« 個人がネットで支援を得るための疑似株式、「VALU」(バリュ)&多摩川 | トップページ | 言い訳はあるけど惨敗・・・17年7月の全走行距離 »

身体の答え、ピアノの答え~『コード・ブルー3』第3話

 命と その人が命より大切だと思っているもの 

 どちらかを選ばなければならない 

 中には 命を捨ててでも 

 大切なものを選びたいと望む人もいる

  

 それでも 医者は命を優先する ・・・・・・

 命さえあれば いつか大切なものを失った辛さをも 

 乗り越えられると 医者は信じているから 

 

 けれど 失うものがあまりに大きい時は 

 医者はどうすればいいのだろう・・・

 

 

     ☆        ☆        ☆

『コード・ブルー3』第3話の平均視聴率は、少しダウンで14.0%

(ビデオリサーチ、関東地区)。今という時代や録画、動画を考える

と、まだ十分高いけど、ストーリーと映像がやや地味で重かったのも

関係したのかな。裏には、気軽に楽しめるスペシャル番組がズラッと

並んでた。

 

私の評価はもちろん、今回が最高だ。演出が葉山浩樹だから(笑)。

この名前だけで評価は3割増しだ♪ エコひいきか!

 

マジメな話、西浦正記の演出の方が、動きの激しい派手な映像で

勝負するから、一般ウケしやすいかも。しかし、葉山は繊細で緻密、

情感的な描写を得意とする。昨日の放送でも、その長所が光ってた。

 

 

     ☆        ☆        ☆

例えば今回、私は帰宅が遅れて最初の30秒見逃してたんだけど、

FODの動画をチェックして正解だった。これは凄い! 思わずゾクッ

としてしまった。

 

脚本・安達奈緒子と演出・葉山、そして美術スタッフさん達の見事な

コラボか。冒頭、居候の緋山(戸田恵梨香)が白石(新垣結衣)の部屋

に置きっ放しにしてた梅のおにぎりには、三重の意味が込められてる。

 

170801a  

 

まず一つ目の意味。ツイッター検索をかけても、(ほとんど)誰も

気づいてないみたいだけど、おにぎりの袋の文字。「O-mu」と

書かれてたのだ! おむすびのローマ字の冒頭なら「Omu」の

はずだから、横棒入りなら、「オーム」と読むのが自然。

 

つまり、オウム。 だから、藍沢(山下智久)のセリフには「神経ガス」と

いう言葉が入ってたし、ホワイトボードには、サリン、VXという言葉も

あった。日本でそんな毒物の名前が飛び交ったのは、オウム真理教

事件以外にない。海外なら今春、シリアでサリン攻撃が騒がれてる。

 

ちなみに1995年の地下鉄サリン事件の際、聖路加国際病院での

患者受け入れで活躍したのが、先日(7月18日)105歳で亡くなった

大御所医師、日野原重明氏だ。

 

直ちに普通の外来患者の受け入れを中止して、救急医療に専念。

ドラマも似た展開になってたのは、偶然なのか、あるいはオマージュ

(敬意を込めた模倣)的な追悼表現なのか。ちなみに日野原は医療

の実地教育システムの草分けでもあるらしい。

 

 

      ☆        ☆        ☆

次に二つ目の意味。おにぎりに鼻を近づけて臭いをクンクンかいでた

白石は、いまいちピンと来てなかった。要するに、あんまし臭覚が鋭く

ないのだ。英語力も鋭くないし(笑)。まだ言うか!

 

これは後で、自殺未遂患者のシアン化合物の臭いを感じなかった

エピソードとつながってる。と言っても、感じない方が60%で多数派

とされてたけど。感じて報告した灰谷(成田凌)は40%の側で、評価

してもらってた。

 

シアンが甘酸っぱい香りという不確定情報は、ウィキペディアの青酸

カリ(シアン化カリウム)の項目からのコピペが拡散してるが、その

情報には出典が示されてないし、他の信頼できる専門情報もまだ

発見できてない。

 

英語の検索でも信頼できそうな情報がなかなかヒットしないし、日本

のドラマ関連情報がほとんどになってる。まあ、ドラマの医療監修を

信じるところだろうか。。

 

 

      ☆        ☆        ☆

そして三つ目の意味。なぜ、あやしい梅のおにぎりが登場して、大丈夫

だったのか。それは梅が青酸(シアン)と関連してるからだろう。危ない

シアン化合物も、結果的に大丈夫だった。JA福岡のHPから引用。

 

170801b

 

生の青梅(あおうめ)には、毒物の青酸(シアンや化合物、水溶液)

が少し含まれてる。普通は大丈夫だけど、「幼い青梅を・・・種ごと

食べるのはやめよう」。

 

専門的な解説も、日本中毒情報センターその他で確認済み。青酸

配糖体のアミグダリンやプルナシンが酵素で加水分解すると、

猛毒のシアン化水素が生成する(といわれている)。ウィキペディア

の構造式と3Dモデルを見ると、『アルジャーノン』を思い出すね。

来週以降、数式書きなぐりシーンにも期待しよう。

 

170801c

      

というわけで、ドラマ冒頭の妙なシーンはハイレベルな構成だった

のだ。まあ、視聴者の目線は、梅おにぎりより、女子の部屋と服装

に向けられてただろうけど♪

 

個人的には、毒物を洗い流す時、白石のTシャツに目が行った。

映像をデジタル処理してみる視聴者もいるはず(笑)。コラコラ!

