数学甲子園2017本選Math Battle、問題と解き方(abema動画)
(☆18年9月の追記: 翌年の記事アップ。
数学甲子園2018予選、正答率の低い
3つの問題の解き方と感想 )
(☆18年4月21日の追記: 3日前、全問題と答のみが公開された。
以下の答はすべて正しいことを確認。
残りの問題の解説はとりあえず半分、別記事でアップした。
Math Battle(マスバトル)、問題と解き方2
☆ ☆ ☆
数学甲子園2017は、去年と違って動画配信の告知が無かったから、
早くも放送中止かと思ってたら、配信されてた。
公式HPを見ると、3日前の9月14日にニュースが掲示されたらしい。
台風18号のせいではないだろうから、単に放映の決定が遅れたと
いうことか。あるいは過去問の公開と同じく、サイト運営が全般的に
遅くなってるのか。去年まではもっと早かったのだ。
☆ ☆ ☆
とにかく、abemaの録画で序盤だけ見ると、去年は会場の様子を
風景みたいに映すだけだった第1ステージ(Math Battle
=マス・バトル)が、実況付きになってた。
サイエンスナビゲーター・桜井進と、ジャズピアニスト・中島さち子の
2人が担当。この世界だとどちらも有名人のようで、私は朝日新聞の
記事で知ってた。
マス・バトルは、日本語12問、英語6問、計18問をチームで60分
で解くステージで、去年より難易度がレベルアップ。終わった後の
感想でも、複数の選手が難しかったとか言ってた。
英語の問題で、実況2人が最初の1分間、誤解してたのが象徴的。
視聴者コメントの助けを借りてた。
「周長」という英単語(perimeter)を「直径」と混同しただけ
なら、文脈の解釈ですぐカバーできたはず。正多面体を面に平行な
平面で切断すると、特徴的な多角形ができるという話だ。やはり問題
が難しかったというべきか。
前から指摘してるように、プロもわりと普通の問題で間違えたり解け
なかったりするのは確かなこと。外国語が苦手な人も結構いる。これ
は学問や教育だけでなく、人間にとって本質的に重要な事実だと思う。
「有限性」の問題。コンピューター、AI、ロボットについても同様。
☆ ☆ ☆
とりあえず、私が見た序盤の放送できっちり紹介された8問と、画面
から読み取れた1問について、問題文と解き方、考え方、感想を紹介
しよう。正答は1ヶ月後くらいに追記するので、実力試しにどうぞ♪
他の問題がその後の放送で紹介されたかどうか、正答発表があった
かどうかは知らないので悪しからず。長過ぎて全部見る余裕はない。
残りの問題は、また公開され次第、別記事で扱う予定。
ちなみに、優勝(文部科学大臣賞)は灘高校・バンジー改チーム。
準優勝は南山女子部、敢闘賞(3位)は大阪星光学院。詳しくは
数学検定facebookをご覧あれ。いずれもマス・バトルは
150点だから、満点なのか、あるいは18問中の15問正答か。
灘が優勝したのは、競技ルールを変更したからだと思う。今までと
比べると、普通に学力優秀な生徒が有利な大会になったのだ。
☆ ☆ ☆
問題1 次の式を整数係数の範囲で因数分解しなさい。
x⁸-2x⁶-x⁴-2x²+1
解き方 最初の問題だから、簡単にしてくれたのかも。
係数と次数が対称的になってるから、いきなり
第一段階の因数分解ができる人もいるだろう。
普通はまず、x⁴(x⁴-2x²-1-2/x²+1/x⁴)
として、カッコ内で x²+1/x² をXとおくところか。
途中で終わりにせず、最後まで因数分解しないと、
減点かバツになる。
(☆10月25日の追記:
答 (x²+x+1)(x²+x-1)(x²-x+1)(x²-x-1) )
問題3 aをもっとも小さい数とする、連続するn個の正の整数
があります。これらの和が1000であるとき、(a,n)
の組として考えられるものをすべて求めなさい。ただし、
nは2以上の整数とします。
解き方 等差数列の和の公式を使うと、aとnの方程式が出る。
さらに整数という条件に着目。因数分解と素因数分解、
積の形への分解、不等式による変域の制限などを使う
と絞り込める。偶数と奇数にも注目したけど不要だった。
(☆10月25日の追記:
答 (a,n)=(28,25),(55,16),(198,5) )
☆ ☆ ☆
問題4 1個の白球と2個の赤球が入っている袋があります。
この袋の中から中身を見ずに球を1個取り出します。
取り出した球が白球なら、取り出した球に赤球を1個
加えて袋に戻します。取り出した球が赤球なら、取り
出した球に白球を1個加えて袋に戻します。この試行
を繰り返すとき、n回めの試行で白球が取り出される
確率Pnを求めなさい。
(注. 原文ではPは小文字)
解き方 球の個数に注目。漸化式を立てて変形して解く。
k回目に白の確率がPkとすると、この記号を使って、
k回目の直前の白と赤の個数を表せる。
すると、k+1回目の直前の白と赤の個数も表せて、
P k+1 をPkで表す漸化式が出る。
この後、たまに見るテクニカルな変形をちょっと
使うと、複雑に見える漸化式がキレイに解ける。
(☆10月25日の追記:
答 n(n+3)/2(n+1)(n+2) )
問題6 次の関数の最小値、およびそのときのxの値を求めなさい。
y=2・{ 3の(3x-1)乗 }+2・{ 3の(-3x-1)乗 }
-(1/2)・{ 3の(2x+1)乗 }
-(1/2){ 3の(-2x+1)乗 }-2
解き方 これはわりと簡単。まず、3のx乗を X とおく。
さらに X+1/X を t と置き換えればよい。
自分で導入した文字の変域に注意。
(☆10月25日の追記:
答 -11/3,x=0 )
☆ ☆ ☆
