給食持ち帰り教員の懲戒処分・依願退職と規則(文科省・学校給食衛生管理の基準&地方公務員法)
前から思ってるが、数あるネットメディアの中で、BuzzFeed(バズフィード)が最もしっかりした記事を載せてる。基本的にはやや左派のリベラル系だが、今回の記事もかなり中立的で、追求にも中身があった。トップの見出しは、「給食持ち帰った教員が懲戒処分」「衛生基準違反に基づくも『食品ロスはどうする?』と批判の声も」。執筆は岩永直子。
第一報は19年12月25日の産経新聞HPの記事だろうか。「給食の残りのパン、牛乳31万円分を持ち帰る」「堺市教委、高校教諭を減給処分」。2015年から今年にかけて、廃棄予定の給食の「残食」(パン約1000コ、牛乳約4200本)を自宅に持ち帰ったとのこと。用務員に指示してたらしい。
6月に内部告発文書で発覚。11月に約31万円を弁済。12月25日の処分(減給3ヶ月、読売によると10分の1)を受けて同日、依願退職。夜間の定時制高校で、年齢は62歳らしい。
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市教委によると、「衛生上の問題というよりもルール違反であり、周りに示しがつかないので、一罰百戒とした。適切な処分だと考えている」。これはバズフィードの取材への返答だろうか。
これに対して、春風ちゃん=春名風花はツイッターで、「よい先生でしかない」「ルールが人を守るためではなく、本来の意味を失ったり、人を傷つけるためのものになってしまったら、私たちは臨機応変に対応したり、ルールの方を見直す時期に来ているのだと気づかなくてはならない」とつぶやいて、共感や好意的報道を集めてる。
ただ、公けの学校ルールに違反する先生は「『多少』悪い先生『でもある』」し、ルールというものは一般に、変更するのは大変で時間もかかる。手続きも面倒だし、なかなか全員の意見が合わなくて、落としどころが見つからないのだ。事なかれ主義や前例踏襲の傾向も根強い。
内部告発文書が届いたのだから、教育委員会がなるべく現在のルールに即した対応を取ろうとするのは自然なこと。無視とか却下する方がむしろ問題だろう。ルールの改善は、後で考えるべき別問題だ。ことわざ的には、悪法(?)もまた法なり。したがって、とりあえずの焦点はこの「ルール」にある。実は、法律ではなく「基準」で、罰則も付記されてないのだ。
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1997年(平成9年)制定、「学校給食衛生管理の基準」、文部科学省。バズフィードは途中の項目にリンクを付けてたから、全体のトップにたどり着くのに苦労した。大体、お役所の文書というものは奇妙なほど探しにくい。サイト内検索をかけても、目指す文書がなかなか見つからないのだ。
この「残食、残品」の基準を読むと、教員が持ち帰ったのは「残食」(=食べ残し)ではなく、「残品」(食べないまま残った食品)だろう。「イ パン、牛乳、おかず等の残品は、全てその日のうちに処分し、翌日に繰り越して使用しないこと」。
児童生徒の残食はともかく、残品を教師が持ち帰ってはいけないとは書かれてないし、罰則の規定も(この基準自体には)ない。これなら、減給どころか、戒告、訓告の類よりさらに軽い、厳重注意で済ませても良かった気がする。
その上で、給食を用意する量を少し減らして適量へとコントロールすることを試みれば良かった。例えば、給食の根拠となる「夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律」を読んでも、人数分必ず用意するという決まりは書かれてない。もっと簡単なのは、余った分をその場で飲食する学生を募るとか(夜の定時制だとほとんどいないのかも)。
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26日の夕方にアップされた弁護士ドットコムの記事によると、堺市教委は取材に対して、「地方公務員法第32条と第33条に違反したため」と回答。
まとめると、「基準」に従わなかったのは第32条違反で、全体として職の信用を傷つけてるから第33条違反でもあるということか。処分の背景として、堺市で96年に発生した給食食中毒事件(10000人弱が罹患、児童4人死亡)もあるとの事。流石に、弁護士ドットコムはバズフィードより更に中立的で法令順守の記事となってた。
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最後に、私自身の経験について。給食は小学校しか無くて、余った物は確かジャンケンで取り合ってた。残食(食べ残し)は、パンなら何度か持ち帰ったことはあるけど、基本的にはダメだったと思うし、持ち帰ると硬くなって(ますます)美味しくない。
一方、ホテルの勤務だと、前にも書いたように、ほとんど黙認で持ち帰ってた。たまに軽く注意される程度で、食中毒も含めて何も問題は生じてない。もちろん、持ち帰った物で腹をこわしたら自己責任だというのは分かってた。
話を戻して、私が一番気になるのは、なぜ依願退職したのかということ。その理由が、周囲からの有形無形の強い圧力なら、それはやり過ぎだ。直接的な「法律」違反ではないし、明らかに微罪で、むしろ共感を得ると分かってたはず。
二番目に気になるのは内部告発。筋は通ってるし、内部告発を批判する方が害が大きいのも確かだけど、文書で告発する前にもっと穏便に何とかならなかったものか。
まあ、情報も限られてるし、外部があまり追及するような問題とも思えない。とりあえず、自宅の食品ロスは極力なくす。ここに尽きるだろう。ではまた明日。。☆彡
(計 2182字)
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