いや、第一話の山Pの胸とどっちが大きいか、ウワサの客観的

検証も必要だから♪

 

 

     ☆        ☆        ☆

毒物除染の屋外シャワーシーンで、何気にガッキーを水着にしても

笑えたけど、最近は年齢的に水着姿は見せてないらしい。やっぱ、

ムダにスタイルがいいわけか♪

 

まあ、代わりに横峯(新木優子)が笑わせてくれた。名取(有岡大貴)

が大事な打ち明け話をしたのに、美顔マッサージ器をゴロゴロさせて

聞き流したり、大福を頬張って口が白くなってたり♪

 

灰谷が朝っぱらから、いきなりドクターヘリ用の作業服になってた

のも、細かい笑い。ヘリと言えば、毒物対策で窓を開けたシーンも

細かい撮影になってた。客室と運転席と、わざわざ左右両側の航空

映像を見せてたのだ。

 

次は、ドクター旅客機の窓開けも見たいね♪ ないだろ! 速度と

高度、気圧差が全然違うのであった。

 

 

      ☆        ☆        ☆

さて、今回のサブタイトル(新聞テレビ欄)は、「命より大切なもの」。

この記事冒頭に引用した、最初と最後の藍沢のモノローグも、それ

をめぐる困難や苦悩を語ってた。

 

ただ、「命より大切なもの、それは人間の心だ」というような単純な

物語にはなってない。実際、自殺未遂2回の秋本二郎の場合、心は

さしあたり死にたがってる。

 

ところが手術中断のダメージコントロール(単なるガーゼパッキング

24時間)で、身体は生きたいと答えて来たのだ。手術を再開できる所

まで回復することによって。シアン化合物(青酸カリとか)のカプセル

を吐き出したのもその表れ。身体から心への、文字通り、必死の抵抗。

 

「自殺」という過激な言葉が使われ続ける理由の一つは、自分で自分

の身体を殺すからだろう。だからこそ、しばしば身体が抵抗して失敗

する。

 

 

     ☆        ☆        ☆

今回のドラマで、「死にたきゃ一人で死ね」とか成田が言ってたのは、

ちょっと過激だけど重要な論点だろう。実際、秋本の自殺未遂連発

のおかげで、他の救急患者の命が失われたかも知れない。実社会

でも、巻き添えで死ぬ被害者が時々話題になってるわけだ。死刑に

なるための殺人もその類。

 

まあ、脚本家にもよるわけで、例えば坂元裕二なら、もっと死にたい

人の側に寄り添うセリフになってたかも。良し悪しや好みはさておき。

去年の月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の中で、

何気にそんな台詞が登場してたと思う(鉄道の人身事故)。

 

安達奈緒子という脚本家は、女性なのにか女性だからか、あるいは

性差と無関係なのか、他にもドキッとするエピソードをさり気なく挿入

してた。橘(椎名桔平)とその息子が、心臓移植のドナー待ちで新聞

の社会面を見てるとか。わざと分かりにくくして、ギリギリの所まで

攻める台本だった。。

 

 

      ☆        ☆        ☆

今回のドラマで最も光ってたのは、終盤の美少女ピアニストの描写。

天野奏(田鍋梨々花)は、脳腫瘍の手術の同意書にサインしようと

してた。

 

ピアノは弾けなくなるかもしれないけど、大好きな藍沢先生にご褒美

をもらえるかも知れないし。「ほーら、スゴイものをあげるよ」♪

 

ところが、ピアノの鍵盤を「ポーン」と1回叩いた直後、態度が急変。

「弾けなくしないで・・」。つまり、ピアノが答えたのだ。生きたい、

奏ちゃんに弾かれたい。私を捨てないで。。

 

ピアノの音で切り替える斬新なシーンで、これも脚本と演出の見事な

コラボ。音と言えば序盤、ウルトラマンのカラータイマーが赤色で点滅

するような「ピコン、ピコン」も良かった。残り時間の少なさの表現。あれ

だけ控えめなら、権利にうるさい円谷プロも見逃してくれるはず。

 

というわけで、やっぱり演出は葉山♪ これが私の答えなのであった。

 

 

      ☆        ☆        ☆

そろそろ時間が来た。ともあれ、シアン化合物の中毒には、亜硝酸 

ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸アミルなどで対処らしい。

藍沢と橘のセリフもそう聞こえた。

 

