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普通に輝きを増すノームコア~『恋仲』最終回

  あかり  あと7年たったら また 

        今とは全然違う景色になっちゃうんだろうな

        今考えてることとか こうして感じてることも

        いつか 変わっちゃうんじゃないかって

        そう思うと ちょっと怖いかも

 

   葵   そりゃあ変わるよ 景色も 人の気持ちも

        でも変わってもいいんじゃねぇの

        オレの気持ちだって 今この瞬間も どんどん変わってる

        オレさぁ あかりが初恋だったって言ったじゃん

        でも今はもう あの時の気持ちとは 違うんだ

 

        初恋だった7年前より あかりのこと 好きになってる

        10年後はもっと 20年後はもっともっと好きになる

 

 

            ☆          ☆          ☆

ダメだ。。フジテレビに電話かけて質問したいほど気になる。2万円だけ七海

(大原櫻子)に借りた葵(福士蒼汰)が、タクシー&北陸新幹線・かがやきで

片道14000円ほど使った後、どこに泊まって、どうやって東京に戻ったの?

実家の話は出てないし。

 

翔太(野村周平)と握手した美しい友情シーン。実は「ごめん、お金貸して」っ

て台詞がカットされてたのか(笑)。で、翔太がまた悪役になって、「50万円

やるから、花火を見ずに帰れ」と指図したとか♪ コラコラ!

 

あるいは、公平(太賀)にもらった牛丼の無料チケット2枚で、つゆだくにして、

あかり(本田翼)と食べた後、また野宿して、夜明けにキスして、鈍行(普通

列車)で埼玉県くらいまで帰って、そこから歩いたってことか♪ 細かいわ!

それだと丸1日かかっちゃうから、格安の高速バスって手もあるね。

 

富山第三高等学校の閉校より驚いたのは、オシャレな路面電車が走って

たこと。富山都心線(環状線)の車両、愛称「CENTRAM」(セントラム)で、

うっかり「サントラム」と混同するとよそ者扱いされるわけね♪ どこにも意

味が書いてないけど、CENTER(中心)+TRAM(路面電車)ってことだろ

う。ま、葵は200円(?)の乗車料金を払うのも難しかったはず(笑)

 

ちなみに私は以前、海外のサイトで「自称・鉄道オタク」(self-described

 train nerd)と書かれたことがあるけど、全くの誤解なので念のため(笑)。

たまに変わった車両を見ると、つい写真を撮りたくなってしまう程度にすぎな

い♪ 鉄ちゃん予備軍か!

 

 

         ☆          ☆          ☆

おっと。。コネタの軽口で遊んでる余裕はもうないね。いや、仕事で疲れて

るから、つい遊びたくなるのだ。もう一言だけ、マニアック・サイトのレビュー

として、どうしても解説しとかなきゃいけないコネタは、蚊取り線香&ブタさん

を持った七海の台詞。「刺されたくないから・・・♡」

 

これ、かなりのツイートを集めて好評なのに、ほとんどが「可愛い」って感想

に留まってる。まあ確かに、ツンデレのデレの表現としては上出来で可愛かっ

たけど、それだけじゃないでしょ♪ あれは爆笑して感心するエロ・シーン。

 

第2話の瑠衣子(市川由衣)の名ゼリフ、「いいよ、少しくらい(濡れても)♡」を

思い出す所だね。脚本・桑村さや香やプロット協力・阿久津朋子は知らない

けど、脚本協力のLiLyは間違いなく肉食系の女子♪ エロに気を取られて、

現金100万円盗まれたらしい(笑)

 

話を戻すと、もちろん七海の台詞は、意味が二重化されてるのだ。「虫に刺

されたくない」&「公平に刺されたくない」(笑)。公平はいきなり、虫になった

のだ♪ カフカの古典小説、『変身』か!

 

「虫=公平に刺されたくない」と七海が警戒してるのに、公平が「命に代えて

でも七海ちゃんを虫からお守りします」と気合入れてたから、爆笑シーンだっ

たわけ。虫はお前だよ!って感じで♪ もちろん、七海の「刺されたくない」と

いう言葉は、「刺されたい」という無意識的な欲望を中途半端に抑圧したもの。

どうせ葵も留守で2人きりだし、欲望を顕在化させてもOKなのだ。

 

で、ブーケ・トスも仲良く2人で受け取ったし、いずれ結婚して「しんなかおき」

駅でポトフ屋を開業すると♪ トーフ屋だろ! 

