数学甲子園2018予選、解き方と感想2(問題1~5、7~9)
(☆追記: 最後の記事もアップ完了。
2018予選3(問題12~20) )
☆ ☆ ☆
数学甲子園2018予選の問題が公式
サイトで公開されたのは、10月下旬
だったと思う。実際の予選は夏だから、
2ヶ月遅れ。
前から指摘してるけど、せめて9月16日
の本選前に公表すれば注目度が上がる
はず。当サイトの関連記事へのアクセス
も、本選が終わると急激に減少する。
だから、10月31日に本選結果が訂正
されたのもあまり知られてないだろう。
7位とされてた開成高1Sチームが
4位に浮上。元の4~6位のチームが
1つずつ順位を下げてた。
正直に自ら公表したのはいいとして、
1ヶ月半後というのは遅すぎるし、数学
の大会で入賞者の点数の集計ミスと
いうのは残念なこと。単なる2ケタ~
3ケタの自然数3つの足し算。実際は、
集計というより「採点」ミスなのかも。。
☆ ☆ ☆
とにかく今年も予選記事をアップしよう。
正答率が低かった3問は、本選ライブ
動画で紹介された後、記事をアップして
ある。残り17問も過去と比べて難しめ
で、平均点の低さは当然だろう。
20点満点で平均僅か4.3点。本選
出場者でさえ11.8点に留まってた。
満点はゼロだけど、19点が2人。
FRESH LIVE動画より。
なお、既にアップ済みの今年の記事
5本は以下の通り。
数学甲子園2018予選、
正答率の低い3つの問題
数学甲子園2018本選Math
Battle(マスバトル)、問題と
解き方1(英語の問題)
2018(マスバトル)、解き方2
解き方3 (第7問、白黒タイル)
解き方4 (問題8~12)
☆ ☆ ☆
問題1
次の式を因数分解しなさい。
36x²+6xy-12y²
+11x+26y-12
解答
xで整理して、たすき掛けを利用。
36x²+(6y+11)x
-2(3y-2)(2y-3)
=(4x-2y+3)(9x+6y-4) 答
感想
正答数0問と1問の参加者が大勢いる
ということは、因数分解が解けなかった
参加者が多いということ。1問3分しか
ないし、緊張してるから大変だろう。
最後のたすき掛けを素早く成功させる
コツは、1次の項の定数11に着目する
こと。奇数だから、2次の係数と定数項
の分解は、奇数×奇数の形ができる
ように行う。
全体の正答率は48%。通過者は
84%。小数点以下は四捨五入した。
以下でも同様。
問題2
x についての2次不等式
ax²+bx+c≧0の解がx=aで
あるとき、a、b、c、の符号をそれぞれ
求めなさい。
解答
y=左辺のグラフが上に凸の放物線
で、頂点が(a,0)であるための条件
を求めればよい。
まず、a<0 ・・・答
また、 -b/2a=a
-(b²-4ac)/4a=0
∴ b<0, c<0 ・・・答
感想
教科書の章末問題くらいの標準レベル。
全体の正答率は意外なことに、27%。
平方完成で頂点の座標を求める時に
間違えたということか。通過者は76%。
☆ ☆ ☆
問題3
次の式を簡単にしなさい。
解答
4+√15=(8+2√15)/2
=(√5+√3)²/2
4-√15=(√5-√3)²/2
∴(分子)=(√5+√3)³/2√2
+(√5-√3)³/2√2
=7√10
同様の計算で、
(分母)=13√10
∴(与式)=7/13 ・・・答
感想
最初、反射的に分母の有理化を行って、
上手く行かないから方針変更。与式の
カッコ内が2乗の形になることを発見。
甲子園の予選としては適度な計算かも。
全体正答率7%、通過者33%。
問題4
AB=6、BC=4、CA=5の△ABC
があり、∠ABCの二等分線と辺ACの
交点をD、∠ACBの二等分線と辺AB
の交点をE、線分CEとBDの交点をF
とします。
△ABCの面積をSとするとき、△DEF
の面積をSを用いて表しなさい。
解答
角の二等分線が対辺を分割するときの
長さの性質を利用する。
△ABD=6/(6+4)S=3S/5
△EBD=△ABD×4/(5+4)
=(3S/5)×4/9
=4S/15
CD=AC×4/(6+4)=2
∴BF:FD=BC:CD
=4:2
=2:1
∴△DEF=△EBD×1/(2+1)
=4S/45 ・・・答
感想
標準レベルのサービス問題で、計算
も簡単、図も添えてある。予選通過
のためには確実に取りたいところ。
△EBDを使うか、△ECDを使うか、
ハッキリ決めないと途中で混乱する。
☆ ☆ ☆
問題5
あるスーパーマーケットでは、1パック
8個入りの卵が売られています。下の
データは、無作為に選んだ2つのパック
A、Bに入っていた卵の重さ(単位:g)
です。
