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『逃げるは恥だが役に立つ』、ハンガリー語の諺の謎&ドラマ原作第1巻感想

色々とあおられて、予定が次々に後ろにズレ込んでる (^^ゞ この記事も

10月半ばに書く予定だったのに、11月になってしまった。まあでも、他

のサイトとほとんどカブらないマニアックな記事はまだまだ可能♪

     

たとえば今現在(16年11月1日)、『逃げ恥』の元になった諺について、

あちこちに拡散してる説明はほぼ同じで、こんな感じにまとめられる。

文字化けしそうなので、アクセント記号は省略。

       

 元はハンガリー語のことわざで、

 「Szegyen a futas,de hasznos」。

 「自分の戦う場所を選べ」という意味みたいだ。

     

ハンガリーというのは、第1巻「後書き」で原作者・海野つなみが書いて

ること。ハンガリー語の原文は、検索すると日本語版の

Wikiquote(ウィキの引用集)がすぐヒット。発音はGoogle

翻訳で聞くと、クセのあるローマ字読みといった感じだ。

        

ただ、「自分の戦う場所を選べ」という解釈は、何が出典なのか今のと

ころ不明。どうも、今年の9月半ばくらいからネットで広まってる感じだ

が、(ほとんど)誰も出典を示さないまま拡散する情報があまりあてに

ならない点については、当サイトで今まで度々示して来たことだ。

     

  

     ☆        ☆        ☆

ハンガリー語を、Google翻訳と英語版Wiktionary(ウィキの

辞書)を使ってそのまま直訳すると、次のようになる。

  

 「Shame the run (away),but useful

 走ること(走り去ること)は恥、しかし役に立つ

   

そのまま読む限り、「自分の戦う場所を選べ」という意味とはかなり

ズレてる。

     

元のことわざでは、走り去ることについてだけ語ってるのであって、他

のどこかの場所に行くことしか語られてない。色々な選択肢はないし、

他の場所で戦うという話もないから、戦わずにどこかへ走り去るだけで

もいいのだ。もちろん、「逃げるが勝ち」とまで訳すのもかなりズレてるが。

     

そもそも、「futas」(走る、走り去ること)が「逃げる」ことなのかどう

かも疑問の余地がある。たとえば、「相手にしないこと」、「スルーす

ること」を表してる可能性もあるわけだ。

       

ちなみに、ハンガリーの諺としてウィキが引用してるのは、日本版だけ

のようだし、英語の情報を検索しても、めぼしいものはなかなか発見で

きない。世界的に見て、メジャーな諺ではないことは確かだろう。

   

☆追記: 5ヶ月後に、この記事末尾のP.S.で補足した。)

     

原作第1巻との関連を考えると、要するに、「職探しや普通の結婚相手

探しから逃げて契約結婚をすることも役に立つ」という意味だと思う。第

2巻以降やドラマでの説明は、今のところ発見できてない。

    

    

    ☆        ☆        ☆

一方、講談社『Kiss』連載のマンガ原作。私は電子書籍サイト

『Renta』の無料サービスで第1巻だけ読んだが、既にサービス

は終了したらしい。

    

少女漫画のカテゴリーとしては、ギャグ漫画に近いストーリー漫画と

いった感じか。お笑いやおふざけの要素をちりばめつつ、誰でもウン

ウンと理解できる話を細かく具体的に描いてるのだ。結婚生活の細部

とか、結婚前のあれこれとか。絵も、ギャグとストーリーの中間くらい。

私はもうちょっとキレイで丁寧な絵の方が好み。

        

最初にすぐ思ったのは、ヒロイン・森山みくりがショートヘアのガッ

キー・新垣結衣に似てるなということ。ドラマは、動画で第3話だけ

見たけど、キャラ的にもハマリ役だろう。

   

フツーに可愛いけど、ちょっとつかみどころがない、淡々としたものを感

じるキャラなのだ。やたら熱くて激しい、『校閲ガール』の石原さとみと比

べれば、その差は明白。

    

第1巻の冒頭は、夜の公園のベンチ。「ああ 誰にも必要とされないっ

て つら──い」と暗く嘆いた後、いきなり説明抜きでテレビ朝日『徹子

の部屋』にゲスト出演する妄想♪ 

  

職探しの苦労話をしてると、徹子がサラッと「職探しがお好きなのね」と

応答(笑)。みくりの胸にグサッとササった所で、現実の職探しのシーン

に戻って、父親の紹介で週一回のアルバイト家政婦になる。

   