 

ちなみにポトフ(potofu じゃなくて、pot au feu)というフランス語を英語に

直訳すると、「pot on fire」。火にかけた鍋。ぐつぐつ煮込んで味わいを増

す地味な家庭料理は、このドラマ全体のメタファー(比喩)にもなってた。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

そろそろ本題に入ろう。肉食女子・LiLyが『恋仲』公式サイトで連載してるエッ

セイ、「月9と恋仲」の第1回には、冒頭から「ノームコア」という言葉が使わ

れてた。

 

意味は一応、想像できるけど、初耳の言葉。日本だと、僅か2年ほど前から

地味に使われてる言葉にすぎないから、エッセイにはちゃんと意味まで書き

添えられてた。

 

   ファッションだってノームコア(限りなく普通であること / ハードコアの 

   対極)が流行る今、何ごとにもいちいち燃え狂ったりすることなく、フツ 

   ウにそつなくこなすのが「クール」の基準。

 

だから、恋の暴走&自爆を繰返した自分の青春時代とは違う・・・とLiLyは

書いていく。これを読んだ途端、『恋仲』のコア=核心が分かった気がした

のだ。ノーム(norm)、つまりノーマル。あまりドラマチックでないドラマ♪ 

物語も、登場人物のキャラも、服装も、少しもとんがってない(死語かも)。

フツーのど真ん中(core)。上か下どちらかはユニクロで1980円とか(笑)

 

 

         ☆          ☆          ☆

最後だから書いとくけど、実はウチの恋仲レビュー、常連さんの多くが読ん

でない(気がする)♪ こう書いた文章が、また読まれないわけだ(笑)

 

アクセス数自体は、ジャニーズ関連でないドラマとしてはまずまずだし、視

聴率も今どき地味な健闘だろう。私もそこそこ、頑張って書いてる(アップが

遅かったけど♪)。それでも、ウチの読者さん達があまり興味を示してない理

由の1つは、このドラマがノームコア、極端にフツーだからだと思う。

 

ただし、ベタな恋愛ドラマという意味とはちょっと違う。たとえば、前回も比較

した96年の『ロンバケ』だと、最後に主人公・瀬名(キムタク)はピアノで活躍

する。葵の建築設計も入賞したけど、瀬名のピアノの方が華やかなのだ。あ

かりの設計図と比べても、瀬名を引き戻した南(山口智子)のピアノの方が印

象深い。

 

ドラマのスタートも、ロンバケは結婚のドタキャンという悲惨な出来事。コネタ

でも、スーパーボールの使い方とか屋上の看板とか、目立ってたのだ。そう

言えば、2人だけの花火も、ロンバケの方が派手だった。

 

2000年の『やまとなでしこ』、2007年の『プロポーズ大作戦』と比べても、

やっぱり『恋仲』の方が色んな意味で地味だと思う。脇役の恋敵としての瑠

衣子や一葉(新川優愛)の「あっさり白旗」感を考えても、分かるはず。結婚

式で、あかり先生のために5年2組の生徒みんなが書いた色紙も、すごく普

通の言葉が一杯並んでた(細かい・・♪)。「おめでとうございます」、「幸せ

になってください」。。

 

 

           ☆          ☆          ☆

これは、別の言葉を使うなら、「フラット」(flat)な時代になったということでも

ある。平らな並列関係の中で、多数の普通の人達が瞬時につながり合う、

SNS時代。その中で生きる若者たちを描く、若者向けのドラマ。仕事中も

授業中もスマホが離せない、デジタル・ネイティブ。

 

そう言えば、春ドラマ『アルジャーノンに花束を』のキーワードは「対等」だっ

た。原作が半世紀前のSF小説だから、ノーマルな内容ではないし、若者向

けとも言えないけど、やっぱりノーマルに向かう流れがあったのだ。知的障

害者も対等に生きることが可能な、平等な世界。

 

