
まあ、個人的に『BEACH BOYS』の大ファンで、市川由衣も好みって部
分はあるんだけど、今回のバーベキュー・シーンも上手いな・・と、すぐに感
心した。
このレビューの冒頭で引用した、瑠衣子と葵(福士蒼汰)の会話。その直前
には、大衆食堂のおばちゃんの若い頃・・・じゃなくて(コラコラ!)、葵のカワ
イイ妹・七海(大原櫻子)が、あかり(本田翼)に告げてたのだ。昔から、お兄
ちゃんとあかりちゃんは理想の関係だった。少なくともお兄ちゃんは、ずっと
好きだった、と。。
嬉しそうに照れるあかりが、別荘
(ステラ・リゾート)の中から前を見
ると、葵と瑠衣子の元サヤ間近カッ
プルが仲良くバーベキューの準備。
ごく自然に、葵&あかりと葵&瑠
衣子、2つの元カップルが重なる
流れになってる。
それはよくある三角関係よりも遥か
に高度な状況だ。少し細かく分析してみよう。
☆ ☆ ☆
瑠衣子が葵に、「終わったって思ってても、一緒にいるとやっぱり、もう一度っ
て思ったりしない?」とたずねると、葵は間を空けて、「しないよ♪」と明るく応
える。この時、葵は、瑠衣子の可愛い不安を和らげるつもりだったわけで、こ
う答えれば瑠衣子が安心して喜ぶと思ったのだ。
私は公式動画でこの葵の応答を聞いた瞬間、「違うよ」と突っ込んでた(笑)。
瑠衣子がむしろ、自分たちの元サヤの可能性をたずねてるのがすぐ分かっ
たからで、私なら、「あかりとはもう思わないけど、瑠衣子とならちょっと思う
かも」と答えただろう。そうすると、瑠衣子なら「少しくらい」「濡れる」はず♪
まだ言うか!
話を戻すと、瑠衣子は葵のやさしい返事に「良かった」と喜ぶどころか、反論
するかのように言う。「私はさっきからずっと思ってるよ」。当然、葵は驚いて、
「エッ?」。すると瑠衣子が照れながら言う。「やっぱり、葵といると濡れるなっ
て。海で」(爆)。コラコラ! そうじゃなくて、「やっぱり、葵といると楽しいなっ
て ♡」。
盛り上がった所で当然、周囲のジャマが入るのだ。実際に濡れたのは、プー
ルに落ちた公平(太賀)だった(笑)。男か! まあ、『ビーチボーイズ』なら、
社長か郵便配達かタクシー運転手がジャマしに来る所だろう♪
瑠衣子だけでなく、あかりにとっても、「一緒にいると、もう一度・・」と思うこと
は、プラスでもあり、マイナスでもある。元サヤ間近カップル2組による三角関
係だからであって、そのジレンマ、もどかしさを自然に表現したシーンだった。。
☆ ☆ ☆
一方、4話の冒頭とラストで強調されてたのは、あかりの今の彼氏、研修医
の翔太(野村周平)のマンションだ。ロケ地の紹介でメジャーな2つのサイト
は、いずれも住民や撮影などに配慮して、情報を伏せてる。ただ、あれだけ
ハッキリと名前と外観・内装を示してるのだから、少なくとも業者との調整は
済んでるのだと思う。
「PUNGENS GARDEN」(プンゲンス・ガーデン)。正直、プンゲンスという
言葉は初めて知ったが、針葉樹系の樹木の学術名によく使われてるラテン語
のようだ。「刺々しい」(トゲトゲしい)という意味。
これは脚本コンビじゃなくて、スタッフ(美術さんとか)が探し出したのだと思う
が、Good Job(グッ・ジョブ)だと思う。コンクリート打ちっぱなしで、プンゲン
ス系っぽい樹木に囲まれたマンション。高校時代の転校時からトゲトゲしい態
度が目立ってた、翔太の住まいとしてピッタリだし、今回の話にもピッタリ。だ
からこそ、最初と最後に目立つ形で名前を映したのかも。
☆ ☆ ☆
今回の公式サブダイトルは「裏切り」で、普通に考えれば、あかりに対する翔太
の裏切りをすぐ思い付く所。この記事のタイトルに「PUNGENS(プンゲンス)、
刺々しい裏切り」と名付けた理由の一つももちろん、そうゆうことだ。
でも、 翔太から見ると、自分が一番悪いけど、あかりも裏切ったじゃないか・・
ということになる。試しに、久々に葵と会わせてみたら、やはり心が揺れ動いて
たじゃないか。。ただし、あのラストシーンで翔太が言うと、逆ギレに近い感じに
なってしまう。実際あかりの反応は、「・・・最低!・・・(スタスタ、バタン)」だった。
怒る女性に反論してはいけない。火に油をそそぐだけ♪ 男性視聴者への有
難い教訓なのだ。経験者は語る。複数回(笑)
でも、内心でつぶやくのだ。「それでも地球は動く」。ガリレオか! そうじゃなく
て、「それでも、あかりは裏切った。刺々しくない広葉樹のような柔らかさで。ま
るで自分を心の奥底から愛してるかのような、天真爛漫な笑顔で・・」。。
☆ ☆ ☆
他に、沢田(新川優愛)も翔太に裏切りを見せたわけで、こちらは同じくプンゲ
ンス、刺々しいものになってた。まあ、医者だから仕方ない・・・とか書くと、職
業に対する偏見や差別になってしまうから止めとこう♪ 書いとるわ!
とはいえ、もっとも刺々しいものは、翔太の自分に対する裏切りなのだ。この
プンゲンスなトゲは常に、翔太の心の内側からチクチクと刺して来る。でも、
あかりも翔太も、「変な事」を考えたりする心配はない。初回の冒頭で、仲良く
結婚式に出席することが確定してるから。
安心して楽しめる、眩しいラブストーリーで、いいね☆ スイカの種を飛ばした
後、拾ったのかどうかがちょっと気になるけど♪ って言うか、仲良く座ったま
まで、種の飛距離が比べられるのかどうかが不思議だけど(笑)。ま、若さは
視力の良さにも反映されるってことで。
それでは、ちょっと軽めに、今回はこの辺で。。☆彡
cf. 葵へ 待っ(てるから) あかり~『恋仲』第1話
「有心論」、心に神=キミが有るから・・~『恋仲』第2話
斜めから復活、鯛焼きシャチホコの初恋~第3話
二重化というアート=技術~第5話
エドガー・アラン・ポーの小説『盗まれた手紙』との比較~第6話
フィクションの建築、人間の設計~第7話
100年続く家で、エバートラベル(永遠の旅)~第8話
普通に輝きを増すノームコア~『恋仲』最終回
(計 3014字)
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