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バブル末期、夕陽のようなオレンジ色の恋~『東京ラブストーリー』第1話(再放送)

昨日(2018年9月14日)から関東ローカルで再放送が始まった

 

フジ月9ドラマの名作、『東京ラブストーリー』。14年ぶり、7回目。

 

10月8日から織田裕二と鈴木保奈美の共演で始まる新・月9

 

『SUITS/スーツ』の前宣伝ということだ。

 

 

 

平成ブロガーの私としては、ビデオでサラッと見て以来だから、

 

懐かしさもあって、珍しく夕方の放送を録画。巻き戻しまでしながら

 

きっちり見たのは正解だった♪ こんな事までしたのは、9年前の

 

『ロングバケーション』再放送以来か。

 

 

 

 奇跡のリターンがもたらす輝き~『ロングバケーション』第1話

 

 

 

試しに、同じ時間帯の関東以外の放送を調べると、名古屋は

 

ゴルフ、大阪は『BOSS』、九州は『医龍4』。関東だけがラブラブ

 

のバブルになってた♪

 

 

 

 

 

     ☆       ☆       ☆ 

 

『東京ラブ』は元々良く出来たドラマだし、今の目線で見ると希少

 

価値もある。これほど恋愛を真正面から前面に押し出すドラマは

 

ちょっと覚えがないし、もう不可能かも。

 

 

 

最近はそもそも恋愛の人気が落ちてるから、恋愛ドラマも不人気。

 

本数も視聴率も減少してるし、数少ない作品も恋愛以外の要素が

 

かなり入ってる(月9が典型)。仕事、家族、生活、スポーツ、etc。

 

飛び抜けた才能や特殊な背景を持った主人公も非常に多い。

 

 

 

『東京ラブ』はほとんど全て、普通の社会人と学生の恋物語で、

 

それは第1話の冒頭からすぐスタートしてた。1話のエンディング

 

も延々と2ショット、2人だけで甘くときめく夜の東京・渋谷のシーン。

 

 

 

現代では一部で、「人はやがて恋愛しなくなる」といった予想まで

 

ささやかれてるほど。国宝どころか、世界遺産に指定してもいい♪

 

とりあえず1本、記念にレビューしとこう。後は最終回か。ネタバレ

 

になるので、ご注意あれ。

 

 

 

 

 

     ☆       ☆       ☆

 

『東京ラブ』の原作については、2年前に続編が発表されたので、

 

当サイトでは7000字超の長編レビューもアップしてある。ドラマ

 

の話もそれなりに含まれてる。

 

 

 

 柴門ふみ『東京ラブストーリー』、第1巻

 

   &続編「After 25 years」

 

 『東京ラブストーリー』、25年後の特別編(クリアアサヒ)

 

 

 

今回あらためて気づかされたのは、原作とドラマの違いの大きさ。

 

基本的な設定や非常に大まかな流れは似てるけど、具体的な話

 

の展開や台詞・映像は、原作マンガと大幅に違ってた。脚本家・

 

坂元裕二や演出家(今回は永山耕三)たちの実力と個性だろう。

 

 

 

坂元裕二は現役の人気脚本家だし、ひょっとすると続編のドラマも

 

スペシャルで作られるかも。今回の再放送と新ドラマ『SUITS』

 

への反応、後は織田と保奈美の意欲次第か。

 

 

 

 

 

    ☆       ☆       ☆

 

では、ドラマ第1話の内容について、映像を引用しながら具体的

 

に感想、解説を書いていこう。非営利の個人サイトにおける限定的

 

引用なので、著作権の問題は生じないと考える。肖像権には別に

 

配慮。タレントの顔はほとんど判別できないよう配慮する。

 

 

 

180915a

 

 

 

先に、レビューのタイトルの冒頭に書いた「バブル末期」という

 

言葉について、株価のグラフで確認しとこう(日経平均)。赤い丸

 

が、ドラマの放送が始まった91年1月。延々と「失われた20年

 

(or 30年)」の底這いが続いて、再び上がって来た右端が現在。

 

 

 

『東京ラブ』の放送時期は、鋭い右上がり(バブル景気)が頂点に

 

到達して、かなり下がった所だけど、普通はこの辺り(90年代初頭)

 

