隠された想い、隠しきれないハート~『好きな人がいること』第4話
それね 中にキイチゴが丸ごと入ってるの
テーマは 「隠された想い」
キイチゴの赤は 情熱っていうか
人の一番強い気持ちの象徴なの
かなえたい夢とか 守りたい大切なものとか
誰かを好き・・とか
けど そういう気持ちって
みんながみんな 表に出せるわけじゃない
でも ちゃんと ここにある
表から見えなくても 大切に 内側にしまってある
そういうイメージで作ったんだ♪
☆ ☆ ☆
美咲(桐谷美玲)が、涙の滴(しずく)の形をしたケーキを創って、視聴者
に・・じゃなくて、夏向(山﨑賢人)に説明したシーン。ケーキの上には、
真珠の涙みたいな粒までトッピングされてた。
FOD(フジテレビ・オン・デマンド)で無料配信されてる台本と比べ
ると、実際に放映されたテレビドラマはやっぱり微妙に違ってる。桐谷
によるものか、演出の森脇智延によるものか分からないけど、現場の
アレンジとして上手いのだ。
上で引用したのはドラマの台詞。それに対して、元々の台本は「野イチ
ゴ」だし、次のような言い回しになってた。脚本・桑村さや香、脚本アドバ
イス・LiLy、脚本協力・大北はるか。
一番強い気持ちの象徴なんだよね。
夢をかなえたいとか、大切なものを守りたいとか
・・・・・・誰かを好きとか
(中略) でも、ちゃんとここにあって・・ (以下、略)
要するに、ドラマより多少きっちりした、長めの文章なのだ。分かりやすい
違いは、「一番強い気持ち」の表現。
元の台本では、「かなえたい」、「守りたい」、「好き」となってて、気持ちを
表す文が3つ続いてる。主語は省略してるけど、現代国語や小論文の
テスト的な、揃った形式♪
ドラマだと、イチゴという目立つ物体を映した直後だから、台詞も名詞
の形が2つ続く。「かなえたい夢」、「守りたい大切なもの」。イメージ的
に、イチゴと重ねやすい。ただし、最後だけはやっぱり、台本通り、気持
ちをそのまま表す文(の述語)になってる。「好き」。。
☆ ☆ ☆
いきなり細かい理屈を書いて読者を減らしたところで(笑)、『好きな人
がいること』第4話。
今回の記事タイトルは、
「行きたい・・♡ 行くな!♪」
とかにしたいと想う所。一応、カタカナでなく漢字で。
しかし、小市民ブロガーの理性、頭が止めるから、書けないのだ(笑)。
書いとるわ! 新聞のサブタイトル「つのる想い」とは、こうゆうことか。
ソフトなプレイ、焦らし責め。
ちなみに、花火みたいにドカーンといくのが男、ビッグウェーブに乗って
高さをキープしていくのが女だろう。花火と波のコラボ。相性もあるし、
どちらも技術とエネルギーが必要だ。「火花」なら又吉♪
下は湘南の藤沢市観光協会HPより。夏の江の島の納涼花火は、
8月22日とのこと。江の島マイアミビーチショーのイベントの
1つ。20分で終わるローカルっぽさが逆に、いいね。秋には
2倍の規模で開催。どちらも場所は、片瀬海岸・西浜。
ドラマのチラシじゃなくて、パンフレットでもなくて、フライヤーだと、
江「ノ」島とカタカナで、8月7日、時間は30分だ♪ 細かっ!
