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陸上100m走のタイム(時間)とストライド(歩幅)、ピッチ(歩数)の関係~2021年・大学入学共通テスト・数学ⅠA・第2問〔1〕

今年はコロナのせいで例年より忙しくて、丸2日遅れになってしまったけど、一応、センター試験・・じゃなくて大学入学共通テストの数学の記事を書いとこう。

  

とにかく今、時間が無いので、小問1つだけ。数学好きの市民ランナーで、元・陸上部としてはやはり、ランニングの最適化理論に目が留まる。まあ、机上の空論かも知れないけど♪

   

   

     ☆     ☆     ☆

自分で走ってみればすぐ分かるように、ストライド(歩幅)とピッチ(歩数)の関係は微妙で、特に本気で走る時は、そう簡単に最高の組合せにできるものではない。

  

ストライドを伸ばすと、足腰への負荷が大きくなって、ダメージがやがて故障につながる。足の裏、足首、ふくらはぎ、膝、太腿、腰。

  

逆にピッチを上げると、心肺に負荷がかかってなかなか続かないし、ストライドが予想以上に縮んでしまう。ストライドにせよ、ピッチにせよ、意図的に変化させるとどうしても走りのバランスが崩れがちになる。

   

自転車のギア選択と足の回転数の関係と少し似てるけど、陸上の方が足腰への負荷が高いのは間違いない。というわけで、今回のテストの問題は、陸上競技の現実とはかなり違ってるのだ。

    

では、例によって河合塾で数学Ⅰ・Aの問題を頂いて、解説してみよう。必答問題の第2問、〔1〕

    

     ☆     ☆     ☆

210119a

    

210119b

   

解答(1) (平均速度:1秒あたりの進む距離)

   =(1秒あたりの歩数)×(1歩あたりの進む距離)

   = (ピッチ)×(ストライド)

   = xz ・・・②(アの答

  

(感想・解説) 文章の誘導に従って式を書くと、zxになるはずだけど、選択肢ではxz。細かい話だけど、これはxとzの定義が逆順だから起きてることで、意図的にせよ偶然にせよ、問題作成としてはビミョーな所。まあ、最初にストライドから話を書き始めてるし、ストライドの方が簡単(単なる長さ)だから、ストライドをxにしたんだろう。

     

   

     ☆     ☆     ☆

210119c

  

210119d

 

 (2) ストライドxが0.05大きくなると、ピッチzが0.1小さくなるので、zをxで表す1次関数の傾きは、

-0.1÷0.05=-2

 また、この関数は点(x,z)=(2.10,4.60)を通るから、

 z=-2(x-2.10)+4.60

  =-2x+8.8

  =-2x+44/5 ・・・② (イウエオの答

  

ピッチzが最大値4.8の時、

 4.8=-2x+8.8

 ∴ x=2.00

 ∴ 2.00 ≦ x ≦ 2.40 ・・・(カキクの答

    

(感想・解説) 小数と分数が混ざってるし、小数第2位まで無理やり書くので、ちょっとやりにくい。参考のためのグラフも書きにくい。これは適度なヒネリで、いいと思う。

  

どうして小数第2位まで考えてるかというと、本来ならストライドは身長と同じく、cm単位で測る。ところがそれだと3ケタの大きな整数になってしまうし、100mという距離と単位が変わってしまうので、ストライドをm単位で小数第2位までにして、ピッチと合わせてるわけだ。

   

  

     ☆     ☆     ☆

210119e

  

y=xzとおいて、②のz=-2x+8.8を代入すると、

y=x(-2x+8.8)

 =-2x²+8.8x

 =-2(x-2.2)²+9.68

   

2.2はxの範囲に入っているので、

yの最大値を与えるxは、2.20 ・・・(ケコサの答

  

この時、(ピッチ)z=-2×2.2+8.8

          =4.40 ・・・(シスセの答

   

さらに、①式より、

(タイム)=100/xz

     =100/(2.2×4.4)

     =100/9.68

     =5000/484

     =1250/121

     =10.330・・・

 

よって、タイムの値は、選択肢。 ・・・(ソの答

    

(感想・解説) 最後がかなりキレイな小数第2位までのタイムになってて、しかも現実的なトップクラスのタイムになってる辺りは、流石に上手い問題作成。たぶん、何度も作り直したはず♪ 9秒台だと、まだ日本人は滅多に出せないし、11秒台だと遅すぎて、最速タイムとしてピンと来ない。

    

こんな速いタイム、ほとんどの人は出せないけど、メディアで報道されてる100m走の値はこのくらいが圧倒的に多い。多くの受験生にとって、わりと馴染んでる数字だろう。

    

理論的には簡単な1次関数と2次関数の問題だけど、小数・分数も、文章の長さもちょっと面倒だから、難易度も適度。全体的に良問だと思う。

  

  

      ☆     ☆     ☆

なお、河合塾の分析では、「問題文が長く、初めて見る用語や関係式に対応して上手に立式できるかがポイント」とのこと。そうか。ストライドとかピッチは「初めて見る用語」なわけか♪

  

ちなみに当サイトのランニングの記事でそうした言葉を使う時には、基本的に「ストライド(歩幅)」、「ピッチ(歩数)」と書いてる。どうも、適切な執筆方法らしい♪ もちろん、「1歩あたりの」とか「1秒あたりの」という言葉はフツー、省略するわけだ。

  

数学Ⅰ・A全体の平均点予想は、難しかった去年よりは6点も上がってるけど、58点だから、低めになって。さて、実際はどうか。

   

ともあれ、受験生の皆さん、コロナで大変な中、どうもお疲れさま♪ ではまた。。☆彡

   

        (計 2051字)

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