中国の新型コロナ医学論文、感染リスクが高い血液型はA型、低いのはO型(英語出典付き)
最初に念のために書いておくが、一般に最新の学術論文の結論というものは、単なる1つの仮説とか推測にすぎない。日本人が好きだと言われるABO式血液型と新型コロナウイルス感染との関係も、単なる1つの研究結果。我々の研究チームがあるデータを分析するととりあえずこんな事が導かれたから、他の研究者の追試を望む、ということだ
そうしたものは、もちろん後で広く認められて「正しい」学説とされるかも知れないが、否定されて「間違い」だとされる可能性も十分ある。否定された場合、ネットのつぶやき感想なら、「ほら、やっぱりデマだった」とか言われてしまうだろう。

というわけで、Yahoo!の映像ランキング(国際)で現在(20年3月18日・夜)1位になってる香港の論文ニュースも、単なる一つの説にすぎない。参考程度のお話なのだ。新型コロナ感染のリスクが高いとされたA型の人は、まだそれほどショックを受ける必要はないし、リスクが低いとされたO型の人も、手洗いを止めるほど喜ぶ話ではない。
☆ ☆ ☆
ただし、その1位になってる「テレビ朝日の映像ニュースをまとめた記事」は、やや不正確な文章だ。

「中国で、驚きの調査結果が発表されました。武漢の感染していない3694人の血液型を調べたところ、O型が34%と最も高く、武漢の感染者1775人では、A型が38%と高かったといいます。つまり、血液型がA型の人は感染リスクが比較的高く、逆にO型の人は比較的低いというのです。」
これは間違いではない。しかし、この文章の前半のデータから、後半の感染リスクの高低を導くのは、数学的にちょっと面倒だ。もし大学入試の数学で記述式の証明問題として出せば、かなりの受験生が苦戦するはず。下で示すような、近似や全人数、全入院患者数の仮定は、意外と難しいというか、やりにくくて忘れがちなことだ。
☆ ☆ ☆
では、ANNの映像ニュースではどう報じてたか。

武漢で、感染してない3694人の血液型の内、A型は34%、O型は32%。
一方、新型コロナ入院患者だと、A型38%、O型25.8%。(注. 元の論文を見ると「入院」患者かどうかまでは不明。)
☆ ☆ ☆
映像では数式や計算までは示してないが、これらの数値から、血液型別の患者の割合を計算してみよう。(入院?)患者というのは、全体の人数のごく一部に過ぎないから、感染してない血液型の割合が、全体の血液型の割合を示すと考えてよい(近似)。全人数をp人、全入院患者数をq人とする。
A型において、(患者数/全人数)=0.38q/0.34p≒1.1q/p
O型について、(患者数/全人数)=0.258q/0.32p≒0.81q/p
∴ (A型における患者の割合)÷(O型における患者の割合)≒1.1/0.81≒1.4
つまり、A型はO型の4割増しで危険ということになる。もちろん、どちらも確率的にはかなり低いし、あくまで1つの研究結果にすぎないので念のため。ちなみに、B型とAB型はほんの少し平均よりリスクが高い程度だから、統計学的には誤差の範囲だろう。
☆ ☆ ☆
そもそも日本では、血液型別の性格占いを「非科学的」とする批判が昔から強いので(心理学、科学論)、注意する必要がある。ここでは、元の英語論文も引用しとこう。私が自分で英語検索して探し当てた。
健康科学のためのプレプリント(査読前論文)を置くサーバー、medRxiv(医学情報集積所)。まだ「peer-review」を受けてない、つまり査読(研究者仲間によるチェック)を受けてない論文だと、最初に明記してある。執筆者は、Jiao Zhao、Yan Yang、Han-Ping Huang氏ら。韓国の中央日報(日本語版)によると、チームを率いるのは王行環(Xinghuan Wang)。

Relationship between the ABO Blood Group and the COVID-19 Susceptibility
ABO式血液グループとCOVID-19(新型コロナ感染症)の感受性(影響されやすさ)との関係

実際の原論文にはもちろん、ニュース報道になかったことまで書いてある。他の人々や、死亡者についても調べてみたらしい。

上が分かりやすい結論部分。残念ながら時間切れなので、今日はこの辺で。くれぐれも、下の軽いSNSつぶやきみたいな行動は避けるように。。☆彡

(計 1815字)
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