数学甲子園2018予選、解き方と感想3(問題12~20)
2018年の数学甲子園記事は、完成まで
時間がかかったけど、今回の記事で
ようやくラストとなった。既にアップ済み
の記事6本は以下の通り。
数学甲子園2018予選、
正答率の低い3つの問題
2018予選、解き方と感想2
(問題1~5、7~9)
数学甲子園2018本選Math
Battle(マスバトル)、問題と
解き方1(英語の問題)
2018(マスバトル)、解き方2
解き方3 (第7問、白黒タイル)
解き方4 (問題8~12)
☆ ☆ ☆
問題12
xy平面において、次の連立不等式が
表す図形の面積を求めなさい。
x²-2|x|+y²-2|y|+1≧0
|x|+|y|≦1
解答
第1式を変形すると、
|x|²-2|x|+|y|²-2|y|+1≧0
よって、与えられた連立不等式のxとy
にはすべて絶対値記号が付いている
ので、図形はx軸対称かつy軸対称。
x≧0、y≧0の範囲に限ると、
(x-1)²+(y-1)²≧1
y≦1-x
∴(面積全体の4分の1)
=(辺の長さ1の正方形)
-(半径1の4分円)
=1-π/4
∴(面積全体)=4-π ・・・答
感想
私が高校1年の頃だと、記述式の問題
ならマジメに4通りの場合分けをして
最後に足し算してたような気がする。
この問題だと答だけだから、第1象限
(+境界)で解いて4倍して終了。
参加者全体の正答率19%、通過者
69%。小数点以下は四捨五入。
問題13
a、b、c、dを正の整数とします。線分
ABをa:bに内分する点をC、c:dに
内分する点をDとするとき、
AC:CD:DBをa、b、c、dを用いた
整数比で表しなさい。ただし、点A、C、
D、Bはこの順に並んでいるものとします。
解答
全体の長さを1とすると、
AC=a/(a+b)
DB=d/(c+d)
∴AC:CD:DB
=a/(a+b):
1-a/(a+b)-d/(c+d):
d/(c+d)
=a(c+d):
(a+b)(c+d)-a(c+d)
-d(a+b):d(a+b)
=a(c+d):bc-ad:d(a+b) 答
感想
小学校の算数の発展問題といった感じ。
細かい話だけど、模範解答の中央、
「(bc-ad)」のカッコは要らないと思う。
ただ、採点者の主観的判断が入るから、
実戦だとカッコを付けといた方が無難。
あと、小文字のcが整数で、大文字のC
が点という、まぎらわしい設定に注意。
全体正答率26%、通過者77%。後半
の問題だから、時間に追われたのかも。
☆ ☆ ☆
問題14
△ABCの3辺BC、CA、ABの長さを
それぞれa、b、cとします。次の等式が
成り立つとき、△ABCの内角のうち、
最大の角の大きさを求めなさい。
(b+c):(c+a):(a+b)=4:5:6
解答
b+c=8,c+a=10,a+b=12
とおくと、
2(a+b+c)=30
∴ a+b+c=15
∴ a=7,b=5,c=3
最大の角は、最大辺と向き合う∠A。
余弦定理より、
cos∠A=(5²+3²-7²)/2×5×3
=-1/2
∴ ∠A=120° ・・・答
感想
教科書レベルのサービス問題。時間も
稼ぎたいので、比例定数kは省略。
全体正答率42%、通過者91%。
通過者にとっては最も簡単だった問題。
問題15
kを正の整数とします。
P(k)=(1のk乗)+(2のk乗)+
(3のk乗)+(4のk乗)+
(5のk乗)+(6のk乗)
とすると、
P(1)=1+2+3+4+5+6=21
P(2)=1²+2²+3²+4²+5²+6²=91
P(3)=1³+2³+3³+4³+5³+6³=441
であり、P(1)、P(2)、P(3)はすべて
7の倍数となりますが、kの値によって
は7の倍数にならないこともあります。
P(k)が7の倍数にならないkの値を
すべて求めなさい。
解答
mod7の合同式を用いてk=6まで
計算すると、k=6ではじめて7の倍数
(=0)にならない。
1⁶+2⁶+3⁶+4⁶+5⁶+6⁶
≡1+1+1+1+1+1
=6
上の2番目の式から考えると、
k=7の時はk=1の時と同じ。
一般にk=6m+nの時は、
k=nの時と同じ。
よって、求める値は、
k=6m+6 (mは0以上の整数)
m+1=pと置いて簡単にすると、
k=6p (pは正の整数) ・・・答
感想
時間の少ない予選でこの問題は厳しい。
ただ、6の6乗まで試すだけで解けるから、
