プリンスの『We are the world』不参加の理由~NHK『songs』と英語情報
昨夜(16年5月26日)、家で雑用をこなしてる時、たまたま新聞の番組欄で
プリンスという名前が目に付いた。NHK『songs』(22時50分~23時15
分)。既に23時05分だったが、試しにテレビをつけてみると、1985年の
有名な大ヒット曲、『We are the world』の話が始まった時だった。
アフリカの飢餓と貧困を救うために、マイケル・ジャクソンやライオネル・リッ
チーら、当時のトップ・アーティスト達が勢ぞろいして、USA for Africa
を結成。曲もビデオもいい出来で、東日本大震災の時にも日本で流れてた
から、聴けば多くの人が「あぁ、この曲か」と分かるだろう。著作権が不明な
のでリンクは付けないが、動画はネット上に溢れてる。黙認ということか。
その曲の録音は1985年1月で、プリンスの代表作『Purple Rain』の発表
の翌年。当然プリンスにも声がかかって、参加する予定だったのに、急に不
参加となって、代わりにアルバムに曲を提供することになった。
☆ ☆ ☆
これをNHK『ソングズ』では、ドタキャンと呼んで、みんなと一緒に歌うのが
嫌だったからといった感じで説明。直後に、複雑な生い立ちを紹介してたか
ら、多くの人はなるほどと思っただろう。何しろ、番組のサブタイトルが「プリ
ンス ~孤独な天才~」なのだから。
ただ、私としては、その説明の単純さが気になった。間違いとも言えないけ
ど、テレビの影響力を考えると、日本では今後、それだけが正解扱いされ
てしまう可能性もある。25分の音楽バラエティの一口情報に過ぎないのに。
そこで、先日の『パープルレイン』の歌詞解説記事と同様、英語圏の情報を
チェックしてみよう。ただし、出勤前の朝だから、ごく簡単なものでお茶を濁
しとく。
なお、パープルレインに興味のある方は、下の記事をご参照あれ。英語イ
ンタビューと英語歌詞に基づき、日本ではなかなか見当たらない解釈を示
してある。
Prince追悼、「Purple Rain」(パープル・レイン)の英語歌詞の意味
☆ ☆ ☆
先に、日本で一般によく使われる日本語ウィキペディアを見ておく。「ウィ・
アー・ザ・ワールド」の項目には、こう書いてあった。
プリンスにも出演を頼んだが、トラブルに巻き込まれ収録時間に間に
合わずキャンセルされたためマイケル・ジャクソンが二回ソロを歌って
いる・・・・・・
ところが、日本語ウィキでよく見かけるように、情報のソースとか出典が何
も付いてないし、英語で検索しても見つからなかった。普通に読むと、交通
渋滞とかを思い描いてしまうが、そういった分かりやすい理由なら、どこか
の英語メディアにハッキリと書いてるはず。
とりあえず、単なる不確かな参考情報として聞き流しとこう。それより、英語
圏で調べた方がいい。プリンスの死因についても、現地のメディア報道の
方が遥かに早かったのを思い出そう。
☆ ☆ ☆
日本語のウィキペディアと違って、英語版ウィキは一般にかなり評価が高
い。紙の百科事典より上だという評価さえあるほどで、私もよく読んでる。
実際、『We Are the World』の項目を見ても、全体的に詳しいし、出典
も多数ついてるのだ。
時間がないので、ザクッと大まかに訳そう。正確な直訳ではないし、読み
やすさのために改行を入れてるので、念のため。
招待されてたミュージシャンのプリンスは、マイケル・ジャクソンと
一緒に歌うことになってたが、録音に参加しなかった。
欠席の理由として挙げられてるものには、色んなものがある。
ある新聞は、他のミュージシャンと一緒に録音したくなかったの
だと主張した。
別の報告では、まとめ役のボブ・ゲルドフが彼を「ぞっとするほど
嫌な奴(=クリープ)」と呼んでるからだと、ほのめかした。
☆ ☆ ☆
上の2種類の理由らしきものの内、最初のもの(注12)は、CNNによる
1999年の年譜の説明。ごく簡単に、「他のミュージシャンと一緒には録音
しないという理由で」とだけ書かれてる。
2つ目の、ちょっと特殊な理由は、85年4月の『Evening Independent』
(イブニング・インディペンデント)が書いてるもの。口が滑ったと言うより、仲
が悪かった、折り合いが悪かったという意味だと思う。『Rolling Stone』
(ローリング・ストーン)誌で語られたらしい。
ただし、当時のプリンスの広報担当は否定。プリンス自身が何もメディアに
語らないので書き放題なのだと説明してた。
☆ ☆ ☆
なお、追加の詳しい情報も「Steve Perry News」で発見したけど、信頼
性が微妙なサイトでもあるし、リンクを付けるだけにしとこう。かなり詳しい
情報で、あちこちの情報源からの寄せ集めのような気がする。
まあ、理由に関わらず、直前になっての不参加というのは、若きプリンス
らしい行動だと思う♪ 陽のマイケル、陰のプリンスなのだ。
それでは今朝はこの辺で。。☆彡
(計 2032字)
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コメント
https://news.mynavi.jp/article/20180703-658744/
当時プリンスの恋人シーラが参加していたのを多くの人が知っていると思うが、彼女が招かれたのは、プリンスを参加させるために、連絡役説得役にするのが一番の目的意図であったのがここで暴露された。
彼女には「君のソロパートもあるから残っていてくれ。そしてプリンスに電話して来るように説得してくれ」と大物プロデューサーは甘言で釣る。
プリンスはシーラに「君のソロが録り終わったらそこに行くよ」と返事。
その後何度も電話するが同じ返事。
最後にもう一度電話してくれと頼まれて電話したら、
「君のソロパートが録られることはない。君は連中に利用されているだけだ」と言ったという。
