みどりの目に映る FIRST PASSION COLOR~『A LIFE~愛しき人~』第3話
先週、第2話のレビューのタイトルに「華麗なるキムタク、雪山へ」
と書いたら、第3話で沖田(木村拓哉)が靴を片方だけ脱ぐシーン
が登場♪ 普通の大人の男性だと風当たりが強い、白いソックス
を見せて、ごく一部の足フェチ女子を歓喜させた後(笑)、「自滅」
という台詞まで2回出てきた。
まさに、『華麗なる一族』最終回の鉄平。これだけでもう、個人的に
は自己満足に浸れるわけだけが、他にホラーのオマケも付いてた♪
最後のエスカレーターのシーン。沖田との逃避行を狙ってたナー
ス・由紀(木村文乃)が、恋のライバルの医師・深冬(竹内結子)
を突き落とさなかったから、落胆・・じゃなくて安心した視聴者も
多いはず。ガクガク、ブルブル。。演出家・加藤新の軽いお遊びか。
転落したはずみで脳腫瘍が治るとか♪ 白雪姫か!
私なら、エスカレーターにエッセンシャル・シャンプーをまいて滑ら
せてたかも(笑)。コラコラ! スポンサー降板だろ。いや、私は
メリット派なもんで♪ どっちも花王だろ!
そしてさらに、萌えシーンのトッピングまであったのだ。
榊原実梨(菜々緒) 「バットの振り方を変えたらどう?」
壮大(浅野忠信) 「ほ~ら、これでどうだ♪」
☆ ☆ ☆
ってことで、夜のバッティングセンターを比喩にして、夜のバッ
ティングルームの会話が描かれてたのだ。最初は空振り続き
で体力を浪費してたけど、バットの振り方を変えると、少しズレ
た奥、遠位弓部にヒットして、いいらしい♪ まだ言うか!
ま、このくらいヒネリを入れると、もはや現在の A I には解釈不
能だろう。普通の記憶力や情報処理だと全く勝てなくなってるから、
人間知性は大胆な柔軟性や微妙な繊細さで勝負するしかない。
それは、橋部敦子の脚本でも同様。わざと厚みや広がりをもたせ
て、単純で平凡なスーパードクター大活躍物語になるのを避けよ
うとしてる。
だからこそ、壮大は単なる悪の大魔王にはなってない。かつての
仲間・沖田への友情や信頼は持ってるし、妻・深冬への愛もある。
それゆえに嫉妬を抑え、深冬の脳腫瘍を沖田に任せることにした。
主張も行動もそれなりに筋が通ってるからこそ、銀行の信頼も厚い。
そして院長(柄本明)も、水戸黄門的な安定感をもたらす善人に
はなってない。それは、第1話から一貫してることだ。
☆ ☆ ☆
こうした全体像が見えないと、第3話で、「ドラマの根幹を揺るがす、
院長の“キャラ変更”」などという妙な指摘をしてしまう。
サイゾーによると、院長は「ビジネスよりも医療の本質を追及せよ」
という考えの“理想の医師”だったのに、第3話でキャラ変更され
てしまったことになってる。
そうした不満は、院長の表面的な明るさだけを見てるから出てし
まうわけだ。あるいは、小児科を守ろうと口にする医師はいい人、
主役の味方のように見える人は善人だという先入観&固定観念。
実は、院長の怪しさは10年前の壮大との会話から既に分かってた
ことだ。「親友」の沖田を米国に飛ばそうとする壮大を怪しみつつ、
結果的に賛成。決定はもちろん院長のはず。当時の壮大に実権
はない。
その後、自分の娘を有能なエリート医師・壮大と結婚させて、病院
を大きくしてるのだ。しかも、壮大と折り合いが悪くなると、今度は
沖田を味方につけようとする。
院長が医療の理想だけでなく、ビジネスや個人的利益も追及し
てるのは最初からであって、それは現実社会でもフツーだろう。。
☆ ☆ ☆
というわけで、単純な能力ではAIに大敗しつつある人間知性とし
ては、独自の解釈や柔軟性、厚み、幅の広がりで対抗する必要
がある。マニアック・ブログとしては、まず次の画像から始めよう。
この時点で早くも、ツイート数がほぼゼロになる♪
エイブ・バーンバウム作『みどりの目』(童話館出版)。おね
しょ・・じゃなくて腸捻転に苦しんでた友梨佳ちゃん(子役・石井
心咲=みさき)が読んでた絵本だ。
上の画像は、ドラマの公式動画(TVer)より。非営利の個人
