横浜市・浅野中学校の入試問題(算数)と、新型コロナウイルス対策で空ける1m間隔
ネットの朝日新聞デジタルに、今年(2020年)の中学入試の問題が紹介されてました。記述式が目立った、という内容の記事です(宮坂麻子記者)。そこに、時事ネタのような興味深い問題もありました。
「浅野中(横浜市)では、一辺の長さが1センチの正三角形四つからなる、一辺2センチの正三角形の図を提示し、『この三角形の辺または内部のどこに五つの点を置いても、それらのうち、距離が1センチ以下になる点の組が必ず1組以上あることを図を用いて説明しなさい』と、回答欄に図と文章で記述させた。」
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試験日は令和2年2月3日なので、問題を作ったのは12月から1月にかけて、新型コロナウイルスの感染が話題になってた頃かも知れません。何となく、世界中で感染防止のために言われてる「1m、間隔を空けよう」という話を思い出したのです。問題を作成した先生が意識したかどうかは分かりませんけど。
例えば福井新聞HPには、上のような図があります。座席の生徒と生徒の間が1m以上離れるように、厚生労働省が勧めてるのです。中国・北京のスーパーやイタリア・ローマの買い物客も、1m間隔で並んでる様子が伝えられてました(下の画像)。医学的には2m以上の方がいいのですが、1mの方が実用的で分かりやすいということでしょう。
生徒と生徒の場合、みんながある程度かたまって座る方がいいでしょう。だから、上側の図では正方形の対角線上に並んでいます。それに対して、お互いに知らない買い物客なら、かたまる必要はないので、縦に長く並んだ方が場所をとらないかも知れません(場所の形や面積によります)。
浅野中の問題は、そんな事を考えさせてくれるいい問題でした。人間の1m間隔の代わりが、点の1cm間隔。最初、小学生にはむずかし過ぎるのでは?と思いましたが、実際の問題を四谷大塚HPで見ると、前もって誘導の問いが付いてたし、答えの文章の形も与えられてました。それならわりと解きやすかったと思います。では実際の問題を見てみましょう。
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問題1(5)
(最初の問い) 一辺の長さが1cmの正三角形の辺または内部に2つの点を置くとき、この2つの点の距離がもっとも長くなるような、その距離の長さは、( キ )cmです。
(解答) 2つの点の距離がもっとも長くなるのは、それぞれが別の頂点にある時。よって、長さは1cm。 ・・・答
(次の問い) 次に、図2のような一辺の長さが2cmの正三角形を考えます。この三角形の辺または内部のどこに5つの点を置いても、それらのうち、距離が1cm以下になる点の組が必ず1組以上あることを図2を用いて説明しなさい。ただし、説明は「どこに5つの点を置いても、・・・・・・」に続くような文で、解答欄に書きなさい。
(解答例・・・私のもの) どこに5つの点を置いても、少なくとも1組の点は、同じ1つの小さな正三角形(①か②か③か④)の辺または内部にある。なぜなら、小さな正三角形は4つしかないからである。小さな正三角形は一辺1cmだから、前の問いと答えより、その辺または内部にある1組の点は距離が1cm以下になる。説明終了。
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この問題のポイントは、最初の問いと答えがヒントになってることに気付くこと。そして、図2の大きな正三角形を、小さな正三角形4つに分けるということです。そもそも、一辺の長さが2cmということだけ使うのなら、①②③④という4つの区分はいらないはず。出題者の意図を読み取るのは大切です。
さて、中学や高校になると、大きな正三角形の面積の求め方を習います。1.7cm²(平方センチメートル)くらいです。これと同じ面積で正方形や円を考えても、5つの点のどれか1組は距離が1cm以下になるようです。円だとかなり難しいけど、考えてみてください。
では、同じ面積内の5つの点の距離を、すべて1cmより大きくするカンタンな方法は? それは、縦か横の一列に長い図形にすればいいのです。例えば、幅0.1cm、長さ17cmの細長い長方形とか。
場合によっては二列、三列でもいいのですが、世界で買い物客の行列が長く伸びてるのは、そういった理由があるのでしょう。逆に、なるべく一ヶ所に固まらないようにと言われてるのも、一ヶ所に固まるとどうしても人と人の距離が狭くなるからでしょう。正三角形、正方形、円みたいな場所は、キレイにまとまってるけど、離れるためには不利なのです。
算数と世の中は、気づかない形で色々つながってるわけですね。それでは今日はこの辺で。。☆彡
(計 1880字)
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