数学甲子園2015予選、全20問の問題、解き方、感想
(☆16年4月追記: やっと準々決勝の問題が発表されたので記事をアップ。
数学甲子園2015準々決勝、全問コメント&解き方 )
☆ ☆ ☆
記事ローテーション的にはそろそろ、大学レベルの数学の記事を書くべき所
だけど、ご無沙汰すぎて、ウォーミング・アップが必要だ♪ そこで、連休初日
の今日は、脳トレ感覚で数学甲子園2015の予選問題を全て解いてみた。
明日の9月20日(日曜)が本戦だから、タイミング的にも悪くない。
正式名称は、第8回・全国数学選手権大会。予選問題は日本数学検定協会
の公式サイトで、pdfファイルで一般公開されてる。模範解答という名の、単
なる答だけのファイルも公開中だけど、解説は例年通り、まったく無し。
私がかかった時間は測ってないけど、迷った時間は僅かだから、本気でや
れば50分~60分で出来たはず・・・と勝手に思っとこう♪ 極端に簡単な問
題が半分ほど入ってるから、何とかなるはず。特に前半でかなり時間を稼
げるのだ。当然、予選は100点満点が要求されるんだろう。悪くても95点か。
☆ ☆ ☆
以下、問題文は、そのままの引用ではなく、あえて省略表現にした。図だけ
は縮小コピペさせて頂いた。著作権的に許容範囲の引用だと考える。
問題1. y²-4-x²-4x の因数分解。
項の並び順がちょっといやらしいけど、甲子園の参加者なら秒速で、
y²-(x+2)² だと分かるはず。2乗-2乗の因数分解公式でおしまい。
答は、(y+x+2)(y-x-2)。速い人なら10秒のはず。
問題2. x=1/(4+√5),y=1/(4-√5)で、(y/x)+(x/y)の値。
対称式の値だから、基本対称式を使って、{(x+y)²-2xy}/xy
と変形。x+y=8/11、xy=1/11だから、代入して終了。
答は、42/11。分子の計算ミスに注意して、1分くらいか。
問題3. 連立不等式 3x+1 < 2x ≦ 5+4x。
マイナスと分数をからめた不等式で、片方だけ等号が付いてる。冷静に
素早く2つの式を解いて結合。答は、-5/2 ≦ x < -1。30秒以内。
問題4. 10進法で2桁の整数Nを7進法で表すと、各位の数が逆になっ
た。Nをすべて求めよ。
条件を逆転して、7進法で2桁の数「ab」を10進法に直すと、10進法
の「ba」になったと考える。7a+b=10b+a より、2a=3b。
a,bは1~6だから、(a,b)=(3,2),(6,4)。答は、23,46。
これは2、3分使っても十分。
問題5. 左図で x を
求めよ。
円に内接する四角形
の性質より、
∠EDC=∠EBA
∴ △EDC∽△EBA ∴ ED:DC=EB:BA
∴ x:3=9:5 ∴ x=3×9÷5=27/5 ・・・・・・ 答
10秒~30秒くらい。
☆ ☆ ☆
問題6. x²-5x+7=0の2つの解をα、βとおくとき、(1/α)+(1/β)。
これも基本対称式を使って、(α+β)/αβと変形。解と係数の関係
より、答は直ちに、5/7。20秒前後。
問題7. 90°<θ<180°で、cos θ=-√7/4の時、tan2θ。
解き方が色々あって迷う所だが、ベストの方法にこだわらずにすぐ計
算した方がいい。まあ、cosとtanだから、sinは使わないのが普通か。
1+tan²θ=1/cos²θ=16/7 ∴ tan²θ=9/7
θが鈍角だから、tanθ=-3/√7
倍角公式に代入、tan2θ=2tanθ/(1-tan²θ)=3√7 ・・・答。
計算ミスに注意。2分使ってもいいと思う。
問題8. (81のx乗)=9√3 の時、x。
指数法則を使って、(3の4x乗)={3の(5/2)乗}
∴ 4x=5/2 ∴ x=5/8・・・答
10秒~30秒くらい。
問題9. 円x²+4x+y²-8y=0の半径。
平方完成で標準形に直して、(x+2)²+(y-4)²=20。
∴ (半径)=√20=2√5 ・・・・・・ 答。15秒くらいか。
問題10. 7個のデータ、x1~x7の平均が14、分散2の時、新たなデータ
x8=18を加えた8個のデータの分散。
7個について、平均14より、Σxi=7×14=98。
また、平均と分散の関係式より、
2=(1/7)Σxi² -14² ∴ Σxi² = 1386
よって、8個について、Σxi=98+18=116。
∴ (平均)=116/8=29/2
∴ (分散)=1/8Σxi²-(29/2)²