☆ ☆ ☆
話を今回の本題に戻そう。内側でつのる想いを外に出したいという感情・
欲望と、出せないという思考・理性。2つの力の衝突、葛藤は常にあるわ
けで、ドラマではそれぞれの登場人物について描き出してた。
あえて一言でまとめると、想いはこんな感じだろう。
美咲 「千秋さんと花火行きたい。好き ♡」
夏向 「千秋とは行くな! 俺と行け!」
千秋(三浦翔平) 「本当は、俺たち兄弟は・・」
冬真(野村周平) 「俺、このままじゃヤバイよな・・」
楓(菜々緒) 「千秋に言えなかったけど、私、実は・・」
風花(飯豊まりえ) 「さよなら・・なんて言いたくないのに・・」
愛海(大原櫻子) 「お兄さん、会いたかった・・♪」
東村(吉田鋼太郎) 「戸籍をバラされたくなければ店を譲れ」
私も、実生活でもブログでも隠された想いが色々あって、例えば
・・・エッ、聞いてない? あっ、そう♪
☆ ☆ ☆
桑村という新人脚本家は、去年の『恋仲』もそうだけど、かなりしっかり
基本的な骨組み、構造を作ってる。斬新さはともかく、芯を通すテクニッ
クがあるのだ。各回のドラマでも、全話のストーリーでも。
今回だと、おそらくほとんど気付かれてないと思うけど、途中で実果子
(佐野ひなこ)が夏向に話した何気ない言葉は、三重に働く高度なもの
だった。
もちろん、恋は頭ではなくハートでするものだという分かりやすいアドバ
イスのことではない。中盤、22分くらいの、山のBBQ(バーベキュー)
シーン。「行くなって言えば良かったのに」。
☆ ☆ ☆
これは直接的には、夏向を手伝ってた美咲を千秋が釣りに連れ出したこ
とを指してる。実果子は年上だし、夏向のほのかな恋心に気付いてるか
ら、自分に嘘つかずに素直になれと忠告したのだ。美咲、兄貴と釣りなん
か行くな。俺の横で料理手伝え!
ところがこの台詞は、直前のシーンのラストに、声だけで導入されてる。ド
ラマでも台本でも同じ。楓が千秋と水汲みに行って、美咲が取り残される
シーン。だから、実果子の「行くなって言えば良かったのに」は、美咲への
アドバイスの形にもなってる。
そして今回のラストでは、夏向が「行くな、花火大会」と言うことになった。
何気ない脇役の台詞に、三重の重要な意味を重ねるのは、かなり珍しい
ことだ。釣りに行くな、水汲みに行くな、花火大会に行くな。
さらに夏向の「行くな、花火大会」は、美咲の「花火、行きたい」とキレイな
コントラスト(対比)をなしてる。この2つこそ、まさに主人公2人の隠され
た想い。つのる想い。
大枠のストーリーは若者向けのベタな恋愛ものとしても、かなり技術を
要する台本=脚本になってるのだ。
☆ ☆ ☆
ドラマでカットされた部分も1つ紹介しとこう。風花に正論で批判されて、
冬真が逆ギレしたシーン。お前なんか顔が可愛いだけだと、暴言を口に
する直前、台本だとこう書かれてた。
冬真、風花のネックレスに触れ、
冬真 「こういうのってさ、喋らないからいいんだよね」
風花 「え?」
風花をネックレスと重ね合わせて、お飾りのアクセサリー、「物」に過ぎ
ないと告げる。心を持つ人間としての風花が意表を突かれる様子の、
簡潔な描写。人格の全否定。私が監督ならカットしないけど、単に野
村が忘れただけかも♪
今回の監督は、台本のシーンの順序も少し変えてた。目立つ違いは、
愛海の登場シーン。
台本だと、冒頭の釣りのシーンで、冬真が「思い出のマーニーみたいな
子」と話した少し後で、愛海(マナミ)が登場する。ドラマでは、家で兄2人
を待つシーンの直前に持って来てた。これはどちらでも、それなりに筋が
通ってると思う。
☆ ☆ ☆
最後に、その『思い出のマーニー』。私は全く知らなかったけど、ジブリ
のアニメで有名になったらしい(2014年)。
英国の原作小説、ロビンソン作、『When Marnie
Was There』(マーニーがそこにいた頃)自体は、英米だと
あまり話題になってない。英語版ウィキペディアの項目も無いし、英語
