映画『昼顔』ノベライズ、軽~い感想(ネタバレ少なめ♪)
(☆18年6月27日の追記: 映画自体のレビューをアップ。
赤い絶望の闇に光った、
緑の蛍としての指輪=子ども ~ 映画『昼顔』 )
☆ ☆ ☆
日曜のお昼にふさわしい、爽やかな記事をお届けしよう。人妻の
愛欲ドロドロの不倫(笑)
違った。元・人妻と既婚男性の不倫か。紗和(上戸彩)は離婚してる
わけね。そう言えば、「人夫」って言葉はない。伝統的に、他人の夫は
女性にとっての性愛の対象にならなかったからかも。
現代日本だと、なりまくりらしいけど(伝聞形♪)。全国の人妻の間で、
もはや流行現象のレベル。いいね(笑)
☆ ☆ ☆
私がこの記事を書こうと思ったキッカケの一つは、2017年6月21日
の朝日・夕刊に載ってた連載コラム、黒木瞳の「ひみつのHちゃん」だ。
人妻の彼女が、プライベートで映画『昼顔』を見に行って、「恋って摩訶
不思議」(今回の題)とか、胸ときめいたらしい。まさに、「ひみつのH
ちゃん」♪ ところが、人妻不倫について、帰宅後に旦那さんと仲良く
語り合うとのこと。
ダメだ! それじゃ、オチが弱い(笑)。「私も二子玉川で見かけた
男性と、田園都市線で渋谷・道玄坂を登って左に曲がった」とかいう
結末じゃないと♪ 細かっ!
☆ ☆ ☆
連続ドラマ終了から3年。続編映画『昼顔』は、公開前からかなり話題
になってた。ウチには昼顔関連の記事が多数あるから、アクセス数の
変化で分かるのだ。下は、ウチの6月のアクセス数ランキング。
3位はドラマとは別の結末を書いたノベライズ、『昼顔~Another
End』の記事。5位はドラマの原作、フランス映画『昼顔』のレビュー
で、8割くらいは検索ミスだろうけど、2割くらいは原作映画目当ての
アクセスだと思う。1位と4位もドラマチックな激しい物語だから、世間
の好みが分かる。
そして、6月10日に公開された映画『昼顔』も、初登場1位を達成。
下は興行通信社のHP、「CINEMAランキング通信」より。大ヒット
継続中の『美女と野獣』を上回る週間観客動員数となった。
☆ ☆ ☆
前置きが長いのは、「ネタバレ少なめ」の「軽~い感想」記事だから♪
映画のノベライズ本については、詳しく書けないのだ。
井上由美子・脚本、百瀬しのぶ・ノベライズによる単行本『昼顔』は
6月4日発売で、3週間後の今でもamazonのベストセラー1位
ただ、アマゾンのベストセラーというのは注意が必要で、カテゴリが
狭いことが多いし、刻々と変化するのだ。今回も「ロマンス」カテゴリ
の1位であって、もっと広い「文学・評論」カテゴリで調べると100位
にも入ってない。もちろん、本全体のランキングだと遥か下のはず。
まあ、人妻たちが燃える=萌えるのは圧倒的に映像だから、文字が
多い書籍がそれほどヒットしないのは当然か。男の方が視覚的動物
だと言われたりするけど、女もかなり視覚的な生き物なのだ。
ただし、結婚関連の現実的条件だけは別として(笑)。恐るべし・・
愛すべき女性たち。。♪
☆ ☆ ☆
で、いよいよ映画のノベライズ本の短い感想。一言でまとめると、
良かった☆ いや、正直あんまし期待してなかったのだ。
井上由美子という脚本家。2010年の連ドラ『同窓会』は良かった
し、14年の『昼顔』もヒットしたけど、15年の堀北真希主演ドラマ
『まっしろ』は大ハズレ。平均視聴率5.8%の惨敗で、TBSスタッフ
も頭が「まっしろ」♪
私もあのドラマはあまりに退屈で、珍しく一瞬で脱落したから、井上
の評価は下がってた。
ところが今回のノベライズは、特に終盤が上手く書けてる。映画と
いうメディアを十分意識しつつ、小説としても面白い。なかなかの
実力者だね、ゴーストライターの百瀬しのぶ(笑)。コラコラ!
☆ ☆ ☆
ネタバレ控えめのあらすじは次の通り。まだ知らない方、これから
映画を見る方はご注意あれ。私は映画は見てないし、他のサイト
の情報も全く見てないので、本と映画の違いは分からない。たぶん、
ほとんど同じだろうと想像する。
紗和は一人きりになって、小さなお店のバイトをしながら、淋しく貧しい
生活を送ってる。男性オーナーはともかく、同僚2人はあまり好意的
ではない。
ある時、偶然、かつて愛し合った北野先生(斎藤工)を見かける。もう
会ってはいけない人だから、すぐ声をかけるわけにはいかない。でも、
どうしても追いかけてしまう紗和。まもなく北野も気づき、最初は距離
を取ってたものの、結局はまた寄り添ってしまう。
すると当然、北野の妻・乃里子(伊藤歩)も気づく。ところが今回は
結局、乃里子が折れて、北野との離婚に同意。北野は既に、紗和
と同居してたけど、ささやかな指輪を購入。正式な結婚に備える。
北野が乃里子のもとに、離婚届を受け取りに行ってる間、紗和は
お祭りで踊りながら待ってる。上手く踊れば、いいことがあるらしい。
冷たかった同僚が用意してくれた浴衣の柄は、昼顔。小さくて綺麗な
ピンクの花なのに、なぜか雑草扱いの幸薄い花。
紗和は昼顔を身にまとって、上手く踊れた感触をもつ。これでやっと
私も幸せな人生を送れるはず。すると・・・。。
画像はウィキメディアより。
☆ ☆ ☆
私が評価するのは、細かい描写や伏線の張り方が巧みだからだ。
ホタル、百葉箱、「裕一郎」という呼び名、指輪。
職場の仲間たちの描き方も最後までヒネリが効いてるし、女性ウケし
そうなエンディングでもある。感情的・衝動的に行動するし、非理性的
で嫉妬深い(失礼・・・笑)。でも現実的で、本能的な母性に満ちてる。
恋愛ストーリーの古典的名作『愛と誠』にちょっと似てるけど、やっぱり
女性向けの結末だと書いとこう。男と女、決定的な違いは、アレなのだ。
最後は「ホタル」の小さな輝きで終了。二重の意味でのホタル。
☆ ☆ ☆
『ガリレオ』でもおなじみ、監督の西谷弘はいいとして、出演者の名前
に吉瀬美智子が無いのはさみしいね。私はドラマだと、むしろ吉瀬と
北村一輝の倒錯した激しいエロスに萌えたもんで♪
なお、今週は計13112字で終了。連ドラ終了直後で疲れてるし、
ちょっと少なめにしといた。ではまた来週。。☆彡
cf. 人妻蝶の炎、新たな束縛の快楽へ~『昼顔』最終回
ドラマ『昼顔』ノベライズ本、別の結末のあらすじ&感想♪
映画『昼顔』(Belle de Jour)
~あらすじ、感想、ドラマとの比較
(計 2533字)
(追記 63字 ; 合計 2596字)
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