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京都大学&Hajime Kinokoの緊縛シンポジウム、和風ボンデージを昇華させた現代アート

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百聞は一見に如かず。まずは、緊縛ニューウェーブの旗手、世界的に活躍する第一人者らしい、Hajime Kinoko氏の作品を見てみよう。もちろん(?)私も、全く知らなかった。

  

上の写真は、氏の公式サイト、shibari.jpより、ファッション・ショーでのロープ・インスタレーション。女性を縛るSM的エロスの世界から、空間を演出する現代アートへ、見事に跳躍・昇華してる。サイトの全体も驚くほど洗練されてるから、通俗的なアダルトサイトとはかけ離れてる。

     

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上も今回、初めて知ったもので、若者に絶大な人気のあいみょんの公式MV(ミュージック・ビデオ)。『真夏の夜の匂いがする』の後半の1シーンで、衣服で身体は覆ってるものの、本人が縛られて吊るされてるように見える。

   

若い女性の緊縛を含むビデオが、YouTubeで1億4000万回(!)も再生されてるのだ。歌詞を検索してみると、「危険な香り」、「快楽へと ご苦楽へと 吸い込まれていく」というフレーズがあった。苦楽というのはまさに、縛りの官能、悦びを表現する言葉になってる。苦しみの快楽。

   

もちろん、まだまだ普通の性的世界と比べると、ごく一部にすぎない動きだけど、確かに変化、緊縛ニューウェーブと言えるかも知れない。と言っても、「ニューウェーブ」(新しい波)という言葉は、新しくないから、自己矛盾だ♪ ただ、京大が使ってるのでそのまま引用しておいた。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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さて、私がこうした様々なものを知ったのは、たまたまネットで見かけた朝日新聞の記事がキッカケ。京都大学の緊縛シンポジウムが、YouTubeで配信されて、メディアも報道。「これは学問か?」という1人の意見によって、予定より1日早く公開を終了して、公式サイトで謝罪したとの事。

   

また一部の一般人の抗議による炎上か・・と思って、京大のサイトにアクセスしたら、わずか2行の控えめな謝罪を末尾に付け加えただけ。

  

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先日のアツギtwitter、タイツPRイラストの大炎上とは全く違うし、過激な現代美術家・会田誠に対する訴訟騒動(2018年の講義)と比べても静かな動きに過ぎなかった。妥当な反応だろう。珍しく♪

  

この謝罪を直接見るまでは、「謝罪は不要」とか書こうと思ってたけど、この程度ならむしろ、現実的に巧みな大人の対応だと思う。そもそもこれも、国が絡んだ特殊なユニット活動「人社未来形発信ユニット」のイベントだから、日本学術会議みたいな騒動は避けた方が得策なのだ。内心ではほとんど謝罪してなくても。

   

   

     ☆     ☆     ☆

で、1日だけ早く公開終了した動画の一部くらい、ネットに残ってるのかな・・と思ってGoogleで検索すると、一番上にいきなり3時間40分(!)もの動画を発見。

 

いくら今日が週末とはいえ長過ぎるから、まだメインのKINBAKU(緊縛)パフォーマンスまでしか見てない。実質、1時間ほど。著作権その他を考慮して、あえてリンクは付けない。

  

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最初、LIVE中継らしい無意味な映像がしばらく続いた後、「緊縛入門ミニ講座:緊縛からKINBAKUへ」がなかなか良かった。2人の女性が妖しい魅力を放ってるのだ♪ 文系のマニアックな世界でたまに見る女性のタイプ。

  

2人ともクリアなフェイスガードを着用。『鬼滅の刃』の禰豆子のコスプレとかは無しで、早口で真面目なお話に専念。

   

   

     ☆     ☆     ☆

まず、「1.緊縛の起源・発展」と「2.緊縛の『文化』化」を、東大PDの山森真衣子がスライドショーで解説。どうして京大に東大の女性が来るのかと思ったら、最近まで京大・文学部に所属してたらしい。

  

専門の哲学というより、簡単な歴史の紹介で、内容よりも、彼女が長めの髪をしきりに手でかきあげる仕草の方が気になった♪ バブル期のボディコン女性のパロディみたいで、かなり珍しい無意識的行動。それ自体を研究対象にすべきかも。

  

内容をまとめると、緊縛の起源は戦国時代で、敵や罪人の捕縛。それが平和な江戸時代に、歌舞伎や浮世絵(特に春画)を通じて文化として一般社会に浸透して行ったと。

  

   

     ☆     ☆     ☆

私の考えだと、それはあくまで「縄」による緊縛を対象にしたもので、それより遥か前から、「素手による緊縛」があったはず。腕力で、相手を捕まえて動けなくする。

  

当然そこでは、強い成人男性が、弱い女性や子どもを抑え込む傾向があったはず。おそらく、敵や罪人ではない人に対する素手緊縛の方が多かっただろう。

   

その一部は、それ自体が犯罪で、現在でも続いてる。その辺りが、一部のMe Too的フェミニズム女性には何となく引っかかる可能性もある。だからこそ、この種の研究は女性の方が向いてるし、男性はリスクが高いのだ。特に現代の炎上社会では。

  

   

     ☆     ☆     ☆

続いて、ルパン三世でお馴染み、男を誘惑する峰不二子が登場・・ではなくて、藤峰子が登場♪ たぶん、京大の主催者・出口康夫もお気に入りのはず。

 

「3.緊縛のSM化」、「4.緊縛ニューウェーブ」を、慣れた口調でザックリ紹介してた。芸術家・伊藤晴雨、SM雑誌(『奇譚クラブ』ほか)、昭和(1970年代)のSMブームなどが登場。「緊縛」という言葉は『奇譚クラブ』で作られたとのこと。雑誌の写真のために、緊縛は安全で美しくエロティックなものへと発展。

