日テレ『イッテQ!』ラオス自転車・橋祭りのやらせ疑惑(by文春砲)、英語・ラオス語検索や現地写真など
たまたま数日前、日本テレビが月間視聴率三冠王の座から滑り
落ちたニュースが出てた。これは裏を返すと、それだけ日テレが
テレビ界の王座に君臨し続けて来たということだ。同系列の読売
新聞が世界最大の発行部数だから、両者で日本のマスメディア界
のトップをキープしてることになる。
その日テレの看板番組の1つが、『世界の果てまでイッテQ!』。
今回、8日発売の『週刊文春』11月15日号で批判された2018年
5月20日の放送は、平均で世帯視聴率19.2%。この週の「その他
の娯楽番組」部門でトップの人気を誇ってた(ビデオリサーチ調べ、
関東地区)。
番組内で色々ある企画の一つ、宮川大輔「世界で一番盛り上がる
のは何祭り?」がその回で訪れたのは、東南アジアのラオス。番組
公式サイトの過去記事には今でも、「年に一度の祭りとあって 町中
の人が集まって来た ・・・・・・橋祭り開幕!」と書いてある。
☆ ☆ ☆
実は上の宣伝文句は、よく読むと、完全な間違いとは言えない。
ただ、非常にミスリーディングな(誤解を招く)ものになってる。
町中の人のほとんどは、自転車で泥水の細い橋を渡る「橋祭り」
というより、それを脇に含む大規模の「コーヒー・フェスティバル」に
集まってたのに、それを伝えてないのだから。「橋祭り」とは、実は
「端祭り」だ。
下の写真は、文春が引用してるラオス・コーヒー協会facebook
のもの。左の端に見えるのが、橋祭りのセット。会場全体から見ると
完全な端で、番組の制作サイド(日テレ&ラオス)が今年初めて
作ったもの。日テレ公式見解も、初めての開催だと認めてる。
ちなみにコーヒー協会の写真は今現在、文春が引用したものばかり
が拡散してるから、別角度の画像も載せとこう(4月14日)。もともと
東南アジア情報の配信TVサイト「MALIMAR」の動画で、静止画
キャプチャーが出回ってるのだ。左上のロゴが同社のシンボル。
お祭りの賑わいから完全に外れてた場所なのは、一目瞭然。
実際、日テレが放置してるYouTubeの海賊版ビデオを見ると、
セットの周囲は映さないようになってて、ごく一部で階段に座る
僅かな人が目に留まる程度だった。スタッフと参加者らしき人達
ばかりが目立ってる。
文春によると、観客は僅か30人程度。コーヒー協会の夜の写真
が象徴的だった。
☆ ☆ ☆
日テレの公式見解は、次のように弁明してた。「現地のコーヒー
フェスティバルの敷地で開催されることは、事前に承知しており
ましたが、これまでにもイベントとセットで催しが行われるケースは
珍しいことではなく、意図して紹介しなかったわけではありません」。
明らかに意図的な撮影と編集だが、今の時点ではそう書くしか
なかったのだろう。どうせ半年近く前の単なるバラエティ番組の内容
だし、話題になるのは今だけだろうから。
ただ、文春はかなりの手間隙をかけた取材で裏付けてる。現地の
日本人、ラオス情報文化観光省(名前と顔出し)、駐日ラオス大使館、
在ラオス日本大使館、現地と日本(?)の制作コーディネイト会社。
「橋祭り」などラオスやビエンチャンで(ほとんど)話題になってないし、
この街にも無かった。だから直ちに、日テレ見解に反論してる。
日テレも「現地からの提案を受けて成立した」と認めてるのだから、
直接的な関与の有無や程度に関わらず、かなり苦しいのは確か。
おまけに文春によると、参加者20人の内、10人が地元のサッカー
クラブから意図的に集められた少年達とのこと。彼らやクラブ側に
渡った賞金や賞品、紹介料はどこから出たのか、明らかだろう。
☆ ☆ ☆
日テレ側に残された最後の言い訳は、「東南アジアのテレビ局でも
取り上げられるなど各地で人気となっている催しとの事で、番組
サイドでも資料映像等を確認した上で、企画決定に至りました」と
いう文章。
国際的な話題が気になった時、私はすぐ英語で検索してるが、
今回はそれに加えてラオス語(=ラオ語、ラーオ語)でも検索。
色々と言葉を変えてググってみても、「橋祭り」の類は全く出て
来なかった。見落としがあるのせよ、ほとんど話題になってない
のは間違いない。
ラオス語での検索は、本当は方法が特殊なのかも知れない。
あまりに的外れな結果が表示されるから。下は「自転車 祭り
橋」の一例。英語からラオ語へのGoogle翻訳利用。
☆ ☆ ☆
ただ、以前記事に書いたオーストラリアの企画なら、英語圏とは
いえ、すぐ現地情報が確認できた。単なる小さな村のイベントだ。
それに対して今回は番組関連以外の情報が(ほとんど)何一つ発見
できないわけで、企画の詰めの甘さを問われても仕方ないと思う。
もちろん、これ自体はハッキリ言って、些細な問題にすぎない。
ただ、王者・日テレの看板番組だから、他の回や他の番組の印象
にもじわりと影響を与えかねないと思う。その意味で、同系列の
読売HPが素直に非を認めてたのは潔い姿勢だった。
テレビにせよ、ネットや口コミにせよ、メディアを扱う能力(リテラシー)
が問われる時代だと再確認した所で、今日はそろそろこの辺で。。☆彡
(計 2105字)
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