『小保方晴子日記』の感想13~単行本&婦人公論インタビュー
102周年の伝統を持つ雑誌『婦人公論』(中央公論新社)の「小保方
晴子日記」については、過去12本の記事を書いてるし、別にコネタ
記事も1本ある。
パブロン飲んで低心拍スロージョグ&仏陀の馬の名前とか♪
単行本出版以降、かなりアクセスは増加。ただ、雑誌の連載は既に
(とりあえず)終了、大幅に加筆された単行本も発売されたので、
当サイトではこの記事がラストとなる。もちろん、いずれ日記の続編
(2016年10月11日~)が発表されれば話は別。
☆ ☆ ☆
あらためてごく簡単に私の見方をまとめとくと、まず「叩かれ」過ぎ。
批判は当然としても、その量と質があまりに過剰だ。
世の中で、科学や研究の「不正の類」など、他にいくらでもある中で、
若手研究者のSTAP細胞研究だけがなぜあれほど叩かれたのか。
なぜ、彼女の自宅のドアが記者に叩かれ続けたのか。そして、なぜ
優秀な恩師が自ら命を絶つことになったのか。論文内容や書き方、
評価、研究態度だけでは全く説明がつかない不条理だ。
今年(2018年)1月、iPS細胞に関する研究不正が明らかになって、
ノーベル賞・山中伸弥教授も頭を下げて謝罪。つい先日、正式処分も
受けてるが、ほとんど話題になってない。昨年末のNHKスペシャル
『東大研究不正』も話題にならず。実績ある東大教授にも関わらず。
この不均衡、不平等、アンバランスは一体何なのか。考える余地は
まだ十分ある。 メディアや科学界に関しても、一般社会に関しても。
☆ ☆ ☆
一方、彼女の研究能力はさておき、非凡な文才はこの『日記』で
明らかになった。
ベストセラー『あの日』だけ読むと、かなりライターなどの手が加わった
のではないかという思いもあったけど、『あの日』の執筆過程も『日記』
に詳しく書かれてる。博士論文の修正&却下の過程についても同様。
もちろん単なる読者には、それらがどの程度、真実を表してるのか
ハッキリしない。ただ、非常に細かくて具体的な記述が一日も休まず
書かれてるのを見ると、文才や記憶力・記録力は認めざるを得ない
だろう。精神的・身体的に文字が書けない状況でも、記号や絵で
手がかりを残して、後から再現したとのこと。
単行本によると、小説にもチャレンジしてる(or してた)らしい。ただ、
むしろ「ノンフィクション」と呼ばれるジャンルのフィクション(創作物)
の方が向いてるかも。
ちなみに小保方さんが「ピーチ姫」と呼ぶ毎日新聞の女性記者・須田
桃子が『捏造の科学者』で獲得した、大宅壮一賞もノンフィクション
部門(第46回)。
選考委員は、佐藤優、片山杜秀、梯久美子とされる。佐藤は、今後の
ノンフィクションの模範で商売になる書き方だと絶賛。非常に彼らしい
評価だろう。要するに、ノンフィクションはフィクション、作り話でいいと
いう事だ。ある程度までなら、「捏造のノンフィクション作家」などと
叩かれることもない♪
テレビのノンフィクション番組も大同小異だ。簡単で面白くしないと、
大勢に見てもらえないし、SNSで拡散してもらえない。
☆ ☆ ☆
さて、本題の『小保方晴子日記』について。細かい話だけど、単行本
の日付けが3通りもある。本の奥付では3月25日発行、会社紹介
は3月22日(初版刊行日)、そしてamazonでは
3月20日(発売日)。
公式には25日となってるのは、連載分の日記の最終日が3月24日
だからかも。もちろん、年は18年と16年で違うけど。似たような事は
ページの番号にもある。公式には304ページとされてるのに、本は
300ページで終わってるのだ。綺麗にキリ番で終わらせたのかも。
いずれにせよ、今日でほぼ2週間経過で、ウチの近所の小さな書店
だと、平積みの6冊前後が数日で売り切れてた。
2018年4月3日現在、アマゾンの販売ページでも売り切れ状態。
ただし、レビューは僅か7件しかない。平均で4.8という非常に高い
評価とはいえ、静かな反応で、これ自体もスタップ騒動の本質を表す
ものだろう。2年前の『あの日』は現在、858件(平均4.2)なのだ。
☆ ☆ ☆
本の帯や出版社の紹介だと、「650日間」を綴る日記とされてた
から、早速計算♪ 確かにピッタリ合ってた。
2014年 1日のみ (12月31日)
2015年 365日
2016年 284日 (10月10日まで)
合計 650日
うるう年の16年の計算はこうなる。
31+29+31+30+31
+30+31+31+30+10=284
個々の日記の文章は、雑誌と単行本でそれほど違ってない気がする
けど、本人によると単行本の方が制約が少なくて正確らしい。構成
(章立て)は大幅に変わってて、単行本だと、2014年12月・15年