we are the worldの最大の目玉はプリンスとマイケルの共演だったのだが、ここで立ち消えた。。。
その後、BADという有名な曲があるが、実はこれもプリンスと共演用に作られた曲だった。これもプリンスは共演を拒否したのは有名な事実だが、
驚くべきことにこの番組でシーラが言うには、「プリンス版のBADを一緒に作って完成品にまでいった。もう信じられないくらい良い曲。ところが、出来た途端に、『じゃ消すか』と言って消去しちゃった。えー!!!」「天才って厄介よね」
投稿: 札束 | 2018年7月 6日 (金) 03時10分
> 札束さん

はじめまして。情報コメント、どうもです。
私はその番組を見てませんし、リンク先にもその他にも、
実質的な情報が見当たりません。
お書きになったのは、番組内で語られた事の引用でしょうか。
シーラ・E関連で改めて英語情報を探してみました。
2016年の記事に書かれてる、2014年の情報によると、
シーラ・Eの話が出たのは既に不参加が決まった後のようです。
つまり、シーラ・Eは不参加の原因ではなく、結果。
https://wtvr.com/2016/04/22/
why-prince-was-not-part-of-we-are-the-world/
不参加の原因は複雑なようですが、最後の決め手の一つに
なったのは、ギター演奏を拒否されたことだとされてます。
なるほど・・と納得できる説だと思いました。
一方、「天才って厄介よね」のエピソードは笑えますね♪
こちらも、いかにもプリンスらしいものです。。
投稿: テンメイ | 2018年7月 6日 (金) 13時51分
お返事ありがとうございます。
はい。番組内でシーラが語っていることを、記憶で要約したものです。
「今からその時に起こった真実を話すわ」という出だしと、再現フィルムみたいのを交えて進行していました。
元々、プリンスからは、「行けないかも」と伝えてあったが、はっきりとした拒絶ではないため、シーラを招待して説得させようと目論んだと、名前は今思い出せませんが、大物のプロヂューサーが顔出しでカメラの前で証言していました。「汚いことは認めるが、最善を尽くすのが私の仕事だ」
でもプリンスはそれを見抜いていたんですな。曲と同じようにメチャクチャクールな男だったってわけどす。
で、私は、私見ながら、もう一つ、彼は重大なことを見抜いていたと思います。we are the worldは、彼が、プリンスが歌うべきものではないとしていたのではないでしょうか?私の勝手な思い込みですが。
the tourists at Disneyland(lady cabdriverで出てくる単語、もしくはsexualityでも出てきた単語です。They look at life through a pocket camera)にはならないと生涯決めていたんじゃないでしょうかね。マイケルはデズニー好きだったわけで、嗜好が全然違う。。。
投稿: | 2018年7月 7日 (土) 06時07分
再放送するそうです!!
アナザーストーリーズ「We Are The World 奇跡の10時間」
2018年7月9日(月) 23時45分~24時45分 NHKBSプレミアム
あなたも絶対に知っている名曲「We Are The World」誕生の舞台裏!マイケル・ジャクソンが手がけ、ボブ・ディラン、スティービー・ワンダー、ダイアナ・ロスら全米のスター歌手が集って作ったチャリティーソングなのは有名だが…!!たった一晩で行われたレコーディングでは事件続出!?一癖も二癖もあるスーパースターたちが起こした珍騒動と感動秘話とは?奇跡の一夜の知られざる真実!プリンス不在の真相も!
投稿: | 2018年7月 7日 (土) 06時16分
> 名無しさん

これは、札束さんの連続コメントでしょうね。
当サイトはコメントに名前を求めているので、
よろしくお願いします。
大物プロデューサーとは、各種情報から普通に考えると、
クインシー・ジョーンズでしょうね。
元々、当時のプリンスの考え方や生き方とあまり合ってない
企画だと思いますが、ギター演奏くらい認めて欲しかったかも。
目立ちすぎというなら、シンディ・ローパーやブルース・
スプリングスティーンも思いきり目立ってますから♪
『Lady Cab Driver』の歌詞を見ると、
「the tourists at Disneyland」のかなり前に、
「this demon out of me」とか、
「I'm drownin',mass confusion in my head」
と書いてます。
つまり、自分自身にも色んな思いが錯綜してるからこそ、
女性に吹っ飛ばして欲しいわけでしょう。
それを気軽に女性に求める辺りがまたビミョーだと自分で
分かってるからこそ、行き場のないエネルギーが爆発する。。
再放送は見れませんが、私の脳裏にはプリンスのギターで
シーラ・Eその他が歌う様子がハッキリ浮かんでいます。。
投稿: テンメイ | 2018年7月 8日 (日) 18時46分
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/07/06/015821
このブログですと、番組内で出てくる言葉が、ほぼ全部活字にして記録されています。まだ途中で、「つづく」となっていますが。
もっと裏方用のプロヂューサーらしいのですが、ケン・クラゲンという人でした。
90年代に入って、確固としたエスタブリッシュメントとなり、その変人ぶりを、日本でさえも嘲笑や小馬鹿にする声が聞こえてこなくなっても、当人自身はいつだってプリンスそのままだった。
https://twitter.com/DJHeatDC/status/723218534277484544
歌わないで、こんなに感動を与えるとは!!
投稿: 札束 | 2018年7月 8日 (日) 22時56分