Gonna Fly Now(いま飛び立とう)、2匹の亀~映画『ROCKY (ロッキー)』
昔の名作とか言われる映画を見ると、アレッ・・?と思うことは多い。
制作の仕方もかなり違うし、時代の空気や歴史的流れも分かりにくい
からだ。
今回、amazonのprime video(プライム・ビデオ)
を無料期間中に1本見ようと思って(セコっ!)リストを眺めてた時、
目立ってたのがボクシング映画の古典中の古典、『ROCKY』
(ロッキー)。6作か7作もあるシリーズ全作品が、字幕版と吹替版で
ズラッと並んでる。
私はもともと格闘技好きだし、ロッキーなら見といて損はない。
英語の勉強にもなるし・・と思って字幕版を選択。一通り見た感想
はやっぱり、アレッという感じだった。
悪くはないし、有名なテーマ曲やトレーニングのシーンには男の子
の血が騒ぐとして、全体的にはそれほどでもないなと思ったのだ。
たかが5週間の猛練習で世界王者に善戦するのも難しいはず♪
ただ、私は深夜に音量を小さくして見たから、英語の台詞があまり
聴き取れなかった(言い訳かも♪)。ネットで台本を検索して、再度
ポイントだけ見直してみると、思ったより良く出来てるのが分かる。
こうした感想や評価の変化も、作品をじっくり味わう楽しみの一つだ。
上は劇場公開ポスターで、英語版ウィキペディアより。最上段の
キャッチコピーはこうなってる。
His whole life was a
million-to-one shot
彼の人生すべてが 奇跡の一撃だった
100万分の1ほどのわずかな可能性をパンチでつかみ取ったと
いう意味だ。shot(ショット)には、空へと飛び立たせると
いうニュアンスもある。
☆ ☆ ☆
まずはごく簡単に、あらすじをまとめとこう。ネタバレなのでご注意あれ
‥と言っても、誰でも多少は知ってるだろうけど♪
金貸しの借金回収役で生活する冴えない三流ボクサー、ロッキー
(シルベスター・スタローン)に突然、大チャンスが訪れる。ヘビー級
の世界一を決めるタイトルマッチで、挑戦者が負傷してしまったから、
代わりにロッキーが選ばれたのだ。
理由は2つ。まず、まさかの幸運をつかむというアメリカン・ドリーム
として盛り上がるから。あと、ロッキーの愛称が「イタリアの種馬」
で、面白かったから♪
一方ロッキーは、前から狙ってたペットショップ店員エイドリアン
(タリア・シャイア)もくどき落として、恋人同士で熱い生活を送る。
タバコは止めて、酒の代わりは生卵5コの一気飲み。早朝からの
厳しいトレーニングも積んで、いよいよ世紀の一戦。チャンピオン
のアポロと最終15ラウンドまで激しく打ち合って、お互いダウン
を重ねながら、最後の判定に。
レフェリーがアポロの勝ちを告げ、司会が再戦の希望をたずねる
中、ロッキーは控室に待たせてたエイドリアンのことしか頭にない。
彼女も試合終了直前に会場に入って来てて、互いの名前を連呼。
最後はリング上で抱き合って、熱いキス。
「I love you」 「I love you」。。
☆ ☆ ☆
試合には負けたけど、恋愛と人生で大勝利を収めたという典型的
ハッピーエンド。上は有名なトレーニングのシーンで、サントラ盤
テーマ曲のMV(ミュージック・ビデオ)より。遥か彼方の頂点へと
駆け上る構図。
ビデオの英語コメントも笑えるのが並んでるから、ご参照あれ♪
投稿 「猫に聴かせたら、虎になった」
返信の1つ 「“俺の”に聴かせたら、起きたままだ」
古き良き男性的世界、マッチョ文化は世界で生き残ってるのだ。
最近はかなり肩身が狭い状況とはいえ。下は男子を燃え立たせる
片手の腕立て伏せ。ちなみにロッキーはサウスポー(左手が中心)
の変則的ボクサーで、王道を歩んで輝く王者アポロとは対照的。
☆ ☆ ☆
私は今まで、ごく一部の映像を何かでチラッと見た以外には、テレビ
のバラエティ番組や漫画のパロディしか知らなかった♪ 試合終了
の直後、ロッキーが恋人の名を呼ぶ。「エイドリアン!」。彼女もまた
彼の名前を呼ぶ。「ロッキー!」。台詞としてはこれしか知らなかった。
実際に映画で確認すると、この最後の名前の連呼自体が非常に
印象的で珍しいのが分かる。5回以上も呼び合って、名前以外の
台詞は1つだけ。ロッキーが彼女に、「帽子はどこへやった?」。
where’s your hat?
