日テレ『頭脳王2021』ストレンジ・オセロ、先手必勝ゲームの証明と戦略(7通りの場合分け)
2021年の日テレ『頭脳王』では、新たな頭脳ゲームとして、「ストレンジオセロ」が登場。ストレンジ(風変わりな)オセロという意味の合成語(strange othello)だから、当サイトでは分かりやすく点で区切って、「ストレンジ・オセロ」と書いてる。
私は最初にテレビで見た時、後手の人間が必勝なんだろうと思ったけど、京大の首席・上木が負けた対局をちょっと調べてる内に、先手が有利のような気がして来た。ネットの一部でも先手必勝という話が出てたけど、具体的な証明は土曜の深夜の時点で見当たらなかった。
そこで、日曜日に少し考え始めて、昨日の月曜日に先手必勝の証明完了。予想より変化は少なかったけど、それでも面倒な場合分けにはなる。初めはノートに手書きしてたけど、途中からは100円か200円で昔買ってた携帯オセロを取り出して操作。42の局面を撮影して、PCフォルダにまとめた。
多少、省きながら、大まかな証明を示すことにしよう。オセロの評価アプリやプログラムは使用せず、人力で場合分けした論理的証明だ。局面ごとの最善手とか、評価値とか確率・勝率の話ではなく、最終的に「先手が必ず勝てる」ことを示す。何枚取ったのか、枚数も関係なし。過半数で勝ちだ。
☆ ☆ ☆
証明の前に、気になる点について一言。番組では、東大の神脳・河野と新鋭・成瀬が後手なのに勝ってたから、先手のコンピューターは最善の手を指してないことになる。上木戦と河野戦とでは、序盤のコンピューターの指し手が早くも違ってた。
演出の範囲か、偶然か、ヤラセかはさておき、事実を指摘すると、頭脳王のコンピューターは数年前からあまり強くなかったのだ。今年だけではない。そもそも、コンピューター・ゲームでアプリとかソフトの側が人間に手加減するのは少しも珍しくないこと。
プログラム技術協力のAVILENのtwitterに、技術者側の裏話が少し紹介されてる。もし、文春砲とかが番組制作側のスタッフにさく裂したら炎上の可能性もあるけど、単なるクイズ番組のゲームだし、上木はオセロの前から既に準決勝の最下位(3位)だったから、あまり問題にはならないと思う。
☆ ☆ ☆
先手のコンピューターは、テレビだと青色だったけど、ここでは普通に黒を使う。私が使った基本戦略はただ一つ。最初から置かれてる黒石を活かしつつ、左上あたりに逆三角形の陣地を固めること。上の辺よりも、左の辺の方が1マス長い。
この形だと、白に挟まれて取られることも無いし、変化が減って人間が考えやすくなる。ちなみに、コンピューターにとっては、このゲームの変化はほとんどゼロみたいなものだろう。一瞬で完全に分析・判断できるはず。
マス目の呼び名は番組に合わせて、左から右にABCD、上から下に1234とする。辺の部分はお互い10コずつで、ひっくり返せないので、カウント不要。内側の4×4=16マスだけカウントすればいい。9マス以上取れば、勝ち。
☆ ☆ ☆
番組では初手がB1になってたけど、逆三角形の辺の長さを考慮すると、直観的にはむしろA2の方が手堅い。少しだけ、自分の陣地の内側になるから。実際、これで先手必勝を示せた。
場合分けの全体は、下の7通り。細かい分類は他にも少しある。
(1)2手目 白A1 ①4手目 白A3 ②4手目 白C1
(2)2手目 白A3 ①4手目 白A1 (ア)6手目 白C1 (イ)6手目 白D1 ②4手目 白C1
(3)2手目 白C1 ①4手目 白A1 ②4手目 白C1
ではいよいよ、一つずつ先手必勝を示して行こう。1手目(初手)はすべて黒A2なので、念のため。
☆ ☆ ☆
(1)2手目 白A1の変化 3手目は黒B1で、下図の通り。
(1)①4手目 白A3の変化 5手目は黒A4で、下図になる。
6手目、白C1しかない。7手目、黒D1で既に先手の勝ち。例の4×4=16マスの内、10マスが逆三角形で確保できた。
☆ ☆ ☆
(1)②4手目 白C1の変化 5手目、黒D1で下図。
次に白A3だと、黒A4で先手の勝ちとなってしまう。だから、白A4しかない。黒D2で、白は差す手がないからパス。
下図の次に、黒B4で先手の勝ち。(以下、略)。
(2)2手目 白A3の変化 3手目、黒A4で下図。
(2)①4手目 白A1の変化 5手目、黒B1で下図。
(2)①(ア)6手目 白C1の変化 7手目、黒B4で白をパスに追い込んだ後、8手目、黒D1で先手勝ち。以下、略。
(2)①(イ)6手目 白D1の変化 7手目、黒B4で白をパスに追い込んだ後、8手目の黒D2で先手勝ち。以下、略。
☆ ☆ ☆
(2)②4手目 白C1の変化 5手目、黒D2。6手目、白A1で下図。先手は、左上をまとめて取ろうと狙ってる。
7手目、黒B1。8手目、白D1。9手目、黒B4で先手勝ち。以下、略。
☆ ☆ ☆
(3)2手目 白C1の変化 3手目、黒D2で下図
(3)①4手目 白A1の変化 5手目、黒B1。6手目、白A3。7手目、黒A4で先手勝ち。以下、略。
(3)②4手目 白A3の変化 5手目、黒B4。6手目、白B1。7手目、黒A1。そこで、8手目、白D3なら、9手目、黒A4で先手勝ち。
一方、8手目、白D1なら、9手目、黒D3で先手勝ち(下図)。10手目が何かに関わらず、11手目、黒A4で左上に黒の大きな逆三角形ができる。
以上、全部で7通りの場合分けより、ストレンジ・オセロは先手必勝。 Q.E.D.(証明終了)。
それでは、今日はこの辺で。。☆彡
(計 2231字)
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コメント
いつも楽しく拝見しております。
参考までですが以下のサイトで頭脳王と同じ条件で挑戦できます。
一万人以上挑戦してCPUの勝率は脅威の100%です。
https://www.othello.org/strange/
投稿: 宇田早苗 | 2021年2月23日 (火) 20時51分
> 宇田早苗 さん
こんばんは。情報コメントどうもです。
勝率100%の最強AIだから、
頭脳王と同じ条件ではないでしょう。
ゲームの形で、間接的に先手必勝を伝えてるわけで、
大人の対応だと思います。。☆彡
投稿: テンメイ | 2021年2月24日 (水) 20時49分