仲間と共にトンネルウォーク、光さす出口を探して~『コード・ブルー3』最終回
冴島 人はよく 人生の苦難を
長いトンネルにたとえる
光のさす出口をめざし
暗闇の中を進んでいくさまが
人生と似ているからだろう
藤川 だが人生は往々にして予想を裏切る
光のさす出口にきっと答えはある
そう信じて進んでいたはずが
そのトンネル自体が突然崩れたら
緋山 突然天井が落ち 道はふさがれ
愛する人を失うかも知れない
小さな私たちに なすすべはない
白石 ときに心が折れそうになる
この先に光がなかったら?
歩いた方向はまるで逆で
光から遠ざかる結果だったら
藍沢 求めるのは光そのものじゃない
光を一緒に探すことのできる仲間だ
それさえあれば 歩き続けることができる
駄目なら向きを変えて
また歩きだせばいい 仲間と共に
☆ ☆ ☆
で、藍沢(山下智久)は映画で、少女・奏(田鍋梨々花)と共にまた
歩き出すのだ♪ ないだろ! 少女が駄目なら、向きを変えて白石
(新垣結衣)へ(笑)。そうゆうモノローグ解釈か!
直前の番組の最後で、最終回が終わっても・・・とかほのめかしてた
から、スペシャルか映画の発表だろうとは思ってたけど、2018年
公開っていうとすぐ来年。まあ、続編の時期の早さはともかく、まだ
まだ先に続くというのは予想通りだ。
止める理由がほとんど無い。視聴率は今のフジテレビとしては十分。
キャストは個人的に集まってる「仲間」らしいし、まだアラサーの若さ。
群像劇に近いから、物語的にも膨らませやすいし、ドクターヘリも
見栄えがいい。主役の人気は盤石だし、ヒロインも今が絶頂期。
唯一、心配なのは、ヘリコプター事故ぐらいか。先日、自転車ドラマ
『弱虫ペダル』の撮影中に俳優が転倒。本物のドクターヘリで搬送
されたけど、重症となった。そちらは本人の強い希望でドラマ放映
継続らしいけど、ヘリの人気ドラマだとそうもいかないだろう。
まあ、前にも書いたように、ヘリの事故率は意外なほど低いから、
安全第一で運行すれば大丈夫。普通に撮影するだけでも十分、
カッコイイから、くれぐれも気をつけて♪
☆ ☆ ☆
それにしても、最後までよく書けてたね、今シリーズから担当、安達
奈緒子の脚本♪ 過去の流れを受け継ぎつつ、女性的な感性を発揮
してた。
彼女、男性的なロゴス(論理)も十分持ち合わせてる。蒔田中央駅
から100mのA地点にいた藍沢が最初にその駅へと脱出。逆に、
蒔田中央駅から遠い120mのC地点にいた藤川が一番大きく崩落
を受けて、逆方向にある辻が谷駅から救出。
地図によると、片道1.2kmコースで往復1.8kmだから、
トンネル部分は往復の半分で900m。トンネルを抜けた後の
向こうの駅や階段が300m。
藤川のC地点から辻が谷駅まで900-120=780m。
子どもがペンライトで暗闇の事故現場を歩くと、ちょうど1000歩
×2で2000歩くらいだろう。1歩39cmの計算(細かっ・・)。
子役の志水透哉くん(6歳半)が可愛かった♪ アブナイわ!
