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東京五輪1964「ビリの英雄」カルナナンダ選手の10000m公式記録、34分は間違いで32分が正しい

既にあちこちで語られてるネタだし、わざわざ新たにブログ記事を書く気もなかったけど、調べてる内に気が変わった。

    

まだ絶対の自信までは持てないけど、どうも日本では、東京五輪1964の「ビリの英雄」、カルナナンダ選手について、間違った記録が拡散してるようなのだ。記録の謎や曖昧さについて語ってるサイトも見当たらない。

   

ここはマニアック・サイトの出番だろう。1ヶ月に1つくらいの検索アクセスは入るはず♪ 少なっ! 調べ回るのに時間を取られたから、記事はもう簡単に。簡単な間違いの訂正だから、小室圭さんの論文の30分の1くらいで(笑)

   

   

     ☆     ☆     ☆

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21年4月9日の朝日新聞・夕刊1面に大きく掲載された陸上記事の見出しは、「ゼッケン67」、祖父がくれた諦めない心。執筆は河崎優子記者。英雄のお孫さんの写真は、ネット上に数年前の可愛いものがあった♪

     

1964年の東京五輪の陸上競技・男子10000mで、当時のセイロン(現在はスリランカ)のカルナナンダ選手が3周遅れに。それでも最後まで1人で走りぬいて、観衆の拍手を浴びた後、メディアや日本の国語の教科書でも取り上げられた。  

   

その選手はゴール後、自国の娘に伝えたいといった談話を残したそうで、彼の娘の娘、つまり孫の女性が今、日本で介護福祉士として頑張ってるそうだ。日本人男性と結婚、群馬で働くオーシャディーさん、29歳。いいね♪

   

   

     ☆     ☆     ☆

私も以前、どこかでレースの話だけは聞いたことがあったけど、名前や記録までは覚えてなかった。もちろん、娘さんや孫の話は初耳。

  

ただ、ネットで検索するとあちこちで伝えられてて、9年前の朝日の記事もまだ残ってたし、光村図書の教科書『小学 新国語 四年』に採用された文章「ゼッケン67」も全文公開されてた。出版社の広報誌『かざぐるま通信』No.34。 

  

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現代の日本だと、古き精神主義とか根性論とかいうレッテルで冷たく扱われそうだけど、私はそうした紋切り型の批判もかなり古いと、前から考えてる。頑張り続けること、その大切さを語ることの価値は少しも下がってない。

    

単に、それをそのまま口にするのが時代に合わないから、違う言い方で語ってるだけなのだ。その典型が、シドニー五輪・金メダルの高橋尚子だろう。「すごく楽しい42kmでした」。

  

これは省略語法であって、「すごく頑張ったおかげで、楽しい42キロになりました」、ということだ。彼女のレース中の表情を見るだけでも分かるし、練習内容を見ればもっとハッキリする。一般人が「楽しい」という言葉から思い描くものとはかけ離れてる凄さがあるのだ。

  

  

    ☆     ☆     ☆

で、もと陸上部で今も市民ランナーの私が気になったのは、「ビリギャル」じゃなくて「ビリマン」「ビリランナー」となった彼のタイム。リザルト(公式結果)。

   

写真の走る姿がとてもビリには見えなかったから、Youtubeの動画でラストをチェックすると、やっぱり速い! 完全にはじけるようにスパートしてゴールしてる。

  

35分くらいかな?とか思いつつ、まず英語版ウィキペディアで見ると、32分21秒2。Ranatunge Karunananda (ラナトゥンゲ・カルナナンダ)選手、速っ!

    

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ところが、日本語のウィキペディアには、「34分」21秒2と書いてる。2分も遅いタイム。

  

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日本語版ウィキの出典を調べると、執筆時点とはサイト名もURLも変わってるけど、発見できた。そこには確かに34分と書いてるけど、その英語サイトは個人の集合体みたいな一般サイトにすぎない。

  

それに対して、英語版ウィキは世界で最も使われてる百科事典だし、ドイツ語版もフランス語版も32分としてある。イタリア語版は34分になってるけど、それは日本版と同じ一般サイトのタイムを参照してるからだ。

   

決定的なのは、IOC・国際オリンピック委員会の英語サイトの公式記録

  

210410f-co

  

やはり、32分21秒2。もちろん、どこにでもミスはあり得るので絶対とは言わないけど、ほぼ決まりだろう。実はさらに別の、計算上の根拠もあるのだ。

  

  

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各種の情報を見ると、「3周遅れ」という話がよく出てるけど、誰から3周遅れたのか、ハッキリ書いてるものは見当たらない。

  

おそらく、1位その他、先頭集団から3周遅れだったのだろう。金・銀・銅メダルの3人は、28分24秒~25秒。カルナナンダが32分21秒なら、約4分差。

  

これを3周で割ると、1周400mあたり1分20秒。カルナナンダのレース全体の平均ラップは、1周あたり1分18秒ペースだから、ピッタリ計算が合う。

   

  

     ☆     ☆     ☆

というわけで、日本語版ウィキや、それの直接的・間接的な拡散・影響とみられるあちこちの34分という情報よりも、カルナナンダは遥かに速かったのだと推測する。

  

そもそも彼の自己ベストは、同じ1964年の31分26秒6なのだ。1週間前から風邪をひいてたといっても、最高の晴れ舞台で、ラストスパートもキレがある。32分と考える方が整合的だ。

    

私自身はウィキの編集をする気はないので、どなたか、納得した編集者がいたら、タイムと描写(28位の日本人選手より3分以上遅いと書いてる)を修正することをお勧めしよう。朝日の河崎記者が、朝日新聞デジタルに書いてくださってもいい。

     

私は今まで何度も日本語版ウィキの間違いを指摘して来たけど、あくまで個人ブロガー。自分のブログに書くだけだ。後は、読者とGoogleのロボット君の判断にお任せしよう♪ 最近、Google君は冷たい扱いだけどね(笑)。それでは、また明日。。☆彡

    

      (計 2285字)

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