その後、気難しいサラリーマン雇い主・津崎平匡(ひらまさ: 星野源)

に気に入られて、たまたま両親が田舎へ引っ越すことになったから、

みくりの側から契約結婚を申し出る。マンガらしい、あり得ない展開♪

   

第一章のタイトルは、「秋の日はつるべ落とし」。二十代後半以降の

女の人生が一気に暗くなることを表してる。

  

その典型が、処女のまま50歳くらいになって生理が終わった、百合

おばさん・・じゃなくて百合ちゃん♪(石田ゆり子)。女の終わりは早い

ね。ま、男より先に強烈な煩悩から解放されるとも言える。

   

私は数年前の『明石家サンタ』の不幸話ネタを思い出してしまった。中

年女性の生理が止まって、遅い妊娠かと思って病院に言ったら、医者

が「閉経です」と告知。さんまは爆笑して、「閉経物語」とか茶化してた

(笑)。ウチのレビュー記事にはいまだに、時々検索が入って来る。

   

   

     ☆        ☆        ☆ 

第2章のタイトルは、「狐の嫁入り」。イラストで、ミニのワンピースか

ら伸びる、みくりの黒タイツ美脚が萌えポイント♪ 

   

諺の意味は、日が照ってるのに急に雨がパラつく、お天気雨。要する

に、契約結婚(事実婚)は基本的には晴れで明るいけど、ちょっと水を

差すような部分も混ざってるということか。

   

例えば、津崎が36歳の高齢童貞らしいこととか(笑)。臨床心理士の

資格保持者としては、彼のプライドを傷つけないような配慮もしなきゃ

いけない。まあ、高齢処女・百合ちゃんへの配慮でちょっとは慣れてる

だろうけど♪

         

2章の最後は、『サザエさん』のパロディの『ミクリさん』。これ、ドラマの

第3話ラストでも使われてた。TBSの番組なのに、テレ朝の徹子が出

たり、フジのアニメが出たり、忙しいのだ。みくりは後で、TBSの『情熱

大陸』にも出演。もちろん、妄想で♪

  

ちなみに契約結婚は双方の両親公認で、マンガかドラマみたいな設定

(笑)。みくりの兄が津崎に似た感じで、百合ちゃんに嫌われてた。小学

生の時の予言、「おばちゃんは一生結婚できない」が当たったし、自分

はしっかり結婚してるから♪

   

    

     ☆        ☆        ☆

第3章は、「雨後のたけのこ」。身内以外には秘密の契約結婚にとって、

不都合なことが次々と現れるという意味もあると思う。ただ、トップのイラ

ストは、タートルセーターから亀の頭・・じゃなくて津崎の首が出る所♪

      

要するに、津崎の性欲がグングン伸びて、身体にも変化が現れて来る

という意味だ。ものすごく多感な頃(笑)。私は中1くらいかな。聞いてな

い? あっ、そう♪

   

この辺りから、ドラマの第3話と似たような感じで、津崎の同僚2人が契

約結婚の匂いに気付き始める。ゲイらしき沼田(古田新太)とイケメンの

風見(竹野内豊・・じゃなくて大谷亮平)。お邪魔虫的な存在。

     

ホモっぽい沼田を軽くからかうような箇所、遠ざけるような箇所があち

こちにあるからか、第1巻の最後には、遠回しの注意書きがついてた。

「作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、コミックス発売当時のま

ま掲載しています」。

   

これがマンガの単行本の注意書きなのか、電子書籍向けなのかは

不明。ちなみに連載開始は2012年だから、最近の作品だ。2016

年のテレビドラマだと、もうちょっと多様な性への配慮が必要かも。

   

  

     ☆        ☆        ☆

最後、第4章は、「虎の尾を踏む」。みくりのイラストで、美脚のタイツ

が虎みたいな柄になってる。

   

風見がみくりに対して、百合のことを「ちゃんと年とってましたね 伯母さ

ん」と言ったのが、虎の尾を踏む危険な行為という意味か。他にも、沼田

が津崎たちの寝室のシングルベッドをのぞき見したことを意味するかも。

   

ドラマの第3話ラストと第4話の予告から考えると、「虎の尾を踏む」の

中心的な意味は、みくりが風見に突っ込んだ話をしたこととも考えられ

る。これで風見の心にみくりが焼きついたし、津崎の嫉妬も発生。

   