ブログのレビューにおける限定的引用なので、著作権・肖像権
の問題は生じないと考える。
英語版のamazonで、原作の中身が少し公開されてたから、
こちらも引用させて頂こう。
英語タイトルもそのまんまで、『GREEN EYES』。「みどり
の目」という名前のちっちゃな白い猫が、箱から出て世界を見
ると、色とりどりのキレイなお花畑が広がってた。まるで昨年末
のスマスマ最終回、ラストシーンみたいな美しい光景。
多少、神話が入ってるとしても、幼い目に映る世界が色鮮やかな
のは本当だろう。そしておそらく、美術さんか演出家・加藤新が、
そうした事を理解してたんだと想像する。
友梨佳ちゃんの洋服のロゴは、
「FIRST PASSION COLOR」。
日本語に直訳すると、最初の感情=情熱の色。
☆ ☆ ☆
小児科の診察室の壁もカラフルで可愛かったが、省略しとこう。
それより重要なのは、銀行からの借入申込書に名前と年齢が書
かれてた、壮大&深冬の娘、莉菜ちゃん(5歳)。カラフルなお
花と太陽に囲まれた自分の姿を絵に描いて、ママに見せてた。
こうした画像や映像の数々の連鎖の後だからこそ、次のちょっと
珍しい画像にも意味が生じるのだ。
赤、青、黄色。沖田が友梨佳ちゃんの手術のために、カラフル
なマーカーで描いた準備の図面。女子高生の落書きではない♪
これは、沖田が子どもの思いや世界を理解すると共に、自分自
身も子どもの感情=情熱を抱き続けてることを示してる。目の前
の患者の命を救うだけ。純粋無垢な「みどりの目」に映るのは、
キレイな生命のお花畑。ファースト・パッション・カラー。
もちろん、それで大人の世界を生きていけるかどうかは別問題。
病院に融資するあおい銀行にとっては、経営手腕という大人の
能力だけが大切。要するに、金だ。一方、美人弁護士にとっては、
バットの技術だけが大切。これも根本は、金だ♪ コラコラ!
☆ ☆ ☆
最後に、深冬の論文も少し見ておこう。タイトルの日本語と英語
が、ビミョーにズレてる辺りも興味深い(細かっ・・)。
小児水腎症における外科手術:
腹腔鏡手術と開放手術の比較検討
壇上記念病院 第一外科 小児外科
壇上深冬
Surgical Management of
Hydronephrosis in Children
Laparoscopic versus Open
要するに、小さな傷で済む腹腔鏡の手術をしたグループ(群)と、
大きく腹を切る手術をしたグループを、多角的に比べる統計的
な調査だ。友梨佳ちゃんの腸捻転の見落としを指摘された慶応
大・・じゃなくて慶安大学病院の蒲生教授なら認めてくれるはず♪
ちなみにこの論文は、広い意味で、まとめ論文の類。沖田のチー
ム仲間が書いてた斬新な手術法の論文と比べると、格下だろう。
沖田的な観点から見るなら。逆に、学術研究に熱心な井川(松
山ケンイチ)なら、同格の論文と見るのかも。。
☆ ☆ ☆
なお、ドラマでは不採算な小児科部門の切り捨てが一つのポイ
ントになってるけど、今日(1月31日)、富士通は、ニフティの
個人サービス部門の売却を正式発表した。ノジマへの株式譲渡
は4月1日。順調なクラウド部門だけを自社に残すことになる。
前から各種の情報が入ってたし、理解できる経営判断とはいえ、
いよいよ来たか・・って感じだ。ニフティのブログであるココログ
で11年半、毎日更新し続けて来たこのブログ、「テンメイの
RUN&BIKE」も、大きな転機を迎えることになるかも。
よそのブログに引っ越すとしても、ウチの記事数は5000本
近いし、文字数は1000万字近い。引越しによるレイアウト
崩れを修正するだけでも、ほとんど不可能な作業になりそうだ。
コメントのやり取り5000回分も、移動できないだろう。
現実社会にスーパードクターは(ほとんど)いないから、一般人
が必死にもがくしかない。そうなるとつい、絵本やオモチャの世
界に戻りたくなるのであった。幼児退行か! ほんじゃ、大人の
映像やオモチャに逃避するとか♪ コラコラ!
