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真夜中に手をつなぐモグラ達、はかない奇跡の光~『野ブタ。をプロデュース』第3話(再放送)

私ね 長い間一人で掘ってたんだよね モグラみたいに 土の中を そしたら突然 2人が出て来た

2人って 俺たち?

うん これから先も またこんな風に ポロッと誰かと出会えたりするのかな もしそうなら 一人で土の中掘ってるのも悪くないよね

会えるんじゃないの いろんなやつと

そしていつか 二度と会えなくなるんだよな・・

         (脚本 木皿泉)

  

  

    ☆     ☆     ☆  

修二(亀梨和也)が作った、羽ばたくモグラ・・じゃなくてコウモリを見ても、つい新型コロナウイルスを思い浮かべてしまう、今日この頃(2020年・春)。まあ、コウモリ原因説は濡れ衣で冤罪だって話もある。

  

とはいえ、全く怖くない恐怖の「三つ」目犬を見ても、小池都知事の「密です」、「(買い物の間隔は)三日(みつか)に1回」を思い出してしまうのだ♪ この犬の演技、いいね(笑)。ホントは自分がビビってるのに、ちゃんとお化けの役をやろうとしてる姿がカワイイ。

     

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高校の文化祭。懐かしい。。♡ 実は私も、似た出し物(迷路)をやってるし、クラスメートの女の子を自転車の後ろに乗せてクネクネ蛇行した経験もある。田舎の道端で軽犯罪行為を行ってたおじさんにわざと近づいたのだ(実話・・笑)。

   

のど自慢でも男友達と絶叫したし、私も生霊になって文化祭だけ出たいほど。山本(骸骨女、編集者)、駒井(ミイラ男、外科医)、金子(木の葉ゾンビ、スーパー店長)の卒業生3人組みたいに。思い出は美しすぎて。。

  

       

   ☆     ☆     ☆

とにかく、コロナ騒動の影響で突然始まった『野ブタ』再放送。遂に第3話。本来、放送されるはずだった『未満警察 ミッドナイトランナー』のテーマ曲が最初と最後に流れた分、オリジナルの内容が少しカットされてる。TVer動画の方がカットされてないけど、エンディングの『青春アミーゴ』が2020versionじゃない。

   

私は15年前、ブログ初心者時代に簡単な感想記事を書き始めて、この第3話の記事で初めて、独自のレビュー・タイトルをつけた。ちょっとだけ書き慣れて来てたし、第3話が素晴らしい出来のドラマだったから。ミニスカポリスの映像の合計時間が長かったからではない♪(マニアか!)。

    

 一瞬のきらめき、出会いの美しさ~野ブタ第3話

   

当時から、この物語のポイントは「モグラ」だと思ってたけど、それより映像的な美しさが印象深かったから、こうゆうタイトルになった。特に、黄金色に輝くススキの野原と自転車のシーン。あそこだけフィルム撮影なのかな? 当時の季節も、まさに秋。草の野と、草野(山下智久)との掛け合わせにもなってた♪

   

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15年後の今回のレビューでは、角度と深さを変えて、モグラという主題について考えてみよう。「モグラ」はもちろん、「ノブタ」に似た言葉だ。意味的にはどちらも、パッとしない目立たない生き物。形はカタカナ3文字。母音は、オ・ウ・ア。

  

ただ今回のストーリーには、モグラが大勢登場してた。修二、彰、野ブタ=小谷(堀北真希)の義理のお父さん、20年前の生徒3人の生霊。アイドル女子生徒のまりこ・・じゃなくてまり子(戸田恵梨香)も、本当は修二の心が自分に向いてないことに気付いてるのに、楽しく付き合ってるフリをしてるから、モグラみたいに暗闇でもがく状況だろう。

  

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修二がお調子者として活躍してる途中には、廊下が一瞬、地底の穴みたいに暗くなってた(演出・岩本仁志)。案外、視聴者も含めて、人間すべてモグラかも。今もみんな、先の見えないコロナ自粛の暗闇の中で孤独にもがいてるし。 