1月から2016年10月まで、月単位でまとめられてる。見出しも雑誌
連載とは大幅に違ってた。
☆ ☆ ☆
完全な書き下ろし部分だけでも、300ページ中、100ページもある
から、3分の1。おそらく、文字数で7万字ほどだと思う。全力で1日
2万字ほど書けるらしい執筆力は流石だ。当然、元々の日記を書き
写すだけでは済まない。
ちなみに私の最高記録は、徹夜で入力し続けて、13000字ほど。
食事とトイレ以外、休憩なしだった。このブログだと1万字くらいか。
『あの日』の場合、編集者や複数のライター、自分の複数の弁護士、
講談社の法律顧問などから、何十回も書き直し要請やアドバイスが
入ったようだから、『日記』でも色々と配慮したんだろう。
ただし、日記が(ほとんど)本人自身の手で書かれた文章だという
点は間違いないと思う。身近な親族や関係者の話が匿名で色々と
書かれてるし、ネガティブな思いも包み隠さずそのまま記してある。
担当医師、看護師、大学の教官、理研などの知人、メディア、編集者、
出版社。国家権力への不満のようなものもある。
現在の(?)担当医師デル先生や、理研の(?)気まぐれ先生とか、
読んで苦笑してるはず。筆者自身や関係者にとっていい事かどうか
微妙だけど、読み手にとっては興味深い。『日記』の中央公論新社
に対する不満を、『あの日』の講談社に相談する話まで載ってた。
カットも「書き換え」もしなかった中央公論新社は、いいね。
☆ ☆ ☆
書き下ろし部分の主な内容は、瀬戸内寂聴との対談と後日談、
小説執筆、海外からの研究職の話(次々に破談)、研究用のHP
「STAP HOPE PAGE」作成(攻撃が多いとのこと)、
そして最後は、安全な場所への転居(引っ越しではない感じ)。
長くなって来たから、最後は『婦人公論』の単行本PRインタビュー
の話に移ろう。2018年4月10日号(3月27日発売)の表紙
でも、公式サイトでも、大きな扱いになってる。
タイトルは、「今日を生きることに もう迷いは ありません」。
☆ ☆ ☆
ネットの評判だと、話の中身よりグラビア写真ばかりが騒がれてる。
単行本の最後のページにも、白黒で小さく篠山紀信撮影の写真が
載ってたけど、雑誌では大きなカラー写真。有名タレントみたいな
扱いでちょっと驚いた。
美人になったとかいう感想が多くて、私もそう思うけど、第一印象は、
意外と肌が荒れてないなというものだ。日記の連載を読んでると、
皮膚が荒れたとか美容の話が多かったのに、全然問題なし。担当
したメイクさん(レイナ)の実力なのか、あるいは皮膚科のコンビニ
店長先生のおかげなのか♪
洋服はグッチとか言われてるけど、私が気に入ったのは髪型だ。
下は、公式サイトの試し読み部分の写真(縮小して引用)。右上から
分けてサラッと流したヘアスタイルが、お嬢様っぽくて上品。
他にもう1枚、赤い洋服に白いリボンの写真もあって、単行本の
小さな写真はさらに別の洋服かも。たぶん出版社側が用意した
ものだろう。瀬戸内との対談の時の白いドレスは、自分で購入
した高価なもので、友人に「らしくない」と突っ込まれたらしい♪
それでも着たのだから、自分ではすごく気に入ったということか。
☆ ☆ ☆
話の主な内容は、『日記』では醜い部分も飾らずさらけ出したこと、
STAP細胞についての考えは全く変わらないし、将来も楽観してる
こと、『更級日記』とか参考にしたことなど。自分で描いたチューリップ
2本の絵も挿入されてる。
今は安全な場所に移って、普通の生活を楽しめるようになってる
そうで、実験もしたいけど、何より社会貢献したいらしい。そんなに
お堅い発想じゃなくて、普通にナチュラルに活躍すればいいと思う。
ランナーの1人としては、マラソン・デビューにも期待♪ 芸能界と
比べて怖くないし、努力も報われやすい。
山中教授のランニング仲間に入れてもらうのは流石に無理としても、
ありのままの頑張る姿を見せるのには、マラソンが分かりやすい。
もちろん、研究職への復帰ができれば最高で、英語好きの彼女
なら海外でも活躍できるはず。
規則で禁止されてないのなら、書き直して落とされた博士論文をHP
で公開するのもいいと思う。とにかく、まだ34歳の若さ。マラソンの
序盤で「コケちゃいました」谷口選手みたいなものだから、中盤以降
で盛り返せばOK! 『しくじり先生』特番出演の道もアリ。
小説の発表にも期待しつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 3768字)
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