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詩人ロバート・W・サーヴィス「死ぬのはとても簡単で、難しいのは生き続けること」、英語出典と原文~『レッドアイズ』第8話

本題の前に、いよいよドラマの前面に出て来た精神科医(またはカウンセラー)について一言。

  

 鳥羽和樹 TOBA KAZUKI

 和田秀樹 WADA HIDEKI

   

高嶋政伸が演じる鳥羽は、おそらく実在する有名な精神科医、和田秀樹をもじったものだろう。ツイッター検索だと、この類似を指摘するつぶやきはまだ見当たらない。

  

あんまし似てないと思うかも知れないけど、その程度の違いは出さないと、攻撃的な性格の和田からクレームが入る可能性があるのだ。他にも、和田はテレビやメディア出演も多いから、日テレとしても配慮する必要がある。

  

和田のカウンセリングは、富裕層に特化した高価なもの(1回3万円、保険外診療)で、しかも無意識の欲望を重視する精神分析学が基本だから、鳥羽の「自分の感情に正直になること」という主張とも合ってる(同じとは言わない)。

    

ちなみに、同じく亀梨和也主演の日テレのドラマ『神の雫』(2009年)に対して、和田が批判。私がレビューで反論して、一部で話題になったことがある。

  

本人が認めてるように、頭脳は優秀でも、ちょっと色々とクセのある人物。一匹狼的な所も含めて、やはり鳥羽に似てる気がする。

  

  

     ☆     ☆     ☆

では本題。前回・第7話のバルザックの引用が半ば間違いだったから、今回の第8話も警戒してたけど、本物の引用句だった。内容的には平凡とも言える言葉だけど、原文は詩だから芸術性がある。脚本・福田哲平、演出・茂山佳則。

  

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 もう一度だけ やってみよう。

 死ぬのはとても簡単で、難しいのは生き続けることなのだから

             ロバート・W・サーヴィス

   

日本ではほとんど無名な、19世紀終盤~20世紀半ばの詩人。非常によく似た名前の歴史学者ロバート・サーヴィスとは別人なので、念のため。実際、前回のドラマでも、2人のバルザックを混同して間違えてたことだし。

  

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写真は英語版ウィキペディアより。かなりイケメンというか、古典的な二枚目(死語♪)に見える。ちなみに、日本版ウィキには項目がない。

  

   

     ☆     ☆     ☆

ドラマの中では、人生や命に対して投げやりな男・蠣崎(かきざき:忍成修吾)と、そうではない女性・島原由梨(松下奈緒)の対比で用いられてた。もちろんテレビ的には、後者を持ち上げる。何とか頑張って、生きて欲しいと。

   

サーヴィスの最も有名な言葉の一つみたいで、英語版ウィキクォート(格言集)でも一番上に挙げられてた。ただ、ウィキクォートの出典は、後の書物の名前になってるので、ここでは元の作品を紹介しよう。

  

1912年の詩集『Rhymes by a Rolling Stone』(あるローリングストーン=転がる石の詩集)。これが一番最初かどうかは不明だけど、普通これを出典とするはず。

   

ローリングストーンというのは、超ベテラン大物ロックバンドの名前でもお馴染みで、変化し続けるというポジティブな意味合いと、落ち着かないというネガティブな意味合い、両方を含んでる。もちろん、直接的には、詩人であるサーヴィス自身のこと。

  

本当にあちこち動き回る人で、84歳まで長生き。当時としてはかなり長寿のはず。自殺したという情報は見当たらない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

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この本は著作権が切れてるのか、あるいは放棄したのか、あちこちで無料公開されてる。ここではAmazonの電子書籍kindleから引用。有料の読み放題の会員じゃなくても、アプリさえ手に入れれば0円で閲覧可能。

   

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引用句が含まれる詩のタイトルは、「The Quitter」。根性無し、すぐ諦める人。詩を書いた本人でもあるし、読者の一部でもある。

  

まあ、誰でも半ば、そんな部分はあるだろう。私自身も、必死に頑張る部分と、投げやりな部分が同居。最近はちょっと諦めの境地に傾いてるかも♪

   

東洋的な「諦念」を悟って来たのだ・・とか言ってると、サーヴィスか木村祐一(チコちゃんの声♪)に叱られる。「ボーッと生きてんじゃないよ!」(笑)

  

詩の冒頭、ゲームに負けたら決まりに従って拳銃(リボルバー)で死ぬとか書いてるけど、実はこれ、来週のドラマ第9話の蠣崎と重なるらしい(予告ストーリーより)。それに対してサーヴィスは、そんな自滅は人間の掟(おきて)が禁止してると語る。

   

  

     ☆     ☆    ☆ 

下が、短い詩の後半で、最後に例の引用句が登場。

  

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 Just have one more try ── it's dead easy to die,

 It's the keeping-on-living that's hard.

   

「死ぬのはとても簡単」という箇所は、英語原文だと、「dead easy to die」。直訳すると、「死ぬのは、死ぬほど簡単」と言ってるのだ。これは文学的な言葉遊びで、テレビだと分かりにくいし反発も出て来るから使えない。

   

「生き続けること」は「keeping-on-living」(キーピン・オン・リヴィング)。これは、2行前の「broken and beaten」(ブロークン・アン・ビートゥン)と韻を踏んだ表現。「敗北して打ちのめされた」という言葉を、「生き続けること」という言葉で置き換えてる。

   

なぜ、大変な苦労をしてまで、生きるのか? that's the best game of them all. すべての中で最高のゲームだから。

   

詩の英語は、難しいけど、特殊で面白い。とはいえ、今日の所はそろそろこの辺で。。☆彡

    

      (計 2194字)

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