あらためて『恋仲』の最初から最後までを振り返ると、物語を左右するドラマっ

ぽいエピソードの少なさは明らか。7年前か8年前、翔太があかりのメッセー

ジを隠して、葵の代わりにあかりと付き合うことになった。これはいいとして、

例えば第7話。みんなで病院祭を作るエピソードは、翔太があかりにプロポー

ズする展開とつながってない。

 

それでも、私は最初から最後までフツーに楽しめたし、フツーにいい恋愛ドラ

マだったと思う。様々な「若さ」や「甘さ」も含めて、名作とか秀作とまで言うつ

もりもないけど、少なくともフジの狙いはかなり当たったのだ。視聴者層が少

なくても、若者向けのドラマを作って未来につなげること。時代を切り開くこと。

 

実際、視聴率の数字や動きを見ても、新しいのだ。低いスタート地点、9.8%

からジワジワと地味に上げる形で、最終回は11.5%。全話平均でも10.7%

(単純平均も加重平均も同じ)で、少し余裕もある2ケタ。

 

(☆注意: スポーツ報知その他が全話平均10.8%と書いてるが、切り上げ

       したか、計算ミス。四捨五入すれば10.7%。)

 

最初の1ケタから延々と叩き続けるメディアやライターの感覚の古さと偏向に

は苦笑してしまう。せめて、自分たちがさんざん叩いたほどの失敗作にはなっ

てないこと、むしろ自分たちの方が失敗したことを認めるくらいの潔さが欲しい

所だろう。

 

 

          ☆          ☆          ☆

ポトフにせよ、視聴率にせよ、じわじわと地味に良くなって行く流れが表現さ

れてる。地味に実績を積み重ねる北陸新幹線・かがやきみたいに、普通に

輝きを増すノームコア。これが、最終・第9話で示された新たなコンセプト、基

本的な考えで、私が納得したものだった。

 

前回のコンクールで、100年続く家というテーマが登場。ずっと愛される家、

ずっと続く愛という話が出た後、それをあかりと2人で確認して終了かと思っ

てたら、違ってたのだ。

 

ありがちな、「いつまでも続く永遠の愛」を超えた、「少しずつ深まり続ける愛」。

だからといって、特筆すべきディテールも無ければ、確たる自信もない♪ 誰

にも負けないくらい好きだ。もっと好きになっていくだろう。

 

美男美女のドラマでなければ、ほとんど説得力がない思い込みに聞こえるだ

ろうけど、この初恋カップルならあり得るかも・・・と思わせてくれる。建築家と

いうより建築士と小学校の先生が結婚して、田舎か鎌倉か房総半島あたりに

「平屋」を立てて、静かに暮らすのだ。こうしてみると前回、「平屋」を強調して

たのも納得できるだろう。文字通りフラットで、自然に溶け込む家。

 

耐震性や耐久性なら、先日の鬼怒川決壊に耐え抜いて話題になった、あの

ヘーベルハウスの方が上だろう♪ 鉄筋の2階建てで、いかにも頑丈そうな

外見の白い家。持ち主の方は3年前、東日本大震災の後で新築。夫婦で相

談して、地震に強い家に決めたそうだ(日刊スポーツの記事)。

 

でも、AOI&AKARIにとっては、平屋の赤い屋根の家がベストなのだ。高

校3年の時からずっと持ち続けて来た夢を、少しずつ膨らませて来た成果

だから。家自体が100年続かなくても、家庭が100年の間、着実に育まれ

るからいいのだ。

 

 

          ☆          ☆          ☆

最終回の結末。葵が勝つのはわかり切ってた事だけど、AOLニュース

賛否両論の場外戦を伝えてる。ネットで賛否があるのは当たり前で、毎度

の事にすぎないけど、「夢見がちで将来に対する明確なビジョンもない」と

いう指摘はある意味、その通りと言えなくもない。

 

ただし、そこでいう「夢見がち」の「夢」は、誇大妄想的でも非現実でもなく、

まったく普通のフラットなものなのだ。昔から好きだったし、今はもっと好き

になってる。将来はもっともっと好きになろう。。さほどお金もかからず(笑)、

長い経験の裏付けもあるから実証的、科学的でもある♪ それに今どき、た

かが25歳で将来に対する明確なビジョンを葵以上に持ってる方が珍しい。

 