   

   

     ☆     ☆     ☆

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羽ばたこうとするモグラとしての人間の切なさや愛おしさを表してたのが、何度もカバーされてる昭和の名曲フォークソング、『真夜中のギター』。作詞、吉岡治。

  

 街のどこかに 淋しがり屋がひとり いまにも泣きそうに ギターを弾いている

  

もともと、第45回隅高文化祭(多分10月29日・土曜日)で横山先生(岡田義徳)と早乙女先生(木村祐一)がやる予定だったのに、修二も無理やり引き込まれてしまう。「さまよう 似たもの同士なのね 此処(ここ)へおいでよ・・」。修二のギターを背負った姿や、本番のハーモニカ演奏が、レトロでカッコ良かった。

   

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現代社会なら、ギターの代わりに「ツイッター書いている」かも。私も今、しんどくて泣きそうに、レビューを書いている♪ ドラマの内容が豊富すぎて。

     

曲が流れたのは、首吊りサラリーマン(笑)・・じゃなくて、野ブタの義理のお父さん(伊藤正之)が差し入れを持って来てくれたシーン。野ブタは好物の饅頭を貰っても、ありがとうの一言さえ口に出せず。彰は「全然いいパパしゃんじゃん♪」。

     

このままの自分じゃダメだと、パパを探して走り出した野ブタ。タクシーの後ろから「お父さん」と呼ぼうとしても、「お・・おと・・」しか言えない。子どもの頃、勇気を振り絞って「おとうさん」と呼んだのに、「三振」(彰の言葉♪)。「君のお父さんじゃないから」と冷たく返事されたトラウマがあるから。可愛い子役、森迫永依ちゃん♪ エッ、変換できた!

  

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おとうさんの代わりに叫んだのが、「おにぎり」♪ 好物が焼たらこなのかな? 当時は消費税率5%だから、本体価格130円に税金5円プラスして136円(細かっ・・)。案外、野ブタが自分で用意してたとか。お父さんは文化祭のことを知ってたから、ひょっとして来てくれるかも、みんなで一緒にお昼ご飯食べれるかも・・とか、淡い期待を抱いてたのかも。

   

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   ☆     ☆     ☆

この奇跡のような瞬間に、土の中を掘ってたお義父さんと義理の娘は手をつなぐことが出来た。当時はコロナ対策で「密です!」と怒られることもなし♪ それでも、「おとうさん」と呼べなかった野ブタの心は晴れない。「私って、心狭いのかな・・」。

  

それに対して、狭くない、時間がかかるんだと優しくフォローした彰。そこで触れられてたのが、ススキの原っぱでの2人の会話だった。

  

オレってさあ 何やっててもそんな 楽しいって感じたことないんだっちゃ

私も 後で思ったりする方が楽しい テレビゲームとかやってる時は楽しくないんだけど 勉強してる時とかに思い出すと
楽しかったりする

楽しいことって 後になってみないと分からないんじゃないかな

   

  

    ☆     ☆     ☆

ドラマ的には、ここで「思い出は美化される」と言いたい訳じゃなくて、「思い出の中で初めて気付く美しさもある」と言いたいわけだ。一般的に言うなら、人間の十分な経験には時間がかかることがある、と。

      

もちろん、リアルタイムで味わえる感動もあるし、逆に、後で苦痛やトラウマになってしまう経験もある。少なくとも野ブタは既に、今こそかけがえのない貴重な瞬間だなと思ってるからこそ、この記事の冒頭に引用した言葉を口にしてた。

    

突然、2人のイケメンが自分を全力で支えてくれるなんて、まるでテレビの青春ドラマだ♪ こんな幸運は大切に大切に抱きしめよう。その思いをみんなに伝えたのが、出し物のカップル限定お化け屋敷の最後に付け加えた、感動の言葉。鏡の手書き文字でモグラの幸運の疑似体験を締めくくってる。一番最後だけ、美術スタッフさんが句点(。)を忘れてた(細かっ・・笑)

