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唐田えりか女優復帰、短編映画「SOMETHING IN THE AIR」レビュー~浮かんでは消えていく何か

唐田えりかの1年半ぶりの女優復帰(2021年9月2日)は、今のところ、意外なほど好意的に受け止められてる。タイミング的にも幸運だったのかも。

    

この間、世の中の関心は圧倒的にコロナに向けられて来て、今は最悪の第5波がピークアウトしたような時期。元ネタが古い芸能情報でヒートアップする感じではない。おまけに東京2020パラリンピック開催中で、菅首相の突然の退陣ニュースまで飛び込んで来た。

  

私はもともと、唐田のファンというわけではなかったけど、前途有望な若手なのに叩かれ過ぎてたし、知り合いに似た可愛くてスタイルのいいコだから、これまでブログで好意的に扱って来た。文章の才能もあると思う。

    

『日本カメラ』に目立たない形で掲載されてた写真エッセイ「mirror」(ミラー)について、毎月レビューして来たほど。(21年1月号2月号3月号4月号5月号)。雑誌の突然の休刊も、女優復帰への準備期間が出来たと思えば必ずしも不運ではない。

   

   

     ☆     ☆     ☆

今回の復帰は、先月くらいから何となくそんな雰囲気を漂わせてた。最大のポイントは21年8月7日、事務所flamme(フラーム)のインスタグラムで写真が9枚、公開されたこと。ショートヘアになっても相変わらず、清楚で透明感のある微笑を見せてた。

     

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ちょうど同じ頃、事務所のプロフィール・ページの写真も更新されたらしい。下の写真はギャラリーに「NEW」としてアップされてるものの1枚で、ファイルの撮影日時は8月5日。童顔だから、23歳になっても美少女という言葉が似合う。

   

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その約1ヶ月後の9月2日、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S(楽天ファッションウィーク東京2020春夏)の企画の1つとして、短編映画が公開。メディアが一斉に報道。ネガティブな見出しとして目立つのは、サイゾーくらいだ。

   

この21分ほどの映画は、ファッションの新作PRが目的とはいえ、しっかりした作りで中身がある。最近のネット状況から考えて、詳しい解説やレビューの記事は(ほとんど)無いだろうから、当サイトで書いとこう。ささやかなエールとして♪

  

   

     ☆     ☆     ☆

以下、映画の進行に沿って細かく感想を書いて行くので、ネタバレにご注意あれ。まだ見てない方には、YouTubeを先に見ることをお勧めしとこう。20分40秒。

   

唐田と吉村界人のW主演。重要な役割を果たしてる助演女優、lol(エルオーエル)のhibikiは、twitterで大きく告知してた。勇気ある行為で、いいね♪ 2人の衣装はユニセックスの新商品らしい。

       

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hibikiは24歳になったばかりで、唐田と同学年。デビュー時期もほぼ同じで、モデル活動も共通してるから、話は合うと思う。「この人と出会えてよかったなあ・・・ああ、好き!・・・みんなありがとう!・・・」。

   

      

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芸術・アート系の映画というものは、必ずしも分かりやすくはない。テレビドラマとはかなり違う作りで、面白い物語や綺麗な結末もないと言っていい。監督・脚本は新進気鋭の小林達夫。去年の映画『とんかつDJアゲ太郎』の監督補とのこと。

   

最初の画面だけでも、いきなり難解♪ 最上段の「el conductorH」(エル・コンダクター)はブランド名。おそらくスペイン語で、ザ・ドライバー(運転手)という意味だと思う。最後のHは読まないのかな?

     

画面下側の「passage」(英語・フランス語)が2022年・春夏シーズンのコレクション(品揃え)のテーマらしくて、通過・移動・経過・移り変わり、といった意味。これをそのまま映画のタイトルにしても良かったと思う。物語の主題が、変化なのだ。

         

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映画のタイトルは上の「SOMETHING IN THE AIR」。これは一応、曲名にもなってるらしいけど、2つの意味があると思う。まず、「何か、浮かんでるもの」。

   

分かりやすい例は、バンド「Effi Briest」(エフィ・ブリースト)を率いるボーカル・D2(吉田)の曲作り。苦悩しながら、ふと「何かが浮かんで」来るのを待って、ただちにノートに歌詞の言葉を書きとめ、ギターでメロディーを作って行く。

  

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題名「SOMETHING IN THE AIR」のもう一つの意味は、「何か、空中にあるもの」。つまり、宙に浮いて、自由だけど不安定でもあるもの。中心人物3人とバンド、すべてに当てはまるけど、特に象徴してたのがREY(レイ:hibiki)。

  

ついでに書くと、奇妙なバンド名は、海外では有名な小説『エフィ・ブリースト』から取ったものだと思う。同名の主人公である若妻が、不倫した後、不幸になる悲劇らしい。非常に遠回しでほとんど気付かれない形での、例の騒動への言及かも。

   

      

     ☆     ☆     ☆

物語のスタートは、田舎の山奥の別荘みたいな小屋。ツアー中のバンド Effi Briest が、ファッション写真の撮影と休養を兼ねて宿泊中。映画という虚構の中に、ファッションPRという現実が入り込んでる。劇中劇みたいな、ファッションinファッション。

  

エル・コンダクターというブランドは基本的にメンズみたいで、かなり尖った攻撃的デザインが目立ってた。例えば4人のバンドメンバーの衣装はこんな感じ。

    

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そうした彼ら、特にD2に魅かれてるのが、MEG(メグ:唐田)。地元の非常に小さな音楽雑誌の編集者で、ex-Editorと書かれてた。増刊号とか電子版の編集者という意味か? 検索しても見当たらない職名。