☆ ☆ ☆
そんな軽口より、沖田が「目の前の患者を助ける」とか言いつつ、
深冬の真後ろに立ってたカットを褒めるべきだね。
深冬は、友梨佳ちゃんのことを考えてるけど、沖田は深冬という
患者も同時に抱えてる。だからこそ、2人の目線の対比が鮮明に
なってた。キムタクの目はしっかり、深冬の後頭部をとらえてた。
それでは、また明日。。☆彡
cf. 切ってつないで治す、心の穴、頭の影
~『A LIFE~愛しき人~』第1話
華麗なるキムタク、雪山へ~第2話
私って、いつフラれたの?~第4話
少年たちの冒険と、最小の傷の手術~第5話
逆行性の解離と、二つの穴~第6話
僅かな可能性の扱い方と、リスク管理~第7話
穴(アナ)と由紀&深冬の女王〜第8話
包丁を研ぎ続ける職人たち〜第9話
闘いと穴埋め、自らの存在のために~最終回
(計 3468字)
(追記 127字 ; 合計 3595字)
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コメント
テンメイさん、お久しぶりです。
楽しく読ませていただきました。
バットの話しとか、バットの話しとか(笑)
サイゾーの記事への嫌み(言葉が間違ってたらゴメンなさい)もさり気なく混ぜてて、ヤッタ〜な気分になりました。
今まであった沢山の木村拓哉のドラマの中で一番好きな作品になりそうなのが嬉しいです。
来週もレビューして下さったら嬉しいです♪
投稿: まり | 2017年1月31日 (火) 22時31分
> まり さん
これはこれは。。嬉しいサプライズですね。
超ご無沙汰のコメント、ありがとうございます
8年近く前の『全力坂』以来ですね。
今まで、ウチのコメント欄のご無沙汰記録(笑)は
4、5年だったから、大幅な記録更新。
おめでとうございます
これを破る読者さんは、今後いないかも。。
それほど、バットがツボに入ったと
そう言えば、まりさん。『黄金バット』のファンでしたよね♪
『月光仮面』だったかな(笑)
僕的には、バットはレビューの本筋ではなくて、単なる
読者サービスですが、一部の熱いご支持はあるようです。
不支持より多いかどうかはさておき(^^ゞ
サイゾーは単に分かりやすい名前だから出してるわけで、
要するに、ありがちで表面的な批判への軽い一言ですね。
文芸作品の世界ならあり得ないような見方をスルーしてると、
テレビドラマ全体の質が下がると思うので。
人それぞれとか多様性とか、そんな事ばかり言ってると、
みんながラクな方に向かって、多様性も守れないでしょう。
ちなみにこの辺り、ちょっと分かりにくい書き方を
してるのは、わざとです♪
で、『A LIFE』が一番好きな作品になりそうなんですか?
やっぱりポイントは、バットの話とか、バットの話とか(爆)
僕が一番好きなのは、『ワッツ』の最後のコーナーかな(笑)
ドラマだと、さんまと共演した『空から降る一億の星』が
印象的。
『華麗』もいいですけどね。
キムタクはちょっと翳りがある孤独な役が似合うと思います。
『ロンバケ』も半ば、その系統でしょう。
『A LIFE』もそうかも。いつも淋しそうに見えますね。
この先、父親にも何かありそうだし。
バットにも何かありそうだし(笑)
レビューは正直、1回おきにしようかと思ってたんですが、
一部の人は熱心に読んでくださってるようだし、
たぶん毎週書き続けると思います。
ココログでの最後のドラマレビューになるかも知れないし。。
ともあれ、久々のご登場、どうもでした♪
ではまた。。
投稿: テンメイ | 2017年2月 1日 (水) 20時44分