是永是之の小説『犬っぽいっすね』内容&外見も大切~『地味にスゴイ! 校閲ガール』第3話
(☆17年9月21日の追記: スペシャル版のレビューをアップ。
心の分かりにくさ、他人も自分も~『地味にスゴイ!DX』 )
☆ ☆ ☆
是永是之(ぜえいぜえ=これながこれゆき:菅田将暉)のシュール
な小説、『犬っぽいっすね』を読みたいとかいうツイートは、検索する
と200前後も出る。ところが、誰一人としてホントに読んだ人はいな
い感じだ。静止画像で簡単に読めるし、「中身」もちゃんとあるのに。
「外見」の小説タイトルとイメージしか目に入らないようだと、おでん屋
の大将(田口浩正)に叱られるかも♪ もちろん、外見「も」大切って
お話だけど、内面「も」大切。
第2話で映った小説の内容は、前回のレビューで紹介した通りで、題名
の意味が既に示されてた。「犬っぽい」とは、押し寄せるような心と自然
の激しさを表す言葉で、「猫っぽい」の対立概念なのだ。
今回はこの小説のラストらしい(?)ページをほぼそのまま引用させて
頂こうと思ったけど、やっぱり止めとこうか♪ おそらく、宮木あや子
の原作とは違うと思う。脚本家・中谷まゆみが書いたのか、あるいは
美術さんのオリジナルか。案外、是永みたいな覆面作家とか。
☆ ☆ ☆
あらすじは次の通り。まさかあの映像に著作権を主張されることはない
と思うけど、直接の引用はとりあえず避けとく。女性の苗字は、私のテ
レビ録画だとボヤけて読み取れなかった。
語り手の高校の同級生で、物語の主人公らしい、秋葉原実松が、
山奥の急流にかかる吊り橋で、筋違橋ひよけ(?)という乙女と
「犬っぽい」状況になる。夢中で求め合うふたりの足、絡み合う舌。
ところが、吊り橋で足を踏み外して、2人はまっさかさまに谷底に
落下。実松の「犬っぽいっすね」という言葉だけが空中を漂ってる。
やがて、抱き合ったままの遺体が発見され、心中として扱われた。
それを記事にしたアメリカ人記者、ステファン・トーマスマンが、実
松の最後の言葉を「I LOVE YOU」と脚色。これがまた、別の物
語を生むことになって、別の機会に語られるらしい。。
☆ ☆ ☆
というわけで、明るく楽しく健全なコメディの裏側で、ひそかに暗い
死のストーリーが描かれてるのだ。ほとんど誰も気付かない形で。
そういえば実松&ひよけの犬っぽい愛も、誰も気付かない場所で
形になってた。
気付かないと言えば、このドラマの演出(若手らしい小室直子)にも細
かい仕掛けがある。
例えば、森尾(本田翼)が彼氏と電話してるのを、河野悦子(石原さとみ)
が後ろでこっそり盗聴してたシーン。ギョッとする森尾の向こう側には、
虫眼鏡を持った探偵らしき少女のポスターが貼られてた。
要するに、探りを入れる悦子と少女探偵を重ね合わせてるわけだ。
あれは多分、前回の「解きかける少女」だろう。
他にも、悦子が森尾からゲットした可愛いショートブーツは、前回の
ラスト、幸人(=是永)のファッションと同じ豹柄系になってる。あの何
気ないシーンは、森尾が所有してる幸人を、悦子も気に入って奪い
取ろうとする流れを暗示したもの。そして、選ぶポイントは外見。
☆ ☆ ☆
さらに藤岩(江口のりこ)が、大好きな作家・四条真理恵(賀来千香
子)のパーティーで着てた妙なドレスは、ロリータ系。20年前、初め
て四条の小説を読んだ少女時代の気持ちを持ち続けてることを表し
てる。
と同時に、ケツパン・・じゃなくて、テツパン=鉄パン=貞操帯の始
まりとされる中世ヨーロッパのイメージも表してた。
ちなみに、貞操帯(chastity belt)を中世や十字軍と結び
つける説について、英語版ウィキペディアは疑問を投げかけてる。
簡単に言うと、後の時代に作られた神話だろうという話で、歴史的
な研究も行われてるらしい。現代のSMで使われることがあるのは
事実だけど、珍しいプレイだと思う。
個人的にも、貞操帯は使ったことない(笑)。「は」、かよ! 光悦
ガール・・(誤)じゃなくて校閲ガールなら、「『貞操帯なんて』
の方が普通だと思います」とか書いて来るかも♪
☆ ☆ ☆
一方、ドラマの脚本・演出も原作も、繊細かつ控えめに描いてるの
が、ゲイ=男性同性愛。
10年前なら、もっと露骨に笑いの対象にしてただろうけど、LGBT
とか少数派への理解が叫ばれる現代日本だと、かなり配慮が必要
になる。表現の自由、笑いの伝統と、多様性への配慮とのバランス。
印刷会社・営業の可愛いイケメン、正宗(杉野遥亮)が、一回り年上
の校閲担当・光岡(和田正人)を誘うシーン。悦子は何も言わず、意
味ありげにニヤッと笑ってた。このくらいが今のテレビドラマの限界か。
一方、『校閲ガール』と並ぶ今シーズンの人気ドラマ、『逃げるは恥
だが役に立つ』の原作マンガ(海野つなみ)を読んでみると、脇役の
ゲイ男性がかなりハッキリと避けられる様子が繰り返し描かれてる。
