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夏目漱石『自転車日記』、100年前のイギリスで猛練習♪&多摩川

BIKE 59.6km,2時間11分,平均心拍 131 

消費エネルギー 1210kcal (脂肪 351kcal)

 

吾輩は「吾輩は猫である」に挫折した少年である・・・っていう話は

以前、思い出記事に書いたことだけど、今回は短いエッセイだから

何とか読み通せた♪ まあでも、100年以上前の文章だし、かなり

苦戦したけど (^^ゞ

 

さて、かの有名な文豪、夏目漱石が、「自転車日記」というエッセイを

書いてるなんて話は、聞いたこともなかったけど、先日ドラマ記事の

下調べをした時にたまたま知ったのだ。「呵責」(かしゃく)という言葉

の、「良心」と関係ない用例を調べてたら、面白い例文があった♪

 

 「この二婆さんの呵責に逢てより以来・・・」

 

漱石が英国留学中、2人の婆さんに「自転車責」めでイジメられて、

嘆いてるのだ(笑)。漱石のユーモアの原点はこんな所にも表れてた

のか。

 

 

     ☆        ☆        ☆

折角の機会だから、彼がメジャーな小説を書く前、『ホトトギス』第6巻

第10号に発表されたエッセイの感想とまとめを書いとこう。

 

170903e

 

レビューというほどのものではないので、悪しからず。著作権は消滅

済みで、無料の電子図書館「青空文庫」で公開中。元になった本は、

筑摩書房の夏目漱石全集。

 

170903d

 

1902年の秋だから、2年間の留学の終わり頃の話。神経衰弱

に苦しんでた彼に、下宿のおばさんが自転車を勧めたらしい。

自転車に御乗んなさい」。

 

親切なアドバイスのようにも感じられるけど、漱石にとって「呵責」

だった。おばさんの巨体から心理的圧力を受けたのかも♪ 二十

貫目というのは、20×3.75=75kgの体重という意味だろう。

それにしては漱石の表現が大げさだけど、これも文学か。

 

 

     ☆        ☆        ☆

自転車のコーチとして、誰か男性が付き添ってくれたようで、まず

自転車を選ぶ所からスタート。買ったのか借りたのか不明だけど、

帰国前だし、借りたのかな。コケまくりでボロボロの返却とか♪

 

 「悄然たる余を従えて自転車屋へと飛び込みたる彼はまず 

  女乗の手頃なる奴を撰んでこれがよかろうと云う、その 

  理由いかにと尋ぬるに初学入門の捷径はこれに限る・・」

 

初めてだから女性用の自転車を勧められて、漱石は屈辱を感じる。

わかりやすい男子だね♪ ここで当時の自転車を見ておこう。

 

まず、1889年のレディース安全自転車。既に、今のママチャリに

似たスタイルになってる。上のフレーム(トップチューブ)が無いから

乗りやすいし、チェーンのカバーが付いてるから洋服が汚れない。

英語版ウィキペディアより。

 

170903b

 

一方、1900年を過ぎた頃の男性用が次の写真(または絵画)。

今でも売れそうなクラシック・スタイルで、半円形チューブがオシャレ。

 

170903c

 

 

     ☆        ☆        ☆

漱石は結局、もっとカッコ悪い男向け自転車で妥協となった。古くて

ギーギー「関節」が音を立てるほど♪

 

全くの初めてだった漱石は、あぁ、もうダメだと大げさに嘆くことで、

間接的に手助けを頼む(笑)

 

 「さあ、僕がしっかり抑えているから乗りたまえ、おっとそう真とも 

  に乗っては顛り返る、そら見たまえ、膝を打たろう、今度は 

  そーっと尻をかけて両手でここを握って、よしか、僕が前へ 

  押し出すからその勢で調子に乗って駆け出すんだよ、と

  怖がる者を面白半分前へ突き出す、然るにすべてこれらの

  準備すべてこれらの労力が突き出される瞬間において砂地

  に横面を抛りつけるための準備にして・・・」

 

というわけで、敵の狙い通り、漱石は落車したようだけど、ケガや

出血の話は書いてない。それより、周囲の見物人の視線が気に

なったわけか♪ かなり自意識とか自尊心が強い日本男児。

 

 

     ☆        ☆        ☆

その後、別の日には、早くも激坂にチャレンジしてる。ただし、下り♪

 

 「坂の長さ二丁余、傾斜の角度二十度ばかり、路幅十間を

  超えて人通多からず

 

今の単位に直すと、長さ200m、道幅18mくらいだから、スキー場

のゲレンデみたいな坂だ。二十度というのは大げさ過ぎ! 勾配

20%としても急過ぎて危ないから、これも文学的誇張だ♪ 客観的

描写ではなく、主観的な心理描写。ブレーキ性能も貧弱だろうし。

 

たまたま「女学生が五十人ばかり」向こうからやって来たというのは、

事実かね? 案外、抑圧的な異国生活で歪曲された性的欲望に

よる、幻想かも(笑)

 

実際、その下り坂特訓を切り抜けた直後に、「妙齢なる美人」から

サイクリングのお誘いを受けて、動揺してるのだ♪ 「細君」という

ことは、人妻かな? この時、漱石は結婚してるから、W不倫もどき

になる。まあ、週刊文春の登場は半世紀後だから大丈夫か(笑)

 

 

      ☆        ☆        ☆

で、自転車に乗れないから人妻不倫サイクリングは丁重にお断り

した後、今度は急ハンドルを切って、後続車を転倒させたらしい♪

 

 「ハンドルをギューッと捩ったら、自転車は九十度の角度を

  一どきに廻ってしまった

 

九十度回転を一瞬で行うのは物理的に不可能だけど、要するに

後ろを確認したり合図を出したりせず、いきなり直角に曲がったと。

ダメなサイクリストの典型だね♪ あっ、当時は自動車が走ってない

から、安全の意識が弱いのかも。

 

とにかく、婆さん2人に笑われながら悪戦苦闘するハメになったから、

仕返しとして、「下宿の飯を二人前食いし」(笑)。まあ、安くてまずい

パンだろうから、反撃としては弱すぎたかも。追加料金を取られた

とか♪

 

 

      ☆        ☆        ☆

そろそろ、この辺で時間も字数も無くなって来たから、終わりにしよう。

興味のある方は、青空文庫で格調高き原文をお試しあれ。

 

漱石と違って本物のサイクリストの私は今日、多摩川を60kmほど

走って来た。気温18度前後、湿度90%、風速2mは快適な

条件♪ トータルの平均時速27.3km。ウェアはあんまし濡れて

ないけど、ボトルの水は全部飲んだし、汗はかなりかいたと思う。

東京都と調布市の合同防災訓練が大々的に開催されてた。

 

なお、今週は計18408字で終了。ブログ公開12周年の特別な週

だったから、週間字数制限15000字を大幅にオーバーした。ま、

たまにはいいでしょ。それでは、また来週。。☆彡

                  (計 2481字)

 

170903a

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