将棋の天才中学生・藤井聡太、朝日杯優勝&六段昇進、棋譜の感想
今日の朝日新聞・朝刊(18年2月18日)1面はこんな感じだった。
羽生(はにゅう)の金メダルがトップに来るのは当然として、羽生
(はぶ)竜王を破って優勝した中学生・藤井聡太がここまで大きく
報じられるとは思わなかった。まあ、朝日杯だからか。毎日新聞も
似たようなレイアウトだけど、藤井・新六段の扱いが小さくなってる。
ちなみに羽生竜王の奥さん(畠田理恵)のツイッターを見ると、
国民栄誉賞に輝くご主人の対局以上に、羽生YUZU(ユヅ)に夢中♪
正直で、いいね。
ウチでは昨日、羽生の金メダル記事を先にアップしたけど、本文の
最初は藤井六段。私のバランス感覚だと、そんな感じだ。両方とも、
ライブ中継で観戦してたけど、将棋は間(ま)が長いから、記事を書き
ながら音声を聞いてチラ見してた。
☆ ☆ ☆
前置きはこのくらいにして、では昨日の藤井五段(優勝後に六段
昇進)の対局内容を見てみよう。棋譜データベース「将棋DB2」
を引用させて頂く。盤面のカラーはウチのブログに合わせて設定。
後手の羽生が角道を止めて交換を拒否。私には指しにくい手
だけど、最近は普通かも。
その後、先手の藤井に角交換させた後、羽生は4四角と打つ。
これも私の感覚だと打ちにくいけど、先手が7七角と合わせるのを
取って、銀を上がらせて、桂馬の標的として狙っていくイメージか。
藤井の1七角は、4四歩で銀を攻撃するのを狙った手。角の頭から
端攻めされそうで怖いけど、好手かも。
4四で角交換になった後、藤井は1五歩から端攻め。羽生は1二歩
と我慢。まずは藤井が1ポイント獲得って感じ。
羽生も9五歩から端攻めを開始。藤井は3五歩で、桂頭を攻める。
これも怖い手で、自陣の方が危なく見えるから、私には指せない。
中央で銀交換を仕掛けた直後、藤井は銀を取る前に4三歩。手筋
とはいえ、上手い「効かし」だ。最善手が分からないけど、羽生は
同金左で、2筋の飛車の成り込みを認める決断。
この羽生の銀打ちは悪手じゃないかな・・と思ってたら、本人も
角打ちの方が良かったと語ってた。角なら、9八金と逃げることが
できない(5五銀を取られてしまう)し、藤井が玉を右に逃げて行く
のも難しくなる。
☆ ☆ ☆
藤井が飛車を成り込んで、羽生は、と金2つと桂馬で挟み撃ち。
アマチュアなら、先手が不利かも。ところが藤井は、羽生が4四金
で角道を開けた所へ、また歩を打つ。
私なら、同金下がるを選ぶけど、羽生は同玉。これはどうかね?
4四銀にも同玉で、6六角と打たれると後手が劣勢だろう。
合い駒は銀しかないから、取られてしまって、先手は持ち駒豊富。
もう、攻めは切れない。
藤井の7四歩は渋い手。私なら7四銀か7二銀と打つ。いずれに
せよ、左側に相手玉が逃げるのを防ぎつつ、直接的な攻めにもなる
手で、藤井は桂馬が欲しかったようだ。
最後は、取った桂を打って、羽生(はぶ)が投了。羽生(はにゅう)
がフリーの演技で金メダルを決める直前だったから、私はNHK
で五輪中継を観戦してた。ついでにブログをいじってたら、管理
画面の右側のニュース欄に、藤井の勝利を伝える見出しが登場。
便利というか、余計なお世話というか。。(^^ゞ
☆ ☆ ☆
そしていよいよ第11回・朝日杯将棋オープン戦の決勝戦。藤井
の相手は広瀬章人・八段。abemaライブ動画からの静止画
キャプチャー。
聞き手の中村桃子・女流初段が何かトボけた質問をして、解説
の谷川浩司・九段が一瞬絶句した後に苦笑したのが面白かった。
勝つと嬉しいものですか?とか、そんな感じの素朴な質問だけど、
昨日の事なのに思い出せない。若年認知症か!
一昨年の秋の三浦九段騒動の後、将棋連盟会長を辞任して体調
を崩してた谷川。もう回復したのかね。彼も元は天才少年。いずれ
藤井も、責任者の側に成長して、下から突き上げられることになる
のかも。運営面でも、実力面でも。
☆ ☆ ☆
今回も藤井が先手で、戦型は普通の角換わり相腰掛銀。4八金
と2九飛の構えが最近のものらしい。
後手の広瀬が、王を5二に寄った後、4一飛と回る趣向。結局、
これがちょっと無理だったような気もするけど、勝負はこれから。
藤井の自陣の角打ちは、羽生戦でもあったし、彼の特徴かも。8五
と3四の両方をにらむ好手だ。
それに対して、広瀬の6三玉は怖い手。ギリギリで受け切れると
判断したのかも知れないけど、藤井の攻めは鋭くて粘り強いのだ。
王手飛車から、受けた金を取って、敵陣深く金打ち。手ごまは乏しい
から、切れそうな細い攻めにも見える。
上の銀打ちは、6三金と受けられたら、4四銀成で飛車を取ろう
という手。
広瀬が飛車を引いて逃げた後、藤井は左の銀と桂馬を活用。強い!
藤井優勢だけど、間違えると逆転されそうな終盤。
☆ ☆ ☆
上の93手目、4四桂を広瀬はうっかりしたようで、朝日新聞も絶妙手
と書いてた。
ただ、要するに4筋の飛車の道を止めつつ攻める手だから、そんなに
変わった手とも思わない。もし歩が4枚あったら、4二、4三、4四、4五
と連打するのが手筋だから、桂馬で代用したわけだ。同飛と取ると、
4五歩で飛車と角の両取りの形になる。
最後は、もし馬で金を取れば、4五飛で角を取って勝ち。受ける
手はないから、広瀬は投了。パチパチパチ、600人の観客が拍手。
敗者にとっては辛い瞬間だ。
優勝賞金は去年と同じく1000万円かな。羨ましいね。ある意味、
羽生の金メダルを上回る金(かね)♪
(☆追記: デイリースポーツによると、今年は750万円とのこと。
値下げしたから、朝日は書くのを避けてるのかも。)
長くなったから、ここで終わりにしよう。今週は計15249字で制限
を僅かにオーバー。文章を削る時間がないからこのままアップ。
ではまた来週。。☆彡
(計 2473字)
(追記 55字 ; 合計 2528字)
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