「爆弾低気圧」の定義式における時間と緯度とは
「爆弾」というだけあっ
て、台風より強烈な天
気図だね。クモの巣み
たいな等圧線で、ちょっ
と苦手だったりする♪
左は日本気象協会よ
り(Yahoo!経由)。
昨夜は一時、台風より凄まじいくらいの風雨で、雷まで鳴ってたけど、台風
との違いをごく簡単に言うと、こうゆう事だろう。温帯か熱帯かの違いだ。
爆弾低気圧 = 強烈な「温帯」低気圧
台風 = 強烈な「熱帯」低気圧
☆ ☆ ☆
気象庁HPだと、爆弾低気圧(=「急速に発達する低気圧」などと言い換える)
について、下のように説明してある。コトバンクその他から考えて、元になって
るのは世界気象機関(WMO)の説明なんだろう。WMOのサイトでまだ発見
できてないが、知恵蔵(朝日新聞出版)や日本大百科全書(小学館)の説明
を信用しておく。
中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する
温帯低気圧(φは緯度)。例えば北緯40°なら17.8hPa/24hが基
準となる。(気象科学事典等による)
この気象庁の例え。あちこちに同じものが使われてるのに、実際の数値で計
算してるものが見当たらない。北緯40度なら次のような計算で、確かに17.8
となった。
24×sin40°/sin60°
≒ 24×0.643/0.866
≒ 17.8 (hPa/24h ・・・24時間あたりのヘクトパスカル)
☆ ☆ ☆
とはいえ、素直な性格のマニアック・ブロガーとしては、この程度の説明だと
「専門家にしては曖昧かも・・」と内心思ったりする♪
まず、24時間とはどこからどこまで測るのか。また、北緯とはどの時点で測
るのか。そもそも、「低下する」という書き方は、まるで今後の予測のようにも
聞こえるけど、そんな不確定な基準でいいのか。。
そう思った私は、英語版ウィキペディアの項目「explosive cyclogenesis」
(爆発的な低気圧の発達)のリンクを通じて、九州大学の厳密な定義式に
たどりついた。こ
のε(イプシロン)
の最大値が1を
超えたら爆弾低気圧(explosive cyclone)。
これが、九大「爆弾低気圧(bomb cyclones)情報データベース」が採用し
た定義で、「Yoshida and Asuma(2004)」の研究によるとのこと。ここで
は24時間ではなく12時間で決定。45°というのも、60°の代わりに、日本
の緯度に合わせて「規格化」したそうだ。
一見、sinの分数の分子と分母が逆のように思われるけど、不等式を変形す
ると、本質的に同じだと分かる。
{p(t-6)-p(t+6)/12}sin45°/sinΦ> 1
∴ p(t-6)-p(t+6) > 12×sinΦ/sin45°
(右辺が12時間あたりの基準値)
24時間と60度を使うのなら、下のようになるから、気象庁その他と同じ話。
p(t-12)-p(t+12) > 24×sinΦ/sin60°
(右辺が24時間あたりの基準値)
☆ ☆ ☆
それ以上の説明はないけど、12時間単位の場合について私が解釈すると、
次のようになる。
低気圧の圧力p(=海面更正気圧)と緯度Φ(ファイ)を継続的に測定&記録。
途中の各時点tで、6時間前から6時間後までの12時間の気圧低下と緯度を
求め、連続的にεを計算。最初に1を超えた時点で爆弾低気圧の発生とする。
ちなみに、元の英語の論文らしきpdfファイルを見ると、緯度Φというのも、6
時間前と6時間後の平均値で計算してた。九州大のアルゴリズムも、実はそ
うブログラミングしてるのかも知れない。下が、「サイクロン発達率」(Cyclone
deepening rate)の数式。12時間、60度で考えた基準。
あと、元の論文だと1を超えるのではなく、1以上(at least 1 Bergeron)
と書いてるはずだけど、純粋数学ではないから、実用的に同じことなんだろう。
現実だと、ちょうど1になるはずはないから、1以上になることと1を超えること
とは同じなのだ。
あぁ、スッキリした・・・と思うのは私だけかも♪ それでは、また明日 ☆彡
(計 1654字)
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