「唐ちゃんの綴る言葉が私は好きだよ」、写真も♪~唐田えりかエッセイ「mirror」5(最終回)・海の幸(『日本カメラ』21年5月)
幸か不幸か、これまであまり話題になってなかった唐田えりかの写真エッセイが、ここ半月だけ、わりと話題になってた。掲載誌『日本カメラ』がいきなり休刊、会社も今月で解散。当ブログの一連のレビュー記事にも、かなりアクセスが集まってる。
フィルムカメラで自分の心と向き合う~唐田えりか「mirror」第1回・夕焼け(雑誌『日本カメラ』連載)
唐田えりか写真エッセイ「mirror」第2回・猫~『日本カメラ』21年2月号
「mirror」第3回・東京行き~『日本カメラ』3月号
木片や枝葉を一つずつ見つめ、細い山道を孤独に~「mirror」4・共生(『日本カメラ』4月)
70年以上の歴史を誇る専門誌でさえ・・というより、だからこそ、時代の流れに押しつぶされてしまったわけか。休刊の記事でも書いたように、実は相次いで休刊に追い込まれたカメラ雑誌3冊はどれも古くて、他のカメラ雑誌はまだ色々と残ってるのだ。
☆ ☆ ☆
それにしても、本当に唐田は恵まれなくて、気の毒だ。せっかく話題になった今回も、記事のほとんどが、仕事を失った話と東出昌大の話ばかり。
肝心の写真とエッセイのレビューは、この1週間、ほとんど(あるいは全く)見てない。そもそも唐田の写真エッセイを見ずに、ネット情報だけで書いてるらしき記事さえあった。
そんな中で、ほとんど唯一、中身のあるマトモな記事を書いてたのが『女性自身』。最終回となった今回の写真エッセイで話題にしてる人とは、3月一杯で退社した担当の女性マネージャーAさんだろうという内容。
それが本当かどうかは今現在、確かめようがないが、少なくとも写真を見てエッセイを読めば、ごく身近で親しい年上の女性へのお別れの挨拶なのは明らかなこと。おそらくこの女性が、何らかの意味で「海」と関連してるんだろう。あるいは「幸」(さち)とも関連してるとか。
東出と全く関係ないとまでは言わないし、そのような事を見出しと本文に書くとアクセス数が伸びるのだろう。しかし、まずは写真とエッセイをじっくり見るべきなのだ。
☆ ☆ ☆
上はもちろん、雑誌掲載の写真ではないが、画像検索で誤解される恐れもあるから、わざわざ「☆唐田えりかの写真自体ではない」と書き添えてる。
もっと似た写真はいくつかネット上で発見してるが、著作権をハッキリ主張してるものばかりだったから断念。少し似た雰囲気のあるウィキメディアの動画キャプチャーを加工してみた。オオミズナギドリ。
唐田自身の作品は、白黒の浜辺(波打ち際)らしき写真。全体的には海の写真で、水面に近い辺りを、1羽の小さな海鳥が羽ばたいて飛んでる。上に掲載した私の写真の海鳥を、縦横ともに5分の1に縮小したような構成だ。
「私はもうあなたなしでも
あなたがくれた沢山の大切なものたちと、
羽ばたくことができる。」
といっても、写真というmirror(鏡)に写った「私」の羽ばたきはまだ孤独だし、明るく爽やかな海の光景として描き出すこともできない。あくまで暗くてレトロな白黒写真。
豊富な「海の幸」(記事タイトル)を得た様子だろうが、見方によっては、今にも海に落下しそうにも見えてしまう。まだ大海原の沖まで飛ぶことは出来ず、浜辺の近くで飛ぶのが精一杯にも見える。
ドラマ『インハンド』にも出た『かもめのジョナサン』の表紙を暗めにしたような写真・・というのは一部読者へのご挨拶だ♪ アマゾンより。あえて白黒加工はしない。
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ところで、最後の3行でクローズアップされた「あなた」。ネット的には「匂わせ」とネガティブに呼ばれてるが、ごく普通の「婉曲表現」にすぎない。
芸能関係とはいえ、一般の社員の話を書くのなら、遠回しに書くのが当然のこと。「匂わせ」と呼ぶことで昔のSNS炎上と結びつけてしまう多数の記事には、溜息しか出ない。本当に可哀想な唐田えりか。。
匂わせどころか、最初の1行から最後の1行まで、すべてがストレートに、ごく身近で親しい年上の女性の話になってる。そもそも最初の1文がいきなり、「唐ちゃんの綴る言葉が私は好きだよ」なのだ。
その後も、彼女の支えによって、心の奥底を言葉に出来るようになったこと、言葉の表現力もついたことを書いてるのであって、恋愛の話などカケラも無い。
フィルムカメラでの写真撮影を勧められたことも書いてる。その話は3年前の絶頂期に、週刊女性のインタビューでも語ってたことなのだ。「上京してから、担当になってくれたマネージャーさんがふだんフィルムカメラを使っているので、私も“これを機に”と始めました」。
☆ ☆ ☆
退社した担当マネージャーと「海の幸」との関わりは、想像するしかないが、案外、『サザエさん』みたいに海関係の名前なのかも。磯野幸子とか♪
あるいは、2人でプライベートで海に行った思い出があるとか、実はこの海鳥の写真を撮った時にそばにマネージャーがいたとか。
もちろん「海の幸」とは、別に食べ物のこととは限らない。珍しく、あまりポエム的でないエッセイの文章を普通に読むなら、言葉の扱い方、言葉による心の探り方、写真の撮り方、フィルムカメラの扱い、そしてもちろん、芸能活動の心得や作法など。
当然、肝心の芸能活動で大失敗したからこそ、マネージャーにも大きな責任がのしかかったはず。最低限の責任を1年半ではたして、けじめをつけたのかも。
☆ ☆ ☆
最後に、マネージャー以外に「あなた」「大切なひと」が意味するものとしては、何といっても『日本カメラ』だろう。雑誌も、担当者も、会社も。
彼女がこの「第5回」を書いた時点で、まだ休刊は知らなかっただろうと思うが、結果的には、3年以上前からずっと支えてくれた雑誌への別れの挨拶にもなってる。
そのまた次くらいに少し入ってるかも知れないのが恋愛の話だが、順番を間違えてはいけない。写真エッセイの内容は、女性と言葉とフィルムカメラと写真の話。写真はフィルム撮影。
カメラは、初回でも使ったレトロな名機、Olympus PEN EE-2。フィルムはロモグラフィ・LADY GREY B&W(ブラック&ホワイト=白黒)400。現在、品切れ。そんなマニアックな情報まで書いてるのは、カメラ雑誌の連載だから。
まず女性。次に雑誌。2つの大切なものへの別れと感謝を書く文章に、少し含みをもたせたのが最後。とにかく、唐田えりかには今後も撮影と執筆をつづけて欲しいし、撮られる側にも復帰して欲しい。
「唐ちゃんの映る作品が私は好きだ」と言ってくれる人は大勢いるはずだから。とりあえず、連載お疲れさま♪ ではまた。。☆彡
(計 2720字)
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