« JR山手線・新駅「高輪ゲートウェイ」、駅名公募130位だけど本命かも | トップページ | JR東海・西日本のスマートEX予約(無料)とEXpress予約(有料)、違いが分かりにくい »

熱気球はなぜ浮かぶ?、浮力の物理・化学的計算~朝日新聞・ののちゃんのDO科学

空に浮かぶ熱気球については、物理記事で既に2回書いてる。

 

 運動の法則、浮力、物体の連結と分離~物理の問題と解き方2

 気体の状態方程式、熱気球、ピストンと仕事~物理の解き方8

 

今回は、先日(18年12月1日)の朝日新聞・朝刊別刷beに

掲載された記事「熱気球はなぜ浮かぶの?」の解説について、

具体的に計算で確認してみよう。

 

181205a

 

朝日の記事は「ののちゃんのDO科学」シリーズ。取材協力は日本

科学未来館・池辺靖、日本気球連盟・酒井修一。構成は石倉徹也

記者。

 

以下、当サイトの説明は、高校の理科(物理・化学)の基礎的内容で、

計算式と単位の換算だけなら、小学校の算数レベルだ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

熱気球が浮かぶ理由は、「温められた空気は軽くなるから」。朝日

は気体分子運動論をカンタンに定性的に説明してるけど、小学生

らしきののちゃんに分かるかどうかはビミョー。

 

おまけに、気体の分子数が減るから軽くなると説明してるのに、数字

を出す時に分子数の話がない♪ まあ、モル数とかアボガドロ数と

いった分かりにくいものを避けるためには仕方ないのかも。下の

写真は日本気球連盟HPより

 

181205b

 

朝日が数字で説明してる段落だけ、4分割して引用しとこう。先生

がののちゃんにやさしく説明する形式。

 

 (1) 1気圧では、体積1リットルの空気は温度0度で

    約1.3グラムの重さがある。

 (2) 一般的な気球は約2千立方メートルの体積なので

    約2.6トンの空気が入っている。

 (3) この空気を70度まで温めると、約530キロ軽くなる

 (4) ・・・ので、機材の重さを含めても3~4人は乗れる計算ね。

 

 

     ☆       ☆       ☆

まず(1)の計算。空気は、分子量32の酸素分子O₂と、分子量

28の窒素分子N₂が、1:4の割合で含まれる混合気体。

 

 ∴ (平均分子量)

   ={(32×1)+(28×4)}/5

   =28.8

 

よって、0度、1気圧の標準状態だと、

 (22.4リットルの重さ) = 約28.8g

 ∴ (1リットルの重さ) = 28.8/22.4

              = 約1.3g

 

   (注. 物理学的には、重さではなく、「質量」。)

 

 

     ☆       ☆       ☆

次に(2)の計算。

 1立方m = 100cm×100cm×100cm

       =1000000cm³

       =1000リットル

 

 ∴ (2000立方mの重さ)

   =(2000×1000リットルの重さ)

   ≒ 2000000×1.3g

   ≒ 2600000g

   ≒ 2600kg

   ≒ 2.6トン

 

 

     ☆       ☆       ☆

さらに(3)の計算。気体の状態方程式PV=nRTにおいて、

熱気球のようにP(圧力)とV(体積)がほぼ一定の状況だと、

絶対温度Tとn(空気分子のモル数)は反比例する。

よって、絶対温度と重さも反比例する。

 

 (70度の空気の重さ)

   =(絶対温度343度の空気の重さ)

   =(絶対温度273度の空気の重さ)×273/343

   =(摂氏0度の空気の重さ)×39/49

   =約2.6トン×39/49

   ≒ 2.07トン

   =2.6トン-0.53トン

 

したがって、0.53トン、すなわち530kg軽くなる。

 

 

     ☆       ☆       ☆

最後に(4)。熱気球の重さは、ジャパンバルーンサービスHPを

見ると、球皮と機材一式で約300kg。人間1人の平均体重は

65kg前後として、

 

 (乗れる人数)=(530-300)/65

        ≒ 3.5 (人)

        ≒ 3~4人

 

実際には、熱気球の空気の温度は、気球内の場所によって違うし、

時間が経つにつれて刻々と変化する。気圧と体積の変化は小さい

としても、空気の入れ替わりはかなりあるはずだし、燃料は軽く

なっていくだろうから、非常に複雑な変化になる。

 

 

      ☆       ☆       ☆

小市民でプチ高所恐怖症の私としては、見るだけにしとこう♪

2013年のエジプトの墜落事故では火災発生で21人中、19人

が死亡した。日本人観光客4人含む。

 

気球ではないけど、飛行船ヒンデンブルク号の爆発は有名(36人

死亡、1937年)。日本語ウィキペディアでは、水素ガスの爆発では

なく静電気による外皮の炎上とされてるけど、英語版ウィキの詳細

説明を読むと、「色々な仮説」が主張されてるといった感じだ。

 

ただ、世界の気球事故のリストを英語で見ると、事故率や死亡率は

かなり少ないようにも感じる。飛行機や飛行船、自動車との安全性

の比較は不明。それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

          (計 1719字)

| |

« JR山手線・新駅「高輪ゲートウェイ」、駅名公募130位だけど本命かも | トップページ | JR東海・西日本のスマートEX予約(無料)とEXpress予約(有料)、違いが分かりにくい »

数学」カテゴリの記事

科学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« JR山手線・新駅「高輪ゲートウェイ」、駅名公募130位だけど本命かも | トップページ | JR東海・西日本のスマートEX予約(無料)とEXpress予約(有料)、違いが分かりにくい »