戦前の東京大学(旧制・第一高等学校)の数学の入試問題~幾何、昭和11年(1936年)
先日(20年9月26日)、久々にNHK『ニュース7』を見てたら、終了後に『たけしのその時カメラは回っていた』という番組がスタート。初めてだから、そのまま消さずに流し見してると、既に戦前から、東京大学などの受験戦争は激しかったと説明してた。
早速、国立国会図書館デジタルコレクションで当時の受験雑誌を探したものの、公開されてるものがなかなか見当たらない。そこで代わりに、試験問題を探すと、解答どころか解説までついてる詳しい問題集(または参考書)を発見できた。

『高等学校・専門学校・大学予科入学試験問題詳解 昭和11年度』、欧文社(今の旺文社)。指導部編ということは、専属の先生みたいな社員がいたのかも。附録として、競争率の一覧表まで付いてて、本格的な受験参考書だ。東京大学(当時は旧制・第一高等学校) は文系も理系も10倍近い倍率の難関。採用予定数は、文理ともに僅か150人。

今日は時間が無いけど、興味深かったから、東大(第一高等学校)入試問題の数学を1問だけ紹介しとこう。全6問中の第1問。幾何だから、今なら上位の高校の入試問題みたいなものか。
試験時間は3時間だから、完答しても1問30分ある。当時の合格ラインは不明だけど、問題自体は今より簡単で、解答も長くはないから、トップクラスの受験生なら完答できたと思う。
☆ ☆ ☆

1. 位置および大きさが与えられたる角XOYの辺OX、OYの上にそれぞれ点A、Bをとり三角形AOBの周の長さを定長Lに等しからしむるときは、辺ABは一定円に切することを証明せよ。 (引用者による注.切する=接する)
解答 (私が作成。図は、本の解答のものを修正して利用。)

上図のように、∠XABの二等分線と、角YBAの二等分線との交点を、点Pとする。また、点PからOX、AB、OYに下ろした垂線の足をそれぞれ、点E、点H、点Fとする。
1辺2角が等しい直角三角形なので、△PAE≡△PAH
∴ PE=PH・・・① AE=AH・・・②
同様に、△PBF≡PBH
∴ PF=PH・・・③ BF=BH・・・④
①③より、PE=PH=PF。よって、中心P、半径の長さPEの円(以下、円Pと呼ぶ)は、OA、AB、OBと接して、接点はそれぞれE、H、F。

また、L=OA+AB+OB (∵ 仮定)
=OA+AH+BH+OB
=OA+AE+BF+OB (∵ ②④)
=OE+OF
ここで、OEとOFは、点Oから円Pに引いた2つの接線だから、長さは等しい。
∴ OE=OF=L/2
したがって、点A、Bの位置に関わらず、接点E、Fは点OからL/2の距離の定位置にあり、円Pの中心と半径PEも一定となる。
以上より、辺ABは一定円(上の円P)に接する。
(証明終了)
☆ ☆ ☆
三角形の「傍心」と「傍接円」の問題だから、私は2つの外角の二等分線の交点から解いた。
本の解説では、1つの外角の二等分線と角XOYの二等分線との交点から解いてる。


私は、純粋な論理を重視。本は、この種の問題を解く時の常套手段を重視したということか。
ちなみに本の解答は、点Oが2つあるし、他にも間違い(または活字の誤植)がある。軽い実力試しのクイズとして、どうぞ♪ 時間が無いので、今日はあっさりこの辺で。。☆彡
cf. 戦前の東京大学(旧制・第一高等学校)の数学の入試問題2~代数、昭和11年(1936年)
海軍兵学校の数学試験(算術)~明治36年度(1903年)の問題と解説・解答
(計 1390字)
(追記43字 ; 合計1433字)
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コメント
いい記事ですね!!
投稿: gauss | 2020年9月30日 (水) 00時21分
> gauss さん
こんにちは。毎度ありがとうございます。
いいコメントですね!!
短くてポジティブで、システムに承認されやすい文章。
この記事は、狙いはまずまずだと思ってますが、
1問だけだと不十分なので、もう1本書く予定です。
試しに僕も、普通に返信コメントを入力してみると、
あっ、わりと長めの文章なのに、出来ました!
コメント投稿規制のシステムトラブル発生から1年半、
やっと改善されて来たのかも。
まあ、あんまし期待できませんが。。☆彡
投稿: テンメイ | 2020年10月 1日 (木) 12時06分