     

今、手をつないでいる、その人に出会えたのは、

キセキのような、かくりつです。

光の中に出ても、その手をはなすことのないように

  

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     ☆     ☆     ☆

赤い文字2行と、黄色い文字1行。修二、野ブタ、彰の三角関係のキレイな表現。ただし、ここで単なるいいお話として終わりにしないのが木皿泉の脚本だし、元の原作小説も途方もなく暗いストーリーだ。

     

冒頭に引用した3人の会話。彰は、「会えるんじゃないの? いろんなヤツと」と言ってる。ということは、野ブタがいずれ他の出会いの方に向かうことを暗示してるのだ。山本耕史とか(笑)。リアルライフか!

   

修二も、「そしていつか 二度と会えなくなるんだよな」と応じてた。まるでドラマの結末を暗示するように♪ ネタバレか! いや、真面目な話、どんな出会いにも必ず、別れが来る。だからこそ、「手をはなすことのないように」大切にするのだ。いずれ、手が離れてしまうからこそ。あるいは、心が離れてしまうからこそ。。

   

大切にする相手は、人間だけじゃない。超人デルフィーヌ(忌野清志郎)は、高校時代の壁の落書きを忘れてなかった。「ヘイ、ベイビー  オレは、HIDEKICHIになる」。「豊臣秀吉(ひでよし)」の読み間違えだと説明してたけど、脚本的には多分、矢沢永吉(EIKICHI)を意識してる。忌野と本当に関係を持ってる大物ロックシンガーだから。

    

前回も書いたように、このドラマには言葉遊びが多用されてる。例えば、「3-B道 小谷怪談」というおばけ屋敷の名前は、有名な鶴屋南北の歌舞伎狂言「東海道 四谷怪談」をパロッたもの。

   

おいちゃん(高橋克実)のポスター「豆腐の角には福来たる」は、「笑う門には福来たる」と「豆腐の角に頭ぶつけて死ね」を合成した、お遊びのことわざ。お笑いコントの「万事休す」だと、「バンジー」ジャンプみたいに「きゅうす」(急須)がぶら下がってた♪

   

   

    ☆     ☆     ☆

なお、準備をメチャクチャに壊してた女子生徒は、その後、2回くらい顔が映ってた。ほっぺたからアゴにかけて、ちょっと丸みをおびてる。

  

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この画像で終わると四谷怪談のお岩さんみたいだから(笑)、最後は美しいススキの映像にしよう。この無人のショット、芸術的で、いいね! ウチのブログ・トップページ上段の写真は、秋だとススキを使ってるから、今年は代わりにこれを採用しようかな。

        

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今週も大幅に字数制限オーバー、計17263字で終了。「黙って夜明けまで レビューを書こうよ」♪ ではまた来週。。☆彡

   

   

   

cf. 哲学者ニーチェ「神は死んだ。人間は仲間と創造のゲームで遊べ」~『野ブタ』第1話(再放送)

 どんな服着てても笑える、好きな服ならもっと~『野ブタ』第2話(再放送)

 不意打ちのように訪れる、本当の心~『野ブタ』第4話(再放送)

 「花の街」、七色の谷を越えて、リボンのキャッチボール~『野ブタ』第5話(再放送)

 ちゃんとした人間になっても、道端の十円玉のままで~『野ブタ』第6話(再放送)

 好きなものをあきらめて、自分という舟を好きになりたい・・~『野ブタ』第7話(再放送)

 信じたいから信じる、本当の友達を~『野ブタ。をプロデュース』第8話(再放送の前♪)

 闇夜に浮かぶ蒼い月、はるか遠い場所~『野ブタ。をプロデュース』第9話(再放送)

 「山崎と海亀」がヤバイ♪、修二と彰は2人で1つ~『野ブタ』最終回(再放送)

         

     (計 3976字)

   (追記267字 ; 合計4243字)

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