誤差あり!、お互いのズレを埋める謝罪と行動~『BG~身辺警護人~』第7話
面白かった~! 島崎(木村拓哉)のセリフと合ってない、時計の
針が(笑)。そこか! いや、誰も指摘してないような感じだから、
私が指摘しとこう。例の誤差なし確認シーン。
島崎は「9時35分52秒」と口にして、「誤差ありありじゃないですか!
電池切れですか?」と沢口(間宮祥太朗)に突っ込まれてた。本当は
9時43分ごろ。朝イチの軽いミーティング後だから、そのくらいの
時刻になる。島崎は、村田(上川隆也)の腕時計を借りた。
ところが直後、机の警護員必携マニュアルの上に置いた自分の
腕時計は8時35分♪ ストーリー的に重要だからアップで映した
のに、誤差ありありなのだ。
非営利の個人サイトにおける限定的引用なので、著作権法の許容
範囲と考える。後の画像でも、肖像権には別に配慮しておいた。
スタッフがアナログ腕時計に慣れてなかったのかな。すぐ直せる
部分だし、BG・・じゃなくてBD(ブルーレイディスク)では修正
されるかも。
ちなみに、『FINAL CUT』初回タイトルバックで指摘した英単語
のミスは、第2話ですぐ修正されてた。連続ドラマの顔だし、当然
だろう。
☆ ☆ ☆
もちろん私はアンチじゃなくて、マニアだから、些細なミスの指摘以上
に、誉め言葉もちゃんと入れとく。あの腕時計はメジャーな高級品
だし、意味のある選択になってる。
スイスの高級腕時計メーカー、オメガ(OMEGA)の、シーマスター
(Seamaster)。つまり、「海の達人」という名前だから、
高性能の防水ということ。1995年以降、スパイ映画で有名な
『007』シリーズで、主人公ジェームズ・ボンドが使って来たらしい。
シーマスターの中でも、あれはアクアテラ(Aqua Terra)
という機種。つまり、水中でも陸上でも使える、という意味だ。
雨の中の仕事だけじゃなく、デートにもはめて来てね♪ってこと。
いかにもダイバーズ・ウォッチという感じの機能重視じゃなくて、
ビジネスや日常生活にも溶け込む洗練されたデザイン。レディース
の1つを見ても狙いが分かる。オメガの普通の街用よりはシンプル。
ただし女性の場合、水中での実用性より陸上でのキラキラを求める
から、他のアクアテラはもっとゴージャスだ。
拓哉ラブの貴女にお勧めしよう・・と書いとくと、何か貰えるかも♪
ステマか! ベルトだけ皮に替えるのもアリかな。上の機種だと、
価格コムで税込72万円。ロンバケの最初は96年の放送だから、
若いカップルの恋愛にバブルの余韻が残っててもいいのだ。
☆ ☆ ☆
で、その腕時計を仁美(山口智子)が島崎にプレゼントしてたのが、
昔の雪のクリスマスかな。受け取った島崎は、挙動不審でキョドった
後、あらたまった態度で、
「俺、一生、守りたいんだけど」。
ベタなプロポーズに仁美は、
「じゃあ、一生、私が守りたいんだけど」
と、ひねったOKの返事。
「守るのはこっち♪」
「じゃあ守って ♡」
そして2人は、素敵な電飾の前でメリーゴーランド。フィギュアのペア
なら技術点(基礎点)ゼロだろうけど(笑)、視聴者的にはGOE
(出来栄え点)で満点。視聴率も高いのであった。
22年前の名作『ロングバケーション』の力、恐るべし♪ 第7話は
過去最高へと急上昇、15.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
ちなみにウチでは8年半前、再放送の録画を使って、最初と最後だけ
レビューしてある。ロンバケとは、長いお休みを経て、元の人生の
流れに上手く戻る、リターンの物語だった。その象徴が、スーパー
ボールの見事なリターン(跳ね返り)なのだ。
奇跡のリターンがもたらす輝き~『ロングバケーション』第1話
