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thons vagues(トン・ヴァーグ:ぼんやり彷徨う大物マグロ達)~『グランメゾン東京』第10話

なぜかクリスマス前になってもまだ続く連続ドラマ、『グランメゾン東京』。何か、大人の事情が絡んでるのか、あるいは夏のジャニー喜多川の他界で撮影予定の変更とかあったのか。

 

今回、「ぼんやり」した料理発言が話題をさらってるけど(笑)、私が思わず吹き出したのは、gakuシェフ・・じゃなくて元シェフになったばかりの丹後(尾上菊之助)の蹴りだ♪

   

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オーナーの江藤(手塚とおる)がいきなり、丹後に代えて、わりと若い結月(馬場徹)をシェフに決定。結月の急な来店で、突然更迭を知らされた丹後は、店を去る決意を態度と言葉で示して、江藤と2人きりに。

  

殴られる覚悟をしてたという江藤に、丹後は、「料理人は手が命。やるなら脚だ」と軽口を飛ばして、右足で軽くキック♪ 高級フランス料理を食べるだけなら、お金さえあればいい。でも、シェフの前蹴りはなかなか見れない。料理ドラマの歴史に残るシーンとなった。

  

今回の演出は山室大輔。脚本家はいつもの黒岩勉。私なら、丹後の蹴りで江藤の急所を狙わせて、江藤に「あぁ・・ん♡」と可愛くつぶやかせる所か♪ 一部の視聴者(男女)は萌えまくりのはず。編集でカットされそうだけど(笑)

  

実際、尾花(木村拓哉)と京野(沢村和樹)のやたら長いBL的仲良しじゃんけんに萌えた人は、そこそこいたらしい。スタッフが気を良くしたからか、今回は祥平(玉森裕太)まで交えて、一発で尾花の一人負け。直後に、京野が荷物をガラガラガッシャーンと崩したのは上手かった。尾花が、倫子(鈴木京香)の家に帰る理由ができてしまったから。   

   

   

    ☆     ☆     ☆

ところであの左遷の告知シーン。つい、自分の苦い過去を思い出してしまった。私はこれまで2回、職場を追われる経験を味わってる。1回は、以前記事に書いたように、長くて複雑な派閥争いに負けた形で、私1人の力ではどうしようもなかった。

    

もう1回は、今回の丹後と江藤みたいにいきなり訪れて、1対1で向き合う形だった。私がクビにされる理由は2つで、その内、少し前の方については、確かに私に非があった。ただ、直接のキッカケになった直近の理由については、全くの濡れ衣(ぬれぎぬ)。私が全く関与してない問題を、私のせいだと決めつけられたのだ。

   

温厚で寛容な私もつい激怒したけど、得意の蹴りは出さなかった。座ってたから♪ そうゆう理由か! ただ、その後、完全に濡れ衣だと分かる証拠を突き付けておしまい。

  

まあでも、結局は信頼関係を築けてるかどうかが問題だろう。ドラマの新任の結月は、フランスの二つ星店でスーシェフ(副料理長)とされてただけだから、丹後が客観的に負けてたのは年齢のみ。後は、主観的な問題で、江藤やスタッフ達の信頼が揺らいでたわけだ。私も、2つの理由より前に、人間関係が上手く築けてなかった。その意味では、いい薬だったのかも。。

   

   

    ☆     ☆     ☆

一方、今回のドラマで一番引っかかったのは、栞奈(中村アン)が祥平犯人説チクリ問題で改めて頭を下げなかったことじゃないし、美優(朝倉あき)が萌絵(吉谷彩子)に押しピン・・じゃなくて画鋲ロッカー事件を謝罪してないことでもない。

   

最後のフランス語がまたほとんど聞き取れなかったことだ♪ そこか! リンダ真知子リシャール(冨永愛)が、ミシュランのインターナショナルディレクター、アベーレ・モンタン(俳優名ギャズ)と交わした挨拶は多分、こんな感じだと思うけど、彼のフランス語はほとんど聴き取れてない。

  

 Je crois tu vas bien.ジュ・クルワ・テュ・ヴァ・ビアン:元気そうね。)

 Oui,je vais ・・?・・.ウイ・ジュ・ヴェ・ジロ?:うん、元気だよ・・?)

 Toi, aussi ?トゥワ・オシ?:君も元気だよね?)

