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心不全を示す指標(バイオマーカー)、NT-proBNPが非常に高い数値の患者

身近な患者が心臓と呼吸の激しい苦痛を訴えているが、できる

限り入院はしたくないと希望。とりあえず、かかりつけ医の検査

を受けた。

 

様々な数値を見ると、一部が悪化していたが、特別な値は無い。

症状の一つは気管支炎のようなので、その薬を処方。これはよく

効いて、激しい咳は治まり、呼吸も静かになった。

 

それでもやはり、非常にしんどいと訴える。食欲もなく、トイレまで

歩くのが精一杯の状態。

 

数日後、残された血液検査結果が判明。「NT-proBNP」

と呼ばれる指標の数値が、もともと非常に高かったのに、さらに

2倍になっていた。普通なら、直ちに入院するレベル。

 

担当医は気管支炎の影響も考えられるという。その見方が正しい

なら、咳が治まった後は数値が下がるだろうが、それにしても数値

が高過ぎると別の医療従事者は語る。さて、どう考えて、どう受け

止めればよいのか。既に何度も急性の悪化が起きているので、

いよいよ最終段階への下降か。下図は医学書院HPより

 

190228e

 

 

      ☆       ☆       ☆

NT-proBNPとは、最も簡単に言うと、心臓の心室に

かかる負荷に応じて分泌される物質(ホルモン)。大まかな基本

としては、数値が大きいと負荷も大きいことになる。だから、心臓

の不調、心不全の発症や再発、悪化を示すと考えられる

 

まずBNPとは、B-type natriuretic peptide(B型

ナトリウム利尿ペプチド)のこと。ナトリウムを尿で排泄させる

ホルモンの一種。

 

最初はブタの脳から発見されたため、「脳性ナトリウム利尿ペプチド」

と名づけられたが、その後、心臓からの分泌が判明。ただ、今でも

「脳性・・」という呼び名は医学的に使われている。

 

BNPが出来る直前の物質が、proBNP(BNP前駆体)

pro(プロ)とは「前」を表す言葉だから、「BNPの前」という

意味だ。

 

 

     ☆       ☆       ☆

190228a

 

上図は日本心不全学会HPのステートメント(主張)、

 「血中BNPやNT-proBNP値を用いた

  心不全診療の留意点について」

より借用(2013年)。

 

上側の長いBNP前駆体(=proBNP)が、2つに切断

される様子を示している。右側がBNP。左側は、proBNP

N末端(N-Terminal)などと呼ばれる側だから、

NT-proBNPと呼ばれる。

 

もともとはBNPがマーカーとして注目されていたが、最近は

NT-proBNPが注目されているようだ。一つの前駆体

を二分したものだから、BNPとNT-proBNPは

切断直後には同数(等モル)。

 

ただ、NT-proBNPの方が半減期(半分になるまで

の時間)が長いし、分裂のタイミングも無数にあるから、実際

の検査の測定値は異なる。

 

 

     ☆       ☆       ☆

さて、問題のNT-proBNPの数値。つまり血中濃度。

 

普通は、pg/mL(ピコグラム・パー・ミリリットル)と

いう単位で表す。1mLの中に、1兆分の1グラムあれば、

1pg/ml。

 

190228b

 

前述のステートメントには、上のような基準表が示されている。

NT-proBNPの値だと、

 

 125~ 軽度の心不全の可能性

 400~ 治療対象となる心不全の可能性がある

 900~ 治療対象となる心不全の可能性が高い

 

残念ながら、今回の患者は遥かに高い数値を示している。にも

関わらず、前から薬を飲んでいることもあって、かかりつけ医は

落ち着いた様子で対応。一方、別の関係者は緊急性を主張した。

 

 

    ☆       ☆       ☆

心不全学会と日本循環器学会が合同で作成した、急性・慢性

心不全診療ガイドライン(2017年改訂版、18年更新

では、前述のステートメントを引用しつつ、「BNPには個人差

が存在する」と注意を促している。

 

ステートメントに戻ると、数値は腎機能の低下や高齢で上昇、急性

炎症でも上昇することがあると書いてある。逆に、肥満者は低い

数値を示すとのこと。

 

190228c

 

さらに、マーカーの添付文書(シーメンス)には、疾患グループ

(うっ血性心不全)の値として、10000~22000くらい

までの数値が示されている。別表を見ると、最大値は

70000超。心不全を除くグループでも7000くらいまで。

 

 

      ☆       ☆       ☆

とはいえ、「当院では入院時・・・NT-proBNP:

10000pg/mLを超えると非常に院内死亡のリスク

が高いと考えています」との説明もある(藤田保健衛生大学・

石井潤一教授)。

 

身近な患者の場合、やはり少なくとも入院は間近に迫っている

と覚悟するのが妥当なところか。その前後の訪問診療、看護、

介護などとの組合せとか、色々と準備が必要だろう。

 

とりあえず、周囲にいる人間の心身の調子くらいは維持して

おきたい。それでは今日はこの辺で。。☆彡

 

          (計 1895字)

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