完璧な重層的リターンという奇跡~『ロングバケーション』最終回
☆ ☆ ☆
ところで、2人の服装の色(黒と白)も含めて、こうした男女の役割
や外見・行動の違いの強調には、欧米中心に逆風が吹いてる。
自動車レースの最高峰F1でも先日、グリッドガール(コースで車と
レーサーのそばに立つレースクイーン)の廃止が話題になった。
性差別の解消という建前に加えて、大人の事情もあるというお話。
だからこそ今回のドラマの冒頭では、高梨(斎藤工)に
「男尊女卑とでも何とでも言ってください」
と言わせてた。一部に批判や反感もあるだろうけど、女を男が
守らなければいけないのが現実だと。わざと、「女」という言い方で。
社会を守る警官の男女比だと、女性は13分の1。国を守る自衛官
だと、女性は20分の1。これが今の日本の現実だ。
将来的に女性を増やす方向はいいとして、どこまで増やすのか、
半分にするのか。今後も議論が続くはず。差別とか平等というものの
意味が問われる。
例えば、学校、会社、フィギュアスケートなど、服装の男女別規定は
性差別なのか。フィギュアのペアで、大きい男性が小さい女性を
持ち上げたり振り回したりするのはどうだろうか。映画やアニメで、
『美男と野獣』はアリか。。
☆ ☆ ☆
要するにこれらは、ズレを埋め合わせる問題なのだ。女と男、同じ
人間でも、多少の違い、ズレが色々とある。それをどこまで、どう
やって埋め合わせるのか。
そう考えると、今回のドラマで、謝罪というものが果たしてた役割に
気付く。政治家・五十嵐(堀内正美)は民事党幹事長として権力を
持ち、元秘書・植野(萩原聖人)は使い捨てにされて自殺を考える。
この2人の大きなズレ、違いをそれなりに埋め合わせるものこそ、
五十嵐の謝罪と思われた。しかし大物政治家は、非を認めて頭を
下げることができない。仕方なく、SPの落合(江口洋介)が土下座
したけど、植野は納得せず。不公平すぎて、死ぬに死ねない。
☆ ☆ ☆
島崎はこの場面で、時間を稼ぎながら植野に隙を作らせるために、
両手を上げて、仁美への最後の一言を語らせてもらう。
それこそ、離婚につながった過去の振舞いへの謝罪。純也(満島
真之介)のボディガードで起きたアクシデントの後、生活が荒れて
仁美に逃げられた頃のことを素直に謝ってた。
元妻への謝罪と、命がけで守ろうとする行為は、元夫婦のズレを
埋め合わせる。そこで南・・じゃなくて仁美も、言い返す形で愛を
示すのだ。
それじゃあ私が冷たい女みたいじゃない! 自分は距離をおいた
だけ・・とか強く言い返したのは、ロンバケへのオマージュ(敬意を
込めた模倣)だけじゃなくて、自分の側に植野の注意を集めるため。
島崎に向いてる銃口を、自分に向けるためだ。
島崎の命がけの行為に対する、仁美の命がけの応答(リターン)。
激しい口調のやり取りに気が緩んだ植野は結局、SPに取り押さえ
られる。
あの時、島崎の華やかな活躍が無かったのが、この作品の特徴だ。
キムタク・ドラマにありがちなヒーロー像とは違う、素朴で素うどん的な
描き方。まあ、唐沢寿明は山口智子にとってヒーローだったという
噂があるけど♪
☆ ☆ ☆
植野が持ってた、円筒形の銃身が4つつながってるピストルは、
散弾銃ではなく、一発ずつ4回発射する機種(の模造品)だと思う。
真正面からだと、漢字の「田」みたいな形に見える。
おそらく、COP.357 Derringer。デリンジャーとは、
似たタイプの銃を発明した昔の人の名前。この機種は、警官(コップ)
向けで直径0.357インチの大きな弾丸を撃つ小さな銃。その世界
で有名らしい。
下は英語版ウィキペディアより。銃身が4つあるのは、僅か14cm
の銃に3cmの長さの弾丸を4つ装填するためだと思う(下ではなく
