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ライスカレーとカレーライスの違い(by井上靖)~全国学力調査2016中学・国語A

今日も相変わらず、ひどい風邪で沈滞中。走るどころか歩くのもしんどいほど。

そこで、ボーッとした頭でも書ける記事をサラッとアップして、終わりにしよう。

 

2016年4月19日に行われた、文科省の全国学力調査。今年は熊本地震の

影響で、被災地の辺りでは実施されなかったとの事。対象は小学6年生と中

学3年生。教科は2つで、国語と算数・数学。ただし、それぞれ、知識を問うA

問題と、応用力を見るB問題がある。と言っても、特に国語だと、A問題でも

かなり応用的な内容が入ってる。

 

実際、「ライスカレーとはどのようなものか」という設問とか、知識を問う問題

とは思えない。私が受験生なら、問い自体がジョークかギャクだと思うはず♪

そもそもライスカレーは死語に近いだろう。しばらく見聞きした覚えはない。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

中学・国語Aの第3問は、文豪・井上靖のエッセイ「ほんとうのライスカレー

より。この作品、かなりマイナーなようで、検索してもなかなか初出情報が

出て来ないが、おそらく雑誌『あまカラ』150号&151号、1964年2月& 

3月、甘辛社だと思う。3年前、『カレーライス!!アンソロジー』(パルコエン

タテインメント)に収録されて、ネットに多少の情報が流れてる。

 

あまカラ150号記念の寄稿だろうから、全文読めば、「あまく、カラいのが、

ほんとうのライスカレー」とか、書いてたのかも♪ 既に50年前の文章でも

あるし、朝日新聞に掲載されてるのだから、ここでは問題で引用してる部分

の一部分だけ、孫引き(引用の引用)させて頂こう。

 

  当時私は祖母に育てられていたが、ごちそうというと、ライスカレー

  か、とろろか、箱ずしに決まっていた。田舎の老婆が作ったライス

  カレーがいかなるものであったか見当はつかないが、併(しか)し、

  私はそれがカレーのはいった特別な料理であるということで充分

  満足もし、また実際においしく食べた。 (・・・中略・・・) その味は

  いまに到るも忘れないでいる。残念なことは、その幼い日のライス

  カレーの味を私以外のたれもが知らないことである。 

                         (注2 たれ=だれ)

 

  (・・・中略・・・) 私の場合は自分の幼少時代のライスカレーだけ

  がライスカレーの名に値するものであり、他はすべてイミテーション

  であるという思いをどうすることもできないのである。

 

  私はいまも祖母の作ってくれたものをライスカレーと呼び、他は

  カレーライスと呼んで、きびしく両者を区別している。

 

 

         ☆          ☆          ☆

これを今回読んで、富山新聞社のコラム「時鐘」は、「長年の、どうでもいい

ような難問が、やっと解けた」とまで書いてた♪ 自分の思い出に刻まれた

手作りの味が、ライスカレー。その意味では、最近、地震の被災地のあちこ

ちで炊き出しされたのも、本物のライスカレーというお話だ。

 

一方、学力調査の設問の一は、「ライスカレーの名に値する」の意味。もち

ろん答は1、「ライスカレーという名前で高値が付いている。」・・・ではなく、

4、「ライスカレーという名前にふさわしい価値がある。」となる。

 

多少、頭が回る中学生なら、「選択肢4よりも、むしろ、『本物の価値がある』

と書く方が最も適切」だと内心思うだろうが、そうした不満は心の奥に留めて、

出題者の意図に合わせて回答する。こうして、大人の階段を登るのだ♪

 

設問の二は、「『私』にとってライスカレーとは」という問い。最も適切なのは、

1、「祖母が作ってくれたものと同じ味になるように、娘が工夫をこらして再現

した大切なもの。」・・・ではなく、2、「幼い頃に祖母が作ってくれた忘れられ

ないものであり、カレーライスとは区別しているもの。」となる。

 

折角の家族のあまい心配りを理解できない、カラい人間ということか♪ あま

カラなのだ。全国の中学生にとっては、反面教師の大人ということだろう。。

 

 

          ☆          ☆          ☆

ところで、ライスカレーとカレーライスの違い。もちろん、今現在のネットにも

各種の情報が流れてる。

 

私自身は、そもそもライスカレーという言葉と触れる機会がほとんど無かった

と思うけど、カレーとライスが別になったものとか、炊飯器に残ったご飯に直

接カレーを入れてかき回したもの(笑)とかを、ライスカレーと呼んでた気もす

る。要するに、変わったタイプのカレーにちょっと違う名前を付けたということ。

 

これに対して、ハウス食品の説明には、私と逆の意見も紹介されてた。ただ

し、正解はない。

 

  最近、ライスカレーという言葉はほとんど耳にしなくなりましたが、

  20年ほど前まではご飯にかかって出てくるのがライスカレーで

  別々なのがカレーライスだとか、どっちが正しいとか、何かという

  と話題になったものでした。

  時代的にはライスカレーの語が先ですが・・・・・・(以下、略)

 

 

ちなみに、昨日の東洋経済オンラインは、ライスカレーという言葉は札幌の

クラーク博士が考案したといわれる、と書いてた(執筆はモノ・マガジン編集

部)。

 

しかし、ハウス食品はこの説を否定。理由は明快で、クラーク博士の来日以

前に、陸軍でライスカレーという言葉が使われてたから。ウィキペディアも、

ハウス食品の説明を年表に引用してた。ただし、ハウスはこの説明の根拠

とか出典までは書いてない。 

 

 

          ☆          ☆          ☆ 

一方、S&Bエスビー食品の特設ページにも、ハウスと似たような説明が

書かれてた。要するに、正解は無い。先にあった言葉はライスカレー。ク

ラーク博士説に対しては、「確証があるわけではありません」。ハウスの

陸軍説には触れてない。

 

ちなみにロケットニュース24は、S&Bの説明を誤解したのか、あるいは昔

のS&Bの説明が少し違ってたのか、「明確な違いがある・・・エスビーによ

ると・・・」と書いてる。かなり簡単な記事だし、筆者名も無いから、おそらく

誤読だと想像する。意図的な釣りかどうかはさておき。 

 

最後にコトバンクの『デジタル大辞泉』、『大辞林 第三版』、『世界大百科事

典』で「ライスカレー」の説明を見ると、どれもカレーライスと同じ扱いになって

た。ライスカレーという特別な言葉に対して、辛口の姿勢とも言える。天国の

井上靖も激怒してるかも♪

 

 

          ☆          ☆          ☆   

私としては、田舎から首都圏に出て来て一番驚いたのは「オムレツ」だった。

田舎の母が作る、具がたっぷり入ったオムレツのみがオムレツの名に値す

る料理。他は、卵焼きと呼んで、きびしく両者を区別している♪ 店員にク

レームつけそうになったほど(実話)。

 

お雑煮の違いもかなり驚いたけど、長くなるので、今日はこの辺で。。☆彡

 

                      (計 2659字)

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