で検索すると日本のアニメに関する記事が目立つのだ。
要するに、海辺で出会った不思議な少女で、日本のアニメや翻訳を見る
と、マーニーは白い服を着てる。原作の服装は未確認だけど、英国アマ
ゾンの中身検索で「white dress」(白い服)を着てるらしいことは確認。
日本語のウィキであらすじを読むと、児童向け小説というより、幻想小説
みたいな筋書きになってた。下の画像は、岩波書店HPより。
☆ ☆ ☆
もし、原作のマーニーと同様なら、愛海は兄弟の誰かの「死んだ祖母」と
いうことか♪ まるで前クールの月9、『ラヴソング』第8話みたいにシュー
ルで、いいね(笑)
あの時は、ヒロインが海辺に行くと、子ども時代の自分が座ってて、仲良
くお話したのだ。あまりに唐突なファンタジーの挿入に、ほとんどの視聴
者が気づかなかったほど。
マーニーじゃなくてマニアとしては、今回の月9でも遊び心を期待しよう♪
そもそも現実の人生自体が、儚い幻想とも言えるのだから。第3話の
8.7%から視聴率が回復することを願いつつ、今日はこの辺で。。☆彡
cf. ケーキより甘い梅干し♪~『好きな人がいること』第1話
ご褒美としての笑顔、言葉、台本~第2話
自分の気持ちに嘘つく理由~第3話
告白のタイミング、返答のための時間~第5話
東京タワーから見えないもの、中心の欠如の補完~第6話
母の欠如を補う、死んだ父~第7話
希望(ESPOIR)の裏返しとしての嫉妬(RIOPSE)~第8話
彼方の夢、夏向のガラス玉~第9話
ノープラン、手ぶらのときめき旅行~最終回
(計 3343字)
(追記 131字 ; 合計 3474字)
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コメント
テンメイ様、こんにちは。
暑中お見舞い申し上げます。
いよいよ・・・五輪の季節でございますね。
夏休み前の小学生のように胸は高鳴らなくなりましたが・・・混迷する世界にあっていろいろとハラハラするリオ五輪です。
一方・・・斜陽産業となりつつあるテレビ局の
黄昏のコンテンツ「月9」への
励ましのレビューに胸が熱くなる今日この頃です。
昔から一流の演出家でも二流の脚本では困惑し
二流の演出家でも一流の脚本なら安堵すると申します。
まあ・・・脚本優位の立場からの発言ですが。
前季も今季も若い脚本家が
それなりにいい味出してますよね。
両者とも・・・なかなかに文学的でございます。
お茶の間もそれなりに受け取ってくれると
よろしいのですが・・・ある程度の教養とか・・・
積極的な観賞力も必要ですからねえ。
心に秘密があるもどかしさ・・・。
そういう事柄を重ねてきて
主人公がパティシエとして主題をケーキで表現する。
なかなかの趣向ですよねえ。
そういうことがお茶の間に伝わっているのかどうか
掲示板やつぶやきだけでは
なかなか量りかねますが・・・最近では
「月9」をこよなく愛するドラマブロガーたちも・・・少数派になってきているようです。
コンテンツとファンダムの関係も曲がり角に来ているのかもしれません。
そういう意味で天使テンメイ様のレビューは
実に心温まりますな。
熱中症の季節です・・・どうかご自愛くださりますようにお願い申しあげます。
投稿: キッド | 2016年8月 4日 (木) 06時53分
> キッドさん




こんばんは
暑中お見舞いコメント、ありがとうございます。
ようやく関東も真夏らしくなりましたね
五輪に限らず、期待で胸が高鳴るという
経験は本当に減ってます。
落ち着いたというか、枯れて来たというか (^^ゞ
スポーツにせよ、ドラマにせよ、芸能にせよ、
小学生の頃は何でも「夢」中になってました。
ところが大人になるにつれ、夢と現実の違いも分かって
来るし、現実がどんなものかも分かって来る。
おまけに自分の心身のパワーも余裕も減って来る。
ワクワク、ドキドキ感は当然、薄れてしまいますね。
振り返ってみると、ここ数年、胸が高鳴る経験は、
1年に1回あったかどうか