までバブル期に含めるから「バブル末期」だ。

 

 

 

興味深いことに、現在の株価はちょうど赤丸の水準まで回復。

 

ただしと言うか、だからこそ、また危険性が指摘され始めてる。

 

 

 

とはいえ、今の日本は格差が拡大、景気がいいのは一部の勝ち組

 

のみ(大企業、富裕層)で、バブル的な華やかさは無いし、右肩

 

上がりの強気の成長イメージも薄らいでしまった。。

 

 

 

 

 

     ☆       ☆       ☆

 

最初は羽田空港で、ヒロインの赤名リカ(鈴木保奈美)が永尾完治

 

(織田裕二)を出迎えて、「カンチ」と呼ぶシーン。原作とは全く別物。

 

 

 

緑色の公衆電話をカンチが使う時、テレビ画面上部に「この作品は

 

1991年に制作されたものです」とテロップが出たのが笑えた♪ 

 

まあ、外国だといまだに日本は芸者・忍者・侍のイメージがある

 

みたいだから。ちなみにドラマ全体で、固定電話と公衆電話は重要

 

な役割を果たしてる。カンチは仕事用にポケベルも持ってた。

 

 

 

180915b

 

 

 

上がドラマのオープニングで映されるタイトルバック冒頭。普通、

 

主要人物は真ん中に置くけど、ここでは「東京ラブ」という4文字

 

の真下に位置。原作の最初とちょっと似てる。

 

 

 

本放送との違いは知らないけど、最初からグレー、灰色の背景で、

 

2人も黒い影。その中で、「東京ラブストーリー」の文字だけ赤く

 

控えめに輝いてる。小田和正の主題歌『ラブストーリーは突然に』

 

も切ないメロディー。歌詞の最初も、「雨」「たそがれ」。

 

 

 

180915c

 

 

 

そこから夕陽のオレンジ色に染まった瞬間が上図。2人の間に、

 

オレンジ色のハートっぽい形を作ってる。顔は映ってないけど、

 

長い髪を後ろで編んでる女性のシルエットは、ヒロインの赤名リカ

 

(鈴木保奈美)には見えない。第1話なら、むしろ関口さとみ(有森

 

也実)。左はカンチ=永尾完治(織田裕二)に似た感じ。

 

 

 

180915d

 

 

 

次の瞬間、2人は顔を少し離して、向こうから夕陽が差し込む。

 

細かいテクニックで、別れの美しさの象徴とも解釈できる。この時、

 

さとみ的な三つ編みの髪が背中に溶け込むから、カンチとリカの

 

別れのようにも見えて来る。

 

 

 

180915e

 

 

 

その後、波紋のような映像加工で2人は周囲に消えて行く。ただ、

 

その後も抱き合う影として最後まで登場。オレンジ色にライトアップ

 

された東京タワーの前。噴水のそば。水の映像は、涙にも見えた。

 

 

 

 

 

     ☆       ☆       ☆

 

その後、さとみが勤める幼稚園(or保育園)で、同僚のときこ(?、

 

水島かおり)に高校時代の思い出を話すシーンも細かい技。さとみ

 

が見つめてる子どもの絵が、心理描写になってるのだ。画面右上

 

の「SUITS」の宣伝ロゴは意外と気にならない。自動スルー♪

 

 

 

180915f

 

 

 

身長差がある2人の男の子に挟まれて、女の子が微笑んでる。

 

3人が少しずつ離れてるのもポイント。さとみの意識的には、この

 

時点でこの距離感が幸せだけど、内心はそうでもないと分かって

 

来るし、左右に揺れ続けることになる。

 

 

 

180915g

 

 

 

これは最後の決定的シーン。石を投げる「水切り」遊びでカンチ

 

に勝った三上(江口洋介)は、2人きりのバーで告白っぽいボヤキ

 

を口にした。すると、さとみも告白めいた言葉で応答。

 

 

 

店を出た三上が、「一番ずるいのは関口、お前じゃないのか?」と

 

責めながら、さとみにいきなりキス。赤信号の横断歩道の向こう

 

には、カンチがリカを連れて来てる。望遠レンズは、三上とさとみ

 

の間に、カンチとリカを挟んで撮影。

 

 

 

180915h

 

