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心の分かりにくさ、他人も自分も~『地味にスゴイ!DX 校閲ガール』最終回

わずか9ヶ月半で復活した、石原さとみ主演『地味にスゴイ!DX

校閲ガール・河野悦子』。全体的に「分かりやすい」内容だけど、

視聴率は「分かりにくい」部分もあるね。まあ、両方の大切さを語る

物語だったから、この微妙な結果でいいのか♪

 

平均視聴率は10.4%(関東地区、ビデオリサーチ)。去年の秋の

全話平均が12.4%で、第1話から最終回までほとんど安定した

数字。昨日は裏番組も強くなかったから、11%~12%の結果なら

分かりやすかった。番組冒頭のツカミも笑えたし♪

 

まあ一般に、連ドラのSPの視聴率は、本放送よりちょっと下がる

傾向があると思う。他に、安室奈美恵の突然の引退発表で、NHK

やテレ朝のニュースを見た人が多かったとか。意外で分かりにくい

決断だから、みんな「事実確認」したかったのかも♪ あるいはSNS

で短い感想を広く共有するとか。

 

脚本は中谷まゆみ、演出は佐藤東弥。去年の中心的スタッフで、

プロット(大まかな筋書き)協力が川﨑いづみ。オープニングテーマ

のchay『12月の雨』と、主題歌の栞菜智世『Heaven’s

 Door~陽のあたる場所~』も去年と同じ。

 

オープニングのタイトルバック映像は変わってたと思う(たぶん)。

明るくて元気がいい悦子を可愛く強調してた。

 

 

     ☆        ☆        ☆

さて、今回の副題(サブタイトル)は、朝日新聞テレビ欄だと、「一夜

限りの大復活! 夢を叶えた悦子がファッション誌で大暴れ! 恋

も仕事も強敵出現! 亡き作家が原稿に込めた謎を校閲魂で解け」。

 

分かりやす過ぎると私は感じるけど、2時間ドラマのサブタイトルだと

こんなもんか。1時間だけかぶってる、裏のテレ朝の2時間ドラマを

見ると、ミステリーだからちょっと謎めいてるけど、似たようなタイトル

になってた。

 

一応、マニアック・ブロガーが「校閲」しとくと、まず「一夜限り」に「?」

を付ける♪ 番組最後に早くも、次の『DXハイパー』の予告らしき

ものを映してたから。今回の視聴率で、ちょっと後ろにずれ込むかも。。

 

あと、「強敵」にも「?」だね。恋の敵は全然強くなかったし、仕事の

敵の新編集長・二階堂凜(木村佳乃)も、序盤からもう半ば味方に

なってた。

 

雑誌『CLASSY』(光文社)・・じゃなくて『Lassy』(景凡社)の

売上不振で大胆なリストラを命じてたけど、リストラされるベテラン

スタッフ3人がいきなり同意♪ 凜はあんまし悪役になってない。

 

むしろ彼女は、「分かりにくいもの」が苦手なキャラという設定。美人

で有能なのに、意外と人生に不器用なところが謎解きのポイントの

一つになってて、解き明かすのは、丹念に調べるのが得意な悦子

なのだ。

 

 

      ☆        ☆        ☆

では、謎解きについて。といっても、凜の元・夫で亡き作家・三枝貢

(大高洋夫)が遺した誤字の謎から入るのは分かりやす過ぎるから、

冒頭の夢オチから始めよう。

 

あの『アタック25』・・じゃなくて『Challenge36』の映像は、

単なるお笑いのツカミではないし、単なるミラノ旅行の伏線でもない。

 

要するに、悦子の無意識の心を表してるのだ。今は憧れの雑誌の

編集部に移動して、後輩の森尾(本田翼)も一緒。だけど、やっぱり

校閲の仕事と地味でスゴイ仲間が大好き。部長・茸原(岸谷五朗)、

藤岩(江口のりこ)、光岡(和田正人)、青木(松川尚瑠輝)、坂下

(麻生かほ里)、目黒(高橋修)。

 

それを夢で表現してるのに、自分では分からない。だから最後に、

菅田将暉演じる彼氏・是永是之(ぜえいぜえ=これながこれゆき)が、

悦ちゃん遅すぎると突っ込んでた。

 

是永は客観的に観察できる立場だし、覚醒状態で悦子の寝言を

聞いてるから、夢の意味、悦子の本心が前から分かってたのだ。

 

まあ、貝塚タコ八郎(青木崇高)が連れて来た新人編集者・橘花恋

(佐野ひなこ)の本心は誤解してたけど。グラビア系の胸とミニスカ

美脚に気を取られてしまったか♪ 胸を隠すための洋服の誕生日

プレゼントはやり過ぎだね。悦子の尾行もやり過ぎ(笑)

 

自分では分からないことが、他人には分かることがある。だから、

カウンセラーはいつも人気だし、相談相手はいつも必要とされる。

その延長にあるのが、女性が大好きな占いだろう。

 

 

      ☆        ☆        ☆

作家の三枝が遺した原稿の謎解きは、ドラマだけで十分分かりやす

かったけど、一応まとめとこう。

 

四季にちなんだ遺稿の四部作の最初、『春彦の異変』では、誤字

(原稿の余計な文字)を集めると、「ナカシマガワノホトリサンコ」。

つまり、「中島川のほとり三個」で、ハート型の石、ハートストーンを

表してる。

 

これ、ネットを見ると、フィクションじゃなくて実在するらしい(現地

調査はまだ♪)。

 

次に、『座りの悪い夏』だと、誤字は「コガジンジャノハチ」。つまり、

「古賀神社の鉢」で、ハート型の手水鉢を表す。これもネットによると、

福岡県古賀市に実在するパワースポットとのこと。

 