おまけに、どれもすぐ消え去ってしまいました。。
逆に、静かな不安、小さなドキドキは増すばかり。
たとえば最近のニフティ。
@ホームページに続いて、マイ・キャビも終了。
ブログ管理ページのお知らせとか、ニフティからの
重要メールを見るたびにドキッとします。
富士通は日本の電気関連だと健闘してる企業でしょうが、
だからこそ経営にはシビアかも。取捨選択。
ココログはシステム自体も初期のものですからね。
ブログの引越しになったら、レイアウトとか
ガタガタに崩れるだろうし、検索サイトの扱いも
悪くなるよなぁ・・とか、今から心配してます。
話をドラマやレビューに戻すと、フジ月9。
7年前くらいなら、まだフジテレビにも月9にも
キラキラ感がありましたが、今や斜陽、黄昏。。
特にここ1年の月9は20代前後の若者に



ターゲットを絞ってる感があるので、
かつての月9視聴者が急速に離れてる気がします。
それは、ウチのアクセス解析からも明らか。
ブックマークで入って来る常連さん達が、
月9レビューをクリックしない。
それどころか、来る頻度が減って、やがてほぼ消える。
たまたまキムタク主演がプチご無沙汰ですしね。
まあ、ウチの常連さん達の6~7割はドラマ・
芸能関連だから、週1のレビューに興味が無くなると、
読むものがないということになるんでしょう。
こちらとしては毎日、書きまくってるわけですが (^^ゞ
とにかく、月9への高揚感が減ると共に、
新たな視聴者は深くじっくり味わうことをしない。
SNSで瞬時のごく短い言葉をやり取りするとか、
ペンギンのグッズが可愛かったとか、
烏帽子岩が出てたとか。
木苺の検索アクセスがちょっと入ってる程度。
こんな中で、月9のマニアック・レビューを
書き続けるというのは本当にむなしい事です。
膨大な努力を積み重ねて、残るのは自己満足くらい。
自分では面白がってるんですけどね♪
書き手としても、読み手としても。
逆に、今の時代でも変わらず需要があるのは、
ウチだと理数系、特に数学系の記事。
これはSNSで扱いにくいし、実力差もハッキリ
出るから、記事を書く意味があります。
語学や文学の記事とかも、そこそこ行けますね。
というわけで、実は最近ずっと、
もう月9の毎週レビューは止めようかな、
初回と最終回だけ、あるいは初回だけでいいか・・
とか考えてました。
その代わり、理数系の記事を増やすとか。
その意味でも、キッドさんのコメントはタイムリー。
もうちょっとだけ頑張ろうかという気になりました
放映直後の台本の無料配信なんていうのも、
画期的な企画ですが、ほとんど反応がありませんね。
今、「好きな人がいること 台本」でツイッター検索を
かけると、僅か2つしかヒットしませんでした。
「好きな人がいること 脚本 配信」だと、ゼロ。。
脚本がどうとか、脚本家がどうとか、よくネットで
書かれてますが、実情がよく分かります。
本気で脚本というものに向き合ってる人はごく僅か。
作り手の側はお金もらってやってる仕事だから
いいとしても、テンションは上がらないでしょう。
演出家=監督も含めて。
美術さんの方がやりがいあるかも♪
実はよく見ると、前季も今季も、若手脚本家は
頑張ってますよね。それなりに。
時代や需要を考えた上で、文学的なものも加味。
アートの香りがほのかに漂ってます。
ファンダム(ファン達、ファンの文化)の大部分が
そうした部分を素通りするとしても、
ごく一部のファンはしっかり見てる。
そして、ほんの一部のブロガーがしっかり書いてる。
ドラマブロガーの世界も完全な斜陽、黄昏ですが、
キッドさんくらい専門化すれば大丈夫でしょう
ウチも、週1回くらいは何とか頑張り続けたいと
思ってますが、月9だけ特別視する必要はないかも。
ま、今期はこのまま続けるでしょう。多分。。
熱い励ましのお言葉、どうもでした。
熱い夏、五輪を楽しみながら、ご自愛ください。
ではまた。。
投稿: テンメイ | 2016年8月 5日 (金) 22時57分