藍沢の復活だけは、ちょっと早すぎたかも(笑)。緊迫した大事故の
シーンで、思わずニヤッとしてしまったほど。
あれは、24時間、コードブルーのことを考え続けてると言われる増本
淳プロデューサーの指示かも。何しろフジは今、非常事態宣言してる
のだ。かつての全盛期を支えた亀山千広社長の首が飛んだほど。
ここ数年、営業利益も視聴率も大幅に減少してるから、なりふり構わず
数字を取りに行く姿勢だけでも見せたかったと。
☆ ☆ ☆
まあ、主役の藍沢が死ぬわけないし、腕を切断されるはずもないから、
代わりに藤川(浅利陽介)をピンチにしたのだ。
先週のレビューの最後(P.S.)に、藤川死亡説は変だと追記してた
から、今回のドラマ冒頭は私もちょっとピンチ(笑)。ただ、あんな早い
時間帯に主要メンバーが死ぬと最終回全体が暗くなってしまうから
変だし、派手な音楽と共に藍沢が救出しに来たところで一安心♪
しかしホント、西浦正記の演出は派手でわかりやすいね。藤川の
身体の真上に巨大な岩が落ちてる映像とか♪
両腕を広げてあおむけに倒れた姿は、十字架にかけられたように
見える。日本のヒーロー番組の古典、『ウルトラセブン』の磔シーン
や『ウルトラマン』の最終回にもちょっと似てた♪ 古っ!
☆ ☆ ☆
いや、要するに、映像の作り方の話をしたいわけ。ストーリーや
タレント、小物の話だけじゃなくて。映像にも意味や「文法」がある。
古典との関係以外にも、色々と。
先週のレビューでは、白石が藍沢にトロント行きを勧めて、藍沢が
無言で去るシーンに注目。白石の横のヘリコプターが、トロントへの
旅立ちを表して、藍沢が向かう病棟がためらいを表してる。その対比
をキレイに示す案内板が強調されてるのだと解説しといた。
今回のラストを見れば、改めてそうした「文法」が確認できる。白石
が藍沢に、「良かった。トロント行き、決めてくれて」と語りかけた時、
藍沢はドクターヘリに手をかけてた。夕陽に浮かぶヘリ。一時的な
別れと、自らの旅立ちの象徴、シンボルなのだ。
☆ ☆ ☆
藍沢が急に心変わりしたのは、最終回のラストだからだ♪ 違うわ!
映画にカナダのブロンド美女を出演させたかったから(笑)。コラコラ!
そうゆう大人の事情じゃなくて、熱い友情で結ばれた新海(安藤政信)
が、奏ちゃんとの和解を準備してくれたから。
新海が久々に奏のもとを訪れた時、リハビリ用のオセロみたいな駒
は真っ黒に並べられてた。これは要するに、奏の心の「トンネル」を
表してる。けれども、新海が心のこもった言葉をかける内に、「出口」
から「光」がさして来る。
そして奏はオセロの駒の表を白に変えたのだ♪ つまり、トンネル
の出口に向かって、みんなと共に歩き出したシーン。この黒から白
への変化が、藍沢に対する奏の態度の変化につながってた。
非営利の個人ブログのレビューにおける、好意的で限定的な引用
なので、著作権や肖像権の問題は生じないと考える。悪しからず。
☆ ☆ ☆
で、奏ちゃんが前向きに進み始めてくれたからこそ、藍沢はヘリに
一時的な別れの挨拶をする。夕陽なのは、撮影時間がおしたから
ではない♪ さよならのメタファー、比喩なのだ。
ここでの藍沢と白石の距離が絶妙だった。カメラマンが上手い(笑)。
演出は?! 2人の間にはまだ、微妙な幅の境界線が引かれてる。
カナダに飛び立つ藍沢がヘリの側で夕陽を浴びる一方、ちょっとだけ
暗めの話をしてる白石は日陰にいる。道幅5m♪
やがて藍沢は白石の脇に座るんだけど、笑えるほどの距離がある♪
二人の間には大きなヘリに加えて、赤白のEMERGENCY(緊急)
のロゴまで挿入。
要するに、映画どころかその先まで展開を準備してるのだ。多分、
カメラを2人から離してズームレンズを使用。15mくらい遠くにある
ヘリを、近く大きく映してる。
☆ ☆ ☆
このシーンの最初、何気に繊細な表現も入ってた。藍沢が白石に、
「俺は出会いに恵まれた。お前との出会いも含めて」と語る。白石が
かすかに微笑むと、藍沢は、「どうだ?」
