藤井三冠が豊島竜王に逆転勝利、自玉の頭から攻める最善手の連続技、4五歩&3五歩~竜王戦・第1局(2021年)
藤井聡太三冠が四冠に挑む、注目の竜王戦・七番勝負。まだ第1局だから、Abema動画はチラ見だけにするつもりだったけど、終盤は本気で見てしまった。
流石は天才少年、難しい将棋で見事に逆転勝利。天敵だった豊島将之竜王との対戦成績も、これで9勝9敗のタイ。6連敗から追いついてしまった。もし竜王まで獲得すると、完全に棋界の頂点に到達する。まだ19歳、恐るべき才能。。
最近は、YouTubeや個人サイトに対抗するためか、公式サイト(棋譜+ブログ)が非常に充実した内容になってるから、ブロガーとしてはなるべく違う内容の記事を書く必要がある。
例えば、会場の渋谷セルリアンタワーと渋谷駅の関係をハッキリさせるGoogle Earth画像を挿入するとか。渋谷駅・南口を知ってる人なら、あぁ、あそこかとすぐ分かるだろう。スクランブル交差点もハッキリ分かる。
似た写真は公式サイトにもあるけど、断片的になってて位置関係が分かりにくいのだ。ちなみに左右に伸びてる幹線道路は、私も何十回も自転車で走っててメジャーな「246」だ。国道246号線。
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歩を5枚振って、表と裏の枚数で先手・後手を決める、振り駒。公式ブログより。豊島竜王の歩を振ったのは、スポンサーの野村ホールディングスの寺口・副社長。裏(と金)が4枚出て、相手の藤井三冠(王位・叡王・棋聖)が先手。
戦型は予想通り、また相掛かり。といっても、かなり早い段階(上図の24手目、後手6二金)から前例のない対局になってるらしい。まだまだ人間にとっては未知のゲーム。AIでさえ、最終的な結論までは出てない。
初日の藤井三冠のおやつが話題になってた♪ サバラン・オランジュという言葉や写真は既にネットに溢れてるけど、フランス語の綴り(savarin orange)を入れるとライバルが急減する。パンのブリオッシュをもとにしたお菓子・サヴァラン(人名)のオレンジ版。と言っても、パンにもオレンジにも見えない♪
その初日の3時のおやつの頃、上の局面になったらしい。38手目、後手の3五歩が鋭い手。同歩と取ると6五桂から中央を攻められて、3六角の筋もあるから、藤井は3五飛。この辺りでもう、藤井は苦しいと思ってたとのこと。ただし、歩2枚、駒得になってる。
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私が見始めたのは2日目(21年10月9日)の午後。13時半くらいで、後手(向こう側)の豊島が有利になってたけど、まだ先は長くて分からない。既に、飛車と角の交換で、藤井は角2枚、豊島は飛車2枚。
左辺で桂馬の交換になって、後手の4四桂が急所に効いてる。上図の8八歩成に対して、先手の藤井は同銀! 7八飛に対して、4七玉。私はこの辺は見てなかったけど、見てたら、もう藤井の負けかな・・と思ってたはず。
ところが、7七飛成、同銀、8九飛成で、既にAIの形勢判断は逆転。藤井も、次の79手目、7一飛で攻め合いに持ち込めたと思ったらしい(局後のインタビューでの感想)。
上図は、先手有利の局面にはなかなか見えないけど、5三の地点を狙う攻めが厳しいらしい。桂打ちもあるし、直ちに5三角成という急襲の狙いもある。同玉なら5一飛成。
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香車を取り合った後、先手の7九香がちょっと盛り上がってた。攻めると共に、相手の竜の横利きも止める、攻守の好手♪ 解説の飯島栄治・八段の予想が当たって喜んでたのはいいとして、AIは7七香でも同じか、少し上だと判断してた。
聞き手の本田小百合・女流三段も認めてたけど、人間にとっては、7七香より7九香の方が良い手に見える。ただ、AIは機械的にあらゆる変化を超高速で読むから、たぶん、少し後で7九竜と香車を取る手が生じるのを気にしたんだと思う。
その後、豊島にほんの1瞬だけ逆転のチャンスが来た。というか、AIの形勢判断は少し豊島有利になった。上図の右側の折れ線グラフが、右端で一瞬だけ下向きになってる。
上の先手・93手目、7九歩がAI的には悪手らしい。再び、竜の横利きを止めた実戦的な手だけど、緩手、ゆるい手ということか。
上図では、後手は8一歩(同龍なら9七馬)か、9七馬で良かったらしい。ところが豊島は4二玉と早逃げして、また形勢を損ねてしまった。まあでも、人間的にはよく分かる。難しい局面で、相手が1手、守ったから、自分も1手、守ったと。
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そして、解説陣も唸ってたし、私も感心したのは、上の99手目、先手・藤井の4五歩。AIも最善手に挙げてたけど、わざわざ自分の玉の守りをガラガラにして、相手の桂馬を呼び込んでまで、相手の玉頭に攻め込む危ない手。よほどの読みと勇気・胆力が無いと指せない。
豊島が3六桂と飛ぶと、藤井は101手目、3五歩。上手い! 強い☆ これまたAIの最善手と一致。相手玉を攻めつつ、相手の香車打ちも防止。遅いようで、かなり速い攻めでもある。次に3四歩と取り込むと、5一銀からの即詰みを予期させる「詰めよ」になるのだ。
結局、豊島は3三玉と早逃げしたけど、7五金、8三馬、8四歩、7二馬、3四歩、同玉、4一龍で、ほぼ藤井の勝利が決定。藤井本人は、さらに3三桂、3六玉と進んだ所で勝てると思ったとか語ってたけど、そんな事はないと思う♪ どこまでも控えめ、謙虚な天才児だからこそ、ファンが多くてアンチが少ないのだ。
最後は、123手目、先手・藤井の3四桂打を見て、豊島が投了。それより少し前から、どこで投げるか迷ってる感じにも見えた。10手くらい前で投げてても不思議はないけど、大盤解説もあるし、サービスしたわけか。
というわけで、藤井三冠は四冠に向けて好スタートを切ることに成功。第2局は10月22日・23日、京都の仁和寺にて。
なお、今週は計17096字で終了。ノーベル賞記事が長かったから、大幅に制限オーバーとなってしまった。ではまた来週。。☆彡
(計 2419字)
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