テレビ番組の世帯視聴率が下がっても、個人視聴率が上がる場合~カンタンな理由と計算例
相変わらず体調が悪いので、早めに今日の分のブログ記事をアップしとこう。先日(19年8月12日)、Yahoo!の個人ページで興味深いエンタメ記事を見かけた。
「石原さとみはピークを過ぎた!?~『5→9』から『Heaven?』までに見る視聴者の評価~」。
メディア研究者の鈴木祐司氏が、個人視聴率を独自に測定・集計するスイッチ・メディア・ラボのデータを分析した、マニアックな研究だ。小論文と言ってもいいほど。
☆ ☆ ☆
本題に入る前に、基本を再確認しとこう。世の中でよく「視聴率」と呼ばれてるのは、ビデオリサーチ調べによるデータで、特に関東地区の「世帯視聴率」が使われることが多い。
世帯視聴率とは、簡単に言うと、その番組を見た家の割合。10件に1件がそのテレビを見てれば(あるいは付けてれば)、
世帯視聴率=1/10=10%
一方、その10件の家には、2人ずつ家族がいるとすると、個人の人数は合計20人。テレビを見た家の中では、1人だけが見たとすると、
個人視聴率=1/20=5%
☆ ☆ ☆
要するに、「普通は」個人視聴率の方が低くなるのだ。既に9年近く前になるけど、当サイトでは、NHK独自の公表データを使って、世帯視聴率と個人視聴率の関係式を導いた。結論だけ簡単に言うと、
個人視聴率=世帯視聴率×0.7 (昔)
くらいになってた。その後、多様化とか個別化が進んでることを考えると、今なら係数は0.7ではなくて、0.6くらいかも知れない。
個人視聴率 ≒ 世帯視聴率×0.6 (今?)
特殊な例外状況(大家族だけで全員見てるとか)では、個人視聴率の方が高くなる可能性もあるけど、大規模な統計調査ではまずあり得ないだろう。
どのくらいの割合の人が見たか?を表すのは個人視聴率のはずだし、測定も20年ほど前から行われてるけど、世の中では世帯視聴率が使われ続けてる。おそらく、放送局とか制作者サイドが高い数字をアピールしたいからだと思う。
☆ ☆ ☆
話を戻して、Yahoo!の個人視聴率記事。ビデオリサーチの数字から計算した場合と比べて、少し低めに出てるような気もする(係数0.5くらい)。ただ、詳細は不明だし、ここではその違いは問題にしない。
私が思わず計算でチェックしたのは、石原さとみの最近の主演ドラマについて、「直近2作は、世帯は低いが個人は悪くない」、「個人視聴率全体は右肩上がりとなっている」と書いてたから。
下のグラフで、赤い「女性」の折れ線と、青い「男性」の折れ線の中間あたりが、全体の個人視聴率となるから、確かに右上がりだ。女性の方が遥かにドラマを見てることも、ハッキリ読み取れる。
そもそも上で書いたように、個人視聴率の方が高くなる特殊な場合もあるくらいだから、世帯視聴率が下がって個人視聴率が上がる場合もあるというのは何となく分かる。ただ、具体例と特徴がすぐには分からなかったから、直ちに考えてみた。
☆ ☆ ☆
数学的に一般的な証明をするのは大変だけど、要するに、見てる世帯数が減って、見てる個人数が増えるのだから、
(見てる個人数)/(見てる世帯数) → 上昇
つまり、1世帯あたりの個人視聴者が増えるということ。言い換えると、石原さとみのドラマは、家族みんなで見る番組になってるということだ。
☆ ☆ ☆
例えば、昔は100世帯の中で12世帯が見てたとしよう。世帯視聴率12%。それが今は、10世帯に減った場合、世帯視聴率は10%に下がる。
一方、その100世帯には2人ずつ家族がいて、昔はどの世帯でも1人だけ見てたとする。合計200人中、12人が見てるのだから、昔の個人視聴率は、12/200=6%。
今は1世帯あたり平均1.5人見てるとすると、10世帯合わせて15人。全体の200人中、15人が見てるのだから、今の個人視聴率は、15/200=7.5%。
表と矢印で推移を比較すると、次の通り。

☆ ☆ ☆
というわけで、年代別とか属性別(学生、OLなど)も考えると、視聴率というのはかなり複雑でむずかしいのであった。
なお、最新の『日本の統計 2019』(総務省統計局)のデータによると、人口1億2700万人にたいして、世帯数は5300万。よって、1世帯あたりの個人数はおよそ2.4人で、少しずつ減ってる(核家族化)。その中で、1人だけ見てるのか、2人見てるのかによって、個人視聴率は大幅に変わるのだ。
ではまた明日。。☆彡
(計 1814字)
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