彼女はこのトボけたジャブ(軽いパンチ)に、ストレートを叩き込む。
I love you! 愛してるのは、あなたよ。
彼女が晴れの舞台にかぶってた真っ赤な帽子は、地味で内気な
メガネ店員が空に飛び立つ象徴になってた。いまや、帽子とは
別の羽が出来たのだ。それが、愛するあなた。ロッキー。。
☆ ☆ ☆
一度見ただけだと分からなかった事は色々ある。例えば、ロッキー
が初めて王者をテレビで見た酒場の名前が「ラッキーセブン」、幸運
の7となってること。
あるいは最後、エイドリアンがリングに上がれたのは、騒ぎ立てて
警備員を引き付けてる兄・ポーリーがこっそりロープを引き上げて
くれたおかげだということ。ロッキーがジムを追い出されそうになった
時、更衣室の「ロッカー」が閉められてたのも、言葉遊びだろう。
トリビア的コネタだと、「イタリアの種馬」(Italian Stallion)
というロッキーのニックネームは、売れる前のスタローンが出演
したポルノ映画『The Party at Kitty and Stud's』の
別名だった。
「Stallion」はもちろん、スタローンの名前「Stallone」
をもじったものだろう。大事な試合前でも(たぶん)愛し合ってた
ロッキーの男性パワーも表してる。まあ、事前の忠告通り、脚に来て
フラついてたけど♪
☆ ☆ ☆
そして一番、なるほど!と思ったのは、ハエ(fly)のエピソードと
テーマ曲の関係だ。曲名は『ロッキーのテーマ』かと思ってたけど、
正式には
『Gonna Fly Now』
いま 飛び立とう
映画ラストのエンドロールでは、「Now」はついてないけど、歌詞
の文末では連呼されてる。今、今、さあ今だ! そして最後は、
gonna fly fly fly
飛ぶぞ 飛べ 飛べ
字幕でハエという言葉が何度も映るし、どうも良いものを表してる
ようだから、変だなと思ってた。愛するペットの亀2匹のエサという
のは分かるけど、何度も繰り返す単語でもないはず。
ロッキーの台詞の1つを引用してみよう。
This turtle food, gotta add more flies in.
この亀のフードには、もっとハエが必要だ。
狭い水槽で地味に生きてる亀2匹に、もっとハエを。
冴えない暮らしを続けてる俺たち2人に、もっと飛翔を。。
エイドリアンの店でカゴの鳥を見て、ロッキーが「flying candy」
(飛ぶキャンディー)と呼んでることも腑に落ちるのだ。
☆ ☆ ☆
そして最後、2匹の亀は見事に空へ飛び立った。前年の1975年
にベトナム戦争終結。その数年前には学生運動も終結。深く重く
傷ついてた米国に、76年の映画が再び勇気と勝利のイメージを
もたらしてくれた。リングは米国国旗のイメージで溢れ返ってた。
黒人と白人がほぼ対等に戦う展開も含めて、やはり時代を象徴する
名作だと思う。第49回アカデミー賞、作品賞・監督賞・編集賞受賞、
おめでとう! 歌曲賞がノミネートに留まったのが不思議なほど、
心に残るテーマ曲も素晴らしかった。
コメディーとしてもかなり笑えたのに、もう書く余裕がない。ロッキー
のくだらないジョーク。咳込む亀の背中を叩いたら砲弾ショック(戦争
神経症)になった、ドアに話しかけるのは初めてだ・・etc。割れて
無くなってる鏡の前でひたすらヘアスタイルを直し続けるポーリー♪
残念ながら、今週はもう字数が残り少ないので、今日はそろそろ
この辺で。私も走り続けよう。。☆彡
(計 3161字)
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