  

たまたま近くにバンドが宿泊してると知って、取材を申し込み。インタビューの際に持って行こうと、メグはミシンの手作りで(?)雑誌を増刷中。ウキウキ、ワクワク♪

     

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そこに、仕事探しみたいな形で飛び込んできたのが、いとこのレイ。ほとんどお金が無いようで、アイスの代金としてメグから受け取ったお札(1000円札か)で、勝手にカラフルなブレスレットを買ってた。アイスと同色のレインボーは、五輪やパラリンピックも意識した多様性カラーか。

         

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メグは怒ってるのに、編集者仲間の男性・ジュンノスケ(伊島空=いじま・くう)がアクセサリーを褒めたから、メグが可愛くにらむ♪ Tシャツのロゴは、passage。パープルの色使いがオシャレ。

    

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彼はその時までメグに思いを寄せてたのに、この瞬間からレイの姿が脳裏に刻まれたらしい。14年後、離婚したレイとSNSで知り合って、会う約束をしたけど来なかった(彼のモノローグ=独白)。

  

ということは、物語の舞台は1995年くらいで、それを25年後くらいに振り返る設定か。田舎の公衆電話や、編集部にFAXが無いという話も登場。ソニーのカセットレコーダーTCM17は、調べてみると1986年発売だった。

   

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ちなみにカセットの録音は、移り変わる世界を保存しようとする物として使われてる。しかし、やはり元のままの会話の保存や再生はできないと、メグも気付いてた。音だけ保存しても、周囲も自分も常に移り変わって行くから。

   

       

     ☆     ☆     ☆

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勝手について来た邪魔者のレイを合わせて、3人でインタビューに向かうメグ達。初めて生のD2を見たメグは嬉しそう。ところが、D2の態度はなぜかメグにだけ冷たい。

   

微妙な思いを抱いてたメグが小屋の中から窓の外を見ると、レイがD2と仲良さげに喋ってる。この下のショットは凝ったもので、なかなか気付かないかも。メグではなく、窓ガラスに反射して映ってるレイ(右下)とD2(左下)にピントを合わせてる。

         

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その後、車で夜道を帰ってる途中、上着を忘れたというレイが1人で小屋に引き返す。実はレイ、D2が昔好きだった女の子に似てるらしい。

   

もう、メグは嫉妬とモヤモヤで胸が一杯。ジュンノスケを送った後、1人で小屋に戻って、窓から中を覗き込む。女ストーカー♪ ところがレイはいなくて、D2が1人で懸命に作曲してた。

     

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メンバーに「うるさい」とか怒鳴られつつ、ふと思いついて作曲したのが、後の彼らの代表曲「Silver rings」(シルバーリングス)。

   

まさにSOMETHING IN THE AIR。メンバーの話し声が空中を伝わって来て、「何か浮かんだもの」を一瞬でとらえた曲だった。

  

  

      ☆     ☆     ☆

メグは帰宅後、レイの荒っぽいアドバイスみたいな言葉に従って、初めて自分自身の思いを原稿にする。

    

ところが、それを巻頭に載せるはずだった雑誌の第7号は結局、出なかった。メグにも、音楽雑誌や好きなバンドとは「別の何かが浮かんだ」らしい。

        

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まもなく、バンドは小屋を去る。メグが渡した雑誌の最新号(第6号)を置き去りにして。内容に興味が無かったわけではないが、そうゆう生き方なのだ。25年前だと、環境へのこだわりもまだ流行ってないから、紙資源の放置も問題なし♪

           

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メグはもう、ライブにも行かず、ベッドで昼まで寝たまま。退屈したレイが、おごってあげるからどこか行こうと誘う。

       

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小屋で盗んで来たアクセサリーを売って、推定2万円ほど(?)手に入れたらしい♪ そこには、曲名にもなったシルバーのリングも混ざってた。

  

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一応、窃盗犯罪をフォローするようなレイのモノローグ(独白)が入る。

   

レイが持ち出した装飾品がなくなったことを、メンバー達が特に気にすることはなかった。最近着なくなった服が、どこに行ったか気にしないのとおんなじで、メンバーにとって物は 人や時間と同様に自分たちの周りを通り過ぎていく。でもそれは、ただ失っているわけではないのだと、若さのわりに余りに多くの経験をした彼らは知っていた。

        

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細か過ぎる指摘をすると、上の「どこにいったかに気にしない」は入力ミスの間違い♪ 正しくは、「どこにいったか気にしない」。もちろん、観客はほとんど誰も気にしないことだけど。

     

   

     ☆     ☆     ☆

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最後に、メグの二十数年後の様子が本人のモノローグで語られる。2人の子どもを連れて海に来た時、ふと『シルバーリングス』のメロディーが浮かんだけど、もはや誰の何の曲か思い出せなかった。

    

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最後のぼやけた映像では、メグ&レイの2人と、メグの将来の子ども2人とが重ね合わせられてる。浮かんでは消える時の流れの中でも、似たものの繰り返し、反復はあるし、同じものの一部分が残ることはあるのだ。同じでありつつ別のものは、ズレ=差異をなす。

   

「ゆく川の 流れは絶えずして しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて 久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し」(鴨長明『方丈記』)

   

結局、不断の流れの中での反復と微妙なズレ(差異)こそ、生の根幹かも知れない。エンドロールのトップ、「ERIKA KARATA」の文字を喜びつつ、それでは今日はこの辺で。。☆彡

        

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        (計 4343字)

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