蚊を殺さなかったというオウム・麻原彰晃が・・
生活リズムも天候も乱れてるせいか、ここ数日は妙に眠い。昨日も
仕事が終わった直後から強烈に眠くて、帰宅後はすぐに寝ようと
思ってたのに、雑用をこなしてる内に変な感じで目が覚めて来た。
強引に横になって寝た方がいいなとか思いつつ、サッカー・W杯を
チラ見しながら、PCとiPadでオウム真理教の情報もチェック。過去
も重要だけど、もっと重要なのは現在と未来だよなと思ってたら、
麻原彰晃の三女・アーチャリーのツイッターに流れ着いてた。三女
ほどメジャーではないようだけど、次女のツイッターともつながってる。
あえてこの記事にリンクは付けないけど、付ける必要もないくらい、
どちらも普通に公開されてるし、更新も頻繁。他に、海賊版みたいな
動画もあふれてた。テレビの顔出し出演もしてるわけか。形容する
言葉に迷うけど、あの子ども達がそれぞれの人生を歩んでる様子は
何となく感じ取れた。。
☆ ☆ ☆
オウム真理教の死刑囚たちが7人同時に執行されたのが、昨日、
2018年7月6日。平成30年。平成の内に執行したいという思いも
あったとかいう報道を読んで、あれは平成の事件なのかと、ちょっと
驚いてしまった。
元をたどると昭和の末期、オウム神仙の会まで遡るけど、社会的な
問題が一気に拡大したのは平成に入って。違う時間尺度で見ると、
バブル末期から崩壊直後にかけての混乱・停滞期だった。偶然では
ないと思う。外的なものと内的なもの、2つの側面における狂騒の
終焉。もちろん、同じ一つの虚構的な現象と見ることも可能。
その後の日本経済や社会は、格差拡大その他、色々と問題はある
けど、それなりに地味に上手く持ち直してる。国内だけ見るなら、
オウムのレベルの反社会的カルト集団が現れてるわけでもない。
ただ、世界的にはイスラム国(IS)その他、宗教関連の問題が続く
状況だし、国内のかなり悲惨な官僚システムがオウム化してるとか
いう指摘もある。個人的確信犯によるテロみたいな殺人事件が時々
起きてることを考えても、「オウム真理教事件が終わった」などとは
言いにくい。むしろ、形が変わったと言うべきか。今のところは。
ちなみに公安調査庁によると、後継団体とみなされるアレフ、ひかり
の輪など計3団体の拠点は、15都道府県に35施設。信徒1650人、
保有資産11億円とのこと。ロシアにも、いまだに数千人の信者が
いるという報道もある。。
☆ ☆ ☆
最近のウチの傾向だと、ロシア語でロシアの報道を直接チェック
するパターンだけど、ここでは三女・松本麗華(りか)の著書
『止まった時計』(講談社)に注目してみよう。本が出たのは耳に
してたけど、読んだことはない。
三女たちは、麻原の家族の中では中間的な位置のようだ。麻原・
アレフに近いのが妻、遠いのが長女と四女、その間に三女・次女
といった感じの構図。
最も活動的な三女の単行本は2015年、文庫本が今年2018年
に出版されてる。文庫の冒頭だけなら、キンドルの電子書籍で
すぐ無料で読めた。
☆ ☆ ☆
貧乏だけど子沢山、夫婦仲は良くもないけど悪くもない、わりと
普通の高度成長期の家庭みたいな情景が写真付きで描かれた
後、興味深い話が出て来た。80年代後半で、まだ危険な集団だと
騒がれる前の段階。第一章より引用。9行のエピソードに付いた
小見出しは、「不思議な夫婦仲」。
子どもの目から見ても、母が父の宗教を信じているようには
見えませんでした。「蚊に刺されると痒くていやだよね。でも
蚊も生きているんだよ」「お釈迦様によると、わたしたちは
死んだあと、生まれ変わるんだよ。もしかしたら、お父さんも
麗華も、蚊に生まれ変わることがあるかもしれない」とわたし
