甘く切なく苦い恋愛マンガ『やれたかも委員会』(吉田貴司)、軽~い感想♪
三連休の終了間近というか、終了直後というか。とにかく緩~いネタで軽~くレビューしとこう。ネットで火がついて、出版、ドラマ化まで進んだという吉田貴司の漫画、『やれたかも委員会』♪ ネタバレはなるべく少なめに配慮するけど、多少はあるので、まだ読んでない方はご注意あれ。
先日も一言だけ書いたように、これは飲み会で友人Mが絶賛してたから試しに読んだ作品だ。私は全く知らなかったけど、Mが「メッチャ、面白いから!」と首を大きく動かしながら繰返し力説してたし、マンガのタイトルだけでもなるほど、実に面白い。
確かに、誰でも「あの時、やれたかも・・」と思う過去のシーンは色々あるはず。もっとスポーツの練習やれたかも・・とか、もっと受験勉強やれたかも・・とか(笑)。そっちか! もちろん、マンガはある特定の「やれたかも」(エッチ系)だけに集中した内容だけど、私はあくまで抽象的かつ一般的に受け止めてるので、念のため♪
作者は今現在も、ネットのブログ(note)や twitter で活躍&販売中。ブログは私の環境(Windows10)だと、ブラウザがIEなら上手く見れないけど、Chromeなら正しく表示された。
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さて、私はたまたま今、アマゾンのkindle unlimited(キンドル読み放題)を格安で使ってるから、早速無料ダウンロード。3巻(+分冊版24~29)すべてタダで合法的に読めてしまった♪ 海賊版とか違法アップロードとか関係なし。有料でないと読めないのは、20年2月末現在、最新の分冊版30のみ。
こんなんでプロの生活が成り立つの?・・と心配になるけど、作者本人の言葉によると、生活できてるらしい。ただ、クラウドファンディングで200万円集めたけど経費が160万円かかったとかいう細かい実状も書き添えられてた(2巻の巻末の謝辞)。
その裏話の暴露の直後には、資金提供してくれた人たちの名前(大部分は男っぽい)がズラッと並んでるから、フツーならほとんど経費で消えたというような水を差す話は書かない所だろう。それを敢えて書くのがこの作者とマンガの特徴の1つで、登場人物的には冷めた女性委員キャラの一言に反映されてるのだ♪
「やれたとは言えない」(笑)の札(プラカード)。第1巻の表紙の単独モデルだし、このマンガの核心の一部を表してる(cover design 天野史朗)。「やれたかも」という甘く切ない主観的思いが7割、「やれたとは言えない」という冷めた客観的評価が3割くらいなのだ。
ちなみに私は男子だけど、ある種の女子なら、「やれたとは言えない」が内容の7割とか結論とか、断言するかも♪ 多様性の時代とは、その反面、断絶の時代でもある。男と女の断絶、フツーの女子とある種の女子、etc。様々な分断、対立が表面化してるのが現代社会。その深刻さを覆い隠そうとする甘口のおまじないの言葉こそ、「共生」「共存」だろう。
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さて、このマンガ。第1巻は2017年の出版だけど、記念すべき第1話と第2話だけは、前年(2016年)の『スイートメモリー』1巻の冒頭と最後に掲載されてる。要するに、「やれたかも委員会」という連載マンガとして独立するまで、ちょっと間があったということか。
毎回、1人の相談者というか告白者(ほとんど男♪)が、3人の審査委員の前で思い出話を熱く語る。ある意味、時間の流れによる過去の美化。
裁判長みたいに真ん中で腕組みしてるのが、犠星塾・塾長、能島明(のうじま・あきら)。一番マジメに聞いてるように見えるし、一番甘い判決を下す♪ 要するに、過去の甘い思い出に浸りやすいおじさんの役ってことか。
左が、財団法人・ミックステープ(笑)代表、月満子(つき・みちこ)。美人秘書タイプに見えて、適当によそ見してるみたいだし、ごくたまに関西弁で魂の叫び声をあげる♪ 音楽のミックスでテープを作る世代ではないはず。
右はミュージシャン・パラディソ(芸名か)。天国=パラダイスを表すこの言葉、マンガ以外でもあちこちで使われてるようだけど、イタリア語「paradiso」の普通の発音は「パラディーゾ」。パラディソという発音もあるとかいう情報もあるし、私自身もあり得る音韻変化だと思うけど、学問的な真偽や現地のネイティブ情報は未確認。
ちなみに、目次だけは可愛い色と文字になってる。下の縮小画像は、1巻もくじの上部。
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で、各回の内容は、作者や情報投稿者(メールで募集中)の実話に基づくようで、全て微妙に違うエピソードになってる。
ただし、結末の形はパターン化されてて、3人の多数決で「やれた」か「やれたとは言えない」かを判定。いずれにせよ、塾長が熱い言葉で盛り上げた後、月満子が個人的な意見(フツーは冷静で女性的)を語って、余韻や反応もほとんど無しにいきなり終了。この終わり方があまりに唐突だから、最初は違和感があったけど、すぐ慣れた。
