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腎臓、赤血球・血圧・寿命の肝「腎」かなめ~NHKスペシャル『人体』第1集

さすが、国営放送NHKの看板番組。たまに見ると、今でも興味深い。

単なる情報量や正確さなら、テレビ見るよりネット検索した方がいい

はず。ただ、お金と手間暇がかかった映像や取材には価値があるし、

石原さとみが可愛いのだ♪ そこか!

 

Nスペのシリーズ「人体」というと、「驚異の小宇宙 人体」という

番組が過去3回ある。Ⅰが身体、Ⅱ・脳と心、Ⅲ・遺伝子。今回は、

単なる「人体」というタイトルに変更して、4回目のシリーズを放送

するということだろう。イギリス(S4C)との国際共同制作。

 

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上図は公式サイトより。「体内をのぞいてみる」と書いてるバナー

の位置、つまり腰の上あたりに、ちょうど腎臓が左右2個ある。何と、

1日に180L(リットル)の「尿」もどきを処理して、その1%だけが

本物のオシッコとして排出されるとのこと。だから人工透析は大変

なわけか。。

 

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     ☆        ☆        ☆

進行上、ゲストは2つのグループに分けられてた。まず、賢い側。

腎臓大事派がおなじみ山中伸弥教授と石原さとみ。そして、おバカ

な側(笑)、腎臓地味派がタモリと北島康介。石原はアラサー女性

だから、デトックス(毒出し)に関心があるらしい。

 

私は幼い頃、腎臓の病気に苦しんだらしいから、個人的に腎臓と

いうテーマに惹かれた。全く記憶にないけど、しばらく病院に通って

注射を打ってたとのこと(母親談)。

 

番組内容は大きく分けて、3部構成。最初が赤血球の増加。次に、

高血圧との関連。最後が、寿命を決める働き。

 

サブタイトルは「腎臓が寿命を決める」となってて、分かりやすい売り

文句だけど、山中教授の言い回しを借りるなら、腎臓の働きが「一つ

の指標」ということのはず。他にも人体や生活環境全体が関係する

けど、テレビ的には、一つに絞り込んだ方が視聴者受けがいい。

 

複雑な話や細かい理屈、データが一般ウケしないのは、選挙でも

ネットでも同様♪ ドラマや映画の感想でも、ブログの長いレビュー

より、SNSの一口つぶやきの時代になった。

 

 

     ☆        ☆        ☆

しかし、ここではもう少し細かく見てみよう。まず、赤血球の増加。

番組が取材したのは、水泳・日本代表チームの高地合宿で、米国

のフラッグスタッフ。標高2100mで、南西部のアリゾナ州。

 

最初は練習後、赤血球の割合が本来の90%以下まで落ちてた

けど、2週間で高地順応して、95%とかになってた。実は、腎臓が

鍛えられてるようで、腎臓がエポ(EPO)という物質でメッセージを

伝達。骨の中の骨髄で、赤血球が増産されるらしい。

 

番組的には、感心する流れになってたけど、私は「血液ドーピング

の類じゃないの?」と思ってた(笑)

 

まあ、赤血球は体内で作るし、トレーニングが必要だから許されてる

んだろうけど、高地トレは恵まれた環境の選手しかできない。ただ、

元々、高地に住む人達もいるから、禁止や制限は難しい。

 

 

     ☆        ☆        ☆

続いて、血圧の調整。極端な高血圧に苦しむ患者に対して、心臓

専門医が内視鏡で(?)外科手術。熱を加えて神経の一部を焼き

切ることで、腎臓が分泌し過ぎてる物質・レニンを減らして、血圧を

下げてた。

 

ドイツ・ライプチヒ心臓センターのイケメン医師、フィリップ・ルーツの

元には患者が集まるかも♪ ただ、あれはレニンの極端な過剰に

対する手術であって、高血圧患者の一部にしか有効ではないと思う。

手術への抵抗感や副作用、費用や保険適用の問題もある。

 

 

     ☆        ☆        ☆

ここで、腎臓による血液の成分調整や尿の製造に関して、3D電子

顕微鏡の合成画像やCGがしばらく紹介された。

 

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上の3D画像は世界初とのこと。腎臓で、最初のフィルターの役目

をはたす、糸球体。0.2mm程度の大きさで、腎臓1つに100万個

あるという話だから、ぎっしり詰まってることになる。この球状のもの

で血液からこし出されるのが、大量の原尿(尿のもと)。

 

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2つ目のフィルター役を果たすのが、尿細管の内側にビッシリ生える

「微絨毛」(びじゅうもう)。ピンク色が実物の色なのかどうかは不明。

 

そんなことより、テレビでは言ってなかった気がするけど、実はこれ、

ラットで撮影した画像だとHPに書いてた♪ 人間とどの程度似てる

のかは不明。緑色はミトコンドリア。

 

とにかく、ここでかなりの成分が回収されて、残りの僅かな原尿が

本物の尿になる。

 

 

      ☆        ☆        ☆

で、回収や排泄を通じて、成分の量を腎臓がコントロールする。

塩分、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、水素イオン、

尿酸。

 

山中教授の母親は今年、慢性腎不全で亡くなったそうで、カリウム

を多く含むバナナは食べれなかったとの事。いきなり腰の辺りから

バナナを取り出して、石原さとみに見せるシーンは刺激的だった♪

ノーベル賞受賞者だからいいとして、お笑い芸人なら突っ込まれる。

 

話を戻すと、リン(の濃度)が少ない動物ほど寿命が長いという話で、

リンは適度な範囲に抑えないと、骨粗しょう症や動脈硬化につながる

らしい。遺伝子操作の過程でリンが増えてしまった老化加速マウス

というものも登場。人間だったらと思うと、可哀想。。

 

 

     ☆        ☆        ☆

というわけで、リンや腎臓は寿命に関係する。それはいいとしても、

結局、我々の生活でどうすればいいのか、よく分からない。

 

番組では最後に、入院患者全体の腎臓の計測を続ける様子とか、

腎臓に負担をかける薬の量を減らす様子が映ってた。入院患者の

5人に1人がAKI(急性腎障害:Acute Kidney Injury)という報告

も紹介されてた。見方を変えると、この病名がカバーする範囲が広い

(or ゆるい)ということ。

 

私は入院経験はほとんどないけど、いつも心拍計をつけて走ってる。

将来的には腎臓その他、いろんな計測を日常的にしながら生きる

ことになるのかも。

 

で、大量のデータを集めて、人間の脳では情報処理できなくなる

から、AIやロボットの判断・制御に任せると♪ これが人間にとって、

より良い生き方なのかどうかは、ゆっくり考えるべき問題だろう。

 

もっと普通に生きて、普通に死ぬ。当然、それも選択肢としてあり。

ともあれ、地味な臓器・腎臓に感謝しつつ、今日はこの辺で。。☆彡

 

 

 

cf. 身体の大半を占める脂肪&筋肉、

     命を守るメッセージ物質伝達~『人体』第2集

  骨(オステオ)が出す若返り物質~『人体』第3集

  腸の免疫コントロールと腸内フローラ(細菌)~第4集

  ひらめきの鍵、ボーッとしてる時の脳

      (デフォルト・モード・ネットワーク)~第5集

  母と子のネットワーク、生命誕生~第6集

  ガン細胞のメッセージを逆用、健康長寿~最終回

 

               (計 2514字)

    (追記 167字 ; 合計 2681字)

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