 

 

ズームアウトで、向こう側のカンチとリカを映す。基本テクニック

 

とはいえ、ここまで形を決めた映像は珍しい。カンチの目は三上

 

とさとみに釘付け。ところが、リカは横のカンチをじっと見つめる。

 

四角関係がキレイに描かれてた。

 

 

 

 

 

      ☆       ☆       ☆

 

そして一番最後。落ち込むカンチに、リカは星空を見ながら元気

 

づける。淋しくても、眠れなくても、みんな見上げた星空は1つ

 

なんだ♪

 

 

 

ちなみにこの直前、さとみは三上に、全く別の話をしてた。みんな

 

星みたいに、変わらない距離でいられたらいいな。。 一体感を

 

大切にするリカ、適度な距離感を大切にするさとみ。

 

 

 

いずれにせよ、一つになった男と女はいずれ必ず離れる。さとみ

 

は三上から逃げ去った。「あたしの事なんか好きじゃないくせに。

 

いけないよ、いけないよ・・」。三上が医大の長崎尚子(千堂あきほ)

 

に手を出す様子も見せつけられてた。

 

 

 

180915i

 

 

 

そして代々木公園・イベント広場の有名なシーン。渋谷駅から

 

公園通りを登り切った所にある開放的な空間を、貸し切り状態

 

にして撮影。スタッフの皆さん、お疲れ様♪

 

 

 

さとみにフラれた感じのカンチ(左)と、彼への思いを真っすぐに

 

ぶつけるリカ(右)。2人は細い線の上に立ってるけど、その間に

 

太い線が横切ってる。これも狙いすました構図で、ありそうで無い

 

シャープな映像。この幾何学的で無機質な構図と距離があるから

 

こそ、ベタベタに熱いやりとりも馴染むことになる。

 

 

 

 何か これじゃいつまでたってもかえれないね

 

 そんな夜もあるよ

 

 うん じゃあさ こうしよう せえので一緒に後ろ向くの

 

 OK

 

 せえの

 

 (クルッ スタスタ カンチが振り返るとリカが見てる)

 

 ずっりーな!

 

 カンチ♪ 何? カンチ・・ 何だよ カンチ・・・ 何・・   

 

 カンチ! (スタスタ、リカが抱きついてメリーゴーランド1周)

 

 好き♡ あっ、言っちゃった 悔しいな

 

 何言ってんだ

 

 おやすみ♪ (右のほっぺにチュッ♪ キスしてスタスタ帰る)

 

 ちょっと待てよ!

 

 

 

  

 

     ☆       ☆       ☆

 

満面の笑みで帰るリカと、取り残されたカンチを映して、「つづく」。

 

鈴木保奈美の演技と台詞回しはスゴイと感心した。キュンキュン

 

する可愛さだね。原作のリカとはかなり違うし、現実にも絶対いない

 

タイプだけど(笑)。

 

 

 

熱すぎるほどの思いは、昼間の太陽。やがて夕暮れが訪れて、

 

オレンジ色の輝きと共に沈んでいくのだ。80年代に「日は昇る」

 

と言われた日本が、90年代から沈んで行ったように。。

 

 

 

先日、『高嶺の花』最終回レビューで世界の太陽の画像を探すと、

 

「sunset」(日没)が人気なのが判明。それはやっぱり、人間とか

 

生命が有限だからではないか。人生全体が沈む夕陽だから、その

 

一瞬のきらめきに美しさを見出すのではないか。。

 

 

 

ちなみに原作者・柴門ふみも語ってた。「恋は必ず終わる」と、

 

漫画第1巻で早くも(あとがき)。愛は残るかも・・とのこと。

 

 

 

ともあれ、AIやロボットどころか数十年後の人類にも理解されない

 

ドラマだろうな・・とか思いつつ、私は大満足だった。いいね! 

 

トレンディドラマとかラブストーリーというより、極限の観念(=理念)

 

を具象化した恋物語だろう。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

 

   

P.S. 2020年1月24日、現代版の新『東京ラブストーリー』配信が発表された。FODとアマゾン・プライムビデオで今春から、とされてるが、詳しい日程は今のところ不明。

  

200125b

   

          (計 3977字)

   (追記83字 ; 合計4060字)

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