上の中央から挿入)。手で握る部分は小さすぎて弾丸は入らない。
あの緊迫した場面で、落合は部下に、銃は最終手段だと言いつつ、
自分は銃を構えてた。一見おかしな行動だが、要するに部下が
処罰されるのを防いでる優しさなのだ。かつて、村田が自分を
かばってくれたのと同様の心配り。突っ込むどころか、ジーンと
感動する姿だった。。
☆ ☆ ☆
結局、仁美は島崎に二度守られたことになる。最初は、子持ちで
年上の仁美に恋人を奪われてストーカーになった女(遊井亮子)に
対する警護。
走って逃げる直前、仁美は学生時代に陸上1000m・・じゃなくて
800mで県大会2位とか言ってたけど、これが山口智子の実話か
どうかは確認できない。栃木県の陸上大会の記録を調べてもダメ。
たぶん、800mという種目名は本当だろうと思う。脚本上の作り話
なら、100mとか短距離とする所だから。私の得意種目(1500m)
と同じ、中距離走。だから何? 日常的に役立つのだ。鬼ごっことか、
駅までダッシュとか♪
単に山口が陸上部だったという点だけなら、私も前から聞いてたし、
今でも女性誌『FRAU』のインタビューに掲載されてる。フォームも
様になってるし、「たくましい骨格」のスタイルもアスリート体型だし、
マラソンでも始めればいいのに。大きなバッグは、ロンバケの象徴
にもなってたね。長いお休みだから。
ちなみに陸上の実績が事実なら、35~40年前の女子だから、
800mのタイムは2分20秒前後だろう(細かっ!)。このペースで
53本続けると、先日の設楽悠太のマラソン日本新記録になる。
2.5本連続なら、高校時代の私だ。聞いてない? あっ、そう♪
☆ ☆ ☆
最後に、監督の常廣丈太のこだわり映像にも注目しとこう。かなり
カメラの撮影方法にこだわってる。今回だと、非常に近くからの
アップ映像が多いし、鏡の類を多用してた。
鏡とは、もう一つの自分を映し出す装置。つまり、ある存在の誤差や
ズレを表現する道具で、非現実感や幻想性も生じる。
元夫婦が昔みたいに会う場面とか、立原愛子(石田ゆり子)がお飾り
役の自分をトイレの鏡で見つめる場面とか。下は、島崎&仁美が天井
の鏡に映ったカットと、2個のグラス(?)を通したようなカット。
他に、植野がビルの屋上に上がって飛び降り自殺しかけたシーンは、
階段でヒッチコック監督の名作の1つ『めまい』を意識。網の外に
出た時は、わざとカメラを20度くらい斜めに傾けて、視聴者の視線も
揺さぶってた。プロらしいこだわりで、いいね♪
村田の死亡フラッグ(死を予告するもの)は、最終章に引き付ける
ためのフェイク(偽物)だと思うけど、果たしてどうか。
それでは今日はこの辺で。。☆彡
P.S. 拓哉ラブ ♡ の同期の桜ブロガー、アンナちゃん。今週は
ラジオ『ワッツ』の感想で綺麗なボケ・ツッコミ(笑)。いいね♪
「あっ、そうそう、フォロワーさんが読まれてましたね。
知った人が読まれるって、他人事に思えなくて嬉しいよね
私も読まれる日が来るかな?
メール出してないけど 」
cf.慢心=警護(security)は人間の最大の敵
(『マクベス』第3幕)~『BG~身辺警護人~』第1話
旧靴=窮屈からの自由、オーダーメイドのフットガード~第2話
緊縛かのん、谷底へのバンジージャンプ~第3話
ウェディング・イブ、涙は夜更け過ぎに雪へと・・♪~第4話
捨てるな!、新たなマイウェイへの出発~第5話
安全が一番と言いつつ、危険に向かう人間~第6話
無駄死にさせてはいけません!、人も組織も~第8話
他にもあった、大切なもの~最終回
(計 4497字)
(追記 40字 ; 合計 4537字)
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