春夜喜雨(杜甫)&「恋愛は幸福を殺す」(哲学者ウナムーノ)~『中学聖日記』第1話
「春夜喜雨」 杜甫
好雨知時節
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
(『杜工部集』所収、761年頃)
「春夜 雨を喜ぶ」
好雨 時節を知り
春に当たりて 乃ち発生す
風に随いて潜かに夜に入り
物を潤し細やかにして声無し
いい雨はちゃんと降る時を選んで降って来る
春になると必ず雨が降る
風に吹かれながら夜まで降り続けて
静かにほとんど音も立てず全ての物を潤す
(上はドラマでの解釈。別の読み方は後述。)
☆ ☆ ☆
自分がお気に入りのものが、他人には気に入らないということは
よくある事。逆もまた珍しくない事で、自分が気に入らないものが、
他人の気に入るものだったりする。
まさかの初回視聴率6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)
に沈んでしまった、『中学性日記』・・じゃなくて『中学聖日記』。
私にとっては、好きな物だらけのドラマで、「秋夜喜劇」とか漢詩
(五言律詩)を書きたくなるほどだった♪
素朴で可愛い有村架純。優等生的で親しみやすい美少女、小野
莉奈。妖しい魅力の美熟女、羊田吉・・じゃなくて吉田羊。そのバイ
セクシャルな面でのお相手、中山咲月。そして、昔の後輩によく
似たカワイイ少年(アブナイ・・笑)、岡田健史(けんし)。上の
写真は公式インスタグラムより。
海と山に囲まれた学校(ロケ地・静岡県立熱海高校)は私の生まれ
故郷と似てるし、子どもの頃から美人教師も大好き。そう言えば漢詩
も好きで、よく国語の授業の後にS先生を質問攻めしてた。聖ちゃん
と全く似てない中高年男性教師だったけど♪
今から振り返ると、先生の僅かな休憩時間を奪ってたのかも。
仰げば尊し、わが師の恩。。
☆ ☆ ☆
さて、かわかみじゅんこの原作マンガ『中学聖日記』第1巻を、
ebookで最後まで試し読み(期間限定)してみると、あの杜甫
(とほ)の漢詩は確かに登場してる。ただ、ドラマほどの強調では
なかった。脚本家・金子ありさのこだわりかな。いいね♪
というのも、思春期&反抗期の中学3年生・黒岩晶(岡田)が
新任の聖先生(有村)に対して、性愛をハッキリ向けたシーンの
描写になってるからだ。下の写真は公式サイトのあらすじより。
動植物の目覚めの時期であると同時に、人間の性の目覚めでも
ある「春」。その「時節」に中学生が入った時、雨が降ってくれた
おかげで、先生の車の助手席に乗れた。突然の雨のおかげだった
点は、ドラマより原作漫画の方が明白。そして雨で身体が冷えると、
人は無意識の内に、温もりを求める。
その後、ドラマ第1話ラストの告白も、雨に濡れたまま車に置き
忘れてた晶の洋服(パーカー)を、聖が洗濯して翌日返したのが
キッカケ。女性らしい心遣いで、男心がキュンッとするものだ。
まあ、一部の女性は、ジェンダー(性別)による分業の固定化とか
反発しそうだけど♪
☆ ☆ ☆
ちなみに杜甫の唐詩の読み方。ネットでNHKの高校講座(講師・
渡辺恭子)を見ると、第二句の末尾の「発生」の意味が違ってた。
ドラマ(エンドロールに国語監修は見当たらず)とか、別の個人
サイトの説明によると、雨が「発生する」(=降る)と解釈されてる。
ところがNHK講座は、雨が(植物を)「発生させる」と読んでた。
NHKの方が、第一句の解釈にとっても自然な気はするけど、
ドラマのストーリーの流れにとっては大差ない。要するに、「春」
にふさわしい良い雨だったのだ♪ 特に関東(中学の設定は
神奈川)は、春の雨と風が目立つと思う。
なお、あの漢詩の出典が『杜工部集』であって、761年(ごろ)の
作だということは、本場・中国の複数のサイトやNHKの説明から
分かる。といっても1250年も前の話だから、いずれ歴史研究が
進むと訂正されるかも。
☆ ☆ ☆
それにしても、前クールのTBS火曜ドラマ『義母と娘のブルース』
は、最終回で19.2%もの視聴率(同上)を取ってたのに、一気に