A 59,62,60,63,62,59,61,62
B 62,59,58,61,60,63,58,59
それぞれのデータについて、分散を
求めなさい。
解答
(Aの平均)=61
∴(Aの分散)
=(2²+1²+1²+2²+1²+2²
+0²+1²)/8
=2 ・・・答
(Bの平均)=60
∴(Bの分散)
=(2²+1²+2²+1²+0²+3²
+2²+1²)/8
=3 ・・・答
感想
統計の基本問題で、計算も簡単。全体
の正答率は50%で最高。通過者は
87%で、2番目の出来の問題だった。
間違えた人は、確率分布の分散と混同
して、n=8で割るのを忘れたのかも。
問題6 正答率が最低だった問題で、
既に別記事でアップ済。
問題7
tan(x/2)=t とするとき、
sin x、cos x、tan x を、それぞれ
t を用いて表しなさい。
解答
1+tan²(x/2)
=1/cos²(x/2)
より、cos²(x/2)=1/(1+t²)
∴sin x=2sin(x/2)cos(x/2)
=2cos²(x/2)・tan(x/2)
=2t/(1+t²) ・・・答
tan x=2tan(x/2)
/{1-tan²(x/2)}
=2t/(1-t²) ・・・答
cos x=sin x/tan x
=(1-t²)/(1+t²)・・・答
感想
計算のやり方によっては、符号の
プラス・マイナスの問題が生じて面倒。
ただ、ほとんど公式だし、最後の答
には見覚えがある人が多かったはず。
全体正答率23%、通過者80%。
☆ ☆ ☆
問題8
正の整数a、bに対して、a²は9桁、
a²b⁴は34桁の数とします。このとき、
aとbの桁数をそれぞれ求めなさい。
解答
10⁸≦a²<10⁹ だから、
10⁴≦a<10⁵
よって、aの桁数は5桁。 ・・・答
また、10⁸≦a²<10⁹より
∴(1/10⁹)<1/a²≦(1/10⁸)
10³³≦a²b⁴<10³⁴ と掛け合わせて、
10²⁴<b⁴<10²⁶
∴ 10⁶<b<10⁷
よって、bの桁数は7桁。 ・・・答
感想
不等式の正確な扱いが必要。全体の
正答率32%、通過者70%。差が
小さいのは、答の桁数の候補が3つ
くらいしかないからかも♪
問題9
次の式を展開したときの項数を求め、
nを用いて表しなさい。
{∑a k (k=1~n)}²
=(a1+a2+a3+・・・+a n)²
解答
2乗の項がn個。
それ以外が、 nC2=n(n-1)/2 個。
∴ n+n(n-1)/2
=n(n+1)/2 (個) ・・・答
感想
断トツで簡単だし、出題意図も不明で、
不安になってしまった。次の2問が難しい
から、その前にサービスという意味か♪
全体正答率24%、通過者77%。
☆ ☆ ☆
次の問題10と問題11は、既に別記事
をアップしてある。あと1本書けば、今年
の数学甲子園もようやく終了。
今日のところはこの辺で。。☆彡
cf. 数学甲子園2019予選、正答率の低い問題16の解き方と感想
19予選、解き方と感想2(問題1~6)
19予選、解き方と感想3(問題7~12)
数学甲子園2017予選、
全20問の問題、解き方、感想
同・本選Math Battle、
問題と解き方(abema動画)
同・問題と解き方2
同・問題と解き方3
2016本選1st Stage、全問題
16予選、全20問の解き方、感想
16(Abemaライブ)、前半感想
2015準々決勝、全問コメント
15予選、全20問の解き方、感想
14準々決勝、全問コメ&問題10
13予選ポイント、問題15解説
12、予選問題&3日ぶりのラン
数学選手権にチャレンジ (11)
(計 3138字)
(追記105字 ; 合計3243字)
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コメント
Q7 は
{x^2+y^2=1,y=t (1+x)}を解くのが
世界の人々の常套手段
で 多くの応用∃.
事例達を どうぞ;
投稿: マス | 2019年8月22日 (木) 13時24分
> マス さん
はじめまして。コメントどうもです。
xy平面で、単位円の左端の点を通過する傾きtの直線と、
単位円との交点の座標を求める方法ですね。
この問題では、角度に文字xが使われてることもあり、
私は三角関数のみの基本変形を書いておきました。
「世界」だと、例えば英語版ウィキペディアの三角関数の
項目では、答をそのまま公式として掲載してます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Trigonometric_functions
投稿: テンメイ | 2019年8月23日 (金) 23時27分