それほど計算時間がかかるわけでもない。
全体正答率6%、通過者40%で、出来の
差が大きかった問題。
☆ ☆ ☆
問題16
次の等式を満たす整数の組(x,y)を
すべて求めなさい。
xy³-3y-x=1
解答
(y³-1)x-3(y-1)=4
∴ (y-1){(y²+y+1)x-3}=4
掛け合わせて4になる整数の組を考え、
そこから(x、y)を求めると、整数の組は
(1,2),(-1,0),(1,-1) 答
感想
パターン化された不定方程式をちょっと
ヒネった形で、これも実力差が出やすい。
次数の低いxで整理するのが基本。
全体正答率9%、通過者44%。
問題17
連続する5つの正の整数について、
次の法則が成り立ちます。
1×2×3×4×5+5=125=5×5²
2×3×4×5×6+6=726=6×11²
3×4×5×6×7+7=2527=7×19²
・・・ ・・・ ・・・
このとき、次の等式を満たす正の整数n
の値を求めなさい。
2016×2017×2018×2019×2020
+2020=2020×n²
解答
n²-1=2016×2017×2018×2019
∴ (n-1)(n+1)
=(2016×2019)・(2017×2018)
=4070304×4070306
∴ n=4070305 ・・・答
感想
私は「n²-1」の形にして因数分解する
式変形になかなか気づかなかったから、
問題15より面倒だと感じた。受験者には
こちらの方が簡単だったらしい。
全体正答率18%、通過者51%。
☆ ☆ ☆
問題18
さいころA、B、C、Dを同時に振り、出た目
をそれぞれa、b、c、dとします。このとき、
放物線y=ax²+bx+cの頂点の座標が
(-1,d)となる確率を求めなさい。
ただし、さいころの目は1から6まであり、
どの目も出る確率は等しいものとします。
解答
-b/2a=-1
-(b²-4ac)/4a=d
∴ b=-2a,d=-a+c
これを満たす(a,b,c,d)の組は
全部で12個。
∴ 12/6⁴=1/108 ・・・答
感想
設定にヒネリがあるし、確実に12個
求めるのがちょっと面倒。ただ参加者の
出来は良くて、全体18%、通過者53%。
問題19
OA=3、OB=4、∠AOB=60°で
ある△OABにおいて、辺OAの中点を
通りOAに垂直な直線と、辺OBの中点
を通りOBに垂直な直線との交点をQと
します。
(→OA)=(→a)、(→OB)=(→b)
とするとき、(→OQ)を(→a)、(→b)
を用いて表しなさい。
解答
OAの中点をM、OBの中点をNとし、
(→OQ)=p(→a)+q(→b)とおく。
|→a|=3, |→b|=4
(→a)・(→b)=6
(→MQ)・(→a)=0より、
{(p-1/2)(→a)+q(→b)}・(→a)=0
∴ 6p+4q=3
(→NQ)・(→b)=0より、
{p(→a)+(q-1/2)(→b)}・(→b)=0
∴ 3p+8q=4
∴ p=2/9, q=5/12
∴ (→OQ)=
(2/9)(→a)+(5/12)(→b) 答
感想
パターン化された標準問題だけど・・
と言うか、だからこそ差が付いたのか。
19問目だから時間切れになったのかも。
全体正答率11%、通過者50%。
☆ ☆ ☆
問題20
f(x)=∫(4x-2t)f(t)dt+3
(-1≦t≦1) を満たす関数f(x)を
求めなさい。
解答
f(x)=4x∫f(t)dt-2∫tf(t)dt+3
=ax+b とおくと、
ax+b=
4x∫(at+b)dt-2∫t(at+b)dt+3
=8bx-4a/3+3
これがxの恒等式だから、
a=8b, b=-4a/3+3
∴ a=72/35, b=9/35
∴ f(x)=(72/35)x+9/35 答
感想
これもパターン化された標準問題なのに、
時間切れになった人が多かったのかも。
全体正答率8%、通過者47%。
フーッ。。 やっと全て終了♪ 問題を書き
写すだけでも疲れてしまうのだ。来年の
予選はもう少し簡単になると予想する。
ではまた、数学甲子園2019にて。。☆彡
cf. 数学甲子園2019予選、正答率の低い問題16の解き方と感想
19予選、解き方と感想2(問題1~6)
19予選、解き方と感想3(問題7~12)
(計 3349字)
(追記71字 ; 合計3420字)
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