お互いが昔からの希望通りの仕事について、昔から好きだった相手と結婚

する。バリバリ働くわけではないけど、普通にいい感じで、周囲に馴染んだ

関係。ドラマの構成的にもまったくノーマル。もし、あかりが翔太を選んでた

ら、今の10倍の炎上になってたはずだ。

 

とはいえ、翔太とか野村周平の人気が上がってるとかいう話には、私も納

得できる。正直、序盤は外見も演技も役柄も「?」って感じがあったけど、だ

んだん彼を見るのが楽しみになって来た(変な意味じゃなく・・・笑)。フツー

にキレイな顔立ちだし、あかりのお父さん(小林薫)に対する妙な態度もそ

れなりに筋が通ってた(一応・・)。

 

ダッシュして、お父さんを結婚式に連れて行く流れは、最初から決まってたっ

てことかね。欲を言うならあの場面、お父さんが妻(あかりのお母さん)の写

真を持って来てたらもっと良かったかも。初回でわりと強調してた伏線もどき

の1つなんだから。あかりを捨てて勝手に別の家庭を持ったことへのお詫び

も込めて。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

最後に、木俣冬によるノベライズ本(扶桑社)についても一言。最終回翌日

の今日、9月15日の夜に書店で軽く見たけど、台詞もラストもほとんどドラ

マと同じだった。脚本トリオで1人だけ名前が挙げられてた桑村の側から、

全ての脚本が渡されたということか。まあ流石に、AKBグループ・指原莉乃

の特別出演は無かったかも(笑)。ビミョーな生放送(LIVE)も無し。

 

amazonだと9月16日発売になってるけど、本の最後に書かれた発行日は

15日だった気がする。ということは、14日の放送に先だって販売した書店

もごく一部であるんじゃないかね? 

 

ちなみに、ドラマのノベライズが最終回より前に一般販売される事は珍しく

ないと思うけど、その場合は最終回の部分がドラマと違ってるから、別にい

いのだ。去年の人気ドラマ『人妻』・・・じゃなくて『昼顔』は、むしろノベライズ

のラストの方が自然だったほど♪

 

 

          ☆          ☆          ☆  

いずれにせよ、「その後」も気になるので、数年後にSPが1本作られること

を期待しよう。もちろんポイントは、七海の蚊取り線香の効果(笑)・・・じゃな

くて、2人が住む家。建築の際には、万里子(吉田羊)らも協力してるはず。

 

イメージ的には、フジの人気ドラマで続編まで出来た、『最後から二番目の

恋』の日本家屋がわりと近いかも。二階建てとはいえ、緑に囲まれて、海に

解け込んでた。

 

そう言えばあのタイトルは、次の恋、つまり最後から一番目の恋を想定して

るものだったね。それがもし二番目と同じ相手への恋なら、要するに『恋仲』

と同じだろう。もっともっと好きなる恋。あるいは、「恋仲」というより遥かに深

い、「愛仲」♪

 

実はこのレビュー。書き始める前に考えてた記事タイトルは、「下降する世界、

上昇する愛仲」だったのだ。ちょっと堅いし、語感が重いから、もっと軽くて

全体を表すものに変えたわけ。 

 

さて、そろそろ終わりにして、深夜の郵便局に出かけるとしようか♪ ノーマ

ルなドラマの後は、ノーマルな日常生活が続くのだ。「最終回」がいつ、どん

な形になるのかは不明。もっともっと良くなるかどうかは、ビミョーかも(笑)

 

それでは、今夜はこの辺で。。☆彡

 

 

       

cf. 葵へ 待っ(てるから) あかり~『恋仲』第1話

   「有心論」、心に神=キミが有るから・・~『恋仲』第2話

   斜めから復活、鯛焼きシャチホコの初恋~第3話

   PUNGENS(プンゲンス)、刺々しい裏切り~第4話

   二重化というアート=技術~第5話

   エドガー・アラン・ポーの小説『盗まれた手紙』との比較~第6話

   フィクションの建築、人間の設計~第7話

   100年続く家で、エバートラベル(永遠の旅)~『恋仲』第8話

 

                                  (計 6108字)

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