ちょっと心配してたら、第一巻の最後で、遠回しに弁明が書かれ
てた。執筆の年代などを考えてそのまま出版したとのこと。と言って
も、2012年スタートだから、小説『校閲ガール』の連載開始の
僅か1年前だけど。。
☆ ☆ ☆
最後に、今回のドラマの中心テーマはもちろん、「外見『も』大切」
ということ。
私は全面的に認めるし、世の中も明らかにそうなってるのに、いま
だに「外見は無関係、中身が重要」という考えが根強く残ってる。特
に、わりと高学歴の中高年男性に目立つ考えだと思う。
そのくせ、自分の行動と合ってないことも多い♪ 実際には外見も大
切にしてるのに、古い倫理観に縛られて、事実を認めたくないわけだ。
そこへいくと、女性は遥かに現実的で正直。ファッション、髪型、お肌、
お化粧、etc。。オシャレにお金と時間をつぎ込んで、楽しく人生を送ろ
うとしてる。若い女性の場合、それが結婚成功戦略としても正しかった
りする♪
もちろん、「あんまし若くない女性」も「もう若くない女性」も、「オシャレ
すると若くなる」のだ。「オシャレするとバカになる」のではなく。
というわけで、百貨店とかのBA(Beauty Adviser
=美のアドバイザー)は大切なお仕事だし、「オシャかわ」
(オシャレしても無意味で可哀想)という悦子のあだ名も間違い。
たまたま今、「オシャレでかわいい」石原さとみのプライベートの噂
も流れてるけど、そちらは何も書かないことにしよう♪ 書いとるわ!
☆ ☆ ☆
なお、「丸川賞」という名前は、『校閲ガール』原作のカドカワ(角川)
と芥川賞を融合させた名前だと思う。
「つかむ」の漢字は、「摑む」が正字、「掴む」が俗字ね。読み仮名
とかのルビは、漢字の言葉の横に均等に並べたのが「中付き」、
右上に書くのが「上・・」じゃなくて「肩付き」。
勉強になって、いいね♪ 幸人=是永のパンイチ(パンツ一丁)
裸体サービスだけじゃなく、悦子や森尾のサービスショットも欲しい
な・・とか思いつつ、それでは今日は、この辺で。。☆彡
P.S. 第3話の視聴率は12.8%。初回を上回る数字で、
3週連続で2ケタをキープした。
P.S.2 悦子が卓球の愛ちゃんの真似をした時、掛け声は
「サァー!」だった。これが普通だが、私はリオ五輪の
時、「サー7割、ター3割か」という見方を示してる♪
cf. 時は親切な友達、きのうを物語に・・~『校閲ガール』第1話
補う技術、シール・付箋・ファッション、そして愛~第2話
相乗効果と一石二鳥、『明日も、あすか。』~第4話
無用の用、塞翁が馬、無駄はムダだが役に立つ~第5話
悦んで残業する、残業せん隊(戦隊)♪~第6話
リスク(risk)の正しい語源と、自分の場所探し~第7話
全力疾走&跳躍、人生の走り幅跳び~第8話
地味でスゴくないものも輝かせるスカーフ~第9話
未完の夢にときめく、人間たちの出会いとB-SIDE~最終回
(計 2925字)
(追記 232字 ; 合計 3157字)
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 円x²+y²=3上に有理点がない証明、円x²+y²=2と楕円曲線y²=x³+2の有理点の求め方と計算~『笑わない数学2』第8回(2023.12.07)
- 1+2+3+4+・・・=-1/12、オイラーの数式とラマヌジャン総和法による「証明」~NHK『笑わない数学2』第7回(2023.11.30)
- 円周率 πと自然対数の底eが代数的数でなく超越数であることの証明(背理法)、円積問題~NHK『笑わない数学2』第5回(2023.11.22)
- ケプラー予想の前に平面充填問題、どんな四角形でも平面を埋め尽くせることの幾何学的証明~NHK『笑わない数学2』第6回(2023.11.18)
- 結び目理論の指紋、アレクサンダー多項式と交点の数、領域、行列式の計算方法、べきと符号の正規化~NHK『笑わない数学2』第4回(2023.11.03)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- アリス・谷村新司追悼~ボクシングの曲『チャンピオン』の歌詞モデル、カシアス内藤の引退試合(沢木耕太郎『一瞬の夏』より)(2023.10.17)
- 外資系FTIコンサルティングとジャニーズ事務所、「氏名」NG記者リストの感想&11km走、1km4分半バトル(2023.10.05)
- ライオンの娘がシマウマ・・藤島ジュリー景子も被害者だったのか?&10月の残暑で9kmラン(2023.10.03)
- ジャニーズ事務所の新社長・東山紀之、記者会見で覚悟と誠実さは見えたが、前途多難・・&11kmジョグ(2023.09.08)
- 再び残暑7kmジョグ&短い芸能つぶやき(2023.08.30)
コメント