   

    ☆        ☆        ☆

みくりが何気なく風見に語った言葉が印象深かった。

  

 「生きていくことは まあ めんどくさいですよね

 ・・・楽に生きることを追求したら 最終的に 

 死に向かいますからね」

    

恐ろしい「虎」とは、自分の心の奥底にある、無意識の「死の欲望」

かも知れない。臨床心理士としては、少なくとも患者の「虎の尾」は

踏まないように注意する必要がある。下手すると、責任問題や訴訟

問題になるから。。

     

時間も字数も無くなったので、今日はそろそろこの辺で。。☆彡   

                    (計 3390字)

   

    

  

P.S. Google Booksにある19世紀末ハンガリー

  語辞典に諺が載ってるという情報を、下のコメント欄で頂いた。

  

  普通にしっかりした出来の辞典で、言葉の意味については英語

  版Wiktionaryと同様だけど、それぞれの意味の根拠(出典)が

  明記されてるし、例のハンガリー語の言葉も諺として載ってた。

  ただし、諺の意味までは書かれてない。

    

  そこで、辞典からさらに遡って、諺の出典まで調べてみると、

  確かに数百年前の2冊の本に掲載されてたし、前者には

  諺の意味も書かれてた。

  

170328_dic

    

170328_redi

  

  上側の図の文字は、ハッキリ読み取れないけど、おそらく

  こんな感じの説明だろうと解釈できる。

    

   「逃げるのは恥だけど、後で再び闘うのも一つの戦術だ」。

    

  ちなみにこれは、闘う場所を選べという話とは微妙にズレてる。

  というのも、同じ場所で再び闘ってもいいからだ。時期とかタイミ

  ング、戦況の問題であって、「一時撤退する勇気が必要なことも

  ある」といった意味だろう。

       

  いずれにせよ、まだハッキリした事は分からないけど、おそらく

  マンガやドラマの『逃げ恥』の内容と合ってる諺だろうということ

  は言えると思う。。

   

         (追記 499字 ; 合計 3889字)

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コメント

 初めまして。原作・ドラマいずれも未試聴の者ですが、ハンガリー語に少し興味がございますので、詳しく調べて参りました。結論から申し上げますと、futásは〈逃げること〉と読んで問題無いと思われます。また、ことわざは由緒あるものであると存じます。
 こちら(https://books.google.co.jp/books?id=NRUOAAAAIAAJ&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false)に1890年刊行のハンガリー語辞典がございますが、これは語ごとにラテン語やドイツ語の訳語が付されているものです。そのp. 1012にFUTÁSが見えますが、ラテン語のfugaやドイツ語のflucht(現代では語頭は大文字でFlucht)の存在はこの語が〈逃げること〉を意味を持つと物語っています。なお、他の語釈は〈走ること〉を指していると思われます。以上を考慮致しますと、この単語に最も近いニュアンスを持つ日本語は「逃走」辺りと思われます。
 また、同辞書の次のページには[Közmondások]、つまり「ことわざ」欄もあり、ここに件のことわざが記されています。しかし、特に踏み込んだ解説はないのでそのまま字面通りの意味で解釈して問題ないと思われます。なお、その横には Nem mindenkor használ a futás 「逃げることはどんな時でも有効である訳ではない」なることわざも一緒に掲載されています。
 このように語学関連の書籍以外のメディアをきっかけとして他国の言語文化が広く知られるようになるのは、興味深い現象である様に思われます。長くなってしまいましたので、この辺りで失礼致します。

投稿: エリック・キィ | 2017年3月28日 (火) 02時05分

> エリック・キィ さん

はじめまして。貴重なコメントありがとうございます。
語学マニアの日本人の方でしょうかね。
   
Google Booksはウチのブログでも
たまに使ってますが、これは見逃してました。
    
たまにこの種のコメントが入っても、言葉遣いが
残念なものが多いのですが、エリック・キィさんは
丁寧で冷静な書き方なので、その点にも感心してます。
   
私としては、辞典の諺の出典2つまで遡った上で、
この記事の末尾に「P.S.」として追記しておきました。
  
ドラマも終わりましたし、ハンガリー語は大変すぎるので、
この件はこのくらいにさせて頂きます

投稿: テンメイ | 2017年3月29日 (水) 01時36分

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