編集者たちの評価はビミョーだったらしい第1話(case 001)「干し芋と横たわるあの子」が、最もフツーのありふれた形のエピソードだろう。2013年ビックコミックスペリオール新人コミックオーディション第5期奨励賞(長っ・・)を受賞したものの、雑誌には未掲載で、連載化も難しいと評されたらしい。
高校生の男子(17歳)が、バイト先の先輩の女の子(22歳)の部屋に誘われて、4人で映画を見た夜。男子2人がコンビニに行って、干し芋を食べた後、「彼女とかいんの?」「いないっス」「ははは 乾いてるね」「てか あんま学校行ってないっス」っていう会話をした後、女の子が背中を向けて寝始める(タヌキ寝入りかも)。なぜか2人は帰って来ない。
どうしようか・・と後ろから女の子の曲線美を眺めて妄想してる間に、2人が帰って来て終了。男の私でも、それだけか!と突っ込みたくなるけど、男性委員2人は「やれた」。女性1人は「やれたとは言えない」♪ 多数決で「やれた」を認定(ここに「かも」が付いてない所もポイント)。
女性の辛口の理由は、女のコからのアプローチが足りないから。私もそう思うし、マンガ自体も面白いけどちょっと足りないと思う(失礼・・笑)。ただ、連載マンガの初回がいま一つでだんだん良くなるってことは珍しくない。私が本気で「いいね」と思い始めたのは、1巻の後半くらいだったか。
☆ ☆ ☆
1巻後半の第8話には、ちょっと違うタイプのエピソードが登場した。告白者が女性なのだ。石嶺カナ子、美人でカワイイ20歳♪ 高校2年の話だから、まだ生々しい思い出。審査委員も珍しく最初からマジメに聞いてる♪ 男性委員は、「やれた」認定の後で打ち上げの飲み会に連れ込むことを考えてたかも(笑)
内容についてはネタバレを避けるけど、かなり性的で象徴的なのだ。タイトルが「あの日、大きな木の下で」。「大きな木」は分かりやすい男性の象徴。
一方、内容的には、彼女の足が全面的に扱われてる。靴下、足もみ。足とは、女性が持つ男性的なものの代表として、典型的なフェティッシュ(フェチ対象)だ。さらに、その女性の足で、「男性」に電気あんま攻撃するシーンもある。男の男性と、女の男性との、身体的かつ精神的な交わり。S的な性とM的な性との、役割の反転でもある。
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これが偶然とか深読みのし過ぎと言えないことは、第2巻・第15話でハッキリする。タイトルは「大阪LOVER」でピント来ないけど、実は大阪の象徴が、「太陽の塔」とされてるのだ。「大きな木」に続いて、あまりに分かりやすい男性的シンボルが題名。
ここでもまた、珍しく女性の告白者が登場する。35歳だけど、やっぱり美人でエロチック♪ 塾長・能島の目にも暗い欲望が光る(笑)。結婚の前、婚約者の男性とは別の彼のバイクの後部座席に乗ってる時、彼女は太陽の塔を見つめる。彼と腰を重ねて、足を開いた姿で、タワーを見つめるのだ(クローズアップ4コマ)。
その後、抱きしめられた時、彼女は「彼」に「触れて 確かめたい」。でもやっぱりそれは出来ず、彼も身体を離して、太陽の塔のキーホルダーを2つ渡す。「私と夫(婚約者)の2人分」と彼女は語るけど、それは形だけのこと。むしろ、「婚約者と彼の2人分のシンボル」だろう。
で、1巻の「大きな木」に続いて2巻の「太陽の塔」に対しても、珍しく女性委員が「やれた」と認定♪ 女性の食いつきもいいのだ。男性はもちろんとして。 3人揃って、「Congratulations!」。お祝いの文字の脇には、「ロケット」まで「発射」されてた。
さらにその後、3回目の全員一致「やれた」判定となった話では、冒頭に2回、結末で3回、アイスコーヒーの「氷に突き刺さったストロー」が描かれてる。「リケジョ」、理系女子トップ(T大理1)の女性の硬い心を溶かして刺さる、細長い円柱形。深層心理の無意識的な表現は、クリアなのだ。
☆ ☆ ☆
この後、いよいよ私自身の「やれたかも」経験をいくつか紹介するつもりだったのに、残念ながら時間も字数も無くなってしまった(笑)。もう4000字か (^^ゞ まあ、いずれまた「テンメイ回想録」とかで語るとしようか。第2巻のホリエモン(堀江貴文)コラボ企画、「特別編 多動力の男」と同じくらいには面白いと自分で思ってる♪
なお、各回の塾長の名言の中で一番深みがあったのは、上のストローのお話のラスト。傷というものの持つ、ポジティブな意義・効果の指摘だった。
「一生癒えない傷があるということは 一生を癒すやれたかもがあるということ」。
とはいえ、「やれたかも」とか過去の推定だけじゃなくて、「やれるかも」という未来の希望・理想・意志も大切にしなきゃ!・・とか、ごもっともな言葉でまとめつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 3977字)
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