   

その後の、星の選別会議ミシュラン・スターセレクションは、リピートしてもほとんど聞き取れないどころか、フランス語に似た別の言葉に聞こえるほど (^^ゞ 方言やクセなのか、米国籍の英語ネイティブ俳優が無理してフランス語を話してるからなのか? せめてもうちょっとハキハキした音声で流して欲しかったけど、案外、TVer動画のリピートを誘ってるのかも♪

  

断片的に聴こえた気がした単語は、responsibiliteレスポンシビリテ:責任)、enqueteアンケト:調査)。アンケトの直前は、ノートレと聞こえるけど、notreノートル、ノートラ:我々の)だと思う。あと、restaurantレストラン:料理店)に似た発音もぼんやり聞こえた♪

  

ちなみに画面下のテロップは、「私たちのジャッジは、時にお店やそこで働く人々の人生にまで影響を与えてしまいます。今年も責任を持ち、厳正な調査を行いましょう」だった。

   

   

    ☆     ☆    ☆

脇役の台詞はさておき、主役や中心人物に深く関わるフランス語を調べてみると、面白いことが分かった。マグロは泳ぎ続けないと窒息して死ぬとかいう通説は間違いらしいのだ(笑)。そこか! フランス語じゃないだろ!

  

まあ、回遊とエラ呼吸や生命との細かすぎる関連はともかく、巨体のマグロが高速で泳ぎ続けるのは事実。「マグロ」のフランス語は「thon」(トン)だが、この語源を古代ギリシャ語まで遡ると、「突進する」とかいう意味らしい。日本大百科全書(ニッポニカ)にも書いてるし、英語版wiktionaryで追求しても細かく書いてた。ヘブライ語だと、海のモンスター(怪物)とか。

   

一方、京野のぼんやりした料理の「ぼんやり」は、フランス語の形容詞だと「vague」(ヴァーグ)。この単語の意味全体もぼんやりしてて、普通に名詞の後に付けると「曖昧な」とかいう意味だけど、名詞の前に付けると「取るに足らない」という否定的な価値判断を示す。ストーリー的には、素材の常識として、取るに足らないマグロ(vague ton)に着目。

   

さらに、vague の古い意味や語源に遡ると、彷徨う(さまよう)というのが原義らしい。そこから、曖昧なとかいう意味が派生したわけか。彷徨うと言えば、住所不定の尾花と祥平、職場を辞めたのかどうかもボンヤリしてる丹後の3人だ。

   

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こう考えて来ると、尾花のマグロへのこだわりも分かる気がする。彼ら3人は、「彷徨いながら突進するモンスター達」、thons vagues(トン・バーグ) なのだ。

   

裏の意味として、マグロは倫子の象徴でもあるのかも(笑) コラコラ! まあ、突進して来られてもビミョーだけど♪

   

 

     ☆     ☆     ☆

最終回、丹後までグランメゾン東京に加わって、流行語大賞2019の「ONE TEAM(ワンチーム)」を結成するのかと思ったら、予告を見ると、gakuが悲惨なことになるらしい。

  

ということは、丹後がgakuに戻って立て直して、生意気な柿谷(大貫勇輔)が頭を下げるのか、あるいは、江藤がグランメゾン東京にも出資して、gakuとグランメゾンが資本関係的にワンチームになるのか。いずれにせよ、京野の立場は料理同様、ぼんやりしたまま♪

    

なお、先週14.7%まで急上昇した視聴率は、11.1%と元のレベルに戻ってる(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同じ)。と言っても、裏番組のテレビ朝日『M-1グランプリ』が17.2%、フジテレビ『全日本フィギュア』が16.2%だから、実質的には13%~15%程度の価値があると思う。

   

その一方、前の週の裏番組が弱かったという側面も。日テレ『行列』の13%以下(12.3%という説あり)、テレ朝『警視庁』12%はともかく、フジ『FBI』(7.2%という説あり)は視聴率が低かったようだし、NHKスペシャル『食の起源』2も、直前の『いだてん』最終回が8.3%だから低かったと思われる(11.2%未満は確実)。

   

それにしても、連ドラが12月30日まで続くと、ブロガーとしてはビミョーだね。レビューは正月明け、1月4日か5日かな。そして今夜は恒例、『明石家サンタ』で不幸なクリスマスを楽しむと(笑)。それでは今日はこの辺で。。☆彡

      

  

    

cf. Allez!(さあ)Bon appetit♪(召し上がれ)~『グランメゾン東京』第1話

 女(ナス)に動かされる男たち~第2話

 ジビエ(狩猟)の基本はシルヴプレ、お気に入りになること~第3話

 『マリクレール』記事とコースメニュー、フランス語の和訳など~第4話

 「ピーナッツオイルもセロリも大切に」(パルマンティエ尾花)~第5話

 C’est super、最高のものとの出会い=衝突~第6話

 Promis!(プロミ:約束するよ、フィアンセ♪)~第7話

 Voila!(ヴワラ:ほら、ここを見て)、男の浪漫(romantique)~第8話

 ワイン名「Brise.」(ブリーズ:そよ風よ、店をぶち壊せ)~第9話

 mariage de la diversite(マリアージュ・ドゥ・ラ・ディヴェルシテ)、多様性の結婚~最終回

   ・・・・・・・

 パリでキムタクが乗った電動キックボード、Lime-S(『グランメゾン』)&12km走

   

       (計 3604字)

  (追記52字 ; 合計3656字)

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