「濃厚接触」(英語 close contact)の定義(感染研、厚労省、米国CDC)、患者の約2m以内に予防策なしで
千葉県市川市のジムで3人の新型コロナウイルス感染者が出て、利用者約600人が「濃厚接触者」とされた(FNNその他の速報ニュース)。今までは人数的・割合的・職業的に限られた人しか関係なかった「濃厚接触」という言葉が、急激に身近になってる。もし、それによって周囲に感染が広がると、「クラスター」(小さな感染集団)にもなる
ところが、先月(2020年1月)中旬から話題の「濃厚接触」という言葉の厳密な意味・定義を、「信頼できる出典付きで」示してるサイトは非常に少ない。個人サイトはもちろん、マスメディアでもそうなのだ。
そこで、私が自分で調べた情報をまとめとこう。もちろん、信用できなければリンク先を自分でチェックして頂きたい。ちなみに当サイトでは大震災後にも、放射線・放射能関連の詳細な記事を多数アップしてある。
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まず、日本を代表する機関、国立感染症研究所。こちらの公式サイト内では、今回の新型コロナ(COVID-19:COronaVIrus 2019の略語)関連の「濃厚接触」の定義というのは見当たらない(サイト内検索で出ない)。言葉は使われてるが、使用例も多くない。
ただ、過去に遡ると、今回の新型コロナ関連ではないものの、MERSコロナウイルス(2012年)に関する「濃厚接触者の定義」があった。以下、「症例」という用語は、患者あるいは患者の疑いがある者を指す。
「・医療従事者や家族、または同様な状況で、症例の世話をした者。
・症例に症状があった時期に同じ場所に滞在(同居、訪問等)した者。」
ちなみにこれは、当時のWHO(世界保健機関)の close contact(濃厚接触、密接な接触)の定義(definition)を英文和訳したものだ。あくまで2012年版なので、念のため。
(☆20年4月21日追記) 感染研は4月20日、疫学調査における濃厚接触などの定義を変更。発症の2日前から考えることになった。下図とリンクを参照。
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一方、NHKのHPは、おそらく直接の取材によって、感染研の定義をより詳しく説明してある。ただ残念なことに、記事に日付けが書かれてないから、どの新型コロナなのか曖昧になってる。2012年のMERSも、2002年からのSARSも、当時の新型コロナだったことに注意しよう。Googleで期間限定の検索をかけると20年2月11日の記事とされてた。
説明が長いので簡単に要約すると、患者と確定した人(確定例)に対して、その同居者と、予防策なしの約2m以内の接近者(医療関連、知人その他)が濃厚接触者、ということになる。
ただ、感染予防策が完全にあったかどうかは、なかなか断言できないことだし、「患者の感染性を総合的に判断」という言葉も入ってるから、実際上は必ずしも明確な基準ではない。それは例えば、日本の医療者が感染してしまったことを考えるだけでも分かることだ。
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続いて厚生労働省は、今回の新型コロナに関して、簡単な情報を示してる(令和2年2月23日時点版)。
「必要な感染予防策なしで手で触れること、または対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、接触した方などを濃厚接触者としています。」
これは要するに、NHKが示した感染研の定義を簡単にまとめたものになってる。分かりやすいのは良いことだが、確定患者だけ考えるのか、疑わしいケースも考えるのか、書いてない。
また、その下にある感染研HPへのリンクは、一般人には分かりにくい。ただ、その感染研HPの記事中リンクから、さらに日本環境感染学会の対応ガイドに飛ぶと、少し異なる濃厚接触の定義があった(20年2月13日の第1版)。
「新型コロナウイルス感染症が疑われるものと同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があったもの」
大きな違いは、確定した患者だけでなく、「疑われるもの」に対して考えている点だ。「疑われる」の定義までは書いてないから、一気に濃厚接触者の数が拡大する余地が生まれる。海外(の一部)から見れば、日本人すべてかも知れない。
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最後に、日本でもしばしば名前が挙げられるCDC、米国疾病管理予防センター(Center for Disease Control and prevention)の定義。最終更新20年2月15日の情報だ。
一見、最も厳密に見えるが、よく読むとそうでもない。既に書いた日本のものとほぼ同じ内容(普通に読めば確定患者の周囲のみが対象)だし、説明の最後(図の下側以降)には、濃厚接触の評価は微妙で難しいという説明を付記。データがまだ限られているし、あまり緩い基準だと医療行為者のかなりの部分も濃厚接触者となって仕事も私生活も困難が生じてしまう。
実際、つい最近も日本集中治療医学会の学術集会でトラブルが生じてるのだ。どちらの言い分がどれほど正しいかはさておき、専門家の間でも激しい対立、分裂が生じる状況なのは事実。
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結局、確定患者の周囲だけ考えるのか、疑わしい人の周囲も考えるのかはハッキリしないし、予防策の有無の判断も微妙な所。
それでも敢えて実用的な共通部分を取り出すなら、「周囲の人と数m以内に入る時、入った後には、感染予防策を徹底」ということくらいだろう。それが医学的に「濃厚接触」なのかどうかはさておき。手洗い、手で顔を触らない、etc。
東京五輪の開催も心配しつつ、今日のところはこの辺で。。☆彡
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