この文脈なら、「今度、メシでも食いに行くか?」とお誘いがあっても
いいはず。白石は思わずキュンッ♡として「エッ?」。藍沢が食べたい
私、スタイルの良さはムダじゃなかったんだ(笑)・・とか一瞬で
思ったのに、藍沢は「黒田先生は超えられそうか」と仕事の話。
「あぁ、たぶん無理ね」と力なく答えた新垣結衣の演技は絶妙だった。
な~んだ、折角あわてて勝負下着買いに行こうかと思ったのに(笑)。
でも一応、準備として、緋山(戸田恵梨香)をまた部屋から追い出し
始めたのであった。女の友情より、男の愛情が欲しいから♪
緋山はもう、彼氏(丸山智己)ができたから大丈夫。名取(有岡大貴)
も立派に指導して仲良しになってるし、村岡ひとみさんの子どもも
帝王切開で助けたし。
ちなみに普通の出産だと、胎児はしばらく「トンネル」を進むことに
なる。出産直前だから、無意識の記憶が残っても不思議はない。
死後にはまた別の機械的「トンネル」が待ってる。
人生をトンネルにたとえるのは、そうしたことも関係してるのだ。
そばに仲間がいないように感じても、全員が仲間だから大丈夫♪
☆ ☆ ☆
最後に、藍沢が藤川を救助するシーンを医学的に軽く解説しとこう。
まず、「徒手整復」。脱臼や骨折した箇所を、素手で元の位置関係
に戻すで、藤川は痛がってた。その後、岩を持ち上げかけた途端、
VT(心室頻拍=Vertricular Tachycardia)が発生。
かなり危険な不整脈で、心室(心臓の下側)の異常がキッカケ。
激しく損傷(「挫滅」)した箇所に閉じ込められてた毒素が、一気に
心臓に流れたから発生した「クラッシュ・シンドローム」の表れで、
「除細動」を行って鎮める。さらに、動脈と静脈を「クランプ」(遮断
=clamp)。ただし、足が死んでしまうから、2時間が限度。
ところが3時間近くかかりそうになったので、藍沢は冴島(比嘉愛未)
に、「瀉血(しゃけつ)する」。多少の血を捨てることで、原始的治療。
静脈は閉じたまま、動脈だけ一時的に開放して血を患部に補給。
溜まった悪い血は、心臓に戻さずに外に出して捨てる。
「輸液」全開で、スムーズに流れる血管を確保。ギリギリで再び動脈
を遮断して、エアジャッキで岩盤除去して、辻が谷駅から消防署の車
で蒔田中央駅へ。藍沢と冴島が藤川を運び出すと、白石と緋山が
出迎える。5人揃ってホッとした後、ヘリ搬送。めでたし、めでたし。。
☆ ☆ ☆
あぁ、もう時間も字数も無くなったから、そろそろ終わりにしよう。
無理やり心臓移植させた橘(椎名桔平)は、雄輔くん(歸山竜成)に
納得してもらったようで、良かったね♪ 三井(りょう)とも復縁か。
横峯(新木優子)が活躍したのにはホッとしたし、雪村(馬場ふみか)
がナイスボディだと分かったのも吉報♪ 灰谷(成田凌)は、お笑い
のフースーヤの物真似が素晴らしかった。誰?って感じ(笑)。前番組
だろ! 美人ナースの広田(下垣真香)も輝いてて、いいね。
というわけで、映画化決定も喜びつつ、今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 最終回の視聴率は3rd最高16.4%(ビデオリサーチ、
関東地区)。全話平均14.8%。おめでとう♪
cf. 救命の良心=両親、子ども達のために
~『コード・ブルー3』第1話
「親子の心、共に知らず」、されど共に生きる~第2話
身体の答え、ピアノの答え~第3話
かすかな笑顔、ささやかな花火~第4話
藤色のシオン(紫苑)、他人の命に寄り添って~第5話
過去の負から未来の正へ、脳死と臓器移植~第6話
呵責、責任、罪責感~第7話
無意識の気まぐれ、運命のいたずら~第8話
大好きなあなたの「死」は見たくない~第9話
・・・・・・・・・・
僅かな積極的休養ラン&『コード・ブルー2』第1話
ドクターヘリを取り巻く腕~『コード・ブルー』第1話
『コード・ブルー』のヘリコプターMD902について
(計 4419字)
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