共通パラメーターを持つ2次方程式・2次関数のグラフ・2次不等式の関係と必要十分条件~2022年・共通テスト・数学ⅠA・第2問〔1〕
完全に忘れていたが、いま確認すると、去年の大学入学共通テストの数学ⅠAでも第2問〔1〕を記事にしてた。問題作成者の共通了解として、ここがこだわりのある出題箇所ということか。
河合塾の分析では、次のように書かれてた。「2つの2次方程式の共通解、グラフの平行移動、必要条件と十分条件など、さまざまな要素が含まれており、高い思考力が要求される問題であった。(2)(3)が(4)を解くためのヒントになっているが気づきにくい」。
私の感覚だと、やや誇張された評価にも感じるが、センター試験とか共通テストの中では確かにハイレベルな部類。そもそもアプリなしの手書きでパラメーター付き2次関数のグラフを2つ、連動させるという作業はあまりやらない面倒なことだ。特に試験会場で短い時間に追われながらだと大変だろう。
では以下、少しずつ解説していく。しばらく使ってなかったが、定番の関数グラフアプリ「GRAPES」を利用させて頂いた。作者の友田勝久氏に感謝。もちろん、自分で解く際にはアプリは使わず、手書きで色々と大まかに書いて考えた。
☆ ☆ ☆
(1)(解答)
p=4、q=-4のとき、
① x²+4x-4=0
② x²-4x+4=0
①は異なる2つの実数解を持ち、そのどちらも、②のただ1つの実数解(重解)x=2とは一致しない。よって、①または②を満たす実数xの個数は、n=3 ・・・アの答
また、p=1、q=-2のとき、
① x²+x-2=0 ∴ x=-2,1
② x²-2x+1=0 ∴ x=1
よって、①または②を満たす実数xの個数は、n=2 ・・・イの答
(感想) 軽いウォーミングアップだが、x²+4x-4=0を真面目に解いてしまうと時間のムダになる。無理数の解を書くことは避け、重解x=2ではないことだけ素早く確認するのがポイント。
☆ ☆ ☆
(2)(解答)
p=-6の時、
①´ x²-6x+q=0
②´ x²+qx-6=0
①´②´の共通の解αが存在すると仮定すると、
③ α²-6α+q=0
④ α²+qα-6=0
③-④:-(q+6)α+q+6=0 ∴ (q+6)(-α+1)=0
ここで、q+6=0とすると、q=-6で、①´②´は同じ方程式になってしまうから、n=3にはならない。
よって、q≠-6かつ、α=1。
これを①´②´に代入すると、どちらも -5+q=0になり、q=5。
これを①´②´に代入すると、
①´´ x²-6x+5=0 ∴ x=1,5
②´´ x²+5x-6=0 ∴ x=-6,1
よって、q=5の時、確かにn=3となる。
一方、①´②´に共通の実数解がない場合にn=3となるのは、一方が重解で、それが他方の異なる2つの実数解と一致しない時。
②´は重解を持たないから、①´が重解を持つ。この時、①´はx²-6x+9=0。∴ q=9。重解はx=3。
すると②´は x²+9x-6=0で、x=3以外の異なる2つの実数解を持つから、確かにn=3となる。
以上より、 q=5,9 ・・・ウ、エの答
(感想) これは記述試験だと完答するのは困難で、q=5を完全に導くだけでも大変だろう。(q+6)(-α+1)=0のような方程式は、意味合いが異なる2種類の文字を含むので、論理的に正確に扱える人は少ない。 ただ、穴埋めの答だけだから、それほど難しくはなかったと思う。難関は、この後に続く問い。
☆ ☆ ☆
(3)(解答)
③ y=x²-6x+q のグラフは、qの値を増加させると、真上(y軸の正の向き)に平行移動する。よって、グラフは6 ・・・オの答
④ y=x²+qx-6 のグラフは、下に凸の放物線で、頂点の座標は(-q/2,(-q²/4)-6)。よって、qの値を増加させると、グラフは大まかに見て左下に移動する。よって、選択肢の1 ・・・カの答
(感想)③の動きはすぐ分かるが、④の動きは少し分かりにくい。上の解答では、頂点の座標を求めているが、これはやや遅いと思う。頂点のx座標が小さくなることと、y切片(y軸との交点のy座標)が-6のままであることから、左下に移動することが読み取れると速い。
☆ ☆ ☆
(4)(解答)
(2)のウ、エの答より、5<q<9。
左端のq=5の時は、2次方程式①´②´が共通解x=1を持つので、③④のグラフは次のようになる。③が青線、④が赤線。
qの値を1だけ大きくして、③y=x²-6x+6と④y=x²+6x-6のグラフで考えると、AとBの図は下図のようになる。qを5より少し大きい値から連続的に9近くまで大きくすると、AとBは右と左に分かれて、共有点はない。
よって、x∈Aは、x∈Bであるための「必要条件でも十分条件でもない」。したがって、キの答は3。
また、x∈Bは、x∈(Aの補集合)であるための「十分条件であるが、必要条件ではない」。クの答は1。
(感想・解説) 補集合との必要・十分まで問われると、受験生には重圧が加わるが、4択だから単なる勘で答える戦術もあり。ちなみに、q=9だとAは1点x=3のみになって、さらにqが増えるとAは空集合になってしまう。Aを、Bと同様の線分(両端なし)にするために、q<9という条件が付いてる。
☆ ☆ ☆
なお、第1問〔2〕の山の地図(測量)の話は、山登りや自転車(サイクリング)が趣味の人にとっては分かりやすいと思う。私は自転車ヒルクライムをやってて、16度という角度はキツ過ぎると感じたから、花子さんの「本当に16°なの?」という疑問ツッコミに笑った。試験場でもニヤッとしたはず♪
スキー場の短いゲレンデ(1000m前後)の斜度で考えても、16度というのは結構な傾きだから、遥か遠くの山頂への角度としては考えにくい。それでは今日はこの辺で。。☆彡
cf. 歩行者と自転車、移動と停止の折れ線グラフと数列の連立漸化式~22年共通テスト・数学ⅡB第4問
(計 2346字)
(追記49字 ; 合計2395字)
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