さらに、『秋子の先入観』では、誤字は「クレマチスノハ」。つまり、

「クレマチスの葉」で、静岡県・クレマチスの丘にあるハート型の葉

のこと。

 

 

     ☆        ☆        ☆   

ここまではすべて、凜が離婚する前、夫の三枝を強引に連れ出した

場所で、凜には、つまんなそうな顔に見えたらしい。

 

ところが、四部作最後の『追い越した冬』に含まれてた誤字は違った。

「リュウノドウクツヨアケノソラ」、つまり、「龍の洞窟 夜明けの空」で、

伊豆の下田にある龍宮窟から見上げたハート型の空のこと。これまた

実在。下は、伊豆半島ジオパークHPより

 

170921a

 

ここはまだ行ってなかったようで、三枝が凜を連れて行こうとしてた

のか、あるいは暗号として使ったのか。案外、伊豆急行が海向き

シートのPRとして日テレに売り込んだのかも♪

 

170921b

 

浸食された岩と、木の枝や葉が、ハート型になってるようで、ドラマ

ではドローンを使って撮影してたようだ。エンドロールによると、

ドローンパイロット・上村哲平、ドローンカメラマン・和泉光昌、空撮

コーディネーター・志田信幸とのこと。

 

海を正面に眺められる座席があった車両は、リゾート21か、IZU

 CRAILE(クレイル)か、ROYAL EXPRESSなのか、一般人

の私には分からない。鉄ちゃんや鉄子な皆さんにお任せ♪ 私が

以前、伊豆急行に乗った時は、ごく普通の車両だったと思う。

 

 

      ☆        ☆        ☆ 

とにかく、三枝がハート好きな凜を愛してたこと、妻に対する熱い

ハートを隠し持ってたことは、解き明かされた。ただ、作家は変人

だから、分かりにくい表現を使うのだ。まるで、夢の表現みたいに。

 

実は三枝の暗号の伏線は、『文藝春秋』・・じゃなくて『文藝景凡』

のインタビュー記事のタイトルにも入ってたのだ。

 

 情景描写で語る「感情や思い」は面白い

 

だから、最後の愛のメッセージも、やたら分かりにくい「情景描写」

を使ったと。あの記事には、妻に誤字チェックをしてもらってること

以外にも興味深いことが書かれてた。その直前の段落に、「事件の

見方が、同じ場所にいたのに一人一人ちがう」。

 

妻から見ると、私はつまらなそうに見えるし、愛してないように見える。

でも、私は楽しかったし、本当に妻を愛してた。ただ残念ながら、その

時の凜は分かりにくいものを見ようとしなかった。夫も、分かりやすく

伝えようとはしなかった。。

 

 

     ☆         ☆        ☆

最後に、奥多摩オトナ遠足の記事について。あのシーンも、ドローン

を使った航空撮影が見事だった。日原鍾乳洞、奥多摩フィッシング

センター、温泉旅館「水香園」、御岳山&ケーブルガー、どれも実在

するらしい。

 

奥多摩は自転車やバイクで何度も行ってるけど、そういったプチ旅行

とか山歩き、ピクニックみたいな経験は無い。それを味わっちゃうと、

ラクで楽しいから、ハマリそうだしね。ま、40年後の老後の楽しみって

ことで♪

 

奥多摩のバスの時刻表とか服装の話は、今だとネットで簡単に出る

から、それだけなら、雑誌を見なくてもスマホで十分とも言える。ただ、

雑誌は全体の雰囲気とかデザイン、レイアウトがわくわくさせてくれる

し、有名人も出てたりするから、非日常の気分を味わえるのだ。いつ

でも誰でも持ってるスマホとかとは違う魅力がある。

 

 

     ☆        ☆        ☆

試しに、原作小説やドラマのモデルとなってる実在雑誌『CLASSY』

の売り上げをあちこちで確認すると、意外なほど健闘してるようだ。

『VERY』、『STORY』も含めて、発行部数30万部レベルをキープ。

実売部数でも、この7割の20万部レベルか。

 

女子大生雑誌『JJ』とかを除くと、光文社のファッション誌は、Web

と紙の共存で見事に成功。大人気だった小学館『CanCam』も落ち

込んでる今の時代に、分かりにくい成功だけど、謎解きはまた別の

機会に回すとしよう♪ みんな、頑張ってるってことで。

 

とにかく、番組全体が石原さとみのファッションショーみたいで、

キラキラ可愛い印象だった。なお、是永是之の新作『人生の転機図』

は、悦子の人気企画『天気予報コーデ』とかけたもの(転機=天気)。

あの原稿にも、「心の奥底にあった本当の自分に気づいた時に人生

が動き出した』と書かれてた。

 

まあ、それを語った陶芸家には、校閲部が問題を指摘してたけど♪

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 時は親切な友達、きのうを物語に・・~『校閲ガール』第1話

   補う技術、シール・付箋・ファッション、そして愛~第2話

   是永是之の小説『犬っぽいっすね』内容&外見も大切~第3話

   相乗効果と一石二鳥、『明日も、あすか。』~第4話

   無用の用、塞翁が馬、無駄はムダだが役に立つ~第5話

   悦んで残業する、残業せん隊(戦隊)♪~第6話

   リスク(risk)の正しい語源と、自分の場所探し~第7話

   全力疾走&跳躍、人生の走り幅跳び~第8話

   地味でスゴくないものも輝かせるスカーフ~第9話

  未完の夢にときめく、人間たちの出会いとB-SIDE~最終回

 

                  (計 3982字)

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