=1/8(1386+18²)-841/4
=7/2(=3.5) ・・・・・・ 答
これは3分使ってもいいと思う。ここまで、前半は簡単だから、15分以
下で済ませたい所。後半はじっくり腰を落ちつけて。。
☆ ☆ ☆
問題11. 左図でDEを求めよ。
DE=xとおく。また、
∠EBC=∠ECB=(黒丸の角)
だから、EB=EC=yとおける。
△ACE∽△CDEより、
AE:EC=CE:DE
∴ 9:y=y:x ∴ y²=9x ・・・(1)
また、△ABE∽△BDEより、AB:BE=BD:DE
∴ 10:y=4:x ∴ y=(5/2)x ・・・(2)
(2)を(1)に代入して、 (25/4)x²=9x
x(>0)で両辺を割って、(25/4)x=9 ∴ x=36/25 ・・・答
私が今回、一番迷った問題で、5分以上かけたかも。もっと簡単に解け
るだろうと思って、色々考えたのだ。未知数をxだけにするのは簡単とし
て、他にもっとエレガントな図形的解法があるかも。。
問題12. AとBが試合をして、先に4勝した方が優勝。各試合でAが勝つ
確率は1/3。引き分けなし。6戦目でAが優勝する確率。
(5戦目までAが3勝2敗の確率)×(6戦目でAが勝つ確率)
={5C3×(1/3)³×(2/3)²}×1/3
=40/729 ・・・・・・答
二項分布で1分ほどで済ませて、前の問題での動揺を鎮める♪
問題13. 図の正方形で、Eは中点のとき、
cosθ。
1辺の長さを2としてもよい(一般性は保た
れる)。直ちに、BD=2√2。BE=√5。
余弦定理で、
cosθ={(2√2)²+(√5)²-1²}/2×(2√2)×√5
=3√10/10 ・・・・・・答
これも1分ほどで解答。ますます落ち着く♪
問題14. サンドウィッチを1個240円で売ると1日に250個売れる。1個
10円値上げすると、1日の売上個数は5個減る。売上金額を
最大にする販売価格と、その時の売上。
1個x円とすると、(1日の個数)=250-(5/10)(x-240)
=-(1/2)x+370
∴ (1日の売上)=-(1/2)x²+370x
=-(1/2)(x-370)²+68450
∴ (最大にする価格)=370円, (最大の売上)=68450円 ・・・答
1分半くらいか。これで完全復活♪
問題15. 水平面に対して、2つの
垂直な壁を角θで配置。平面上で、
一方の壁と平行に球を打ち出す。
図1は真上から見た様子で、球の
大きさは考えない。また、図2のよう
に、入射角=反射角。θ=30°の
時、球は壁で何回跳ね返るか。
摩擦力の話を書いてないけど、摩
擦ゼロの滑らかな平面と解釈する。
球の進路を書き込めば、3回目で壁と垂直にぶつかることが分かる。
よって、後は元の進路を逆に戻り、最後は壁と平行に進むだけ。
∴ (跳ね返り回数)=(前半2回)+(中間1回)+(後半2回)
=5回 ・・・・・・答
一見、無限回の難問かと緊張するけど、3回ぶつけて解決。2分くらいか。
☆ ☆ ☆
問題16. 図は1辺の長さ1の正
四面体で、DとEは中点。PはAE
を1:2に内分する点。OQの長さ。
Oから下ろした垂線の足をHとする
と、Hは△ABCの重心で、中線AEを
1:2に内分する。
よって、PH=EHだから、△OPHと△OEHは合同な直角三角形。
∴ OP=OE=√3/2
図形の対称性より、D,Q,Eが一直線上にあるのは明らかだから、
メネラウスの定理より、
(OD/DA)・(AE/EP)・(PQ/QO)=1
∴ (1/1)・(3/2)・(PQ/QO)=1
∴ PQ/QO=2/3
∴ OQ=(3/5)OP=(3/5)√3/2=3√3/10 ・・・・・・答
実際には反射的に、空間ベクトルの1次独立や内積で計算したけど、
ここでは中学の図形みたいに解いてみた。答を出すだけだから、この
方が速いと思う。これが2番目に迷う問題で、4分使ってもいい。
問題17. y=-2x-1と、これに接する2曲線、y=x²とy=x²-4xとで
囲まれた図形の面積
-2x-1=x²を解いて、最初の接点は、x=-1。
-2x-1=x²-4xを解いて、もう1つの接点は、x=1。
また、2曲線の交点では、x²=x²-4xより、x=0。
∴ (面積)=∫(x²+2x+1)dx (-1≦x≦0)
+∫(x²-2x+1)dx (0≦x≦1)
=〔(x+1)³/3〕 (-1≦x≦0)
+〔(x-1)³/3〕 (0≦x≦1)
