将棋と入学試験、スマホ・ソフト・ネット使用禁止の理由や見通し
何度かチョコッと書いてるように、私は子どもの頃、将棋が大好きだった。
少ないお小遣いをはたいて本や雑誌を買って研究してたし、大きな大会
での実績も一応ある。今は全くやらなくなってるけど、ニュースは気にな
るから、隠れ将棋ファンと言っていい。
たまに新聞の詰め将棋が目に入ると、今でもつい挑戦してしまうことも
ある。ただし、時間がもったいないから、5分~10分ほどで解けなけれ
ばアッサリ終了。これだけでも、かなり敗北感に打ちのめされるから、
オンライン将棋で「機械みたいな」相手にボロ負けしたら大変だろう♪
まして将棋のプロ棋士が、「ソフトをこっそり使ってるような気がする」
相手に負けると、抗議したくなるのは自然なこと。生活がかかってるし、
倫理的・心理的にも許せない。実際、今回の読売新聞主催「竜王戦」
の挑戦者変更騒動だと、「5人前後」のプロが疑問を口にしたらしい。
☆ ☆ ☆
さて、2016年10月12日に、日本将棋連盟から処分が発表された
棋士、三浦弘行・九段(42歳)。
数ヶ月前くらいから、対局中の不自然な休憩が目立ったらしくて、連
盟が調査。結局、「灰色」のまま、年末まで出場停止で、名人戦と並ぶ
ビッグタイトル・竜王戦の挑戦者という立場も取り消しとなった。彼の指し
手を後でチェックすると、コンピューター・ソフトの指し手との一致率が
高かったというような不確定情報も流れてる。
彼をトップ棋士と伝えてるメディアもあるが、客観的に見て、上位棋士
の一人。現役だけでも、タイトル保持者が7人、九段も22人い
るから、全棋士160人~170人中のベスト30くらい
だろう。これまでの実績や人気が特別凄いわけでもない。
☆ ☆ ☆
3日経った10月15日現在、三浦九段というより連盟の側に対
する不満もかなり伝えられてる。
典型的な論法は、「疑わしきは罰せず」、灰色でこの処分はやり過ぎ
というものだが、本物の裁判でも、十分疑わしい容疑者には有罪の
判決が出る。そもそも、人間の価値判断に絶対というものは無いし、
二分法でもない。
無罪と有罪が、白か黒かで分かれるのではなく、その疑わしさ、黒
さに応じて、罪の重さが変化するわけだ。無罪、執行猶予、懲役1年、
10年、死刑、etc。ほとんど白く見える人、真っ白と区別がつかない
人は、無罪どころか、そもそも立件されない。。
☆ ☆ ☆
今回の件だと、席を立った回数・時間とかソフトとの一致率とか、具体
的で詳しい情報が公表されてないので、今後の報道を待つことになる。
ただ、「火の無い所に煙」が立つこともあるが、煙が立つにはそれなり
の理由があるわけで、連盟側も相当な根拠を用意した上での処分の
はず。三浦九段は弁護士と相談中らしいから、訴訟リスクも十分ある。
ということは、連盟は訴訟に勝てる程度の証拠を持ってると考えるの
が自然だろう。竜王戦の頂点、タイトルを賭けた勝負の直前でもある
し、将棋界全体のイメージダウンをなるべく広げないために、現実的
な妥協点を探ったのだと思う。
☆ ☆ ☆
私は、各種報道には見当たらない「法的」な論拠を求めて、日本将棋
連盟の対局規定をネットで探してみたが、全体はまだ発見できてない。
一部なら公式HPその他で読めるけど、全体は公式ガイドブックなどを
見るしかないようだ。かなり細かいルールが書かれてるようだが、アマ
ゾンでの扱いを見ても、ネット情報を見渡しても、ガイドブックで真面目
にルール確認してる人はごく僅かだと思う。周囲で聞いたことはない。
まあ、スマホなどの電子機器をロッカーに預けるとか、対局場である
将棋会館から外出禁止とか、10月5日に発表されたばかりだから、
それまでは、規則にハッキリとは書かれてなかったはず。不文法とか
常識的マナーとして、それなりに制限されてたということか。
プロ棋士の場合、人間同士が高度な戦いを繰り広げるから大きな
収入を得られるわけで、コンピューターなら今現在、総額で数億円レ
ベルの賞金や対局料は稼げない。人間の優勝が数千万円、コン
ピューターが数百万円といった感じで、ケタが1つ違ってる。ソフト販
売やサイト運営の収入は不明だし、遠い将来の逆転もあり得るけど。
結局、日本将棋連盟がソフトを禁止する理由は、常識、伝統、マナー
はもちろん、巨額の収入を保持するためだろう。
読売新聞社も、巨額のコストをかけてるから、自社の損得に関わるか
らこそ、主催する竜王戦のスキャンダルは小さく報じてるわけだ。野
球の巨人関連の時と似た感じで、と書くと言いすぎだろうか。
ちなみに私は、読売も巨人もそれほど嫌いではないので、念のため。
マスメディアに限らず、どんな組織でも、自分の不利益になりそうな事
はあまり報道しないもの。個人でも似たような振舞いはあるはずだ。。
☆ ☆ ☆