3分の1に撃沈してしまったのは気の毒だね。裏番組が強かった
わけでもないのに。例えば、20分かぶった高橋一生主演ドラマ
『僕らは奇跡でできている』初回は、7.6%にすぎない。
実は私も、三連休疲れが残ってたから22時15分ごろには寝て
しまって(コラッ!)、残りは起きた後TVerの無料動画で見た。
その意味でも次の第2話の数字が気になるけど、要するにドラマ
の主たる視聴者である(中高年)女性の支持が少なかったと。
主役の1人、岡田健史は全くの新人だから数字を持ってないし、
実年齢19歳で15歳を演じるのは、外見的にも演技的にも大変。
有村の顔もキャラも若くて可愛いタイプで、むしろ男性視聴者向け。
中学の女教師と男子中学生だと設定が極端すぎて、興味より反感
や無関心の方が強かったか。マンガと比べると、テレビドラマの方
が遥かに不特定多数を相手にするから、難しい。
☆ ☆ ☆
私は人一倍か人二倍、思春期も反抗期も経験してる男子だから、
ドラマを見る前から自分の小・中学生時代を思い出してた。小学
2年生の時の熱心なM先生。近所でお世話になった美人お姉さん、
S先生。教え子との恋におちて行った美人教師たち(マンガの
ヒロイン・・・笑)。
教育実習生として中学に来てた、名前も思い出せない女子大生
の先生とは、たまたまバス停から学校まで2人で一緒に歩いた
のがいい思い出だ。何でもない会話や笑顔でも、純な少年の胸は
ドキドキ♪
マンガみたいな悲しい恋愛の最後まで夢想して、考え込んだり。
結局、お別れするんだよなぁ・・とか(笑)。その内の1つの作品は
珍しく電子書籍で全巻揃えたのに、まだ読めてない。哀し過ぎる
結末だったもんで♪ マンガだろ!
いや、子どもの頃は現実と幻想が融合してるのだ。やっぱり今でも
少年のままってことか。。
☆ ☆ ☆
最後に、子星中学校職員専用共通システムでなりすましメール
を送った真犯人はさておき、学校裏サイトで聖を攻撃してたのは
誰か。ネタバレは全く見てないけど、晶の別人格かも。少なくとも
なりすましと同じ人間(職員?)とは限らない。
あと、美人教師はもちろん最高だけど、美人上司もいいね♪
グローバルVedコーポレーションの原口律(吉田)は、部下の
川合(町田啓太)の婚約者となった聖と初対面。いきなり古い
名言ウンチクを説いてた。
恋愛は幸福を殺し、幸福は恋愛を殺す
「昔の人」としか言ってないし、ネットで出典を検索するといつもの
ように、信頼できそうなサイトはなかなか見当たらない。多分、
これでいいと思うけど、本当にスペインの哲学者ウナムーノ自身
の言葉や著作(の英訳)なのかどうか、まだ確認できてない。
信頼性の低い単なるまとめ本の可能性もあるので念のため。
Love kills happiness,
happiness kills love.
『Essays and Soliloquies』(随筆と独白)
☆ ☆ ☆
上の名言をより正確に言い直すと、愛は普通の幸福を殺す、と
なるはず。代わりに、特別の幸福をもたらしてくれる。だからこそ
原口も雄弁に語ってた。
絶対あり得ない
そう思った相手を好きになったり
世間の常識から外れたり
大多数の人に反対されたり
それでも引っ張られる 堕ちていく
・・・ そうゆう経験 最高よ
現実の日本社会を見ても、不倫カップルがやがて離婚して正式
に結婚(=再婚)するパターンはそれほど珍しくない気がする。
最初から予想以上に厳しい反応となってるこのドラマの場合も、
最後に「普通の」幸福はあり得ない。それでも、別の幸福や最高
の悦びはあるはず。ヒロイン達が悦びの声をあげる姿をじっくり
楽しませて頂こう。想像力=イマジネーションの鍛錬も兼ねて♪
春の夜、喜びの雨♪ 別の意味で具体的にイメージしつつ、
それでは今日はこの辺で。。☆彡
cf. 『中学聖日記』、原作1巻とドラマ2話までの比較
(計 3118字)
(追記26字 ; 合計3144字)
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