=2/3 ・・・・・・答
簡単な積分だけど、3分使っても大丈夫。
問題18. 数列{An}の初項から第n項までの和Snがn²+2n+1の時、An。
A₁=S₁=4 ・・・・・・答の前半
n≧2の時、An=Sn-Sn⁻₁
=n²+2n+1-(n-1)²-2(n-1)-1
=2n+1 ・・・・・・答の後半
A₁だけ特別扱いにするのを忘れがちな所。その確認も含めて1分半。
問題19. (7の15乗)の桁数と、最高位の数字。ただし、log₁₀2=0.3010、
log₁₀3=0.4771、log₁₀7=0.8451。
10の2乗で3桁、10の3乗で4桁になるから、「7の15乗」が10の何乗
かを考える。つまり、底10の常用対数を使えばよい。
log₁₀(7の15乗)=15 log₁₀7=15×0.8451=12.67・・・
よって、桁数は13桁。 ・・・・・・答
また、最高位の数字は、(10の0.67・・・乗)の1桁目。
ここで、log₁₀4=2log₁₀2=0.602 ∴ (10の0.602乗)=4
また、log₁₀5=log₁₀(10/2)=log₁₀10-log₁₀2=0.699
∴ (10の0.699乗)=5
したがって、(最高位の数字)=(10の0.67・・・乗の1桁目)=4 ・・・答
普通の高校生にとってはやや難問だろうけど、参加者なら2分前後か。
問題20. x³-3x²-21x-a=0の異なる実数解の個数が2個となる定数a。
曲線 y=f(x)=x³-3x²-21x と直線 y=aが、極大点や極小点で接す
る場合を考えればよい。極大値と極小値が、求めるa。
f´(x)=3(x²-2x-7)
=3{x-(1-2√2)}{x-(1+2√2)}
(極大値)=f(1-2√2)=-23+32√2
(極小値)=f(1+2√2)=-23-32√2
∴ a=-23±32√2 ・・・・・・答
極値の計算はそのままやってもいいし、f(x)の式をx²-2x-7で割った
式を利用してもいい。
それでは、本戦出場者の健闘と盛会を祈りつつ、今日はこの辺で♪☆彡
P.S. 数学検定twitterによると、決勝の課題テーマは「同音異義」。同音
意義語をキーワードにした問題を作成したとの事。優勝は神戸女学
院高等学部Primeチーム。神戸は、学年の若いWSIOチームもベ
ストホープ賞を受賞。どうも、おめでとう☆
cf. 数学甲子園2016予選、全20問の問題、解き方、感想
数学甲子園2014準々決勝、全問コメント&問題10の解答・別解
数学甲子園2013予選のポイント、問題15の解説&解答
数学甲子園2012、予選問題&3日ぶりのラン、まだ暑い・・
数学の甲子園、全国数学選手権の問題にチャレンジ☆ (2011)
(計 4549字)
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コメント
鮮やかな解答で気持ちいいです。私は今年も会場に行って来ました。会場にいないと多分得られない情報を少し書きます(さらっと)。予選ですが、参加者=1663人で平均点は10.0点(一問一点)です。正答率の高い問題:問1(82.6%)、問3(82.7%)、問6(81.5%)。低い問題:問10(16.3%)、問16(17.7%)です。テンメイさんが一番迷った問11は正答率28.6%でした。
神戸女学院チームの優勝ですが、私の個人的な採点でも優勝でした。
投稿: gauss | 2015年9月21日 (月) 22時37分
> gauss さん
こんばんは。ご無沙汰です。
相変わらずフットワークの軽さが素晴らしいですね。
確かに、予選の正答率の情報はネットでも見当たりません。
公式twitterで、正答率の低い問題の解説シーンが
写真掲載されてるだけ。
予選通過が36チームだから、
1チーム平均4人として、 個人通過率は約10%。
この通過者たち限定の正答率も知りたいもんですね。
10倍の人数の参加者だと、こういった
正答率になるのは自然なのかも。
問題10の出来が極端に悪いのは、やはり
あんまし勉強しない分野だからでしょう。
最近のセンター試験には出てるけど。。
僕が迷った問題11の出来が3割近いと知って、
ちょっとショックでした♪
まあ、図形は中学生や高校生の方が遥かに
慣れてるってことか・・と納得しときます。
貴重な情報、ありがとうございました
投稿: テンメイ | 2015年9月22日 (火) 18時26分