未完の夢にときめく、人間たちの出会いとB-SIDE~『地味にスゴイ! 校閲ガール』最終回
(☆17年9月21日の追記: スペシャル版のレビューをアップ。
心の分かりにくさ、他人も自分も~『地味にスゴイ!DX』 )
☆ ☆ ☆
『東京 B-SIDE 地味にスゴイ! プロフェッショナルたち』
最終章(?)冒頭より引用(p.246)。改行はそのまま。段落
分けでは、読みやすさのために1行空けた。
B-SIDE 99 景凡社校閲部
言葉の品質管理! 日本語表現の砦を守る番人たち。
僕がこの本を書くことになったワケを話そうと思う。きっかけは、あ
る女性との偶然の出会いだった。彼女の職場は、出版社の校閲部。世間
ではあまり知られていないだろうが、本になる前の原稿を一字一句見て、
文字や表現に間違いがないかを点検する仕事だ。目立たず、地味な仕事
だが、間違いのない本を世に送り出すために欠かせない部署である。
そんな彼女には長年夢見ていた仕事があった。校閲とはかけ離れた、
どちらかと言うと派手で目立つ仕事だ。
「自分のいるべき場所はここじゃない」「いつか夢を叶えてやる」
彼女はいつだってそう叫んでいた。でも彼女は、ここじゃないと言い
ながらここにいる。夢を叶えてやると言いながら全力で校閲に取り組ん
でいる。・・・・・・
(注. 『東京B-SIDE』の本の内容については、第9話レビュー
に書いた取材メモも参考になる。)
☆ ☆ ☆
冒頭の書名の副題、「プロフェッショナルたち」と打とうとして、「プロ
ジェ」と打ってしまった(実話♪)。
かつてのNHKの人気番組、『プロジェクトX ~挑戦者たち~』を
意識してるのは明らかだけど、あちらは派手な仕事に成功した
挑戦者たちの代表者に光を当てるのが基本。『地味スゴ』とは似
て非なる番組だ。
是永是之=幸人(菅田将暉)のノンフィクション本のタイトルには、
「B-SIDE」という名前も入ってる。かつての「レコード」B面
みたいに、ちょっと陽が当たらないけど大切な存在。
特に、アルバムのB面・1曲目にいい曲が多かったことは、平成
ブロガーでさえ知ってる♪ 『東京B-SIDE』1曲目こそ、おそら
く巻末に置かれた『景凡社校閲部』の紹介だろう。4ページきっちり、
1人1人の写真も添えて書かれてるのが静止画像で読めた。
地味にスゴイ、校閲部の飾りを作ってきた茸原部長(岸谷五朗)。
「おぱっぽ」(男性性器)の事実確認にこだわる藤岩(江口のりこ)♪
ちなみに、青森の一部地域の方言というのは、おそらく作り話だ。
検索してもドラマ関連の情報しか出ない。「お・・ぽ」なら実在する。
コラコラ!
正宗(杉野遥亮)との男性同性愛に萌える、光岡(和田正人)。
メイド喫茶でコスプレ&ロリコン愛に萌える、目黒(高橋修)。舞台
やダンスが好きらしい、坂下(麻生かほ里)。あっ、本当にミュージカ
ル女優だった! そして、農家のおばちゃんと密会しようとしてた、
青木(松川尚瑠輝)。地味でスゴイ人たち。。
☆ ☆ ☆
さて、『校閲ガール』最終回、視聴率は12.3%ということで、最初か
ら最後まで、地味にスゴイ! 最終回の内容もそんな感じだった(笑)。
やや派手にスゴイ『逃げ恥』じゃなくて、『校閲』をレビュー対象に選ん
だのは正解。石原さとみの方がガッキーより可愛いし♪ そこか!
貝塚タコ八郎(青木崇高)が悦子(石原)に差し入れして来た、
「OCTOPUS BEER」(タコ・ビール)も、いいね♪
細かっ! おつまみの地味な袋も笑えたし、悦子が校閲部に侵入して
置いてたタコ・グッズの数々も可愛かった。
最も笑えたのは、マニアックなブログ「直木龍之介の書斎」のアク
セスカウンター。
「あなたは公開以来 000000028 人目のお客様です。」(爆)
少なっ! 億のケタの立場は? ウチの11年前の公開初日より少
ないかも。私が告知した身内ばっかだろうけど(笑)
☆ ☆ ☆
まあでも、SNS全盛の今、独自の長い文章をアップし続ける個人
サイト運営の厳しさはよく分かる。
いまや、短い一言、軽いまとめが一瞬で大量にやり取りされて、ネット
上を覆い隠す時代だ。そこへいきなり、DeNA事件が発生。「キュ
レーションサイト」(=まとめサイト)に汚点がついたから、直木龍之介
=岩崎正(本田博太郎)もひそかに喜んでるはずだ・・・と他人事
のように書いとこうか♪
いや、正直、まとめサイトやQ&Aサイトには、ウチの記事へのリン
クも付いてるから、アクセス数的には微妙な事件だったりする (^^ゞ
例えば、ドラマ『ガリレオ』の数式を検索すると、昔はすぐウチの一連
の記事が表示されてたのに、最近は単なるまとめサイトの類の方が
上に表示されたりするのだ。で、リンクでウチに飛んで来て、チラッと
流し見した後、まとめサイトにすぐ戻るとか。陽の当たらない地味なマ
ニアック・ブロガー、ガックシ。。_| ̄|○
☆ ☆ ☆
コネタはさておき、今回の物語(脚本・中谷まゆみ)は、抽象的にまと