170801d_2

 

日本中毒情報センターのpdfファイル(2008年部分改定)だと、

亜硝酸ナトリウムは未承認と書かれてるが、信頼できそうな多数

のサイトに書かれてるので、承認されたか、特殊な経路があると

思われる。

 

例えば広島県医師会速報(2008年)には、「日本に医薬品の市販

製剤はない。試薬(特級)の亜硝酸ナトリウムを用いて3%溶液に

調整」と書いてる。化学式はNaNO2、または、NNaO2。構造式

はあまり書かれてないが、厚労省「職場のあんぜんサイト」で発見

 

170801e

 

女子高生への・・とか余計なことを書くのは避けとく、賢明なテンメイ

であった♪ それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 救命の良心=両親、子ども達のために

             ~『コード・ブルー3』第1話

   「親子の心、共に知らず」、されど共に生きる~第2話

   かすかな笑顔、ささやかな花火~第4話

   藤色のシオン(紫苑)、他人の命に寄り添って~第5話

   過去の負から未来の正へ、脳死と臓器移植~第6話

   呵責、責任、罪責感~第7話

   無意識の気まぐれ、運命のいたずら~第8話

   大好きなあなたの「死」は見たくない~第9話

   仲間と共にトンネルウォーク、光さす出口を探して~最終回

 

     ・・・・・・・・・・

   僅かな積極的休養ラン&『コード・ブルー2』第1話  

   ドクターヘリを取り巻く腕~『コード・ブルー』第1話

   『コード・ブルー』のヘリコプターMD902について

 

                (計 3841字)

     (追記 172字 ; 合計 4013字)

| |

« 個人がネットで支援を得るための疑似株式、「VALU」(バリュ)&多摩川 | トップページ | 言い訳はあるけど惨敗・・・17年7月の全走行距離 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。
コメントするのは久しぶりですが、ちょくちょく覗かせていただいてました。
「ボク、運命の人です」のレビューとか、、、

さすが、テンメイさんですね〜おにぎりの包装紙まで見てるとは
3回見てもそこまで気がつきませんでした(汗)
藍沢先生しか見てないので、しかたがないかも(笑)
3回目にして、ちょっと前2回と感じが違う気がしたのは、演出が違う人になったからなんですね〜
葉山さんがコードブルーで最初に演出したのが1stの4回だそうで、その回は藤川先生のお母様に泣かされたのを思い出しました。
今回もじんわりと胸に来る回で、終わった後もいろいろ考えさせられる感じですね
ますます今後が楽しみです(^.^)
最後までテンメイさんのレビューも楽しみにさせていただきますます。

投稿: hiro | 2017年8月 2日 (水) 16時12分

> hiro さん
   
こんばんは。ご無沙汰ですね
アルジャーノン以来ですか。
当時は毎週のようにご登場でした (^^)
   
hiroさんも結構長いよなぁ・・と思って
管理ページで調べてみたら、まだ5年でしたか。
   
一番最初のコメントは名前が全角文字の「hiro」で、
僕のことを「隠れジャニーズオタ」と書いてました
読み返してウケちゃいましたよ。
もちろん、誤解だけど♪
  
     
おにぎりの包装紙は、画質の粗い動画で見て、
すぐ気づきました (^^)v
あらかじめオンエアでオウムをイメージしてたし、
おにぎりが強調されてたからでしょう。
  
・・って言うか、3回見たんですか!
あぁ、でもファンのリピートにしては普通かも(笑)
僕でさえ2回見てますからね。
最初はフツーに見て、次はメモしながら細かく見ました。
  
専門用語が聞き取りにくくて困るんですよ (^^ゞ
今回なら、解毒剤3種類の名前とか。
テロップかHPで解説してくれれば楽なのに。。
  
コード・ブルー1の第4話で葉山が演出した時も、
いい出来なのに、ちょっと視聴率が下がってるんですよね。
まあ、単に回数的な中だるみかも知れないけど、
じっくり味わう視聴者が少ないのかも。
     
ちなみに僕のレビューを読み返すと、
「一番マシ」と書いてました (≧▽≦)
そうか、当時は辛口で書いてたんだ。忘れてた♪
  
  
第3シーズンは脚本家も年齢設定も変わって、
ちょっと違う雰囲気が出てますね。
今回の話もまだ次回以降につながってるし、今後も楽しみです。
一般のドラマ視聴者として(笑)
   
僕もhiroさんのコメントをお待ちしてますよ
ではまた。。

投稿: テンメイ | 2017年8月 3日 (木) 02時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 身体の答え、ピアノの答え~『コード・ブルー3』第3話:

« 個人がネットで支援を得るための疑似株式、「VALU」(バリュ)&多摩川 | トップページ | 言い訳はあるけど惨敗・・・17年7月の全走行距離 »