    

妖しい世界の女性アーティストなのに(orだからこそ?)、喋りも滑らかで、PC画面を見てるとはいえ、表情や目線の変化が豊か。ツイッターは非公開みたいだけど、メルカリにはそれらしき特殊なページがあった。出品が縄だらけ♪

   

   

     ☆     ☆     ☆

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そして、設営の後、いよいよメインのKINBAKUパフォーマンス開始。このスタート写真だけならOKのはず。教室の時計や黒板消しが目に入るのも、ある意味、斬新で面白い。

   

派手な演出はまったく無しで、いつの間にか本番に入ってた。風呂敷から細めの縄を10本ほど取り出すと共に、モデルの草履も優しく脱がせて、白い足袋だけにする。

    

本物かどうか知らないけど、吊り用セットに竹が使われてる。ちなみに私は先日のアニメ『鬼滅の刃』レビューで、禰豆子の竹の口枷に着目した。日本の古典的SM特有の素材なのだ。もちろん、私はほとんど知らないけど♪

   

緊縛師のKinoko(きのこ)はもちろん、女性モデル(あいみ)も非常に慣れてるようで、確かに単なるSM撮影の作業ではない。

  

モデルは、演技なのか本心なのか、最初から最後まで、なまめかしくて切なげな表情。目鼻立ちがハッキリした美人で、身体の線、特に白い脚が綺麗。わかりやすい被虐美を醸し出してる。コロナとの関連はわからないけど、幅の広い布で猿轡(さるぐつわ)もされてた。下着は見えるけど、ヌードではなくて、単なる水着よりも露出は少ない。

  

正直言うと、個人的には、縄・着物・和室などを使った和風の緊縛は、あまり趣味ではない。ただ、エロスを昇華させた独特な芸術として、見事だなと素直に感心した。確かに、世界で通じる日本文化だろう。国家の直接的な支援は難しいかも知れないけど。

  

  

     ☆     ☆     ☆

一方、対照的に、黒いマスク姿の緊縛師は淡々と仕事を進める感じで、時々、手を休めて椅子に座る。どうも、その時だけ会場参加者の撮影が許されてたようで、ネットへの拡散まで勧められてた。

   

ということは、モデルはそれなりのギャラを貰えるわけか。ちなみに緊縛師のサイトではモデル募集してるけど、ギャラまでは書いてない。モデルではない希望者には、有料で撮影。

  

縛って吊るす時は、あまり強く締め付けないよう、縄と脚や手の間に隙間があった。帯も少し緩めてた。とはいえ、竹の下に獲物みたいに吊るすと、痛くて苦しいはず。

  

緊縛師の側も熟練した技術が必要で、精密な計算とバランスが必要な幾何学とか物理学の実験みたいにも見えた。文系・理系融合のプロフェッショナルだなと感心。。

   

   

     ☆     ☆     ☆

まだ動画の半分も見てないけど、この緊縛は間違いなくアート、芸術だと思う。単なるSMとの違いは、直接的でなく、一般性と新しさがあることだ。

  

つまり、すぐに鑑賞者(特に男性)の欲情をかき立てて、爆発へと誘うものではないし、もちろん直接的な普通の性的行為もなし。

  

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それでいて、他の芸術にもつながる一般的な幾何学性や高度な技術・洗練が含まれてて、このパフォーマンス自体も普通のAVとはかけ離れてるし、完全に新しい芸術への方向性も含んでる。例えば、上のように、イスという物体も縛るし、下のように、組ひも的CGアートみたいに見える写真もあるのだ。

  

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イスと言えば、少し前にレビューした江戸川乱歩『人間椅子』を思い出す。同じく椅子のボンデージだけど、乱歩の場合は文章、小説という形を使用。おまけに、人間が椅子での拘束を自分で悦ぶという斬新な発想が、文学的なのだ。縄による縛りではなく、皮や手錠・鎖による洋風BDSMでもなく、椅子による拘束。

  

  

     ☆     ☆     ☆

というわけで、まだ学問性のチェックはしてないけど、このイベントも緊縛ニューウェーブも十分、アートだし、学問する余地を感じた。一部の抗議や妙な反応に負けることなく、これからも深めて行って欲しい。理数系のアプローチも見てみたいものだ。図形的な解析とか、力学的な計算とか。

  

ちなみに京大のこのユニット。「クイア」(Queer:性的少数者)も扱ってるから、多様性の研究というより、単に好きなのかも♪ もちろん、好きなことに打ち込むのが研究者やプロフェッショナルだから、それでいいのだ。

  

かなり抑制した記事に留めたところで、今日はそろそろこの辺で。。☆彡

   

         (計 3872字)

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コメント

どんなに善人ヅラした屁理屈で縛り!(緊縛?)を芸術?だなんて吹聴しても 縛る対象の大半が若いオンナばかりでアルコール限りは緊縛なんざあワイセツ!ヒワイ!以外の何物でもない

投稿: オギ | 2020年12月14日 (月) 12時22分

> オギさん
  
はじめまして。コメントどうもです。
  
以前は、縛る対象の大半が若い女性でしたが、
それが多少変わって来たということでしょう。
若い女性でも、服を着たままで、主体的に
縛られるパフォーマンスを行う場合もあるわけです。
  
公然猥褻罪では?といった、法的・歴史的な問いかけは
可能ですが、落ち着いた姿勢が大切でしょう。☆彡

投稿: テンメイ | 2020年12月15日 (火) 02時33分

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