めるなら、「不完全性」と「偶然の出会い」の話になってた。単に10分
延長の最終回に強引に色々詰め込んでたわけではない(と信じる♪)。
まず、不完全ということに目を向けよう。順風満帆で生きてる本郷
大作(鹿賀丈史)に嫉妬して、原稿(念校)を盗んだ上に、本郷を
盗作者扱いした、かつてのゼミ仲間・岩崎。もし現実社会の事なら、
窃盗、脅迫、名誉毀損その他で逮捕されてもおかしくない。
ところが、その本郷も単なる被害者ではなく、昔、岩崎の文章を
盗んで大学を卒業したらしい。時効とはいえ、センテンス・スプリ
ング文春砲の餌食になっても不思議はないし、卒業認定の取消
が議論される可能性もある。まあ、当事者のどちらかが強く訴え
ない限り、実際には取り消されないだろうけど。
一方、『Lassy』への異動のチャンスをつかんだ悦子。校閲
のお仕事がらみで本郷と岩崎に振り回されて、大切なプレゼン
テーションの締切に間に合わなくなってしまった。
そこで、後輩の森尾(本田翼)が、USBメモリーに入ってた自分
のファイルをこっそり提供。セシル(足立梨花)も同意して、悦子は
感心しない企画書メールを編集長(芳本美代子)に送信してしまっ
た。元の執筆者・森尾の同意があるから、法的な罪がどうなるのか
はビミョーだけど、職業倫理的にあまり良くないのは確か。
翌朝、編集長に告白して謝った悦子に言った、編集長の言葉も
ビミョーだった。他人の仕事を奪うくらいじゃないとやっていけない
とか。ちなみにDeNAでは、まとめサイトへの転載を奨励するよう
なマニュアルまであったと報道されてる。著作権法的に認められ
てる範囲の引用に留めるべきだった。
☆ ☆ ☆
そうした人間の不完全性、暗いB面の部分も見た上で、前向きに
生きることを提案してたのが、悦子と本郷だった。
夢が全部かなうはずはないわけで、未完成の夢がある方がむしろ
ワクワクする。同様に、人間が完全な存在のはずはないわけで、
不完全な部分を認める方がむしろいい。
そして、そうした不完全な人間同士がたまたま出会うことで、小さな
夢や喜びが生まれることもあるのだ。偶然の出会いから生じる、奇跡
のかけら。だからこそ、少しくらい衝突があっても、人との出会いは大
切にしなきゃいけない。
だからこそ、本郷は岩崎の行為をあっさり許したし、逃げた妻・折原
亮子(浅田美代子)ともよりを戻して、再びラブラブになった。
もうじきあの あの人が
来てくれる きっとまた 小さな夢もって♪
(『赤い風船』、歌詞・安井かずみ)
幸人も、悦子との偶然の出会いを本のラストに書いて、一番に悦子
に読ませた。要するに、絶妙な指使いで悦子を悦ばせたのだ。キー
入力の指使いで♪ 特殊なキーには、繊細なタッチ。まだ言うか!
☆ ☆ ☆
最後に、その偶然の出会いについて、理数系の議論を行ってた
地味でスゴイ箇所を紹介しとこう。おそらく、(ほとんど)誰にも気付
かれてないと思う。
光岡が再点検してた、本郷のデビュー30周年記念作品集『ゼロ
知識証明』の再校原稿には、目次が付いてて、表題作も含めて
5つの短編小説のタイトルが書かれてた。
「ゼロ知識証明」とは、送信者と受信者が最低限の大切なメッセー
ジをやり取りする話。「ディリクレの箱入れ原理」とは、複数のもの
が狭い世界に存在する時、必ず出会いが生じるという話。
「誕生日のパラドックス」とは、わりと少数の人間でも、集まれば誕生
日が重なることが多いという、確率論の不思議な話。「アバランシェ効
果」とは、僅かな出会いが大きなことを生み出す話。最後に、「平均
自由行程」とは、小さなもの同士が遭遇するまでの動きの話。
要するに、ちっぽけな人間同士が至る所で偶然に出会い、わりと
大切な物事へと進展するという話なのだ。脚本家が選んだのか、あ
るいは美術さんのお仕事なのか。どちらにせよ、地味にスゴイ選択
になってた。一瞬だけ映像に残したのは、演出・佐藤東弥の配慮か。
マニアック・ブロガーとしても、偶然の出会いや奇跡の力を信じなが
ら、ネット界のB面でもう少し頑張り続けようと思うのであった。
地味にスゴイ!、サイトを夢見て。
数学・物理・情報系のコネタについては、またいずれ別記事で解説
するかも知れない。とりあえず、今日はこの辺で。。☆彡
cf. 時は親切な友達、きのうを物語に・・~『校閲ガール』第1話
補う技術、シール・付箋・ファッション、そして愛~第2話
是永是之の小説『犬っぽいっすね』内容&外見も大切~第3話
相乗効果と一石二鳥、『明日も、あすか。』~第4話
無用の用、塞翁が馬、無駄はムダだが役に立つ~第5話
悦んで残業する、残業せん隊(戦隊)♪~第6話
リスク(risk)の正しい語源と、自分の場所探し~第7話
全力疾走&跳躍、人生の走り幅跳び~第8話
地味でスゴくないものも輝かせるスカーフ~第9話
(計 3883字)
(追記 61字 ; 合計 3944字)
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