問題8 ベクトルnを単位ベクトルとします。点A(ベクトルa)
を通り、ベクトルnに垂直な平面をαとし、点B(ベクトルb)
平面α上にないものとします。このとき、平面αに関して
Bと対称な点Cの位置ベクトル「ベクトルc」を、ベクトルn、
ベクトルa、ベクトルbを用いて表しなさい。
解き方 BCと平面の交点をHとすると、Hは垂線の足で、
ベクトルc=ベクトルb+ベクトルBC
=ベクトルb+2(ベクトルBH)
ここで、ベクトルBHをベクトルnのt倍とおいて、
AHとBHが垂直という条件からtを決定すればよい。
ベクトルその他は成分表示せず、そのまま使う方が
速いしハイレベル。内積を用いる。
慣れてる人にとっては簡単というか、やったことのある
問題だろう。司会の桜井進は答を覚えてると力説してた。
情報バラエティなら、お笑い系の司会者が「何ですか?」
と聞いて、間違いを誘って突っ込むパターンがお約束♪
(☆10月25日の追記: Hを使わない方が少し速いかも。
答 b+2{(a-b)・n} n 内積は丸点の箇所のみ )
問題9 次の確率密度関数f(x)を考えます。
f(x)=(2/3)x (0≦x<1)
=1-(1/3)x (1≦x≦3)
=0 (x<0,3<x)
これをグラフで表したとき、右の図のように
三角形状になります。f(x)が定める確率分布
は三角分布とよばれ、自然現象や社会現象
を説明する統計モデルとしてしばしば登場
します。
f(x)を確率密度関数にもつ確率変数Xに
ついて、その分散を求めなさい。
解き方 まず、xf(x)の積分で平均mを求めた後、
(x-m)²f(x)の積分で分散Vを求める。
ー∞<x<∞の区間を、f(x)の定義域に
合わせて分割して定積分。単純計算だが
意外と面倒。
私は全く知らなかったけど、三角分布の
平均や分散を求める公式もあったから、
検算に使って、答が合ってるのを確認した。
無限区間の積分だから、本来は大学の
問題で、慣れてない生徒が多いと思う。
(☆10月25日の追記: 答 7/18 )
☆ ☆ ☆
問題12 右の枠内は、あるプログラムを言葉で表現したもの
です。とくに指示がない場合は、①から順に処理をします。
①でMに20000、Nに10、Rに1を入力したときに
出力される値を求めなさい。
(以下、枠内)
① 正の整数M、N、Rを入力する。
② Aの値を1とする。
③ Rに0.01をかけた後、1を加えた値を
新しいRの値とする。
④ MにRをかけた値をPの値とする。
⑤ Aの値とNの値が等しいとき、有効数字3桁
で表したPの値を出力して処理を終了する。
Aの値とNの値が異なるとき、⑥へ進む。
⑥ MとPの値の和にRの値をかけた値を
新しいPの値とする。
⑦ Aに1を加えた値を新しいAの値として、
⑤へ戻る。
解き方 自分でブログラム通りに少し計算してみると、何の話か
すぐ分かる。大会の協力団体となってる日本公認会計士
協会、日本アクチュアリー会に配慮したような、ビジネス
の実用的問題。
ポイントは、面倒な単純計算を正確にこなすこと。電卓
とか使えば簡単だけど、人力だから「有効数字3桁」
という条件を上手く活用する。
(☆10月25日の追記: 答 2.11×10⁵ )
問題13 The graph of y=-2x³+4x is
translated 3 units in the
positive vertical direction and
2 units to the left,and is then
reflected in the x-axis.Find the
equation of the resulting graph
in the form y=ax³+bx²+cx+d.
解き方 3次関数のグラフを、y軸の正の向きに3、
左向きに2、平行移動して、さらにx軸で
折り返す。英語さえ読めれば、教科書の
章末問題くらいの簡単なレベル。
確か、参考書持ち込み可だから、チャート
式とかに似た問題が載ってそうだ。
(☆10月25日の追記:
答 y=2x³+12x²+20x+5 )
☆ ☆ ☆
問題18 A regular octahedron of edge
length a is cut by a plane
parallel to one of its faces.
Find the perimeter of the
section.
解き方 辺の長さaの正八面体を、一つの面に平行な
平面で切る。切り口の周の長さを求めよ。
どこで切るのか、指示が何も書いてないから、
どこで切っても同じ定数だろうと予想できる。
最後の答しか採点基準に入ってないのなら、
八面体の面すれすれに切れば答が出る♪
マジメに解くのなら、展開図に切り口を表す
線を書くのが普通。
(☆10月25日の追記: 答 3a )
それでは、正答その他の追記はしばらく後回しにして、
今日はこの辺で。選手や引率の先生、スタッフの皆さん、
どうもお疲れさま。。♪☆彡
cf. 数学甲子園2016本選1st Stage、全問題の解き方
2016予選、全20問の問題、解き方、感想
2016(Abemaライブ配信)、前半感想
2015準々決勝、全問コメント&解き方
2015予選、全20問の問題、解き方、感想
2014準々決勝、全問コメント&問題10解答・別解
2013予選のポイント、問題15の解説&解答
2012、予選問題&3日ぶりのラン、まだ暑い・・
数学の甲子園、全国数学選手権の問題にチャレンジ (2011)
(計 3980字)
(追記437字 ; 合計4417字)
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