に語る父。一方、平気で蚊を殺す母。
実は、私の父親も、家の中の蚊を殺さず逃がしてたらしい。覚えて
ないけど、母親から聞いて、なるほどと思った。心優しいという感じ
はなかったけど、確かに攻撃的な性格ではなかった。たかがテレビ
に向かって文句をつけたり、将棋の攻めが強気だったりしただけだ。
私自身も、強く叱られた覚えはない。
☆ ☆ ☆
個人的な思い出話はさておき、蚊を殺さない麻原が人を殺す(指令
を出す)ようになり、自分自身も殺されてしまったのはなぜなのか。
ちなみに三女は、麻原を悪だと認めるけど、指示したのかどうかは
本人に聞くまで分からないと思ってるらしい。だからこそ度々、拘置所
に面会に行ったものの、会話は通じなかったし、最近はそもそも門前
払いとのこと。本人が応じないとかいう説明と共に。
90年代に入って、麻原が蚊を殺すようになったのかどうかはまだ
分からないけど、理屈上は一応説明できなくもない。
つまり、蚊は僅かな血を吸って、1時間ほど痒い思いをさせるだけ。
命を奪うほどの罪はないし、仮に目の前の蚊を殺したところで、蚊の
全体は不変。
しかし、国家は許しがたい悪だから、中枢部にダメージを与えれば、
より良い世界に近づくだろうし、彼らの魂の生まれ変わりにとっても
良いことだろう。だからこれは、立派な「ポア」なのだ・・(地下鉄サリン
の場合)。
☆ ☆ ☆
ここには2つの核となる考えがある。
1. 非常に悪いものは、人間でも殺してよい。
2. 肉体が死んでも、死後の存在(魂など)がより良いものへと
高められる可能性がある。
この内、2番は、宗教にあまり熱心でない日本人でさえ、何となく
思ってることも少なくないだろう。ただ、それが1番と結びついて
殺人が正当化されることはほとんどない。まして、実行に移される
ことは滅多にない。
ただ、1番は今の日本社会で主流の考えだし、国家レベルで合法化
されてるものだ。それこそ、死刑。世界的には避けられる方向にある
けど、日本ではまだしばらく続くだろう。
国内の司法制度的には、今回の7人同時執行も別に問題ないのかも
知れない。もちろん、これまで特別長い時間もかけてるし、あまりに
重大な事件でもある。
しかし、非常に悪い人間は殺していいという考えは、直ちに自分たち
に跳ね返ることになりかねない。ある種の人たちから見れば、自分達
こそ非常に悪い人間かも知れないから。そして、まさにそれが実行に
及んだ(側面がある)のが、オウムその他の殺人事件だから。
☆ ☆ ☆
オウム関連だけ考えても、今回の死刑執行は、むしろ火に油を注ぐ
やぶ蛇になる可能性があると思う。殉教した聖者を神格化して、
腐敗した社会の根本的な世直しをはかる。
ただ、それより遥かに大きい脅威は、そうした考えを強大なAIが
インプットしてしまうことだ。醜く愚かな人間たちは消し去るのが、
世界にとっての最適解。評価関数が高い数値を与える指し手。。
あらゆる分野でAI・ロボット化、ネットワーク化、効率化が進む中、
そうした考えは杞憂にすぎないとかSFマンガだと笑うのは難しく
なって来た。変化のスピードは想像を絶する域に達してる。
まず警戒すべきは、AI・ロボットやネットを操作する一部の人間。
しかし本当に怖いのは、AI自体がその時点での人間たちを見切る
ことだろう。単なる一時的なエラー、計算間違いも含めて。
多様性とか共存の大切さを叫ぶのなら、悪との共存も考える必要
がある。相手から見れば、自分こそが許しがたい悪かも知れないし、
高めてあげるべき劣る魂かも知れないのだから。
ではまた明日。。☆彡
(計 2962字)
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