ところで、あちこちのニュースを読んで初めて知ったのが、「スマホ指し」
という言葉。オンライン将棋対局で、スマホのソフトを利用して指すこと
らしい。検索すると、かなりの情報がヒットする。
調べてみると、面白いことが分かって来た。趣味とか遊びの将棋だから、
スマホ指しもOKと考える人がそこそこいるのは分かるとして、意外だっ
たのが、公式に(一部)認めてる所もあること。
一番厳しそうなのは、「将棋倶楽部24」で、ソフト指し取締委員会
なるものが指し手一致率を調べて、黒と認定されたアカウントは削除
されるらしい。実際の運用状況は不明。
ただ、「将棋倶楽部24」でもソフト開発者は堂々と参加できるようだし、
「81道場」では専用アカウントを用意すればOK。「将棋ウォーズ」と
いうスマホ用アプリだと、「棋神召喚」という仕組みもあって、5手
だけ、最強レベルのソフト(2016Ponanzaクラス)が指
してくれるらしい。状況によっては「降臨」してくれないこともあるとか♪
私はソフトを使ってまで勝ちたいとは全く思わないけど、相手が堂々と
ソフトを使ってると分かってれば、負けても当然だし、勉強になるかも知
れない。ソフト同士の戦いもいずれじっくり見てみたいと思う。まあ、トッ
プ棋士の戦いとか、美人女性棋士の方が遥かに好みだけど。。♪
☆ ☆ ☆
ここまで、今話題の将棋について書いて来たけど、最後に遥かに重要
な問題にも触れとこう。それは、人間が受けるテスト、試験、審査だ。
特に、中学・高校・大学の入学試験。
5年半前、京都大その他で入試問題のネット投稿が発覚して以来、携
帯・スマホはもちろん、時計まで厳しく禁止されるようになってる。その
後もたまに不正が話題になるけど、ごく例外的だろう。
しかしホリエモン=堀江貴文は、以前ツイッターで、取締りの風潮を
批判してた。「あほくさ。検索前提の試験にすりゃええじゃん」。
いかにも彼らしい指摘で、一理ある大胆な提案だが、すぐに全面的
に実施するのはまず不可能で、あり得ない。社会的な同意が得られ
ないだけでなく、受験生の側に悪用の動きが出ることも予想される
からだ。
多少のお金を払ってでも、誰か非常に優秀な人や業者に頼んで、試
験中の質問に即答してもらう。ネットのアクセス先を制限するのも、
実際的には難しいはず。そうなると、なりふり構わない富裕層が有利
になる。
それでもいいじゃないか、と考える人は少数派だろう。そもそも、富裕
層自体が少数派で、他の人達からは不平等だと思われがちなのだ。
受験生4人くらいに1人の監視員を付ければ何とかなるとは思うけど、
そんな事をしてまでネットを解禁する学校はほとんど無いはず。セン
ター試験の類でも、少なくとも今後10年はあり得ない。
☆ ☆ ☆
とはいえ、なぜ試験にスマホやウェアラブル端末(メガネ・時計)を使っ
てはダメなのか、その理由を根本的に考えると、微妙な話になって来る。
本人の実力ではないから、地頭(じあたま)の能力を見たいから、とい
うのが代表的な理由で、他には、スマホとか持ってない(or持てない)
受験生もいるから、といった所だろうか。
しかし、スマホやソフト、ネットを使いこなすのも、いまや立派な実力だ
し、実際、世の中を見渡すと、仕事中や授業中でさえ、スマホやPC
を使ってる人が大勢いる。優秀な地頭と、優秀なデジタルを比べても、
今でさえ、地頭の方が上とはいいにくいはず。まして今後は、デジタル
がますます地頭を圧倒して来る。故障やトラブルなら、人間でも多い。
電子機器ではなく紙媒体なら、大学の試験だと参考書・ノートの持ち込
み可という科目は普通にあるはずだし、先日の数学甲子園の全国大
会でも、高校生・中学生たちは参考書類を使ってた。ルールで認めら
れてるのだ。途中からは、チーム内での相談も可能。。
☆ ☆ ☆
というわけで、私は今後、少数の私立校の一部から、スマホ・PC解
禁の動きが出てくることに期待する。紙の辞書・参考書の使用可あた
りから始めてもいい。
明らかに有用で、実社会で普通に使われてるものを、試験の時だけ
使わないのは、単なる固定観念とか悪しき伝統、偏見の類だと思う。
その内、ソフトやAIの側から、「差別反対」という声が上がるかも♪
機械やプログラムまで含めて、多様化や共存が問われる時代なのだ。
ただし、「人間のチーム受験」は困難だと思う。人間のグループは、し
ばしば解散されるものだから、「AIのチーム受験」の方が現実的か。
いずれにせよ、情報化社会の急速な進展の中で、人間がどう生きる
べきなのか、真剣に問われる時代となった。
それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 3841字)
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