データ分析(散布図、共分散、相関係数、箱ひげ図)~2017センター試験・数学ⅠA・第2問
体調不良で2週間遅れになったが、今年もセンター試験の数学の
データ分析を解説してみよう。去年と一昨年の記事は次の3本。
データ分析(相関の強弱,変数変換と共分散)
~2016センター試験・数学ⅠA・第2問
データ分析(四分位数、箱ひげ図、相関係数~2015センター数学
データ分析2~2015センター追再試験・数学ⅠA・第3問
高校数学ではまだ目新しい分野だが、去年とほぼ同じ問題構成に
なってたから、勉強しやすいとも言える。求められてる能力が固定
されてるということか。
ちなみに数学ⅠAの確率と国語については、すぐに記事をアップ
してある。国語は小説中心だが、評論にも触れてある。
くじ引きの順序は無関係、条件付き確率
~2017センター試験・数学ⅠA・第3問
「春」の純粋さと郷愁が誘う涙、野上弥生子『秋の一日』
~2017センター試験・国語
☆ ☆ ☆
では、2017年のセンター数学Ⅰ・A、第2問〔2〕。グラフ
と図だけは河合塾HPからコピペさせて頂いた。毎年の事なが
ら、大学入試センターHPにはなかなか問題が掲載されない。
以前から、大手予備校中心の情報公開になってる。
以下、問題文や選択肢は私が短く省略して書いたものなので、念
のため。正解を求めるだけなら、十分だと思う。
スキーのジャンプは、飛距離D(m)から得点Xが決まり、空中
姿勢から得点Yが決まる。ある大会のジャンプ58回を考える。
(1) 得点X、Y、飛び出し速度V(km/h)について、
次の3つの散布図(図1)を得た。
読み取れることとして正しいのは?
(正解)
選択肢1 XとYの間には正の相関がある。
選択肢4 Yが最小のジャンプは、Xは最小ではない。
選択肢6 Yが55以上かつVが94以上のジャンプはない。
(解説) 選択肢の1が正しいのは、3枚目の散布図が右上
がりになってることから分かる。選択肢4が正しい
のは、3枚目の散布図の左下あたりで分かる。
選択肢1は、普通の見方やテレビ解説とかなら、
「キレイな飛び方だと距離が伸びる」
といった話になるが、数学だととりあえず正の相関
を認めるだけ。さらなる考察へと進むことになる。
選択肢6は散布図2の右上より。普通の言い方なら
「スピードが速いと飛型をまとめにくい」
とかいう話になるだろう。実際はむしろ、
「飛び方が下手な選手はスピードを出すのが上手」
ということかも知れない。
☆ ☆ ☆
(2) 得点Xは、飛距離Dから次の計算式で算出される。
X=1.80×(D-125.0)+60.0
Xの分散は、Dの分散の ( ソ ) 倍になる。
XとYの共分散は、DとYの共分散の ( タ ) 倍になる。
ただし共分散は、2つの変量のそれぞれにおいて
平均値からの偏差を求め、偏差の積の平均値として
定義される。
XとYの相関係数は、DとYの相関係数の ( チ ) 倍。
(正解)
ソ ・・・ 選択肢4 (3.24倍)
タ ・・・ 選択肢3 (1.80倍)
チ ・・・ 選択肢2 (1倍)
(解説) 去年とほぼ同じ、 y=a x+bのタイプの変数変換。
ここでは、 X=1.8D-165。
すると、分散の定義式より、Xの分散はDの分散の
(1.8)² になる。
つまり、3.24倍。一般には、a² 倍。
一方、XとYの共分散だと、Xの偏差だけが1.8倍に
なって、もう片方のYの偏差は元のまま。
よって、1.8倍。一般には、a倍。
最後に、相関係数は変わらない。一般に、1倍。
実際、公式を確認すると、
相関係数
=共分散 / {√(Xの分散)√(Yの分散)}
分子が1.8倍になる一方、分母も√3.24倍、つまり
1.8倍になるから、割り算で約分されて、1倍になる。
(3) 58回のジャンプは、29名の選手が2回ずつ行ったもの。
1回目の合計得点X+Yのヒストグラムと、2回目のヒスト
グラムは、図2のA、Bのいずれか。
また、1回目のX+Yに対する箱ひげ図と2回目の箱ひげ
図は、図3のa、bのいずれか。
ただし、1回目のX+Yの最小値は108.0。
1回目のX+Yの値について、ヒストグラムと箱ひげ図の
組合せとして正しいものは、 ( ツ ) である。
また図3から読み取れることとして正しいものは ( テ )。
(正解)
ツ ・・・ 選択肢0 (Aとa)
テ ・・・ 選択肢1 (1回目のX+Yの中央値は、
2回目のX+Yの中央値より大きい)
(解説) 1回目の最小値が108だから、Aとaになる。
Bとbだと、最小値が100~105の間になってる。
1回目の方が、風が良かったということだろう。
また、箱ひげ図の箱(長方形部分)の中にある縦線
の位置が中央値を示すので、a、つまり1回目の中
央値の方が大きい。
a(1回目)の縦線が、b(2回目)の縦線より右側に
あるということ。
ちなみに中央値とは、第二四分位数。データを小さい
方から並べた時の中央になる値で、平均値ではない。
☆ ☆ ☆
なお、スキーのジャンプについては、5年前の全国学力テストで
奇妙な「模範解答」が示されて、当サイトで詳細に批判。いまだに
アクセスが地味に続いてるので、おかしいと思った人が少なくない
のだろう。
全国学力調査2012・中学数学B、
スキー・ジャンプの問題(原田vs船木)
流石に今回のセンター試験では、おかしな点はない。中学と高校
の差だろうか。それでは、今日はこの辺で。。☆彡
(計 2150字)
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